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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年09月27日

コラム「新しいエネルギーの未来へ向かって」第3回&第4回 (2011.09.27)

エネルギー危機
新しいあり方へ
 

本日の枝野経産大臣による閣議後記者会見で、次のエネルギー基本計画案を作る総合エネ調・基本問題委員会の委員名簿が配付されました。(こちらにあります)
http://www.meti.go.jp/committee/notice/2011a/20110927001.html

私も委員の一人なので、がんばります〜。

この委員会、もともとは17人の委員が指名されており、ほとんどの方が“原発推進派”だそうで、私や京大の植田先生が“画期的?例外”のように言われていましたが、バランスのとれた議論を、とのことで、直前に飯田哲也さんや大島堅一教授ら数人が新たに委員に就任されました。

人数比でいえば、まだバランスはとれていませんが、従前に比べれば大きな変革ですし、多数決で決める委員会ではないので、それぞれの主張をしっかり聞いていただきたいと思います。

今回の基本問題委員会が画期的なのは、委員会全体をネット中継してオープンにする、ということです。春過ぎに委員就任の要請があったときから、ぜひそのようにしてください、と伝えてきましたし、「みんなのエネルギー環境会議」でもそれが普通になれば、という思いで活動しているので、大きな一歩だとうれしく思ってます。

(↓というようなコメントが掲載されました)
http://news.nicovideo.jp/watch/nw120092

第1回の委員会は10月3日18:30〜20:30です。ネット中継や傍聴についてもこちらにあります。(委員25人で2時間。。。どう運営されるのでしょうね???)
http://www.meti.go.jp/committee/notice/2011a/20110927001.html

さて、みんなのエネルギー環境会議のウェブサイトにアップされているエネルギー入門コラムより、前回第1〜2回を紹介しました。つづきの2本です。

サイトにはグラフも載っていますので、よろしかったらご覧ください。
http://www.meec.jp/column/index.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

http://www.meec.jp/column/index.html

<3.増え続ける電力消費量 > text by junko edahiro

エネルギーの「量」について考える

エネルギーや電力については、「量」(どのくらいの電力を使うのか)と「質」(その電力を何で発電するのか)の両面から考えましょう。

まず、量について。世界と日本の発電電力量は一貫して増え続けてきたことが分かります。

自分が生まれた年を今と比べてみてください。30歳の人だったら、自分が生まれてから今までの間に、日本での発電電力量は2倍になっているのです!

エネルギー消費量が増え続ける理由

世界でも日本でも発電電力量が増えている理由は何でしょうか?

一つは(特に世界で言えば)人口の増加です。もう一つは、生活レベルの向上です。無電化だった地域も、生活水準が向上すると、電気が使えるようになります。そして、電気を使う家電製品やパソコンや携帯電話などの機器がどんどん増えていくにつれ、必要な電力量もうなぎ上りに増えていきます。

日本のようにほとんど人口が増えていない国でも、一世帯当たりの家電やパソコンなど、電気を使う機器の数はどんどんと増えています。

省エネ家電や省エネパソコンなどが次々と売り出され、一台当たりの消費電力は減っているにもかかわらず、使う家電の数そのものが増えつづけているため、電力需要はどんどんと増え続けてきました。

これからの電力消費量は?

電力の「質」の問題――その電力を化石燃料か原子力か自然エネルギーか何で発電するのか――も大事ですが、その前に量の問題を考えることを忘れてはなりません。

もし電力需要がどんどんと増え続けていくのであれば、原子力であれ自然エネルギーであれ、どのような電源をもってしても、供給量を永遠に増やし続けることは不可能だからです。

震災後1カ月、3カ月後に、それぞれ1,000人を対象に、日本の今後のエネルギーについて世論調査をしてみました。「30年前の日本が使っていた電力は現在の約半分。30年後はどうあるのが望ましいか」という「量」に関する質問に対して、半分以上の回答者が「減っていることが望ましい」と答えています。あなたはどのように思いますか?

「省エネ」から「少エネ」へ

よく「省エネ」「省電力」といわれますね。これは、エネルギーや電力の利用効率を良くしよう、100のエネルギーや電力でできることを増やしていこう、ということです。 たとえば、自動車の燃費向上は省エネ技術の一つですが、自動車の消費するエネルギー=燃費×総走行距離(1台あたりの走行距離×総台数)ですから、いくら燃費を改善しても、走行距離や台数が増え続ければ、必要なエネルギーは増えていきます。

これから大事なのは、効率改善だけでなく、絶対量としてこれまでよりも少ないエネルギーで暮らす「少エネ」です。

電力は「質」に注目しがちですが、「量」も忘れないでくださいね。

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<4.今の日本の電力の作り方 > text by junko edahiro

電力の作り方

電力について、今度は質(=何を燃料にどうやって発電しているのか)を見ていきましょう。

発電方法は大きく、①火力発電(主な燃料は石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料)、②原子力発電(主な燃料はウランなど、③大規模水力発電(大規模なダムを使う)、④自然エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、小規模水、波力などを利用する)に分けることができます。

違いは「タービンの回し方」

燃料はさまざまですが、太陽光発電(あとで説明します)以外は、発電のしくみはほとんど同じです。何らかの力によって、羽根が何枚もついたタービンを回すことで、発電機に動力を供給し、電力を生み出します。違いは、「何の力でそのタービンを回すか」です。

いちばんわかりやすいのは風力発電ですね。風の力で羽根(ブレード)が回り、ブレードのついたタービンが回るようすが見えます。

水力発電所は、落下する水の力を利用してタービンを回します。水車のイメージがあるのでこれもわかりやすいでしょう。

火力発電所や原子力発電所、地熱発電所などは、タービン自体は見えないところにありますから、しくみがわかりにくいかもしれませんが、これらはほぼすべて、蒸気の力でタービンを回します。何で蒸気をつくるのかが違うのです。

火力発電所であれば、石炭・石油・天然ガスを燃やして発生する熱で水を蒸気に変えます。

原子力発電所では、ウランなどの燃料が核分裂反応をする時に生じる熱を使って蒸気をつくります。

地熱発電所は地下にある地球自体の熱を使って水を蒸気に変え、その蒸気でタービンのブレードを回します。

発電方法や燃料にはいろいろありますが、その多くの違いは「何でタービンを回すか」「何で蒸気をつくるか」だけなのですね。

それぞれの発電方法のメリットとデメリット、現在の日本や世界の状況について、ひとつずつ見ていきましょう。

電源シフトは日本も経験済み

「発電方法や燃料を変えるなんて難しいのでは?」と思いますか?

グラフから、30年弱の間に、日本の発電電源の内訳も大きく変わってきたことがわかります。石油ショック後、「石油への依存度を下げよう!」と国や産業界が力を結集してエネルギーの分散化を図ってきた結果です。

デンマークも1970年代には、輸入の化石燃料に99%依存していました。同様に石油ショックを受けて、国産エネルギーへ切り替えようと、自然エネルギーの利用を計画的に推進してきました。その結果、2007年には、国内の電力供給のうち約30%は自然エネルギーによるものとなり、EUの中でエネルギー自給率100%を超えている唯一の国になっています。1〜2%のエネルギー自給率を100%(以上!)に変えることもできるというひとつの例です。

次の30年間に日本の発電電源はどのように変わっていくのでしょうか、いえ、私たちはどのように変えていくのでしょうか。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

政府の委員会に参加するメリットの1つは、そのテーマについて整理された資料を事務局が用意してくれることです。そして、足りない/欠けていると思われる資料やデータを出していただくよう、お願いすることもできます。

事務局が用意する配付資料も、委員の発表資料も、ほとんどの場合、議事次第や議事録とともにウェブサイトにアップされますから、どなたでも活用できます。オススメです〜。

 

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