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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年09月03日

日刊 温暖化新聞 『夏の社会見学会@非電化工房』 見学レポート (2011.09.03)

温暖化
 

日刊 温暖化新聞では、毎日世界の温暖化に関するニュースをご紹介しています。
http://daily-ondanka.com/

たとえば、新着ニュース10本はこんな感じです。
http://daily-ondanka.com/news/index.html

日刊 温暖化新聞の情報発信を支え、一緒に学び、活動してくれる企業・団体にパートナーになっていただき、2ヵ月に1度の異業種勉強会を開催するほか、個人サポーターの方々にも参加いただける学びの機会を作っています。

先日、「大人の夏の社会見学」と銘打って、企業・団体パートナーと個人サポーターの方々にお声がけをし、発明家の藤村靖之氏の展開する非電化工房におじゃましてきました。

とっても楽しく、また考えさせてもらえる時間・空間でした。時間の流れがゆっくりで、本当に大事なことを考えることができ、自分も手を動かして作業したくなってきます。(^^;

スタッフがとてもわかりやすくレポートをまとめてくれましたので、共有させていただきますね。ぜひ「非電化」の可能性と思想に思いを馳せていただけたら、と思います。

写真もたくさんアップされていますので、ぜひこちらをご覧ください。
http://daily-ondanka.com/partnership/forum_20110823_15.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日刊 温暖化新聞 <企業・団体パートナー向けフォーラム>第15回『夏の社会見学会@非電化工房』(那須塩原)2011年08月23日(火)開催

開催日: 2011年08月23日(火)

対象:日刊 温暖化新聞の企業・団体パートナーの方のみ。各企業・団体さまより、2名さままでご参加いただけます。(それ以上のご参加を希望される場合はご相談くださいませ)ゲスト:ガイド:藤村研介氏、セミナー:藤村靖之氏ファシリテーター:枝廣淳子

今回は「夏の社会見学会」と題して、栃木県那須塩原の「非電化工房」にお邪魔しました。代表の藤村靖之さんは、電気を使わず、ほどほどに快適な「家電」製品を開発・商品化しながら、4年前に移り住んだこの地で、エネルギーやお金に頼らない暮らしを提案するテーマパークの準備を進めています。工房敷地内にある発明品の数々を見学させていただき、非電化にかける思いを伺いました。

★ガイドツアー

【非電化工房副代表 藤村研介氏 】非電化工房のある那須塩原は、東北新幹線を使えば東京から約1時間半と、交通の便がいい立地です。工房の敷地面積は約1ヘクタール。そのほか、穀物の栽培用に1.5ヘクタールの農場もあります。敷地内にある池のほとりには、太陽エネルギーを最大限に利用して、電気に頼らない暮らしを実現できる木屋などが点在し、非電化生活の展示場といった趣でした。

【アトリエ】:さまざまな試作品をつくる工房。広々とした倉庫ふうの建物内には、多くの工具類のほか、かつては当たり前に使われていた、電化する前の手動脱穀機や手動洗濯機など、古い道具も展示されていて興味深い。

<アトリエ内>

<非電化除湿機>

<簡易型非電化冷蔵庫>

<非電化冷蔵庫のしくみ>

【ムーミンハウス】:フィンランド製のガーデンハウス。床面積は約6畳で、3〜4人がかりなら週末でつくれるというシンプルな構造の組み立てキット。屋根には小型の太陽パネルを設置。「ムーミンハウス」という名前は、ムーミンの大ファンという藤村さんが命名したもの。

<ムーミンハウス>

<ムーミンハウス内部>

【非電化冷蔵庫】:電気を使わなくても冷やせるのはなぜ? ここで利用されているのは、物体の表面から赤外線が放射されることで、物の温度が下がる「放射冷却」という仕組み。中に蓄えられた大量の水(写真のタイプだと180リットル)が保冷剤の役目を果たし、真夏でも内部の温度は10〜15度に保たれる。もう少し小型の簡易タイプ(アトリエ内の写真参照)を制作するワークショップも随時開催されている。

<非電化冷蔵庫>

【非電化グリーンハウス】:四方の壁にしつらえた窓は二重ガラス、壁や床には籾殻を利用した断熱材をほどこし、通常のビニールハウスとは段違いの保温効果を発揮。たくさんの鉢植えが並んだ内部にはオシャレなコーヒーテーブルもあり、草花を眺めながらほっと一息つきたくなる空間。

<非電化グリーンハウス>

<非電化グリーンハウス内部>

【非電化籾殻ハウス】:グラスウールなみの断熱性を持つ籾殻を最大限に活用した非電化ハウス。床は22センチ、壁は9センチ、屋根には18センチ分の籾殻を敷き詰め断熱性を確保。一方、北側の床に近い通気口から外気を取り込み、屋根のてっぺんにある風車が換気扇の役目を果たすことで、室内には自然対流が生まれ、新鮮な涼風が吹き抜けて快適さを保てる。

<非電化籾殻ハウス>

<非電化籾殻ハウス内部>

【非電化バイオトイレ】:微生物の力で排泄物を分解し肥料にするバイオトイレ。通常は、気温の下がる冬期は微生物の分解力が落ちるところを、太陽熱を潜熱として蓄える仕組みを加えることでカバーしている。手動ハンドルで排泄物を適度に攪拌することで、好気性の微生物の活動を活性化し、嫌な臭いもあまりないという。若いお弟子さん3人がかりで2週間で製作。材料費は約10万円。

【非電化風呂小屋】:太陽熱、蒔、ゴミのいずれかを燃料に使えるお風呂。太陽熱の場合は、屋根に設置された温水器を利用して、晴天なら真冬でも太陽熱だけで入浴できる。蒔やゴミも燃料にできるため、天気の悪い日でも利用できる便利な仕組み。内部は、4畳半ほどの広さに、廃品を修繕したという五右衛門風呂が設置され、その他の材料はすべてホームセンターで手に入る物でつくられている。

<非電化風呂小屋>

<非電化風呂小屋内部>

【ストローベイルハウスの非電化B&B】:ストローベイル=藁でつくられた簡易宿泊施設。稲藁素材のブロックを積み重ね、土と漆喰を塗って壁をつくり、床や屋根には籾殻の断熱材を使用。籾殻ハウス同様、室内に自然な上昇気流が生まれるよう、外気の取り入れ口と天窓の換気扇が工夫され、夏の暑さを和らげてくれる。 <ストローベイルハウス>

<ストローベイルハウス内部>

★非電化に関するトーク、Q&A:

【非電化工房代表 藤村靖之氏】

藤村さんの提唱する「非電化」とは、単に「電気を使わない暮らし」にとどまりません。人間と技術とのつきあい方、エネルギーやお金と幸せの関係など、非電化の背景にある藤村さんの哲学、今後の思いなどについて伺いました。印象的だったポイントを3つだけご紹介します。

★ プロセスを楽しむ ★

・コーヒー豆を自分で煎るための手煎り焙煎器「煎り上手」という非電化製品がある。これを使って自分で生豆を煎り、挽き、淹れるには25分もかかるのだが、この製品は6年間で8500台も売れている。プロセスを楽しみながら、一杯のコーヒーを味わいたい人がこれほどいるということは、「何でも速ければいいわけではない」という考え方が生まれている証拠だと思う。これまで日本は、快適、便利、スピードを追い求めてきたが、必ずしもそこだけに幸せがあるわけではないはずだ。

★ 持続性を損なわない「技術」とは?★
・「技術」というと先端的な科学技術ばかりが連想され、ローテクなものをバカにする風潮があるように思う。実はハイテク製品よりローテクのほうが開発に時間がかかる。コーヒー焙煎器のときは、いかにプロセスを楽しめる製品にするか工夫を重ねていたら、半年もかかってしまった。

・ときおり、非電化冷蔵庫の製作ワークショップを開いているが、「文化系のお母さん」と小さいお子さんを優先して来ていただいている。お母さんでもつくれるところに面白みがあると思うからだ。自分でつくれば、壊れたときも自分で直せる。先端的な科学技術の一方で、誰もが使える技術がきちんとあれば、科学や技術が暴走しないようなブレーキになるだろう。

・技術自体が悪なのではない。問題なのは持続性を損なう技術。英語にはappropriate technologyという言葉がある。日本語にすれば「適切な技術」だろうか? もっとオシャレでスマートな言葉をつくって流行らせていきたい。

★ 豊かさを考え直そう ★・この土地に、エネルギーとお金がなくても豊かさを感じられるテーマパークを建設中。幸せ・豊かさの選択肢がたくさんあることを見せて、豊かさについて考え直すきっかけとなる場にしたい。

・さまざまなタイプの非電化ハウスを住宅展示場のように見てもらいたい。素人が建てても、ステキ、頑丈、健康、ゼロエネルギー、しかも建設費はタダみたいに安い。そうした家づくりができることを示せれば、とくに持ち家を諦めざるを得ない若い人に勇気が生まれるかもしれない。

●参加された方の声から(※頂いた内容から抜粋)

機会を与えて頂いて、有難うございました。感動し、勇気を頂きました。実際に、行動し形にしていく姿を実際に目で見られた事に感謝します。

今後の指針のビジョンを描くヒントになりました。

藤村さんのお話から特に印象に残ったことばと自分自身の気づきは、『ハイテクがあればみんなが幸せになれると思い込んでいた』『化石燃料から電気に変えることがエコではないんだ』いろいろなヒントをいただき貴重な時間を過ごさせていただきました。

電気を使うことが先進的であり、電気は無尽蔵に沸いて出てくる、たくさん使うことが美徳とさえ言われ、「世の中に停電が起きることはありえない」仕組みができているから、常に電気が来る前提で設計すればよいと、仕事の上では言われていました。それが、発電所が爆発して停電が起きるのが当たり前となり、それがしばらく続くと言われれば、非電化工房の存在意義がますます増加していくでしょう。

私は、非電化工房さんの活動方針に大賛成です。 こうした取り組みがあることを、友人、知人に広めていければと思いました。

<非電化工房藤村さんと参加者>

※次回フォーラムでは「NGO/NPOとの付き合い方」を取り上げる予定です。日程はただいま調整中ですので、決まり次第ご連絡いたします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

藤村さんにまたじっくりお話をうかがいたいな、どんどん展開していく非電化工房にもまたおじゃましたいな、と思っています。

そして、こういう「社会見学」も含めて、これからの時代を生き抜いていくため、切り拓いていくための学びと実践を、日刊 温暖化新聞の仲間たちと進めていきたいなと思っています。

よかったら企業・団体パートナーとして、または個人サポーターとして、一緒に学びながらこの時代を歩んでいきませんか?
http://daily-ondanka.com/partnership/guide.html

 

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