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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年03月27日

「放射線に関する情報を(少しでも)自分で判断できる力をつけるために」その1&その2(2011.03.27)

 

「放射線に関する情報を(少しでも)自分で判断できる力をつけるために」

テレビも新聞もネットでも、原発事故とそれがもたらす危険性についての話がいっぱいです。自分自身の体や子どもたちのことを考えても、心配で仕方ありません。メディアやネットを見るとは、いろいろな"専門家"がまったく違うことを言っています。

そんな状況の中で、「どれを信じたらいいのか?」「放射線って、よくわからない」「何が危ないのか、何を見ればよいのか、どう判断すればよいのか、わからない......」という方も多いのではないかと思います。

私も「放射線」については素人です。放射線の話はフクザツでよくわからない。でも、「素人だからわからないー」とあきらめて、政府の見解を鵜呑みに信じるのは危険ではないか? 少なくとも自分で少しでもリスクを理解した上で、判断し、行動したい、と思います。

そこで、まずは自分の理解のために、専門家に教えてもらいながら、できるだけ(自分でわかるぐらい)わかりやすく、シリーズで放射線について書いてみることにしました。

特に、ごっちゃになりがちなものを「区別する力」をつけていきたいと思います。そうすれば、(意図的かどうかは別として)ごっちゃに報道されている情報を、少しでも自分で位置づけ、見分けていくことができるようになります。

私自身が「これが安全レベルです」「こうすべきです」と"勧告""提案"することはできませんし、しません。あくまでも、基本的なことを説明し、情報を自分で読み取り判断する力をつけるために、どこに気をつけたらよいか、自分で「なるほど」と思ったことを紹介していきます。同じデータに対しても、さまざまな受け取り方があるということも紹介していきます。

調べつつ、専門家に教えてもらいつつ書いていますので、不十分なところもありますし、随時修正・追加していくことになりますが、それでも素人仲間(?)の方々がそれぞれの判断力をつけていく上でお役に立つならうれしく思います。

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「放射線に関する情報を(少しでも)自分で判断する力をつけるために」(その1)
●放射線って何?●

(★この部分は読み飛ばしていただいてもよいです)

(1)原子

「物質を構成している最小の粒子」を原子といいますね。さまざまな物質はさまざまな種類の原子がさまざまに組み合わさってできています。発見されている原子は100種類ちょっと(元素周期表を覚えている方もいらっしゃるでしょう)。たったこれだけの種類の原子の組み合わせで数えきれない種類の物質ができているんですね。

そしてこの原子は、正(+)の電荷を持った原子核と負(-)の電荷を持った電子とでできています。

(2)原子核

放射線を理解するには、「原子核」の構造を理解する必要があります。原子核は、正(+)の電荷を持った陽子と、電荷を持たない中性子とで構成されています。原子核の性質は、この陽子と中性子の組み合わせによって決まってきます。

(3)放射線

原子核には安定なものと不安定なものがあります。不安定な原子核は、安定になろうと余分なエネルギーなどを放出して別の原子核になります。こうして放出されたものが放射線です。

放射線を放出すると、原子核は別の原子核に変わります。これを原子核の「崩壊」といいます。崩壊して放射能が半分になるまでの期間を「半減期」といいます。半減期は原子核の種類(核種)によって異なります。

放射線には、アルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線、エックス(X)線、中性子線などがあります。

放射線は、目に見えませんし、においもありませんし、熱くもありません。ですから、私たち人間の感覚ではわかりません。そのため、特別な測定器具で測らないとわかりません。

これらの放射線が放出されるとき、エネルギーが出ます。この熱エネルギーを用いて、お湯を沸かし、その蒸気でタービンを回して発電するしくみが原子力発電です。

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「放射線に関する情報を(少しでも)自分で判断する力をつけるために」(その2)
●「放射線」と「放射能」と「放射性物質」を区別しよう●

混同しやすいのですが(マスコミなどの報道でも混乱していることがあります)、「放射線」と「放射能」は違います。もう1つ、「放射性物質」も覚えておきましょう。 蛍が光を発しながらゆらゆらと飛んでいるようすを想像して下さい。

ここでの蛍は、光を発するもの(=「放射性物質」)です。蛍の放つ光が「放射線」です。蛍によって、光を発する力(=「放射能」)が違います。強い光を発している蛍もいれば、弱々しい光の蛍もいますよね。

単位の話を少しだけ(またあとでも説明します)

放射線の量を「線量」と言います。単位は「シーベルト」(Sv)です。蛍の光(放射線)の明るさ(強さ)を手元で測った値がシーベルトだと思って下さい。同じ蛍でも、近くにいるか遠くにいるかで、シーベルトの値は変わります。

もう1つ、「グレイ」(Gy)という単位を見聞きすることがあるかもしれません。グレイもシーベルトも、ともに蛍の光(放射線)がどれだけ手元を照らしてくれるか(観測点にどれだけエネルギーを運んでくるか)を表す量です。

放射線にはアルファ線とかベータ線とかガンマ線とかいろいろな種類がありますが、グレイは放射線の種類によらず、ただ観測点に運んできたエネルギーの量を表します。

でも、放射線はその種類や質によって人体に与える影響が違うので、その違いを考慮して、グレイを人体に与えるエネルギーの量に換算したものがシーベルトです。というわけで、放射線の強さの話のときには、ほとんどの場合「シーベルト」という単位がついています。

そして、放射能(放射線を放出する能力)の強さを表す単位は、「ベクレル」(Bq)です。

蛍の種類によって、ベクレルが違います。大きくて元気な蛍ほど、ベクレルが大きくなります。

「放射線」「放射能」「放射性物質」の違いがわかりましたか? 

報道記事などを読むときには、「これは放射線のことなのか、放射能のことなのか」と気をつけてみて下さい。

単位を見るのもひとつです。シーベルト(ミリシーベルトとかマイクロシーベルトなど)であれば、放射線自体の強さの話です。

※1ミリシーベルトはシーベルトの千分の1なので、0.001シーベルト。長さでも1ミリは1メートルの千分の1ですよね。ミリは「千分の1」を意味します。1マイクロシーベルトはさらにその千分の1(0.000001シーベルト)です。

ベクレルと書いてあれば、放射性物質の放射能(放射線を出す力)の話です。

「放射能を浴びる」という表現を見聞きすることがありますが、3つの区別がつくようになっていれば、「放射能を浴びるとは言わないよなぁ。"放射線を浴びる"または"放射性物質を浴びる"ということだよなあ、どちらなんだろう?」と考えることができます。

この2つは大きく違います。「放射線を浴びる」なら、浴びた時間だけ影響を受けますが、「放射性物質を浴びる」だと、その放射性物質を取り除く(=除染)まで、その放射性物質が出す放射線の影響を受けることになるからです。

「原子炉から放射線が漏れた」という場合、通常は、原子炉内から放射線が外に出ている状況を指します。原子炉の外に放射性物質が出て、それが放射線を発生している場合は「放射能漏れ」です。

放射線が漏れているのか、放射性物質が漏れているのかは、大きな違いです。でも、報道でも混同している場合があるので、「どちらのことかな?」と気をつけて読みましょう。

シリーズ次回は、「一瞬浴びる放射線の影響」と「ある時間浴びる放射線の影響」の区別について説明します。

※メールニュースに掲載されている内容・情報はそれぞれのご判断の上、出所(枝廣淳子の環境メールニュース http://www.es-inc.jp)を添えて、引用・転載くださってけっこうです。ただ、どの情報も「その時点での情報」であって、のちに修正・追加等される可能性がある情報であることをご理解・ご明記いただければ幸いです。

 

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