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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年03月15日

ヨウ素剤、トロロ昆布、そしてイソジン?(2011.03.15)

 

「放射線対策に、ヨウ素を豊富に含むトロロ昆布がいい」などと聞いたことがあるかもしれません(多くのスーパーなどでは売り切れのようです)。

なぜヨウ素がいいのか? 以下のサイトから抜粋します。

●原子力防災について ーヨウ素剤 Q & Aー
http://www.nuketext.org/manual.html

> Q1)なぜヨウ素剤を飲むの?> > A: 原子力施設に事故がおきた場合、いろいろな放射性物質が施設から放出され> ます。放射性ヨウ素もその中の一つです。放出された放射性ヨウ素は、呼吸や食> 物とともに体の中に取り込まれ、甲状腺に集まります。そのため甲状腺癌の原因> になるおそれがあります。これに対し、前もってヨウ素剤を飲んでおけば、放射性> ヨウ素が甲状腺に集まることを防ぎ、尿や便から排出されて、発癌の危険性(リ> スク)を低減することが出来ます。

放射性物質である「悪いヨウ素」が来る前に、「良いヨウ素」で満たしておけば、悪いヨウ素を取り込まれずに済むから、ということなのですね。

そのヨウ素剤はどこで手にはいるのだろう?と思われる方も多いでしょう。

> Q4)ヨウ素剤はどこでくばるの?

> A: ヨウ素剤は各避難所などで配られます。> 注ー1:配る場所は地方によって事情が異なりますから、一様ではない可能性があります。普段から保健所などに問い合わせておくと良いでしょう。> 注ー2:平常時に、あらかじめ各家庭に配ることはしないと決められました。しかし、これはまだ検討の余地があるそうですから、自治体などで交渉してみるとよいでしょう。

とのことです。一般家庭で簡単に入手できないとしたら、それ以外で「良いヨウ素」を摂取するには? ということで、ヨウ素の豊富な海藻類に注目が集まっているのです。

また、「昆布やワカメもなければ、うがい薬であるイソジンを飲めばいい」という話も聞きます。「何もなければゼロよりマシ」という最後の手段とはいえ、これについては医師や当局筋では禁止論が強いようです。

たとえば、厚労省のウェブサイトにはこのように明記してあります。

●厚労省「ヨウ素を含む消毒液などを飲んではいけません」
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014rmq.html

> 放射線被曝の予防や治療のために、ヨウ素を含む消毒剤を飲んではいけません。
> インターネット等に流れている根拠のない情報に注意してください。詳しくは放
> 射線医学研究所HPをご覧ください。
>
>  放射線医学総合研究所
>  http://www.nirs.go.jp/index.shtml>
 → http://www.nirs.go.jp/data/youso-1.pdf

あるMLでこういったことをやりとりしていたことをきっかけに、大学病院のお医者さんから詳しくわかりやすく教えてもらうことができました。許可を得ましたので、ご紹介します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(1)急性障害を防ぐためには?

急性障害を防ぐためには、とにかく、放射能を遮ること(マスクは市販のものだと10枚以上重ねた方がいいらしいです)、身体についたものは、洗い流すことです。

(2)ヨードの摂取について(晩発障害のうちの甲状腺がん予防)

問題となっている、ヨードの摂取ですが、これを取る目的は、「甲状腺が無害なヨードで満たされていれば、放射性ヨードが体内に入っても甲状腺に蓄積しづらくなる」ことを狙っています。

晩発障害は、甲状腺がんだけではないので、ヨードを取れば安心といったものではありませんが、チェルノブイリでの経験から、この予防法はよく知られるようになりました。

一番確実なのは、ヨウ化カリウム錠(溶けにくいので、粉末にしたほうが良い)。成人の場合、50mg〜100mgを、被ばく前あるいは直後に服用。半減期8日なので、2週間くらいは予防効果があると考えてよいと思います。

「ヨウ化カリウム服用:被ばくした場合、何日続けるべきか?」

……ヨウ化カリウムの半減期(効き目が続く期間みたいなもの) 8日……ヨードの尿中に排泄速度(造影剤ヨードの場合) 1日以内に90%

以上より、予防には、ヨウ化カリウム:50〜100mg一回服用(大人)、被ばくした場合は、量に余裕があれば、50mg一日一回を数日間服用するのが、副作用のないヒトの場合、良いのではないかと思います。

但し、ヨウ化カリウムは、100キロ圏内の、備蓄の少ない被災地で優先的に使えるようにしたほうが良いと思っています(本来、行政が備蓄しているはずのものなので(原発設置地区なら、尚更しているはず)、避難された方に配られて当然のものです)。

(3)ヨウ化カリウム服用の副作用について

中毒症状:島根原発における過去の事故の対策では、「ヨウ化カリウムは14日服用、一日に150mg以上飲まないこと」となっていました。

その他の、副作用とは、薬への過敏症、甲状腺機能障害などです(ヨーチンやイソジンで、皮膚に症状が出た事がある方は、絶対、ヨウ化カリウムを飲んでは駄目)。

(4)イソジンの服用は避けるべき

そういうわけもあり、イソジン服用は、10mlを毎日飲むと胃腸などの粘膜障害起きる可能性高いので、やめてもらっています(現在、明治製薬に飲用のデータの有無、問い合わせ試みておりますので、レスポンスあったらお知らせ致します)。

(5)海藻類(昆布など)によるヨードの摂取について

昆布などは、効き目がないと、国は言っていますが、甲状腺の検査の時に、一週間くらいは海藻類を控えてもらう(海藻のヨードで検査に影響が出ないように)事を考えると、明らかに被災地で被ばくをした場合以外は、この方法が一番現実的ではないかと思います。

海藻類は、いくら多量に食べても、2〜3mg程度しか蓄積しないので、被ばくしてしまった際には不十分ですが、微量放射線対策には、ある程度有効なのではないかと思います(あくまで、私見です)。その際も、取り過ぎると、腹部症状など出ますし、沢山食べて確実というものでは、ありませんので、一日一杯の昆布だし食品+α(日本人が通常食べてきた量)で対処するのが現実的と思います。

昨日のメールでちょっと触れた、甲状腺検査一週間前禁止食品添付致します。最近は、インスタント食品、スポーツ飲料などにも添加物として、わけのわからん昆布だし入っているようで(微量ですが)これも、問題ですね。

<甲状腺検査一週間前・絶対禁止品目>ヨード含量が極めて多いため、検査に支障をきたすため、1週間前から摂取が禁止されている品目。1.海藻類(コンブ、ワカメ、海苔、ヒジキ、モズク、テングサ)2.昆布加工品(おぼろこんぶ、とろろこんぶ、昆布茶)3.コンブだしおよび風味調味料*24.昆布エキス含有食品5.ヨード卵

以上は、3月15日時点でのものです。訂正すべき新たな情報や、私の見解ミスがあった場合は、直ぐに連絡するように致します。

また、ご連絡をいただく場合は、病院ではなく、私の個人メールアドレス宛でお願いします。

安藤恵子(東京医科大学病院内 血液内科)
andok@tokyo-med.ac.jp

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

安藤先生、先生につないで下さった方、ありがとうございました! 追加情報等あったらまた教えて下さるとのこと、とても心強いです。

厚労省も「イソジンは×」だけじゃなくて、うがい薬とみなが知っているものですら「飲んだほうがマシ?」と不安になっている(好きこのんで飲みたい人はいないと思います〜)私たちの心情に寄り添って、「じゃ、どうすればいいのか」(どこでヨウ素剤が手に入るか、手に入らなかったらどうしたらよいかなどの情報)を教えてくれたらよいのですが……。

 

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