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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年03月13日

温暖化対策としての原子力利用に対して(2011.03.13)

温暖化
 

先ほど送ったメールニュースについて、「自衛隊が救援物資を受け付けているというのは誤報との情報があります」との連絡をいただきました。

また、青森県のツイッターを見たところ、

【青森県救援/支援情報(13日15時30分現在)】今回の地震に関する個人からの救援物資につきましては、受け付けないことに決まりました。混乱を避けるためですのでご理解願います

ということでした。救援物資を受け付ける窓口等について、また情報がありましたら、お伝えします。

さて、前号で「原子力については素人なので」と書きましたが、環境問題をやっていると必ず原発の話に出会います。講演会のあとの質疑応答でも、「政府は温暖化対策として原子力を推進しているが、どう思うか?」とよく聞かれます。

温暖化対策としての原子力利用に対する私の考えは、

1)確かに、発電中だけみれば、低炭素電源の1つである。

2)しかし、私たちの直面している問題/リスクは温暖化だけではない。原子力発電は、他の大きな問題を抱えている。たとえば、

  (1)核廃棄物の処分の問題がまだ解決されていない。

  (2) テロや核拡散の危険性がある(世界中で低炭素化をはかろうというとき、お行儀の良い先進国は原子力を使ってよいが、危なっかしい一部途上国はだめ、と言えるでしょうか?)

3)日本は地震国なので、地震が必ず起きる。

原発に頼ったエネルギー政策をしていると、地震のたびに原発が止まり、代替の火力発電を増やし、CO2が増えることになる。それでは安定した温暖化対策がとれない。

4)すぐにゼロにすることは現実的ではないが、方向性/ビジョンとして、原発に頼らない社会・経済にしていくべきだと考える。

というものです。(今は昔、福田内閣時の「温暖化問題に関する懇談会」でも上記の意見を繰り返し述べました。席順はあいうえお順なので、私の次に東京電力の勝俣社長(当時)が原子力発電がいかに切り札かというお話を繰り返しされました。^^;)

中越地震で柏崎の原発が止まって、日本の電力のCO2原単位が跳ね上がったときに、「そのまま原発を止めたままでいいよ」「その分、私たち、必要な電力を減らすからね」というキャンペーンをやって、社会の電力需要を減らして、「原発はもう動かさなくてもいいですよ」としないといけない、と思いました(じょうずに取り組めませんでしたが、、、)。

私たちが電力を使いたいだけ使って、「でも原発はやめてください」では、やはり電力会社としても受け入れられない話だと思うからです。

上記のように考えていたのですが、今回の原発事故の怖ろしさを見て(まだ終わっていないどころか、これからが大変な状況になりそうですが、、、)、「原子力をより安全なものにするための努力」よりも、「原子力に頼らない経済や社会にしていく」ことが大事だと改めて痛感しています。

明日ぐらいから関東では輪番停電が始まるようですが、だれもが「これまでより少ない電力でも暮らしていける」よう調整せざるを得なくなります。「それでも暮らしていけるじゃない?」となって、「私たちこれからも電力需要を減らすから、原発は止めておいてね」とならないかな?

さて、こういった原子力発電に対するスタンスを明確にしているにもかかわらず(だからこそ?)原子力関連のシンポジウムなどに「原子力村ではない意見をぜひ」と呼んでもらったり、六ヶ所村の再処理工場の見学に連れていっていただいたり、原子力の技術者にいろいろ教えていただく機会があります。

あるとき、「放射能のイロハから教えてくれませんか?」というお願いに、専門家が快く時間を割いて、詳しくかつ素人にもわかりやすく、レクチャーをして下さいました。次号では、そのときのノートからご紹介します。放射線や放射能についての情報が飛び交っているいま、何かの参考になればと思って。

 

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