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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2010年12月28日

「米国における気候変動指標」など (2010.12.28)

温暖化
 

<内容>

■「米国における気候変動指標」

■日経エコロミー 連載コラム 温暖化科学の虚実 研究の現場から「斬る」!

■大みそかに「絶望から未来を見つけるトークライブ2010」へどうぞ。

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■「米国における気候変動指標」

米国政府の環境保護庁が出した"Climate Change Indicators in the UnitedStates”(米国における気候変動指標)という報告書があります。
http://www.epa.gov/climatechange/indicators/pdfs/ClimateIndicators_full.pdf

この中から「わかった重要なことの要約」(Summary of Key Findings)を、実践和訳チームのメンバーが訳してくれました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

研究成果の概要

この報告書の指標は、人間活動の結果、大気の組成が変わり、気候変動が起きているという兆候を明らかに示している。また指標は、こうした変化に関連する社会と生態系への多くの影響についても例証している。

【温室効果ガス】

○米国の温室効果ガス排出量米国では、人間活動に起因する温室効果ガス排出量は1990年から2008年にかけて14%増加した。米国で排出される温室効果ガスのほとんどは二酸化炭素であり、増加分の大半も二酸化炭素が占めている。米国における温室効果ガス排出の最大の原因は発電で、運輸がそれに続く。人口一人当たりの排出量は1990年からほぼ一定である。

○世界の温室効果ガス排出量世界全体では、人間活動に起因する温室効果ガス排出量は1990年から2005年に26%増加した。総排出量の約3/4を占める二酸化炭素の排出量は、この期間に31%増加している。米国と同じく、世界の排出量の大部分はエネルギー利用と関連している。

○温室効果ガスの大気中濃度二酸化炭素やその他の温室効果ガスの大気中濃度は、産業革命以降、大幅に増加してきた。この増加分のほぼすべては人間活動によるものである。歴史的測定によると、多くの温室効果ガスの濃度は、自然な変動を考慮しても、数千年のうちで現在が最も高い水準にある。

○気候強制力気候強制力または「放射」強制力とは、温室効果ガスなどの物質が、大気に吸収されるエネルギー量にどれだけ影響しているかを検証する考え方である。放射強制力が増加すると温暖化につながり、減少すると寒冷化につながる。1990年から2008年にかけて、地球の大気中の温室効果ガス全体の放射強制力は約26%増加した。このうちの約80%は、二酸化炭素濃度の上昇によるものである。

【天候と気候】

○米国と世界各地の気温過去30年間に温暖化が進み、1901年以降(訳注:アラスカとハワイを除く)米国48州で平均気温が上昇している。この48州で高温だった上位10年のうち7年が1990年以降に記録されており、5カ年単位で見ると過去50年間が史上最高温だった。世界各地の平均気温も同様の傾向を示し2000年から2009年の10年間が観測史上最高であった。米国内では、北部、西部、そしてアラスカで、最も気温上昇が大きい地域があった。

○熱波米国での熱波の発生頻度は1960年代から1970年代までは減少したが、それ以降は着実に増加している。米国で熱波の影響を受けた地域もまた増加している。米国史上最も激烈な熱波が起きたのは、依然として「ダストボール」(訳注:米国中南部で頻発した砂塵の嵐)が発生した1930年代であるが、平均気温は、それ以来上昇している。

○干ばつ2001年から2009年にかけて、米国では国土のおよそ30〜60%が常に干ばつ状態にあった。しかし、この指標データの収集期間は、干ばつが時とともに増えているのか減っているのかを断定できるほど長くはない。

○米国と世界の降水量平均降水量は米国や世界各地で増加している。降水量は1901年からの100年で、米国48州で平均6%以上、全世界で約2%増加している。しかし、ハワイや、米国南西部の一部など特定の地域では、天候パターンが変わったために以前より降水量は減少している。

○豪雨近年米国では、集中豪雨が降水量のうちの高い割合を占めている。集中豪雨の発生が多かった上位10位のうち8年は1990年以降に表れている。年間総降水量が異常に多かった地域もまた増加している。

○熱帯性低気圧の強度大西洋、カリブ海、およびメキシコ湾で発生する熱帯性暴風雨は、20世紀中の大半には、強さが増しているという長期的傾向を示さなかったが、過去20年間には著しく強さを増している。ハリケーンの時期が最も激しかった上位10年のうち6年は1990年代半ば以降に表れている。この強度の増大は熱帯大西洋で海表面の温度が変動していることと密接な関係がある。

【海洋】

○海洋の熱吸収1950年代以降、海洋貯熱量が大幅に増加したことは複数の研究により明らかになっている。海洋貯熱量は、海面温度を決定するだけでなく、海水位と海流にも影響を及ぼす。

○海面温度20世紀中に、世界の海洋の表面温度は上昇した。年々、いくらか変動があるとしても、全般的な増加は統計的に有意で、過去30年間の海面温度は、1800年代後半に大規模な測定が開始されて以来のどの期間よりも高い温度を記録している。

○海水位世界のすべての海洋で平均すると、海水位は1870年以降、10年毎に約0.6インチ(約1.5センチ)上昇している。近年では、この上昇率が10年に約1インチ(約2.5センチ)以上の割合へと加速している。陸地の高さに対する海水位の変化は、陸地自体が上下するため、大きな開きがある。米国沿岸部では、中部大西洋とメキシコ湾岸の一部で、陸地の高さに対する海水位が最も上昇した。アラスカと北西部の一部の地域では、陸地に対して海面は下降している。

○海洋酸性化過去20年間で海の酸性化が進んでおり、現在の海は、数百年前よりも著しく酸性化していることが研究で示されている。酸性化の進行は、海水に溶け込んだ二酸化炭素濃度が上昇したことに関連がある。酸性度の変化は、サンゴなどの繊細な生物に影響を与えかねない。

【雪と氷】

○北極海氷北極海の一部の地域は、年間を通して凍ったままである。氷で覆われた面積は、通常、夏の融解期の後の9月が最小である。2007年9月の氷の面積は、観測史上最も小さく、次いで小さかったのは2008年と2009年だ。2009年の北極の海氷の面積は、1979年から2000年までの過去平均よりも24%小さかった。

○氷河米国と世界各地の氷河は、1960年代以降、全般的に縮小した。氷河の融解速度は、過去10年間で加速したようである。全体では、1960年以降、世界各地の氷河は水に換算して2,000立方マイル(8,336立方キロメートル)以上消失しており、それが観測されている海面上昇の一因となっている。

○湖氷米国北部の湖は、1800年代や1900年代初めよりも、全般的に遅く凍結し、早く溶けているようである。湖の凍結期間は、10年に平均1〜2日の割合で短くなっている。

○積雪面積北米の積雪面積は、年々の大きな変動はあるが、1972年以降全般的に縮小した。北米の積雪面積の平均は、1970年代が343万平方マイル(888万平方キロメートル)であったが、2000年から2008年の間は、318万平方マイル(823万平方キロメートル)だった。

○雪塊1950年から2000年にかけて、春先の地面の積雪の深さは、米国西部とカナダの測定場所のほとんどで低下した。春の積雪量は、いくつかの地域では75%以上減少したが、増加している地域もある。

【社会と生態系】

○暑さに関連した死亡過去30年間に、全米各地では熱中症などの暑さが原因の病気で、6,000人以上が死亡した。だが、年々の変動が大きいため、長期的な傾向を見極めることは困難である。

○生育期の長さ米国48州では平均生育期間が、20世紀初め以降、約2週間長くなった。過去30年間には、特に大幅かつ着実に期間が延びた。観察された変化は、春の気温上昇の早まりと秋の初霜の遅れを反映している。生育期間の延長は、東部よりも西部で急速に進んでいる。

○植物耐寒ゾーン冬の低温は、特定の地域で植物が生き残れるかどうかを決定する。植物耐寒ゾーンは、1990年以降、北方へ著しく移動した。これは、米国の大部分における冬の気温上昇を反映している。複数の州の大部分で、少なくとも耐寒ゾーン一段階分は温暖化した。

○葉の生長と開花の日葉の生長と開花の時期は、自然界の出来事の中で、気候変動による影響を受ける可能性がある例である。米国48州でライラックとセイヨウスイカズラを観察したところ、現在、葉が出る時期は、1900年初めよりも数日早くなっていることが示されている。開花は、これまでよりも若干早いが、この変化が統計的に意味があるかどうかについて断定することは難しい。

○鳥の越冬地域気温などの環境条件の変化に適応するために、越冬地域を別の場所にしたり、渡りの習性を変えたりしている鳥がいる。長期にわたる研究によると、北米の鳥類は、1966年以降、越冬地域を平均約35マイル(56キロメートル)北へ移動させ、数種は数百キロメートル移動させたことが明らかになっている。概して、鳥類は、越冬地域を沿岸から離れたところへ移動させており、これは内陸部の気温の上昇とも一致している。

(翻訳:山口淳子、木村ゆかり)

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■日経エコロミー 連載コラム 温暖化科学の虚実 研究の現場から「斬る」!

日刊 温暖化新聞でもお世話になっており、このメールニュースでもコラムをご紹介させていただいている国立環境研究所の温暖化科学者・江守正多さんの連載コラムをまとめて読めるサイトができました。
http://www.cger.nies.go.jp/person/emori/nikkei.html

以下のタイトルを見て「!」「?」と思ったら、ぜひどうぞ〜。

第1回 人為起源CO2温暖化説は「正しい」か?(2009年2月9日)

第2回 温暖化対策目標は「科学的に」決まるか? (2009年3月19日)

第3回 「地球は当面寒冷化」ってホント? (2009年4月23日)

第4回 太陽活動が弱くなっている?-温暖化への影響は (2009年5月27日)

第5回 新しい温暖化予測計算が始動!天気予報との関係は? (2009年7月23日)

第6回 ラクイラ・サミットで世界は「2℃」に合意した? (2009年9月3日)

第7回 「朝まで生テレビ!」の「温暖化 vs 寒冷化」討論 (2009年10月26日)

第8回 過去1000年の気温変動の虚実 (2009年11月27日)

第9回 「クライメートゲート事件」続報・科学にとって「査読」とは何か(2009年12月28日)

第10回 IPCCへのさらなる疑問について・ヒマラヤ氷河問題とクライメートゲート続々報 (2010年1月27日)

第11回 温暖化はやはり減速中?-原因は水蒸気か自然変動か (2010年3月1日)

第12回 温暖化イメージ戦争の時代を生きる (2010年3月18日)

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そして、この江守さんも一緒に……

■大みそかに「絶望から未来を見つけるトークライブ2010」

今年は最後まで働きます。今年の仕事納めは、何と大みそかの夜!朝2時起きのためには夜8時に寝たいところですが、この日は特別に「深夜営業」です。(^^;
よかったらぜひ一緒に、年越ししながら絶望から未来を見つけてみませんか?


日 時:2010年12月31日(金) 19:00〜 (18:00開場)
場 所:Naked Loft(東京都新宿区百人町1-5-1 百人町ビル1F)
内 容:年の瀬の大晦日、「絶望に効くトークライブ」を決行!
    【出演】
    田中 優氏(未来バンク事業組合理事長)
    山田 玲司氏(漫画家/『ココナッツピリオド』『絶望に効くクスリ』他)
    江守 正多氏(国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室室長)
    枝廣 淳子(環境ジャーナリスト/有限会社イーズ代表他)
    【ミュージシャン】
    高森 ゆうき氏/ 大島 圭太氏 / HARCO氏 / 他
問合せ:Naked Loft
     TEL .03-3205-1556
≪チケット取り扱い≫
ローソンチケット(L:34152)、web予約でも受付けます。
http://www.loft-prj.co.jp/naked/reservation/
前売¥2,000 / 当日¥2,500(共に飲食代別)


田中優さんから、

> 年越しはnaked Loftで! 「絶望から未来を見つけるトークライブ2010 」
> 年越しは、この素敵なメンバーとともに、楽しく・・・♪
> 最高にいい今年の締めくくり、そしてポジティブな新しい年が迎えられそうですね!

とのこと。Ust中継も予定されています。お楽しみにどうぞ〜!

 

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