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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2010年12月10日

「企業の温室効果ガス削減目標とその影響についての調査」報告を発表しました (2010.12.10)

温暖化
 

メキシコのカンクンではCOP16が大詰めを迎えています。
http://www.cc2010.mx/es/

こちらにライブ中継があります。
http://webcast.cc2010.mx/index_en.html

キーワード検索など、オンデマンドで記録を見ることもできるようです。
http://webcast.cc2010.mx/grid_en.html

COP16でも国際交渉はあまり大きく進展しないだろうと言われてきましたし、実際そのような感じですが、、、

でも国際交渉がどうなろうと、たとえ米中が何もしなくても、日本の将来にとっては、できるだけ早く「脱化石エネルギー」を進め、低炭素社会・経済へシフトしていくことは間違いなく必須です。これは日本の国家安全保障の問題ですので、他国や世界の足並みがそろうのを待つ必要もありません。

このまま化石エネルギーに頼っていては日本も米中もどの国も、どんどん貧しくなってしまう。だからまだ余力のある今のうちに、早く脱化石エネルギーを進め、低炭素社会・経済に切り替えていくべきだと思うのです。

そして、国際交渉の行方に関わらず、しっかりした日本の企業の多くはすでにその方向への舵を切り始めています。日経新聞を見てください。毎日多くの記事がそういった企業の「低炭素製品」「低炭素サービス」「低炭素エネルギー」「低炭素プロセス」「低炭素経営」への動きを次々と伝えています。

「お上に言われたから」「条約で決まったから」ではなく、企業経営として、企業の成長戦略として、企業が大きく動き始めている。あとは、そういった企業の後押しをし、さらに取り組みや投資がしやすくなる状況を作っていけばよい。炭素税も固定価格買取制度も、そのための"手段"です。

雪崩が起きる瞬間って、すべての雪がいっぺんに崩れるのではなくて、やはりある部分から「先に行く」雪があるのですね。そうして、たくさんの雪が「あとからついていく」のですね。

日本の企業の中にも、そのように「先を行っている」企業がいくつもあります。先に行く者は理解されないことが多いし、新しい状況にふさわしい制度ができていない間は経済的にも大変だと思いますが、それでも「時代はこちらに動く」としっかり認識して動いている企業群です。

「環境対策は企業の収益の足を引っぱる」と言われてきました。だから「環境か、経済か」という二者択一で語られることが多かった。でもそうではなく、環境をやることが経済的にもプラスになる「環境と経済の統合」が、机上の空論ではなく、現実的になってきている--日刊 温暖化新聞の最新レポートのプレスリリースをお届けします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから本文のみ引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

■プレスリリース■

高い温室効果ガス削減目標を掲げる企業では何が起こっているのか?「企業の温室効果ガス削減目標とその影響についての調査」報告を発表

                          有限会社 イーズ

有限会社イーズ(本社:東京都世田谷区、代表取締役:枝廣淳子)は、本日、「企業の温室効果ガス削減目標とその影響についての調査」報告を発表しました。厳しい環境対策をすればマイナス影響が大きいとされてきた"常識"を超えて、自主的に高い数値目標を掲げている企業を500社から26社 に絞り 、アンケート調査を行いました。

アンケートは、温室効果ガス排出削減の数値目標に加えて、削減のための体制や仕組み、投資と効果、そして本業への影響について行い、26社のうち18社(図1参照)から回答を得ました(回答率69%)。

18社はそのほとんどが"ものづくり"企業であるが、うち16社が自社の工場からの排出を含む総量での削減目標を保有していることが分かりました。また、8社が2050年の目標を持ち、うち7社が2015年〜2020年の"通過地点"についても明確な目標を保有しています。

15社より、目標の達成状況についての報告を得ましたが、うち14社について、目標達成に向かって着々と削減が進んでいる 姿が浮かび上がりました。特に、図2にしめす通り、多くの企業が短中期目標を超える温室効果ガスを削減しており、目標をはるかに超える排出削減に成功している企業もあります。

達成のために行っていることとして、全18社が「社内管理体制の整備」をあげており、しかも全社がこれが有効であったと回答しています。加えて、「人事評価への反映」「給与への反映」なども4〜5割が行っています(図3参照)。

本業への影響については、「コスト削減」を実感している企業が76%あり、「製品・サービスのイメージアップ」「社員の使命感が上がった」という効果も約8割が実感しています。マイナスの影響については、「コストアップ(投資増加等による)」が24%、「社内の反発が強い」が12%でした(図4参照)。

省エネによる節約額については、2社がエネルギー費の10〜13%が削減されたと回答しています。連結売上高の0.05%、0.1%との回答もありました。また、一定の条件のもと計算した"削減コスト"には幅があり、最も高いコストは1万5千円/t-CO2でした。削減はコストではなく4万円/t-CO2の利益を生み出しているという企業もありました。

企業利益と相反するものとして扱われがちな温暖化対策ですが、企業によっては、自主的に高い目標を掲げ、地道で真剣な努力を重ねることで、この時代の社会の要請である温暖化抑制と利益を両立させる道を開拓しつつあることが分かりました。

本報告書はイーズの主宰する「日刊 温暖化新聞」ウェブサイトからダウンロードできます。
http://daily-ondanka.es-inc.jp/report/data/ondanka_enq_101209.pdf

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

企業名やグラフなどは、プレスリリース文にあります。

そして、高い目標を掲げ、着実に進んでいる企業が"報いられる"市場や経済にしていくこと。

CO2を減らせばそれだけコスト削減や利益につながる炭素税や、自然エネルギーを導入すればそれだけプラスになる固定価格買取制度などの制度も大事ですが、同じぐらい(もしかしたらもっと?)大事なのは、「そういう企業を応援する」「そういう企業の商品・サービスを選ぶ」生活者が増えること!ですよね。

 

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