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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2010年10月15日

「持続可能なビジネスモデル」集中ゼミから生まれたプロジェクト〜次回開催のご案内 (2010.10.14)

 

10月29-30日に「持続可能なビジネスモデルを考える力をつける集中ゼミ(2日間)」を開催します。

これまでの受講者とはメーリングリストやメールで連絡を取り合っていますが、それぞれの組織でさまざまな取り組みを進められていること、とてもうれしく心強く思っています。受講生のつながりから業界を超えた協働プロジェクトも生まれています。

第1期に参加された方から、この春こんなメールがこれまでの受講生が参加しているメーリングリストに届きました。許可を得て、掲載します。

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 エダヒロゼミから誕生した、「持続可能なビジネスモデル」として、神奈川県がレンタカー会社と実施している「EVシェアリングモデル事業」が、福岡市でも始まりました。

 これからの自動車社会は、所有から使用へとシフトしていくと思いますので、使わない車を皆で共同して使う仕組みが、全国にもっと広まるよう祈っています。 このモデルは、役所に限らず民間企業でもできます。エダヒロゼミの皆さん会社で、自社の自動車を所有しており、使用しない土日や休日に、有効活用したい方は、是非御連絡を、、

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この方は、神奈川県の職員の方で、集中ゼミに参加されたときは交通部門の担当をされていました。集中ゼミをきっかけに、実際に事業化され、広がりつつあるプロジェクトの一例として、いただいたレポートをご紹介させていただきます。

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EV(電気自動車)シェアリングモデル事業

                                2009.3.26
           枝廣ゼミ「持続可能ビジネスモデル」 1期生 穂積克宏

1 モデル事業の背景

 マイカーをお持ちの皆さん、自分の自動車の使用頻度って、考えたことはありますか。 例えば、私の場合、平日は買い物や子供の送迎で1時間、土日はドライブなどで合計3時間、1週間168時間のうち、合計8時間と使用頻度は、わずか5%です。

 神奈川県には約300万台の乗用車があり、その80%がマイカーですが、多くは低い使用頻度にもかかわらず、購入に数百万円、維持するために駐車場代、保険、税金をかけてまで、所有されています。

 そんな中、2008年5月に開催された枝廣先生の「持続可能ビジネスモデル」のゼミに参加して、自動車を所有するという考え方は、今までのメンタルモデルであり、私たちが必要としているのは、自動車ではなく、移動という機能であることを教わりました。

 自動車の使用形態は、所有以外には、リースやレンタル、カーシェアリングという形態があり、役所や企業等では、最近リースも増えてきているようですが、神奈川県内のデータでは、所有以外の形態は、5%以下に過ぎません。

 ゼミの1期生として、こうした従来のメンタルモデルである自動車の所有という形態から、一刻も早く脱却し、「移動という機能が必要」という次のメンタルモデルに変革するため、神奈川県が力を入れている電気自動車の普及推進に絡めながら、新しいビジネスモデルのきっかけを作り、リースやレンタル、カーシェアリングという形態への移行していきたいと考えました。

2 EVシェアリングモデル事業の概要

 役所で使用する自動車は、平日のみに使用し、休日はほとんど利用されません。このため、県で使用する自動車を、休日に他者が利用できれば、その導入費用等をシェアする(曜日ごとのカーシェアリング)ことが可能となります。

 また、今年の夏頃に三菱自動車等から市販が予定されている電気自動車は、国や自治体等の補助が想定されますが、当初は価格が高く、その環境性能や自動車性能などの良さ最も知って欲しいターゲットであるマイカー所有者が、気軽に購入し、体験することは難しいと思われます。

 このため、神奈川県では、リース会社やレンタカー会社と共同して、県で導入する電気自動車を、平日は県で使用し、休日は、県民等がレンタカーとして利用できる、新たなカーシェアリングのビジネスモデル事業を、2009年度より実施します。

3 モデル事業の短期的な効果

(1)県民への電気自動車の体験機会の創出 電気自動車等のように導入費用が高い自動車は、そのレンタカー利用料金も高くなりますが、本モデルにより平日利用が担保されるため、休日のレンタル費用は、通常の自動車と同等か、それ以下にすることが可能となります。このため、多くの県民に電気自動車の体験の機会が創出されます。

(2)導入費用の軽減 役所や企業等、平日利用が主な事業者は、休日に他者が電気自動車を利用すれば、リース費用や保険料等をシェアすることが可能となり、導入費用が軽減できます。

(3)レンタカー会社の電気自動車の導入促進 レンタカー会社は、導入したレンタカーの使用頻度を高め、導入費用を回収し利益を出すビジネスであるため、高価なハイブリッド車や電気自動車の導入は進んでいません。しかし、本モデルにより平日利用が担保されるため、電気自動車等の高価な自動車の導入が促進されます。

4 モデル事業の中期的な効果(1)カーシェアリング等の新たなメンタルモデルの普及 現在、カーシェアリングという言葉は、ほとんどの人に知られておらず、国内では普及が進んでいません。

 モデル事業を通じて、多くの人が電気自動車を体験することで、休日だけでなく、本来の細かい時間毎のカーシェアリングやレンタルという新しいメンタルモデルを普及することができると考えています。

5 モデル事業の長期的な効果

(1)モーダルシフト等の環境改善 カーシェアリングは、利用する毎に利用料金が発生するため、自動車自体の利用(走行距離)が減少します。また、これに伴い、公共交通機関の利用や、自転車や徒歩などのモーダルシフトが進み、環境改善に大きく貢献します。

 最もカーシェアリングが進んでいるスイスでは、公共交通の利用が35%増加し、自転車や徒歩が70%増加したデータがあります。【参考】各国のカーシェアリングによる環境改善効果(省略)

(2)新たなビジネスの創出

 最もカーシェアリングが進んでいるスイス(人口720万人)では、1987年に数人から始まった会員数は、20年で7.7万人と大規模なビジネスに成長しています。

 スイスのカーシェアリング大手会社の売上は約40億円、営業利益は1.3億円であり、神奈川県の人口がスイスとほぼ同じくらいであることを考えると、県内にも大規模なビジネスが創出できます。【参考】日本とスイスのカーシェアリングの普及状況(省略)

6 モデル事業を進めるにあたり 本モデル事業は、2008年5月のゼミをきっかけに、自動車からのCO2排出量の削減に向けて、職場の人たちと議論を重ねてきたものです。

 この結果、現在、環境行政の進めている施策は「走行距離当たりのエネルギー消費量」を削減するものがほとんどで、「走行距離」を削減するための施策が進んでいないことを、改めて認識しました。【参考】自動車のCO2排出量の構成要素(省略)

 神奈川県は、日産自動車やいすゞ自動車等の自動車産業が集積しているため、自動車の台数を減らすこと自体が、一種のタブーとなっており、道路を整備し、多くの自動車がスムーズに走ることが、施策のメインでした。

 一方で、神奈川県内では、鉄道網や道路網は、かなりのレベルになっており、それでも自動車の走行量は、減っていない状況でしたが、事業を企画している間に、原油・原材料価格の高騰や、金融危機に端を発した経済の悪化が全世界に波及し、自動車を取り巻く環境は激変しました。

 恐らく、これからは、自動車をいかに効率的に使用するかに、皆が知恵を絞っていくようになると思っています。

 2009年度は、わずか数台で、本モデル事業をスタートしますが、電気自動車を導入する自治体や企業が、本モデルを利用して、安く電気自動車を導入できるようになり、電気自動車の普及と共に、環境配慮の車によるカーシェアリングが、本格的に普及すればと願っております。

枝廣ゼミ「持続可能ビジネスモデル」 1期生 穂積克宏神奈川県 環境農政部 大気水質課 交通環境指導班

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集中ゼミでの2日間の学びと議論、その後のメーリングリストを通じての情報・意見交換、励ましやエールの交換、フォローアップゼミ(受講生が集まってプロジェクトの進捗を報告し、助言やアイディア、ネットワークを互いに提供する機会)を通じて、しっかりとプロジェクトを形にし、他の地域のモデルになる貢献をされていること、うれしいなあ!と思います。

穂積さんはこの後、交通部門から農業部門に異動になりました。このようなメールをメーリングリストに投稿してくれています。

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 ご無沙汰しております。1期生の穂積です。

 昨年の持続可能なビジネスモデルのフォローアップコースで皆さんからお知恵をお借りしていた、三浦半島の野菜の活用に向けた取組が、やっと先週、記者発表しました。(どこも記事になりませんでしたが、、、)
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/yokosanac/kikakukenmin/kikaku/juuten22/juuten.html
(来年度事業の重点事業の14番目です。)

 内容は、「地球温暖化対策を踏まえたエコ農業の推進事業」(三浦半島野菜のカーボンフットプリント先導モデル事業)で、農業におけるCO2の見える化をメインにしながら、廃野菜の問題にも取り組んで行こうとおもっております。

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「見える化」の事業、着実に進んでいるとのメールをいただいていて、こちらも今後の展開が楽しみだなあと思っています。

ほかにも、スマートグリッドに取り組んでいらっしゃる方、地域のガソリンスタンドの経営者として参加され、ガソリンスタンドでのカーシェアリング事業を始めた方(立ち上がりはとても苦労されたようですが、今では広がっているそうです!)、自社の環境ビジョンづくりに活かしましたという方、商社と広告代理店の受講者が組んでの共同プロジェクトなど、「持続可能なビジネスモデルをつくっていく」さまざまな取り組みや実績が挙がってきています。

前回5月に参加された方から、メールで感想をいただきました。ゼミのようすを知ってほしいと願い、許可を得て、ご紹介します。

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◆異業種の同じようなことで悩んでいる方々との意見交換、コネクション構築の意味で有意義であった。

◆ビジネスモデルの構築(企画・構想)において、経験と勘だけでなくそこに“理論“を折りこめれるだけの知識を習得できたように思う(企画書作成に活かしていきたい)。

◆またコミュニケーションスキルについて、講師が国・議員・官公庁・企業・NGO等様々な方面とのコミュニケートの経験をお持ちの方で、手法面、心理面等、他では学べないようなことを学べ、今後の自分の業務に是非活かしていきたい。

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ほかの参加者の方のお声はこちらにあります。
http://change-agent.jp/news/archives/000367.html

年に1度か多くても2度しか開催できない集中ゼミなので、「自社でも新しい事業を考えなくてはならない」「世界と時代の動きを踏まえたうえで、考えてみたい」という方、ぜひこの機会を活かしていただきたいなあ!と願っています。

以下、ご案内です。ご一緒できること、プロジェクトを考え、進めていくお手伝いができることを楽しみにしています〜!

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私たちチェンジ・エージェントでは、企業や組織の経営企画部、新規事業開発部、環境CSR部、その他の担当者の方々向けに、「持続可能なビジネスモデルを考える力をつける集中ゼミ」を、開催してきました。

これまで60名以上の方々とゼミを進めてくる中で、「自社のこれまでの考え方ややり方とは違う切り口で考える」ために、必要なことがいくつかあることがわかってきました。

ひとつは、今私たちがどのような時代に入りつつあるのか、それに対応して、社会が企業に求めるものはどう変わりつつあるのか、「買わない消費者が増えている」ような社会の新しい趨勢は、本質的に何を意味しているのか、など、大きな枠組みで、表層的な出来事ではなく、その構造を見抜く視点で、地球や社会の動きを理解することです。

ふたつめは、いろいろな思考を試したり、考えを思い切って広げたりできる安全な「場」を確保し、ビジョンやビジネスモデルを考えていくプロセスのファシリテーションを得ながら、自社の現在のビジョンを見つめ直したり、新しいビジネスモデルをじっくり考えていく時間を持つことです。

集中ゼミでは、これらの「大事だがなかなか日常業務ではできないこと」を具体的な演習を重ねるプロセスで進めていきます。講師だけではなく、他の参加者からの学びや刺激も大きな財産となることでしょう。

既成概念を打ち破るきっかけとして、ぜひこの集中ゼミをご活用いただければと思います。

「持続可能なビジネスモデルを考える力をつける集中ゼミ(2日間)」の第5期生を募集します。

■セミナーの内容○本質をしっかり理解し、考え方や取り組みの枠組みを構築・拡充する・持続可能性の本質・複雑性を理解するためのシステム思考 ・情報を理解する枠組み・社会との関わり

○スキルを身につける・バックキャスティング型のビジョンづくり・共創型コミュニケーションとは?・環境コミュニケーションのポイント

○時代を形作っていくテーマをマスターする・地球温暖化への世界の動きとビジネスとの関わり・エネルギー危機の現状と見通し、世界の動き、ビジネスとの関わり・生物多様性をめぐる内外の動き

○これからの時代のビジネスモデルを考える・これからの時代に生き残り、一歩先をゆくための新しいビジネスモデルづくり

■講師 枝廣 淳子 ・ 小田 理一郎

●日時 2010年10月29日(金)・30日(土)9:30-18:00(9:15開場)

●スケジュールの概要
1日目
  導入・チェックイン:ゼミのルール確認
  課題・問い:問題意識の共有
  マルチリスクの時代:温暖化リスク、エネルギーリスク、生物多様性リスク、食料リスクなど
  (昼食休憩)
  本質を考えるための枠組み:ナチュラル・ステップの枠組みなど
  本質的なビジョンを考える
  質疑応答・チェックアウト(終了18時)
  ※懇親会(希望者のみ)

2日目
  チェックイン
  ビジネスモデルを考えるヒント:自然資本、サービス化、バイオミミクリその他
  (昼食休憩)
  自社のビジネスモデルを考える
  コミュニケーションと共創力:社会の信頼を得る/保持する/共に創り出していくために
  質疑応答・チェックアウト(終了18時)


●受講料 78,000円(税込)

●募集人数 約40人
※このセミナーには過去多様な方々に参加いただいております
 業界:エネルギー、製造業、商社、流通、サービスなど
 規模:上場大手企業から個人事業まで
 部署:経営、新規事業開発・研究開発担当者や環境・CSR部門など
 役職:経営者から20代若手まで
 多様な視点で各参加者の課題を話しあえるのもこのゼミの醍醐味です。
(企業の担当者・経営者を優先させていただきます。コンサルタントの方はご遠慮下さい)

●場所  東京都渋谷区「こどもの城」 (地下鉄「表参道」駅徒歩7分、JR「渋谷」駅徒歩12分)

■お申し込み・お問い合わせ
(有)チェンジ・エージェント  担当 上野
info@change-agent.jp
Tel:03-6413-3760 Fax:03-6413-3762

お申し込みは、下記申し込み票を電子メールでお送りください。

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            申し込み票

2010年10月29・30日 
「持続可能なビジネスモデルを考える力をつける集中ゼミ」に参加します。

ご氏名         [                    ]
ご所属         [                    ] 
メールアドレス    [                    ]
連絡先電話番号   [                    ]

※この研修コースのことをどこでお知りになったか教えていただけると幸いです。

( ) a. 以前受講した人からのご紹介 ご紹介者名(         )
( ) b. 職場・知人・友人からのご紹介
( ) c. 枝廣淳子の環境メールニュース
( ) d. システム思考メールマガジン
( ) e. イーズのウェブサイト
( ) f. チェンジ・エージェントのウェブサイト
( ) g. その他 (          )

※このたびのご参加の目的や重点的に学びたいことなどがございましたら、必ずしもご要望にお応えできない場合もありますが、是非ご意見をお聞かせください。
(                                )
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※受付確認後、振り込み口座をお知らせいたします。入金確認を持ちまして正式な受付となります。その後、受講票と詳しいご案内を電子メールでお送りいたします。


※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
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