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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年12月18日

アル・ゴア氏『私たちの選択』発売されました!〜訳者あとがき(2009.12.18)

新しいあり方へ
温暖化
 

<内容>

■日本の成長戦略、ヒヤリングに参加

■アル・ゴア氏『私たちの選択』発売されました!〜訳者あとがき

■「ツイッター実況中継 アル・ゴア氏の新刊『私たちの選択』翻訳格闘記」


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■日本の成長戦略、ヒヤリングに参加

昨日、鳩山総理を議長する成長戦略策定会議のもとに作られた、菅副総理をヘッドとする成長戦略策定検討チームがおこなっている有識者のヒヤリングに呼ばれました。(初日に竹中平蔵氏と菅さんが大激論をおこなったという・・・)

前日ぐらいに依頼が来たため、短時間での準備でしたが、
・これまでの成長戦略がうまくいかなかったのはなぜか
・新政権で取り組むべき成長戦略とは
というお題について、資料を用意し、出かけていきました。

ヒヤリングは一人30分。昨日と今日の2日間のスケジュールを見せてもらいましたが、12人のお名前が載っていました(私以外はすべて男性でした)

部屋に入ると、円卓を各省の副大臣や政務官、議員さんが10人ちょっと、ぐるりと囲んでいて、真ん中に設けられた「有識者」の席の真ん前が菅副総理です。

10分ちょっとで、準備した内容をひととおりお話しし、あとは質疑応答という流れです。私のあとはお昼休みだったこともあり、質疑応答がとても活発で15分ほど時間を延長してのヒヤリングでした。

私は「資源・エネルギー・炭素制約が厳しくなってくる世界」を前提として成長戦略を考えなくてはならない、というところから、ふだん考えている大事だと思うことをお話ししてきました。話の内容は追ってお伝えできればと思います。

出てみて、前政権時代の首相直轄の温暖化懇談会とはずいぶん違うなあ!と思いました。

福田さんはしっかり話を聞いてくれましたが、麻生さんの時は、懇談会は「やってます」という証拠づくりのような位置づけがアリアリでした(40分で12人の委員の意見をしっかり聞いて議論するなんて無理な話ですから)。

でも昨日は、本当にしっかり聞いた上での意見交換、という感じでした。そして、菅さんが温暖化などについてとてもよく勉強していらっしゃるのにびっくりしました! 他のメンバーの質問にも、ご自身の理解や考えをお話しになることもあって、ずいぶん細かいところまでよくご存じで、すごいなー、と心強く思いました。

終わったあとに、「追加資料があったら下さい」とおっしゃった小型風力発電の資料と、ちょうど書店に並ぶ『私たちの選択』をお届けすることをお約束して、名刺交換とご挨拶をしてきました。(ゴアさんの『不都合な真実』の中に出てくるグラフを引用して議員さんに説明されるなど、よく勉強されているなあ!と)

これからがますます楽しみになってきましたー!


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■アル・ゴア氏『私たちの選択』発売されました!〜訳者あとがき

『私たちの選択』
アル ゴア (著), 枝廣 淳子 (翻訳)

『私たちの選択』の訳者あとがきをご紹介します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『私たちの選択』の訳者あとがき

待ちに待ったアル・ゴア氏の『不都合な真実』に続く新著をお届けできることをとてもうれしく思う。

『不都合な真実』が世界に及ぼした影響は、言うまでもなくとても大きい。この3年間に、人々の意識は高まり、さまざまな取り組みが始まり、「温暖化問題」は国内・国際政治の主要な議題に位置づけられるようになった。

『不都合な真実』は、言ってみれば「問題提起編」である。それに対して「ではどのように解決したらよいのか?という「問題解決編」が待たれており、前書刊行後、ゴア氏は何度もソリューション・サミットを開いてきた。

温暖化の「科学」についてはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)いう国際機関がある。世界中の科学者が、温暖化の原因や影響についての多様な研究を集め、分析・精査し、科学界の共通認識をまとめていく場だ。

前書以上に短い納期での翻訳作業を進めながら、「ゴアさんがこの本でやろうとしていることは、“ひとりIPCC”なんだ」と思い至った。

温暖化の「科学」についてはIPCC があるが、さまざまな解決策や技術、その実現性や有効性、課題や解決策を導入するための障壁といった「問題解決」に関しては、IPCC のような国際機関はいまのところないのだ。ゴア氏が多くの科学者やスタッフの力を借りて、問題解決に関する世界中の知見や研究を集め、分析し、評価した集大成が、本書『私たちの選択』なのである。

本書に示されているように、解決のための技術はさまざまな分野ですでに存在している。あとはそれをどのように、政治的、心理的な障壁を乗り越えて広げていくか、である。

温暖化懐疑論者の仕組んだ情報攪乱キャンペーンが人々の意識を左右するというくだりが本書にも出てくるが、人々の意識や行動を問題解決に向けてどう変えていけばよいのか、既得権益を守るための金にまかせた攪乱運動に対抗できるのは何なのか──3年前よりも、土俵は実戦的なものとなってきている。戦いの舞台は、政策、マーケティング、経済的インセンティブ、社会的受容、心理学といった領域に入りつつあるのだ。

日本には、気候の危機の解決に資する優れた技術がたくさんある。人々の意識も高く、まじめな国民性を有する国だ。その日本でも、CO2は残念ながら増え続けている。

一方、新政権となって、既得権益に引っ張られるのではなく、「すべきこと、正しいこと」への意識と行動が高まり、「空気が変わり始めた」ことも実感できる。

本書が、温暖化という切迫した危機はもちろん、この温暖化という症状を生み出している根源的な問題──「有限な地球の上で無限の成長を続けようとすること」にしっかり向き合い、私たちの社会や経済をいかに変えていくかという本当の課題に向けて、さらなる気づきや変化につながる一助となることを、心から祈っている。

本書は、原書に忠実に翻訳を行った。翻訳協力チームの精鋭メンバー、コーディネータの佐藤千鶴子さん、全般にわたって質の確保を共働してくれた中小路佳代子さん、ランディ・ヘルテンさん、該当部分に目を通し、質問に答えを寄せてくれた専門家の方々、オフィスで温かく見守り支えてくれたスタッフ、ランダムハウス講談社の編集者大森春樹氏に、心からありがとう!

本書があらゆる「不都合な真実」を超え、正しい「私たちの選択」をスピーディに行い、実践していく日本と世界のために役立つことを祈って。

2009 年11月23日(『不都合な真実』のあとがきからちょうど3年後の誕生日の日に)
 
枝廣淳子

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

現時点での解決策に関する最新情報満載の『私たちの選択』、ぜひどうぞ〜!


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■「ツイッター実況中継 アル・ゴア氏の新刊『私たちの選択』翻訳格闘記」

ツイッターをご覧の方はご存じのように、この『私たちの選択』の翻訳、なかなかの格闘でありまた……。

(ツイッターはこちら)
http://twitter.com/junko_edahiro

ハイ・キャリアという通訳・翻訳者のコミュニティ・サイトに、コラムのコーナーを持たせてもらっているのですが、そこに、この格闘記をまとめたコラムがアップされていますので、ご興味のある方はどうぞ〜(^^;

ハイ・キャリア コラム「枝廣淳子のNext Stage」
第4回「ツイッター実況中継 アル・ゴア氏の新刊『私たちの選択』翻訳格闘記」

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今日は熊本へ。今年最後の講演です〜。

 

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