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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年04月09日

米国で流行中の「ロカボア」:地元産のものを食べよう!(2009.04.09)

食と生活
 

<内容>

■米国で流行中の「ロカボア」ってなあに?


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成田空港に着きました! 

今回はバリ島でサンゴ礁を守る持続可能な漁業に切り替えた漁民グループとのミーティングなど地元NGOの活動を勉強させてもらったり、ジャカルタから車で3時間ほどのバンドゥンで、農村でのバイオガス普及活動に取り組んでいるNGOへのシステム思考を活用した戦略ワークショップの開催など、いろいろ学ぶことの多い楽しい出張となりました。

バリでもバンドゥンでも、地元の食材を使ったそれはそれは豊かな食事やおやつをご馳走になりました。バリ島では「食の多様性」を研究し、画一化に向かう食生活ではなく伝統的な豊かな食生活のよさと意義を地元の人々に認識してもらおうと活動している人とも意見交換をしました。

こうした出張の経験や、前号にも関連した「ロカボア」をご紹介しましょう。「ロカボア」は、locavore。地元を意味する「ローカル」に、食べる人(動物)を意味する接尾語の「vore」をくっつけたアメリカ生まれの造語です。

「地元で作られたモノを食べる人」という意味で、「アメリカ版地産地消」ですね。ある消費者グループが2005年に提唱し始め、このことばは2007年末に、新オックスフォード米語辞典の「今年のことば」に選ばれたそうです。それほど注目され、広がりつつあるのですね!

このロカボアを紹介しているウェブサイトから、どのようなものか、訳してご紹介しましょう。私たち日本人にとっても、身近になりつつある考え方です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

http://www.locavores.com/

どうして地元産のものを食べるのがよいの?

現在私たちが食べている食べ物は、お皿の上にたどり着くまでに、平均して2,400キロもの旅をしています。こうした食料供給のグローバル化は、環境や私たちの健康、地域社会や私たちの味覚に深刻な影響を与えてきました。私たちの周囲の穀倉地帯で栽培される食物の大部分は、国のあちこちへの流通センターへ輸送され、それからようやく地元のスーパーマーケットの棚に並べられるのです。

このように長距離輸送することで、大気汚染や地球温暖化、大規模な単一栽培の環境へのダメージ、家族経営農家の減少や地域社会に残るお金の減少など、数え切れないほどの弊害が生じていますが、この代償はレジでは支払われないため、私たちのほとんどはそうした弊害のことを考えもしていません。

北米で大多数の人が食べる食料は、世界のあらゆる場所から運ばれてきます(特に「どこ」からということではないのですが)。鶏は何を食べているのか、玉ねぎはどのように育つのか、知っている子どもはどれだけいるでしょう? 自分の食べるものが遠くからやってくるほど、自分たちの食べ物が誰の手によってどのように作られ、加工され、運ばれているかが、自分たちからかけ離れてしまっているということです。

けれど、食べ物の質を決めるのは、その遺伝子や栽培地の自然条件だけではありません。私たちの口に入るまでに、どのように準備され、手をかけられてきたかによっても食べ物の質は変わってきます。

私たちの食べ物の生産・加工・輸送がその土地や人間社会を壊すようなものだとしたら(現実はそうであることが非常に多いのですが)、そうしたプロセスが他所で行われ、私たちの目には見えなくなっている今、世界的な食料システムに自分自身が関与することの意味を、私たちはどう理解したらよいのでしょうか? もしこの食料システムの仕組みとそこにおける自らの役割について理解していないとしたら、私たちはどうやって変革のための責任ある効果的な行動を起こすことができるでしょう。

地元産のものを食べよう!
半径100マイル(160キロ)以内に収めることができるでしょうか? 

現在、グローバルな食料システムから最も利益を得ている企業が食料の生産・加工・流通・消費を牛耳っていますが、一方で、そうではないやり方も現れつつあります。

そうした新しいやり方を合わせることで、「食域」(訳注:一定範囲内で地産地消を行う地域)開発の基礎を作ることができるでしょう。多くの農家が持続可能な農業の社会的・環境的な利点を認識しつつあるように、多くの消費者も新鮮で持続的な形で生産された食べ物のよさを評価するようになってきました。

そのような生産者と消費者は、コミュニティ支援型農業や農家の直売所といたこれまでになかった枠組みでつながりつつあります。これまでとは違う生産者と、これまでとは違う消費者と、これまでとは違う小規模起業家たちが、地元コミュニティを再発見し、共通の土壌を見つけつつあるのです。

サンフランシスコ・ベイエリアを中心としたバイオリージョンでは、1年365日、まるで王様のように、地元で栽培・生産された食べ物を満喫することができます。ウェスト・マリン地区からは、牡蠣やムール貝、牧草で育てた牛肉、チーズ、牛乳がやってきます。太平洋近海からはサケやアイナメ、カニといった季節の海産物が、河口付近からはオヒョウ、チョウザメ、スズキがやってきます。

ソノマ郡は、持続的な養鶏を行っている場所で、春ラム肉を生産し、果物や野菜、野生のキノコやワインを提供する小規模農家が十数軒あります。ナパからもワインやたくさんの果物、野菜が届きます。コントラコスタ、アラメダ、ソラノ、サンマテオといったベイエリアの全ての郡では、世界有数のすばらしい食べ物が栽培・生産されています。

ある「食域」内に暮らしていることを意識すると、その地元へのつながりと責任感が生まれます。「食域」は、故郷と呼べる場所、私たちが「地元の人間」である(またはそうなれる)場所で、その土地に暮らし、土地の恵みによって生かされているという生物学的・社会的な現実に、自分自身をしっかり根付かせてくれる「場」を与えてくれるのです。

地元のものを食べるみなさん(あなたのことです!)、いっしょに、地元産の豊かな食の世界を祝い、「食域」内に自分の場所があるという自覚を高める取り組みを進めていきましょう! 

私たちがめざすのは、地元サンフランシスコの半径100マイル(160キロ)以内で採れたものを食べること。それが無理な場合は、国産の食べ物や他の国の小規模農家から直接買い付けた食べ物を食べるようにします。

こうした指針をどのくらい厳密に解釈するかは人によって違うでしょうけど、大事な目的は、自分の食べている食べ物がどこからやってきたのかに意識を向けることなのです。

庭に何か植えましょう。地元の生産者直売所を調べてみましょう。鶏を飼っていたり、果物の木があるご近所さんとお近づきになりましょう。食べ物がどこから来たかがわかったら、他の人にも教えてあげましょう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日本でも地産地消の取り組みが広がり、農協を介しない農作物の直売所が繁盛しています。

日本国内でも世界各地でも、同時多発的に、あちこちの地域で同じような考え方が出現し、取り組みが広がっていくようすをこうして感じるたびに、ユング的にいえば人間の集合無意識というのか、地域はそれぞれでもどこか根っこでつながっている人類の無意識・意識が動き始めているのだなあ!と思うのです。

 

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