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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年03月31日

システム思考メルマガより〜システム原型「成長の限界」(1)(2009.03.31)

システム思考を学ぶ
新しいあり方へ
 

<内容>

■システム思考メルマガより〜システム原型「成長の限界」(1)

■『デニス・メドウズ×田坂広志 未来を考える』フォーラムへ

■システム思考や「学習する組織」を学ぶ

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■システム思考メルマガより〜システム原型「成長の限界」(1)

チェンジ・エージェントの出しているシステム思考メルマガでは、「システム思考入門シリーズ」として、さまざまな観点からシステム思考をわかりやすく伝える記事をお届けしています。

バックナンバーはこちらにあります。
http://change-agent.jp/systemsthinking/archives/index.html

その最新号より、「システム原型「成長の限界」(1)」をお届けします。ぜひどなたにも読んでいただきたい内容ですので!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

システム思考メルマガより〜システム原型「成長の限界」(1)
 http://change-agent.jp/news/000202.html

世の中に見られる問題や課題の構造の中で、もっとも普遍的な構造が「成長の限界」です。

多くの生物は、生まれた後から成長して大きくなりますが、どこかで物理的な成長は止まります。また、個体数が増加していっても、環境下で生息できる限界にいたると増加は止まります。

ウィルスなどによる疫病も、急激に広まることはありますが、すべての人が感染する(またはワクチンなどで免疫をもつ)と、それ以上は広まりません。同様に、あらゆるアイディア、技術、商品の普及も、すべての人がその変化を受け入れたとき、それ以上は広まりません。多くの場合は潜在対象者のすべてに行き渡る前に、何らかの限界を迎えます。

企業などの組織も売上規模や人数などを大きくして成長しますが、潜在的な市場を開拓し尽くすとそれ以上は成長できません。ほとんどの場合、潜在市場を開拓するよりもずっと以前に、限界を迎えて成長が止まります。株価なども、企業の成長期待にあわせて急騰しますが、期待が行き過ぎていたことがわかった瞬間に急激な崩壊を見せることもしばしばです。

このように、急速な成長、普及、変化が、やがて限界にぶつかって止まり、場合によっては崩壊する現象は、分野を問わずさまざまな場面で見られます。これらのパターンとそれを創り出す構造のことを、システム思考では「成長の限界」と呼びます。

このシステム原型を理解せずに、変化の普及や組織の成長などの成長ダイナミクスをマネジメントすることはとても難しいです。私たちはいとも簡単にこのシステムの罠に陥り、そして成長が頭打ちとなったときには間違った問題解決で更なる罠にはまって、ムダな努力、時間、資源を費してしまう――このようなことが政府、企業、地域社会、家族などのさまざまなシステムに見られます。

成長の限界を引き起こす構造は2つのフィードバックループからできています。まず成長を創り出すフィードバックループが、自己強化型ループです。自己強化型ループは、ループ内の変数のある変化が、フィードバックを経て一巡したときにますます強化する構造です。

たとえば、親が子を産むと、その子がまた親となります。一組の親が生む子の人数が2人を超えると、子の数も親の数も、ねずみ算式にふえていきます。疫病の感染は、感染者が未感染者に接触して感染し、感染者の数を増やします。感染者の数が多ければ多いほど、新たな感染数は増えていきます。ヒット商品や流行も感染と同じ構造で、口コミやネットワークによって増えていきます。

一方で、成長を抑止するのが、バランス型ループです。バランス型ループは、ループ内の変数のある変化が、フィードバックを経て一巡したとき、最初の変化の方向と反対の方向に抵抗する力を生み出す構造です。

たとえば、生物の個体数が増えてある量を超えると、環境下において一体あたりが得られる栄養源や廃棄物を処理してくれる吸収源が、個体の生死を分けるレベルにまで減少します。

あるいは、感染者が増えると、その分だけ未感染者の数が減ります。未感染者の数が対象となる全人口のおおむね半数を下回ったとき、感染者がどんなに増えても感染の数は増えません。未感染者が十分残っていないからです。

これらのバランス型ループの力によって、成長にブレーキがかかり、変化は減速してやがて止まります。

ここで重要な点は、これらの自己強化型ループとバランス型ループは、成長の初期段階から存在しているということです。はじめからバランス型ループの力は存在しているのですが、最初のうちはその力が弱く、主に自己強化型ループの変化を強化する力が強く働いています。このようなとき、「構造を支配するループは自己強化型ループである」といいます。

当初は力の弱いバランス型ループですが、自己強化型ループによって成長が進むとだんだんと力をもっていきます。そしてある段階から、バランス型ループの力が自己強化型ループの力を上回り、成長の速度が減速し始めます。このとき、「構造を支配するループが、バランス型ループに移行した」と表現します。

最初は強く働いていないバランス型ループが成長のある段階から強くなっていくのは、線形の思考では予測できません。「昨日成長したのだから、明日も成長するだろう」――私たちはそのように考えがちですが、非線形のシステムは私たちの想像とはまったく異なる挙動を示します。

たとえば、栄養源がたくさんある状況において、個体一体あたりの栄養源は、1体が10体に、あるいは100体になったくらいではほとんど減らないでしょう。しかし、個体数が10万体、100万体、、、と増えてくると、たくさんあるように思えた栄養源も十分ではなくなり、一体当たりの栄養源の減少が生死を分ける問題となってくるかもしれません。

感染者の数も、人口の数%くらいの少数までなら、まだ90%以上が未感染者で残っているわけですから、その成長に対してはほとんどブレーキはかかりません。しかし、感染者数が10%、20%、40%と増えてくるに従い、未感染者数が90%、80%、60%と減っていきます。そして、50%を切ると、未感染者数の残数が、感染数を決めるもっとも支配的な変数に変わります。

私たちは成長の表側で起こっていることに注目しますが、成長の陰で起こっていることにはあまり注意を払いません。しかも、裏側で起こっていることは、線形ではなく、非線形に、つまり、全体の中でのある量を超えてはじめて強く表に出てくるものが多いのです。この非線形性のために、私たちは思わぬ罠にはまってしまうのです。

ループの支配がバランス型に移行する際に、もう一つ見逃してはならないことがあります。それは、このバランス型ループの作動のもっとも主たる要因は、成長そのものにあるということです。もし、個体数や感染者数が増えていなかったら、上述のバランス型ループはずっと眠ったままで動き出すことはなかったでしょう。成長を目指すものにとって、成長するという成功そのものが限界を引き起こす最大の原因であるということなのです。

(この点は、次回にさらに詳しく紹介します。)

次回は、企業などの組織の文脈での成長の限界について考えてみます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

つづきを読みたい!という方へ。システム思考メルマガをご希望の方は、下記アドレスまでメールを送付ください(自動処理です)
systems_thinking_byCA-subscribe@yahoogroups.jp

また、システム思考の入門書はこちらです。

『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?
    ―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方』


■『デニス・メドウズ×田坂広志 未来を考える』フォーラムへ

この「成長の限界」の構造とその帰結を、シミュレーションで世に明らかにしたのが、1972年に出されたデニス・メドウズ氏らの『成長の限界』でした。それから40年近くがたっています。世界はデニスたちが「このままだとこうなってしまう」と警告を発したとおりになりつつあります。いまデニス・メドウズ氏の目に
は何が映っているのでしょうか?

デニス・メドウズ氏と田坂広志氏と「未来を考える」フォーラムを、ぜひお見逃しなく!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『デニス・メドウズ×田坂広志 未来を考える』フォーラム

○日時:2009年4月18日(土)14:30〜17:00(14:00〜開場)

○会場:フロラシオン青山 ふじ
http://www.floracion-aoyama.com/access.php
東京都港区南青山4-17-58 TEL:03-3403-1541
(メトロ表参道駅 A4出口より徒歩約6分)

○講師:デニス・L・メドウズ氏、田坂 広志氏

○ファシリテーター:枝廣淳子

○プログラム
14:30〜    挨拶
14:35〜15:45 デニス・L・メドウズ氏 講演(逐次通訳)
15:45〜16:20 田坂 広志氏 講演
16:20〜16:55 会場との質疑応答(逐次通訳)
17:00     終了

○定員:約250名

○参加費:5,000円(税込)

※会場費等の経費を引いた残額はデニス・メドウズ氏の活動に寄付します。

※これを機会にデニス・メドウズ氏も応援する、「情報・考え方・行動」の広がりをつくり出すことで地球温暖化の問題解決に取り組む「日刊 温暖化新聞」の個人サポーターになっていただける方は、フォーラム参加費が4,000円となります。サポーター会費(5,000円)と参加費をあわせてお支払いくださいませ。詳
細は、参加費のお支払いについてのメールにてご案内させていただきます。

「日刊 温暖化新聞」はこちら↓
http://daily-ondanka.com/

「日刊 温暖化新聞」個人サポーターの詳細こちら↓
http://daily-ondanka.com/partnership/supporter.html
(今回のように「日刊 温暖化新聞」やイーズが主催・共催するイベントへのご招待やご優待などの特典があります)


○お申込み:
以下の申込書を dlm0418@es-inc.jp までお送りください。
(件名に「未来を考えるフォーラム申込み」とお書きください)
折り返し、参加費のお支払についてご案内いたします。参加費のお支払をもって正式受付とし、参加票を電子メールでお送りいたします。

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     申 込 書

■2009年4月18日(土)
『デニス・メドウズ×田坂広志 未来を考える』フォーラムに参加します。


ご氏名 [                      ]
ふりがな[                      ]
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連絡先電話番号 [                  ]
備 考 [                      ]

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※お申込後、数日たちましても受付票が届かない場合は、メール送受信のトラブルの可能性がございますので、その際は info@es-inc.jp もしくは電話03-5426-1128までお問い合わせください。

○お問合せ
有限会社イーズ  担当 津田/飯田
E-mail:info@es-inc.jp/電話:03-5426-1128

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ご案内ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


■システム思考や「学習する組織」を学ぶ

チェンジ・エージェントでは、持続可能性の理解に必須のメソッドである「システム思考」と、共有理念と対話のコミュニティを創り出す「学習する組織」のワークショップを開催しています。4〜6月の開催予定をお知らせします。

○「システム思考トレーニング・ベーシックコース」
 4月24日東京 http://change-agent.jp/news/000189.html

システム思考の基礎とツールを1日で学ぶコースです。ループ図を描くには欠かせないシステムの実体験に始まり、個人・グループワークやラーニングゲームを織り交ぜた人気コースです。企業役員、管理職から若手リーダーまで幅広い方にご参加いただき、構造を見抜く力を鍛えることができると大変好評です。

○「システム思考トレーニング・アドバンス・コース」
 4月25日(実践編)東京 http://change-agent.jp/news/000198.html

「システム思考トレーニング」アドバンスコースは、すでにベーシックコースを受講された方を対象に、システム思考を「使いこなす」力をつけるための知識と実践力を磨くためのコースです。ご自身の課題をシステム思考で考える「実践編」より上級の概念やツールを紹介する「理論編」があり、どちらか一日でも、両方でもご参加いただけます。

○「学習する組織リーダーシップ研修」
 6月26〜27日東京 http://change-agent.jp/news/000199.html

組織開発、人事開発の担当者の方、そして、21世紀型の新しい組織リーダーシップを探究したい方には、「学習する組織リーダーシップ研修」がお勧めです。激しい環境変化の中で現場の一人ひとりが考え、実行できる組織をつくるための5つの基本領域を学び、21世紀型組織に求められるリーダーシップを開発します。

詳細・お申し込みは、それぞれのURLからウェブサイトでご確認ください。


出張中、メールにアクセスできないかもしれないと思い、いくつかまとめてお届けしました(もうやめます〜。結局アクセスできて、また送ったりして。^^;)

では行ってきますー。


※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
この記事に関するお問い合わせ

 

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