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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2009年02月25日

固定価格買取制度の補足〜メールニュース読者へのアンケート結果が出ました(2009.02.25)

エネルギー危機
温暖化
 

前号で、数字のタイポがありました。ごめんなさい〜。

> 「家庭の電力から出るCO2が増えている」とよく問題視されます。確かに、2000
> 年を100とすると、2005年の家庭の電力から出るCO2は、1123まで増えています。

と書いてしまったのですが、「123まで増えています」です。「1123」は私の誕生日ですが、電力のCO2には関係ありません。(^^;

余談ですが、数字違いということで思い出す場面があります。今は昔、私が通訳者としてレスター・ブラウン氏に同行していた頃のことです。数日間、いろいろな場所でほぼ同じ内容での講演が続くのですが、通訳しながらよーく聞いているとビミョーに数字が違うのですね。

講演が終わった後、レスターに「ねぇ、昨日は海産物の生産量は○○%増加しているっていっていたのに、今日は△△%って、ちょっと違う数字を出していなかった?」と聞いてみました。

レスターはにっこり笑うと、「そう、わかった? キミがちゃんと聞いているかと思ってサ」ですって。(^^;

そのあと「昨日は海産物の数字を出したけど、今日は水産物だったんだよ」。
いつもユーモアたっぷりのレスターでございます。(^^;

さて、まじめな話に戻って、同じく前号で

> 同じ「固定価格買取制度」でもさまざまな設計ができます。屋根の上の太陽光発
> 電設備の発電する電力を全量電力会社が買い取って、本人の消費する電力は電力
> 会社から購入するやり方もあれば、(今回の経産省の考えのように)家庭で使い
> 切れなかった余剰電力を買い取る方式もあります。

と書きましたが、「この2つの違いはたとえばどのように出てくるのか?」を、たとえば、ということで示してみます。

「余剰電力買取」でしたら、太陽光発電を自家用に設置できるところが対象となります。一戸建ちなど、ですね。この場合、うちのようなマンションでは、たとえマンションの屋上にソーラーパネルを置いたとしても、そのうち、どれだけをどの家が使ったのかは(全戸にメーターをつけない限り)わかりませんし、それぞれの家の消費電力には差があるので、なかなか合意に達するのが難しくなりそうです。

一方、「全量買取」でしたら、発電分はすべて買い取り、消費とは連動させません。そうすると、マンションでも設置しやすくなるでしょう。工場やテナントの多いオフィスビルにも入れやすくなります。

他方、「余剰電力買取」によって、消費と連動させれば、省エネ意識が高まり(消費量を減らせばそれだけ売れますから)、消費電力そのものも減らせる、という効果も考えられるでしょう。

たとえば、制度設計によってこういう違いが出てくる可能性がある、ということです。「一軒家だけ優遇するな」という考えなら、全量買い取りの方がよいかもしれませんね。「対象が狭くなっても省エネ効果もねらう」なら、余剰電力買い取りのほうが好ましいのかもしれません。

制度の有無だけではなく、「制度設計」が重要だってこと、伝わったでしょうか?
そして今回の制度がどのように「設計」されるのか、ウォッチしていきましょう〜。

さて、メールニュース読者からのアンケートの結果が発表になりました。

「日刊 温暖化新聞」のレポートコーナーの、一般向けアンケート結果の中に参考として追加してあります。圧倒的な賛成!のようすと寄せられた声や思い、アイディアなどをぜひごらん下さい。
http://daily-ondanka.com/report/ondanka_04.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

参考:環境メールマガジン読者層に向けた、同時調査レポート有限会社イーズは、2009年2月19日?23日、本アンケートについて、同社代表枝廣淳子発行の環境メールマガジン(読者数1万人以上)にて、一般(無差別)を対象に呼びかけたインターネット調査を行いました。512名から得た回答の集計をレポートします。

結果は、自然エネルギーを増やす政策の“総論”には96%の人が賛成しており、自然エネルギーの電気を高く買い取るという側面について固定価格買取制度を説明した場合に95%の人が賛成、月平均260円の電気料金アップというコスト負担を伴うことが分かった場合でも、9割強と大多数が賛成でした。一方、コスト負担情報を伴った場合の反対は7%で、理由としては「もう少し情報がないと判断できない」「260円の根拠がわからない」などが見られました。

自由記述のQ4では、「自然エネルギーを活用する仕組みや制度を早急に作ってほしい」と固定価格買取制度の導入を積極的に望むコメントが数多く寄せられました。(以下、一部紹介)

○買い取り価格は高めにし、電力使用量が増えるほど上乗せを増やすようにするべき。

○温暖化防止の視点だけでなく、国の安全保障からの自給率向上の視点をもっと強調すべき。

○過去、日本が世界に先んじていた太陽光発電をもう一度復活出来る制度として非常に有効だと思う。

○地球のためにも、日本の経済再生のためにも、一刻も早く。

○集合住宅においても、自然エネルギーの導入ができる方法を提言し誘導策をとるべき。

○「消費者が薄く広く負担する」ということで、自然エネルギーへの転換が重要だという事が国民の一人ひとりに意識的にも広がると思われる。


その他、コストアップについても「電気代が月平均260円アップしても、二酸化炭素を削減できるのなら仕方ない」「長期的な視野で考えれば月260円の負担が“重い”とは思わない」など前向きな意見が見られました。 

その一方で、「この制度がなぜ必要なのかを、国民にわかりやすく説明する努力が大事」「このアンケートで初めてこの制度について知った」など、固定価格買取制度についての情報を一般国民にわかりやすく伝える必要性も明らかになりました。

詳細レポートはこちらから(pdf)
http://daily-ondanka.com/report/data/fit20090225.pdf

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「日刊 温暖化新聞」のトップページやどのページからでも、これまでのすべてのコンテンツに対して検索をかけることができます。 
http://daily-ondanka.com/

「固定価格買取制度」、現時点で4箇所で登場しています。
フィンランドや英国でもこの制度の導入を計画中とのこと。

日本も含めて、40ヶ国以上が導入することになりそうなので、各国の経験と学びを持ち寄って、みんなで「より効果的な固定価格買取制度のつくりかた」を研究し、よいやり方をお互いに採り入れて、横展開していけたらいいですね!

 

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