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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2008年12月15日

1月30日「企業と生物多様性フォーラム」を開催します (2008.12.15)

生物多様性
 
「生物多様性はなぜ大事か、保全すべきなのか」という問いに対して、きちんと答えることはなかなか難しいなあと思います。「大事だから大事なのよ、だっていのちだもの」というような話になってしまったりします。 個人レベルではそれでもよいと思うのですが、企業では「企業にとってなぜ生物多様性が大事なのか」を論理的に説明できないと、保全活動のための投資やリソースの割当てもしてもらえなくなります。 「企業にとってなぜ生物多様性が大事なのか」を論理的に説明するひとつのアプローチが、「生態系サービス」という概念を介在させることです。 たとえば、森林は洪水の緩和や水の浄化、酸素の供給など、人間にとってなくてはならないサービスを提供してくれています。ミツバチの受粉サービスがあってこそ、さまざまな作物も実ります。 このように、生態系はさまざまなサービスを私たち人間に提供してくれていると考えることができます。(別に人間のためにやっているわけではないと思いますが、人間の役に立っていることは間違いないので、そう考えることができます) このような生態系サービスは、生物多様性が守られてこそ成り立つものです。したがって、「生物多様性」→「生態系サービス」→「人間の福利」という関係を考えることができます。生物多様性をきちんと保全しなければ、人間が依存している生態系サービスを損なってしまうのです。 企業はどのような生態系サービスに依存しているのか、そして、企業はその事業活動を通してどのような生態系サービスに影響を与えているのか--これを評価することによって、企業と生態系サービス(ひいては生物多様性)のつながりを考えようというアプローチが「企業のための生態系サービス評価」(ESR:Ecological Service Review)です。 今年の3月に、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)とWRI(世界資源研究所)が、ESRの枠組みとプロセスに関するガイドラインを発表しました。 今年の8月に米国カリフォルニア州パロアルトで、日産自動車と国連大学高等研究所が「生態系サービス評価」に関する有識者ワークショップを開催しました。私とチェンジ・エージェントの小田理一郎はファシリテーターとして参加し、この分野では世界屈指の経験豊かな専門家とともに実際に「生態系サービス評価」を行う経験を積みました。 http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2008/_STORY/080926-02-j.html これまで勉強してきたことや経験してきたことに今回のワークショップでの知見・経験を加え、来年1月30日に企業向けの「企業と生物多様性フォーラム」を開催することにしました。以下、ご案内です。企業の担当者の方、ぜひ一緒に勉強し、考えてみませんか? (今回のフォーラムは、企業の担当者向けとなります。ご関心のある個人の方やNGOの方向けには別の機会を考えていきますので、どうぞご了承下さい〜) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 <企業と生物多様性フォーラムのご案内> 2010年に名古屋で開催される生物多様性条約締約国会議(COP10)を控え、国内でも生物多様性に関する動きや話題を見聞きすることが増えてきました。企業にとっても、環境や持続可能性に関する「温暖化の次の大きなテーマ」ともいわれています。 「生物多様性は大事なテーマらしい」ということで、さまざまな報告書に記述を盛り込んだり、社員を森へ送り出して下草刈りや間伐を手伝ったりという企業の活動も増えてきました。 しかし、なぜ企業が生物多様性を自らの大きな課題としてとらえ、取り組むべきなのか、その答えが明確に腑に落ちている企業は、まだそれほど多くないのではないでしょうか。 「生物多様性といわれても、何だかよくわからない」 「企業は生物多様性とどういう関係があるのか?」 「企業として、生物多様性をどのように考え、何をすればいいのかわからない」 「生物多様性について調べるほど、よくわからなくなる」...... 生物多様性への取り組みは、温暖化対策の「CO2」のような明確な取り組み対象が定まっているわけではありません。CO2だったら、事業のどこから排出されているかリストアップし、削減の取り組みを考えることができますが、「企業と生物多様性」の関連性はそれほど明確ではないのです。 一方、「いのち」に関わる生物多様性は、持続可能な社会をつくっていく上でより本質的な部分にかかわる取り組みであるともいえるでしょう。 今回、世界と日本のこれまでの生物多様性をめぐる動向を振り返り、特に 「なぜ今、企業にとって生物多様性が重要になってきているのか」 「生物多様性に何が起こっているのか、そして今後何が起こりうるのか」 「企業として生物多様性に取り組んでいくための枠組みにはどのようなものがあるのか」 について、海外の先進企業の事例を数多く紹介しながら、企業にとっての生物多様性の位置づけと取り組みを考えていくための「企業と生物多様性フォーラム」を開催することにしました。 海外では、「生物多様性版スターン・レビュー」も出され、各国政府の生物多様性関連規制が強化が進む中、企業は生物多様性へのコミットメントや取り組みを本格化させています。「生物多様性クレジット」や「生物多様性オフセット」のほか、金融界の動きも盛んになってきています。 温暖化抑制のために、二酸化炭素に値段がつき排出量取引などが始まっているように、生物多様性を保全するために世界のお金の流れが変わり、企業の競争力を規定するルールが変わっていくことでしょう。 本フォーラムでは、2005年に発表された世界の生態系の健康度を評価した国連プロジェクト「ミレニアム生態系評価」などをベースに生物多様性の現状と見通しを考えていきます。 企業のための「自社と生物多様性との関わりを考える枠組み」には、生物多様性が保全されることで自然が社会にもたらす価値(生態系サービス)に焦点を当てる方法があります。本フォーラムでは、2008年3月にWBCSDとWRIが発表し、欧米で取り組む企業が増えている「企業のための生態系サービス評価」の手法を解説します。 また、具体的な企業の事例として、国連大学高等研究所と生物多様性に関する共同研究を推進するなど本質に迫る取り組みを進めている日産自動車株式会社の事例を発表いただきます。 加えて、参加者とのディスカション等を通して、気づきや考えを深めていきます。 本フォーラムをひとつの機会として、自社にとっての生物多様性について、表層的な取り組みではなく、根源的に何が重要なのか、しっかりと考えてみませんか。 温暖化をはじめとする環境問題への取り組みを長年続け、かつ生物多様性を理解する上で欠かすことのできない「つながり」を理解するためのシステム思考を活動の基盤としている、イーズ/チェンジ・エージェントの枝廣淳子と小田理一郎が講師・ファシリテーターを務めます。 両名は2008年8月にサンフランシスコにて、日産自動車株式会社と国連大学高等研究所が開催した有識者ワークショップにファシリテーターとして参加し、「企業のための生態系サービス評価」実施の経験を積みました。 本フォーラムをきっかけとして、関心のある企業とともに、日本で「企業のための生態系サービス評価」を実施することを考えています。 本フォーラムへのお申し込みは、下記案内の末尾にある申込書に必要事項をご記入の上、info@es-inc.jp までお送りください。 【企業と生物多様性フォーラム】 ○日時:2009年1月30日(金)13:30〜17:30(13:00〜開場予定) ○会場:こどもの城 803・804研修室 http://www.kodomono-shiro.or.jp/access/index.html 東京都渋谷区神宮前5-53-1 TEL 03-3797-5666  (JR渋谷駅 東口/宮益坂側より徒歩10分  メトロ表参道駅 B2出口より徒歩8分) ○プログラム 13:30 開会挨拶 13:40 問題意識の共有 14:10 プレゼンテーション1: いまなぜ生物多様性か、なぜ企業が取り組むべきなのか  〜世界と日本の動向と企業の事例 14:50 休憩 15:10 プレゼンテーション2: 生物多様性に何が起こっているのか、何が起こりうるのか  〜ミレニアム生態系評価を理解する 15:40 プレゼンテーション3: 企業が生物多様性を考え、取り組むための枠組みと事例  〜ESR(生態系サービス評価)を理解する 16:10 休憩 16:20 プレゼンテーション4: 日産自動車株式会社の生物多様性への取り組み  日産自動車株式会社 社会・フロンティア研究所 主任研究員 飯尾雅俊様 16:40 全体ディスカション(質疑応答含む) 17:30 終了 ○参加費 5,000円(税込) (※イーズ主宰『日刊温暖化新聞』の企業・団体パートナーの方は3,000円   http://daily-ondanka.com/partnership/index.html ) ○主催:イーズ、チェンジ・エージェント http://www.es-inc.jp/ http://change-agent.jp/ ○ファシリテーター:枝廣淳子、小田理一郎 ○定員:約50名 (1社2名様まで。それ以上のご希望はご相談下さい。今回はテーマにより企業の担当者の方向けです。ご了承下さい) ○お申込み: 以下の申込書を info@es-inc.jp までお送りください。 (件名に「企業と生物多様性フォーラム」申込み とお書きください。折り返し、参加費のお支払についてご案内いたします。参加費のお支払をもって正式受付とし、参加票を電子メールでお送りいたします) --*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--  申 込 書 ■2009年1月30日(金) 「企業と生物多様性フォーラム」に参加します。 ご氏名 [                      ] ふりがな[                      ] 会社名 [                      ] 部署名 [                      ] メールアドレス [                  ] 連絡先電話番号 [                  ] 備 考 [                      ] --*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--* ※お申込後、数日たちましても受付票が届かない場合は、メール送受信のトラブルの可能性がございますので、その際は info@es-inc.jp もしくは電話03-5426-1128までお問い合わせください。 ○お問合せ 有限会社イーズ  担当 星野/飯田 E-mail:info@es-inc.jp/電話:03-5426-1128 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ご案内ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かつての「工場からの排煙や排水」など目に見える公害ぐらいしか取り組みの対象として考えられなかった時代から、「生物の多様なつながり」という目には見えにくいものもしっかり考え、取り組める時代になってきたのだなあ、と人類の進化を感じています。 「これを減らせばいい」という即物的な取り組みではない面も多々あるため、想像力や思いを馳せる時間がこれまで以上に大事になってくることでしょう。環境の取り組みもやっと"本丸"に入ってきたなあと思っています。 この動きをできるだけ効果的に正しい方向に進めていければ、と考えています。生物多様性をテーマとした講演やワークショップ、セミナーもおこなっていきます。また、ファシリテーションやコンサルティングを通じて、生物多様性に大きな影響を与えている企業の取り組みをサポートするほか、「どうしたら一般の方々にもわかってもらえるか、取り組んでもらえるか」を考え、いろいろと試していきたいと思っています。ぜひご一緒に〜!

※有限会社イーズは、2017年12月25日に移転いたしました。
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