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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2008年10月23日

第6回 地球温暖化問題に関する懇談会(2008.10.23)

温暖化
 

前々号で「日本の地域公共交通機関や自転車促進について、少し調べてみました。次号をお楽しみに!」と予告をしたのですが、そのとりまとめより先に、いろいろな動きが出てきているので、先にお伝えします〜。

今週月曜日の夜に、麻生総理になって初めての懇談会が開催されました。冒頭、麻生総理は、このような発言をされました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

○地球温暖化問題の解決は、今を生きる我々の責任。次の世代に、持続可能な地球を引き継いでいくことが必要。

○厳しい経済状況だからこそ、環境問題にしっかり取り組むことが必要。

○第一に、成長と両立する低炭素社会を世界に先駆けて実現する。その鍵は、我が国が強みを持つ環境・エネルギー技術。

そもそも、私は、温暖化対策を、単なる「コスト」ではなく、いわば「将来への投資」だと捉えている。

○第二に、「できない」理由ばかりを考えるのではなく、「まずやってみる」という姿勢で臨みたい。

太陽光世界一の奪回や新たな革新技術の開発、排出量取引の試行など、色々なアイデアを積極的に取り入れてまいりたい。

○第三に、全ての主要経済国が参加する枠組みづくりに向け、国際的なルールづくりを主導していく。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

麻生総理は、先日の衆院予算委で、民主党の岡田克也氏に「2050年に60〜80%削減という福田首相時代の認識は共通しているか」と問われて「60〜80? 25〜40じゃない? 違う?」とおっしゃっていたので心配していましたが、懇談会ではしっかりと力を入れてお話になっていました。

総理の挨拶の後、各委員から2分ほどの発言となりました。議題は、「国内排出量取引制度の試行的実施」と「中期目標検討委員会の設置について」です。

五十音順でトップの私が最初にお話しした内容をお伝えします。(資料を見ていただくとわかりやすいと思いますので、よろしければ、こちらからご覧ください)。
http://daily-ondanka.com/report/data/1022minmtg.pdf

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

私は、全国の人々に伝える活動をしていますので、主に国民に近い立場から、この懇談会のメンバーとして参加させていただいています。

3-1という資料をつくらせていただいたので、これに沿って、2分ほどでお話をさせていただければと思っております。

まず、全国のいろいろな方々と話をして、本当に国民の関心が高いことを感じています。特に、私利私欲というよりも、次の世代をどうするか、子どもたちをどうするかという熱い思いを持った皆さんが、この政権がどのようにリードし、拓いていってくれるかと、強い期待で待っていると思います。

そもそもという話になってしまいますが、温暖化を止めるために何が必要かということを考えると、地球が吸収できる量以下に人間の排出量を減らす必要があります。こちらはIPCCの数字ですが、この数字から見ると、60%、70%という削減が必要になります。

この物理的な限界に従った形で、各国、日本を含め、目標設定をして、これから実際に進めていくところですが、次のページのグラフが示しますように、実際には世界のCO2の排出量は減るどころか増えております。

これはいくつかのヨーロッパの国と日本を比べたものですが、たとえばドイツ、スウェーデン等は、一人当たりにしても総量にしても減っておりますが、日本は残念ながら、まだそのどちらも増えています。じゃあ、それはなぜなのか。

先ほど総理もおっしゃいましたが、日本には資金も技術もある。そして国民の高い意識もある。しかし残念ながら、それを実効性につなげていく仕組みがまだ、ほかの国に比べて弱いのではないかと思っております。

その強力な仕組みとして、「炭素に価格をつける」ことです。特に産業界向けには排出量取引という仕組みになってくるわけで、今回これが試行的な実施をされるということを、とてもうれしく、心強く思っています。

実際にその試行的な実施ですが、その効果は、「仕組みがどれぐらい本当に減らす力があるか」、それから「参加者がどれぐらいいるか」の掛け合わせです。今回、参加者がたくさんいて始められるというのは、本当に素晴らしい。あとはその実効性をいかに高めていくか、そこに注力することができると思っています。

実際には、排出量取引の仕組みは、「上限を決めて、それを全体で守るために分担を決めて取引する」という仕組みです。現在、産業界の自主行動計画の目標は90年度比±0%です。

今回はこれに合わせて進められると理解しておりますが、実際には2013年以降の、さらに大きな削減に向かって、この排出量取引の仕組みをどのようにつくっていくかが大事だと思っています。最初から完ぺきなものは、もちろん誰でもできないわけで、レビューをしながら、実際に必要なことをやっていく必要があると思っています。

それから中期目標についてですが、検討会は非常に大事な試みだと思います。バックキャスティングとして大きく「これが必要だ」ということと、それから「実際にどうやって進んでいくんだ」ということの擦り合わせを、この検討会でしていただけると思っていますが、これはその結果として、「こんなに大変だからでき
ない」という証拠を集めるためではなく、実際にすでに日本が約束をした長期目標に向けて、どういったオプションがあるのか、そのときの負担を国民に示して、国民と一緒にやっていく。巻き込んでいく。そこが大事なところだと思っております。

政府が決めて「こうしましょう」と言うだけでは、なかなか国民も動きませんので、この懇談会、そして検討会の動きそのものに国民をいかに巻き込んでいくか、どのように伝えていくか。これを、サブチームなどをつくって、研究しながら進められたらいいのではないかと思っています。

世界が低炭素化へ向かっております。先ほどの総理のお話にもありましたが、お金はそちらへ向かって動いていくわけで、そのとき日本がそこにいるのかどうか。日本には、省エネ技術はあります。再生可能技術もあります。それを実際にどうやって世界の中でお金に換えていくのか。

そのときに、先ほどお話しくださったように、コストというよりもビジネスチャンスとして考えていく必要がある。自然エネルギーへの投資がどんどん増えている。そしてドイツなどでは、自動車産業に代わるものとしてこれを位置づけておりますし、社会にとってさまざまなプラスがあると位置づけています。日本でも大きな仕組みをつくって進んでいくことができると、大きく期待しております。以上です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今回は2分ずつしかなく(といっても私は4分しゃべってしまいましたが……)一巡したあとは、環境大臣、経産大臣、外務大臣からの発言があって、おしまいとなり、議論はできませんでしたが、政府が福田政権を引き継いで日本の低炭素社会づくりに向けて取り組んでいくことが確認でき、ほっとしました。

中期目標検討委員会は、今回から懇談会委員に就任された福井元日銀総裁が委員長として進められることになりました。

懇談会での福井氏の発言、「なるほど!」という感じで、とても響きました。各委員の発言録はいつものように、官邸のウェブサイトにアップされると思いますので、アップされましたら、またお知らせしますね。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikyuu/kaisai/index.html

 

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