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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2008年03月16日

「こうなれば、温暖化への取り組みがもっと進むのに!」を教えて下さい(2008.03.16)

温暖化
 

日本が排出している二酸化炭素を、「産業部門」「家庭部門」「運輸部門」など、部門別に考えると、どこがいちばんたくさん出していると思いますか?

私たちの一般家庭から出ている分は、全体の何%ぐらいだと思いますか?

日本の部門別二酸化炭素排出量の円グラフをぜひ見てみてください。
http://www.jccca.org/content/view/1046/786/

「あれ、円グラフが2つあるぞ?」と思われたことでしょう。似ているようで、ちょっと違うこの2つのグラフは何でしょうか?

よーく見ると、上のグラフには「各部門の直接排出量」、下のグラフには「各部門の間接排出量」と書いてあります。この違いはのちほど説明しますね。グラフを見ると、家庭部門からのCO2排出は、「直接排出量」で5%強、電力も含めた「間接排出量」では13%強であることがわかります。

直接排出量のエネルギー転換部門と産業部門をあわせると、全体の約60%になります。ちなみに、昨今、議論が盛んになってきた(私も出席している首相の温暖化懇談会の議題のひとつでもある)「排出量取引」は、この60%をいかに減らすか、というしくみです。

ちなみに、「排出量取引では家庭部門は減らせないから、排出量取引は役に立たない」という議論を聞いたことがありますが、もともと多排出の産業部門の排出量を減らすためのしくみなのです。ですから、私には「のこぎりでは釘が打てないから、のこぎりは役に立たない」と言っているように聞こえました。(^^;

では、私たちの家庭からの排出を減らすにはどうしたらよいのでしょう? 多くの人が、こまめに電気を消す、マイバッグを使う、エアコンの温度設定に気をつけるなど、日常でできることをやっていると思います。

そういったことを続けながら、もっとできること・やりたいこと、ありませんか? 「○○があったら、もっとできるのになあ」「△△がないから、気持ちはあってもできないんだよなあ」というようなこと、ありませんか?

それから、「自分は温暖化問題に関心があるから、一生懸命やっているけど、家族やまわりの人は、なかなか行動してくれない」「まだあまり関心も意識もない人も含め、日本中で行動を変えていくにはどうしたらよいのだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

何があったら、どういう状況なら、まわりの人やあまり関心のない人も、温暖化を防ぐ方向に行動を変えてくれると思いますか?

首相の温暖化懇談会では、私は市民に近い立場として、一般の人々の考えや思いを伝えるのが役割だと思っています。首相が第1回の冒頭挨拶で、「国民のライフスタイルなどにも影響を与える問題なので、国民にわかりやすい議論をしてほしい」と述べられましたが、単に「影響が及ぶ人たちが納得しやすいように」という受け身の発想ではなく、「影響を受けるからこそ、どういうふうに影響を受けたいのか、何を望んでいるのか」をしっかりと伝えたい、と。

そこで、次回の懇談会(4月上旬)までに、伝えるべきことを考え、まとめるために、ぜひみなさんの力を貸して下さいませんか。

3分だけ時間を下さい。下に数問のアンケートがあるので、ぜひお考えや思いをお聞かせ下さい。まとめた形になりますが、懇談会で伝えたいと思います。

<地球温暖化に関するアンケート>
http://app.formassembly.com/forms/view/11801


設問は、
「温暖化への関心度」や「温暖化への取り組み度」を選択肢でお聞きするほか、

温暖化をもたらす二酸化炭素を減らすために必要な
(1)電気、ガス、ガソリンの消費量を減らすこと
(2)エネルギーを自然エネルギーに換えていくこと
について、それぞれ、

・いま何をやってているか?
・もっと取り組むには、何が必要だと思うか?
・まわりの人に行動を勧めるには、何が必要だと思うか?
・日本中の人々が取り組むようになるには、何が必要だと思うか?

をお聞きするものです。「○○があったら、こういう状況になれば、もっと進むのに!」という思いやお考えをぜひ教えて下さい。あるまとまった人数でないと説得力がないので、300人をめざしています。どうぞよろしくお願いします〜!


さて、さきほどの「直接排出量」と「間接排出量」について、日刊温暖化新聞のFAQにアップした文章を、以下に掲載しますね。ちょっとした違いに思えるかもしれませんが、実は「重大な」違いですので、ぜひ知っておいて下さい。
http://daily-ondanka.com/faq/cat11.html#qaBlockGrp666

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

電力を作る発電部門(エネルギー転換部門)で、たくさんの化石燃料を燃やし、たくさんの二酸化炭素を出していることはご存じですよね。さて、ここで出るCO2は、電力会社の排出なのか、それとも、その電気を使うユーザーの排出なのか?

「直接排出量」は、発電に伴うCO2排出を、直接排出しているエルギー転換部門の排出としてカウントしたものです。一方、「間接排出量」は、その電力を使うユーザー(企業や家庭など)に、電力消費量に応じてCO2排出量を割り当てて計算したものです。

ですから、エネルギー転換部門は、「直接排出量」では30.7%と多いですが、「間接排出量」では6.1%しかありません。家庭部門は、「直接排出量」では5.2%ですが、「間接排出量」では13.5%になります。

「直接排出量」と「間接排出量」のどちらで考えるのがよいのか、一長一短あります。家庭部門で考えてみましょう。私たちが直接排出しているのは5.2%ですが(主にガスや灯油です)、私たちが使っている電力も含めると、13.5%になります。

電力消費からの排出は、電力消費量×排出係数 で計算されます。

つまり、「どのくらいの電力を使っているのか」、そして「単位当たりの電力からどのくらいのCO2が出るのか」の両方から計算されるのです。

私たちが節電すれば、「どのくらいの電力を使っているのか」は減ります。私たちが影響を与えることができるのです。

一方、「排出係数(単位当たりの電力からどのくらいのCO2が出るのか)」は、私たちにはコントロールできません。

発電に伴うCO2、つまり排出係数は、発電の仕方(火力発電なのか、水力や自然エネルギーなのか、原子力なのかなど)によって違うからです。電力会社がどのような発電方法をしているかによって、各電力会社の排出係数は異なります。

他国の例のように、消費者が「私はグリーン電力をちょうだい」と選べれば、私たちも排出係数を変えることができますが、今の日本のように、電力を選べないしくみでは、電力会社が組み合わせた発電方式で排出係数が決まってしまいます。

つまり、市民や企業などのユーザーに省エネを訴えるには、間接排出量のほうがアピール力が強いでしょう。電力消費量を減らせば、間接排出量を減らしていけます。

一方、発電の燃料転換(化石燃料から自然エネルギーへ)の意義は、直接排出量でないと見えなくなってしまいます。近年、日本では石炭火力発電が増え、そのために排出係数が悪化しています。ユーザー側が一生懸命省エネ努力をしても、排出係数が悪化してしまうと、間接排出量は減らない、または増えてしまいます。

エネルギー転換部門の排出量が最も大きいことを考えても、ユーザー側での省エネ努力を訴えるだけではなく、エネルギー転換部門の影響力の大きさを明確にし、努力を促す必要があります。

ちなみに、国際的には「直接排出量」がCO2排出計算の基礎とされています。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)でもそうですし、EUで行われている排出量取引制度も、直接排出量をベースにしています。

「日本では、電力会社が石炭火力が増えていることなどを目立たせたくないから、間接排出量を前面に出しているのではないか。問題を直視できるデータで議論しないのはおかしいのではないか」という声もあります。

部門排出量の統計やグラフを見るときには、ぜひ「これは、直接排出量なのか、間接排出量なのか」を見分け、「家庭部門が増えているから、日本の排出量が増えているのだ」という議論を聞いたら、「考えるべきは、直接排出量なのか、間接排出量なのか」を考えるようにしましょう。

いずれにしても、家庭部門からのCO2排出は、直接排出量で5%強、電力も含めた間接排出量では13%強です。より多く出している他部門の変革を求めつつ、自分たちの排出量もしっかりと減らしていきましょう。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

このような形でアンケートをお願いするのは、メールニュースをはじめて8年以上経ちますが、はじめてのことです。

どのくらいの方が答えて下さるか、どきどきしながら、懇談会への力を得られることを楽しみにしています。

 

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