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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2008年03月03日

ニュージーランドとフランスの取り組み(2008.03.03)

温暖化
 

先日、ニュージーランド大使館から、公使を含め4人の方がJFS(ジャパン・フォー・サステナビリティ)の事務局においでになりました。

以前から、JFSのニュースレターなどを読んで下さっているとのこと。日本とニュージーランドの環境への取り組みについて、情報や意見の交換をしたい、とわざわざ来て下さったのでした。

ニュージーランドの取り組みについては、日本ではあまり知られていないように思いますが、温暖化についても排出権取引を進めるなど、いろいろと動きがあります。

そのときも話になったのですが、ニュージーランドは、人口は400万人ですが、その何倍もの羊がいて、家畜のげっぷとして出てくるメタンガスが、同国の排出する温室効果ガスの半分以上を占めているそうです。羊にげっぷをとめてもらうのは難しいのでしょうね。。。(_ _;

ちなみに、日刊温暖化新聞で「ニュージーランド」で検索すると、現在7件の記事があります。たとえば、

2007年02月19日
ニュージーランド首相施政方針演説「世界最初の真に持続可能な国に」

ヘレン・クラーク首相は2月13日、国会で行った施政方針演説の中で、「ニュージーランドは『世界最初の真に持続可能な国』を目指せる国だと信じている」と語り、国全体の持続可能性を実現するための政府事業を発表した。
http://daily-ondanka.com/news/2007/20070219_2.html

ニュージーランド大使館の方から、情報交換の資料としていただいた「ニュージーランド政府のサステナビリティ・イニシアティブ」がとてもわかりやすく、同国の考えや取り組みを伝えてくれるものだったので、メールニュースへの掲載をお願いし、快諾をいただきましたので、お届けします。(ただし、在日ニュージーランド大使館は、これに関する質問が来ても回答できる立場にないので、その点はご承知ください、とのことです)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ニュージーランド政府のサステナビリティ・イニシアティブ

-サステナビリティ(持続可能性)とは「将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たす開発」と定義される(環境と開発に関する世界委員会 [ブルントラント委員会] 報告書「Our Common Future [我ら共有の未来] 」より)。


背 景

最優先サステナビリティ・イニシアティブ

2007年2月、クラーク首相は、ニュージーランドを持続可能性のある国となることを世界で最初に目指す国とし、サステナビリティを21世紀における国家アイデンティティの中心に据えていくという政府のビジョンを発表しました。サステナビリティの追求は、政府の3つの最重要課題である、「経済改革」、「国家アイデンティティ」、「老若を含む家族」の中核を成しています。

政府は、より広範なサステナビリティ政策の一環として、6つの新規イニシアティブを一括導入しました。

・家庭におけるサステナビリティ・プログラム
国民がライフスタイルを改善する。同時に経済的メリットも留保する。ニュージーランドの環境への取り組みを推進する。

・ビジネス・パートナーシップにおけるサステナビリティ
ニュージーランド企業が、持続可能なビジネス活動に取り組みやすい環境を整える。

・廃棄物の削減と管理
廃棄物量を削減し、リサイクル活動を推進する。

・公共サービス部門におけるカーボンニュートラル化(脱炭素化)
政府が手本となって、全省庁が2012年までに脱炭素化に着手し、軌道にのせる。(主要6省が2012年までに脱炭素化を目指し、残り28省庁は、脱炭素化に着手する)

・政府によるグリーン(環境にやさしい製品)調達
政府がグリーン商品・サービスを積極的に購入し、グリーン市場の成長を促す。

・エコ認定制度の強化
商品・サービスのサステナビリティ度を明確する。

上記6つのイニシアティブのほか、ニュージーランドの資源利用と生活スタイルのサステナビリティを推進するための政府プロジェクトが170以上あり、気候変動、エネルギー、運輸、淡水、持続可能な土地利用などに取り組んでいます。

そのほか、サステナビリティに関連する最近のイニシアティブには、バイオ燃料販売の義務付け、2007年度予算として計上された7200万ドルの省エネ住宅政策と2300万ドルの健全な住宅計画、そして、Smarter Homes ウェブサイトの開設があります。

これらのイニシアティブの実施計画が2007年5月に閣議決定されて以来、全てのイニシアティブ計画に進捗がみられました。主なものは、サステナビリティに関する情報サイトsustainability.govt.nzの開設、サステナビリティ・イニシアティブのブランド化、新しいグリーン調達基準の公開、家庭エネルギー、水、ゴミ、建築、改修に関する実際的な取り組みの推進があります。


ニュージーランドのエネルギー戦略と省エネ戦略

2007年10月に新しいエネルギー戦略と省エネ戦略が導入されました。両戦略では、低炭素運輸システム、電力供給の安全保障、低炭素排出の熱電気、エネルギー利用の効率化、持続可能なエネルギー技術と革新、適正な値段と暮らしやすさを実現するためのアクションプランを策定しています。

ニュージーランド政府は、2025年までに90%の電力を再生可能資源から供給するという目標を設定しました。この戦略で述べられている措置は、最近政府が発表した排出権取引制度導入を支え補うものです。


2008年 世界環境の日

ニュージーランドは、2008年6月5日の「世界環境の日」のホスト国となります。この行事は、国、企業、社会が「環境に悪い習慣を止める」ためのソリューションを世界的に認識するものであり、経済やライフスタイルの脱炭素化を目指します。ニュージーランドでは林業が重要な産業であり、森林保護は優先課題であるため、この世界環境の日では、国内外の温暖化防止目標を達成するための技術や森林管理の役割にも焦点が当てられます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

上記にあるサイトは、こちらです。(英語)
http://www.sustainability.govt.nz/

「2025年までに90%の電力を再生可能資源から供給」--素敵な目標ですね〜!

ちなみに日本の「新エネルギーによる電力の割合の目標」、ご存じですか?

2010年度の目標は1.35%でした。昨年の見直しで、2014年度の目標は1.6%に引き上げられました。(海外で日本の目標値を聞かれるたびに、困ってしまいます。だって、3回は「えっ?」聞き返され、「1ケタ違っているんじゃない?」と言われちゃいますから……)

さて、もうひとつ、海外の話題です。

日本でも、「もっと温暖化についての情報や具体的な行動について、広く伝えるためには、もともと意識の高い人が集まる講演会や、もともと関心のある人が読む本だけではなく、関心のない人々も触れるメディアでの情報提供が大事」だという声をよく聞きます。

「天気予報はみんな観るから、そのときに伝えればいいんじゃない?」など。

気象キャスターの方々もそのチャンスを最大に活かすべく、また、ご自分たちの専門知識や経験を活かすべく、活動されています。たとえば、「NPO 気象キャスターネットワーク」
http://www.weathercaster.jp/

同じように、「テレビなど一般向けに放映している中で、伝えていったらいい」と考えたフランスでは、「大手メディア各社が地球に貢献する行動について毎日情報を提供することを約束」したというニュースを昨年聞きました。

「EICネット」から引用します。
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=17496&oversea=1

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

フランスのボルロー エコロジー・持続可能な開発国土整備大臣は、大手メディアグループ50社の責任者と会見し、持続可能な開発に、メディアが積極的に参加することを要請した。

大臣は、各社に「メディアの宣誓憲章」案を提示。前向きな自由討論の後、参加各社は、憲章内に示された基本原則を承諾した。

主要メディアは直ちに(一部は来週から)、毎日、天気予報などの際に、日常生活でできる行動を紹介することを約束。大臣は、地球への貢献についてメディアが持つ強力な啓発力に期待している。

「メディアの宣誓憲章」で示された4つの約束は以下のとおり。

(1)地球に貢献する「日常生活での行動の誓い」について、毎日、情報を用意する。テレビ、ラジオの天気予報など視聴率の高いときを利用し、また、新聞やインターネットを通じて、環境保護につながるあらゆる日常行動を奨励する。

(2)シダクション(訳注:エイズ撲滅キャンペーン)やテレトン(訳注:テレビを通じた募金活動)をイメージして、年内に、「地球を救おう」というテーマで、参加や連帯を呼びかける日を組織する。

(3)それぞれの企業が活動全体に関する炭素会計を準備する。

(4)環境の危機的状況に関する報道番組や、取り組みの普及、実践的なアドバイスを行う番組を増やす。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日本でもメディアの意識や関心も高くなっているので、ぜひこんなふうに、みんなで約束して取り組んでほしいですね!

さて、フランスのメディアはどう変わってきたのでしょうか? 一般市民にはどのように受け取られているのでしょうか? 

フランスに在住の方、お知り合いがいらっしゃる方、ぜひ教えて下さいな! (ようすを教えてもらえれば、みなさんにもお伝えしたいと思います)

 

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