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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2007年12月24日

世界のルールが変わり始めている〜お正月の温暖化番組のご案内(2007.12.24)

温暖化
 

先日立ち上げた「日刊 温暖化新聞」のいちばんお伝えしたいポイントは、日刊温暖化新聞のロゴのすぐしたにある

72
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31

です。

IPCCの報告によると、世界全体で私たち人間は化石燃料(油、石炭、天然ガス)を燃やして、大気中に出している年間72億トン(炭素換算、以下同じ)の二酸化炭素を出しています。一方、地球には、大気中にある二酸化炭素を吸収する力があります。森林生態系と海洋が年間に合計31億トンの二酸化炭素を吸収でしています。

私たち人間が出す二酸化炭素が31億トン以下であれば二酸化炭素は当面増えませんが、現在、人間が出している二酸化炭素は年間72億トンですから、毎年毎年、排出量の半分以上は大気中にたまってしまいます。これが温暖化を起こしているのです。

つまり、現在の72億トンの二酸化炭素排出量を、31億トン以下にする必要があります。二酸化炭素排出量が31億トン以下になるまでは、温暖化は止まりません。(まえにお知らせした、海洋の吸収量が減っているという心配なニュースが事実だとすると、31億トンよりも減らさなくては止まりません。。。

そして、途上国での今後の人口増加や経済成長を考えれば、日本を含む先進国は、排出量70%〜90%を削減しなくてはならないでしょう。

このような状況の理解を背景に、各国がどのような削減目標を立てているか--先日、「スターン・レビュー」をお書きになった英国のニコラス・スターン氏(元世界銀行のチーフエコノミト)にインタビューをさせていただいたのですが、その折に、以下の数字をお聞きしました。

フランスでは「2050年までに75%削減」の目標を立てています。
英国は「2050年までに60%削減」という目標を80%に強化しようとしています。
ドイツでは、その前段階として、「2020年までに40%削減」という目標です。
アメリカでも、カリフォルニア州が「2050年までに80%削減」という目標です。
ヒラリー・クリントンら大統領候補も、2050年までに80%削減などの高い目標を設定しています。

すごいと思いませんか? そして、リップサービスで「大いなる目標」を掲げているのではありません。

「日刊 温暖化新聞」の現在の最新ニュース(12月23日付)、ごらんになりましたか? 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

スウェーデン:2005-06年排出量は1990年比8.7%削減

スウェーデンは12月18日、2005-06年に同国の排出量は1.7%減少して1990年比で8.7%削減となり、京都議定書目標値を12.7%下回ったと発表した。この数値は、スウェーデン環境保護庁が政府に提出した1990年から2006年までの同国温室効果ガス排出量データによるもの。

一方、スウェーデン統計局によれば、その同じ期間に同国の経済は固定価格で44%成長しているという。「スウェーデンの発展は、経済成長と排出量削減は両立可能だということを他国に示す機会である。我われは、まだ十分な取組みをしていない先進国を勇気づけ、また途上国に対して持続可能な開発は可能だということを説得力を持って示すことができる。」とアンドレアス・カールグレーン環境大臣は語っている。

(スウェーデン環境保護庁より)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

すでにしっかりと減らし始めている国もあるのです。しっかりしたビジョンを描き、望ましい方向へ人々や企業をいざなうしくみさえ整えれば、ちゃんと成果を出すことができるのです。

しかも、「温暖化対策に力を入れると、経済的に不利になる」という、一昔前の「環境か、経済か」という考え方ではなく、「温暖化の取り組むことが、経済的にも優位性をもたらす」という、「環境あっての経済」という考え方を、まさに実証してくれています。

ここしばらくの世界のようすを見ていて、「ルールが変わり始めている」ことを痛感しています。世界経済のルールも、企業の競争力を規定するルールも、温暖化を軸に変わりはじめている......。

そして、欧米はそのルールのもたらす新しい世界秩序を理解し、ルールを作る側に回り始めているというのに、日本はルールが変わり始めていることにすら気がついていない......。温暖化だけではなく、日本の国際競争力という点でも、本当に心配です。。。

スターン氏へのインタビューでも、そのあたりのお話をたくさんおうかがいしました。お正月に放映されるNHKの番組で聞いていただけますので、ぜひごらんください。

宇宙飛行士の毛利さんが、ブッシュ政権と温暖化対策をめぐって戦い続けてきた反骨の科学者、ジェームズ・ハンセン博士(NASAの科学者)にインタビューされた内容と、私がスターン・レビューの著者ニコラス・スターン卿にお聞きした「低炭素社会」の未来のほか、世界の先進事例の紹介などもあります。

2つバージョンがあって、総合テレビで放映される番組は、上記の内容を、スタジオでの毛利さん、鎌倉アナウンサー、私のお話でつないでいきます。BSバージョンは、インタビューをじっくり聞いていただける構成です。どちらもぜひ。


未来への提言スペシャル 
地球温暖化に挑む 〜世界のキーパーソンからのメッセージ〜
        
★総合バージョン
総合テレビ 2008年1月1日(祝)午後9:40〜10:40
総合テレビ 2008年1月14日(土)午後1:05〜2:05(再)

★BSバージョン
 第一部  NASA科学者 ジェームズ・ハンセン
 第二部   経済学者 ニコラス・スターン

BS1 1月2日(水) 午後10:10〜12:00
BS1 1月3日(木) 午前10:10〜12:00(再)
BS1 1月20日(日)午後7:00〜9:00(再)

 

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