ホーム > 環境メールニュース > IPCCとアル・ゴアさんのノーベル平和賞〜温断化サイトより最新情報(2007.1...

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2007年10月17日

IPCCとアル・ゴアさんのノーベル平和賞〜温断化サイトより最新情報(2007.10.16)

温暖化
 

アル・ゴア元米国副大統領がIPCCとともに、ノーベル平和賞を受賞されたこと、とてもうれしく思っています。

「翻訳者としての談話を」と、あちこちのマスコミから連絡が入り、「温暖化が世界の平和や安全保障に対する脅威であるとの国際社会の認識の表れだと思う。温暖化は、もはや環境主義者や一部のグループの取り組みではなく、メインストリームとなったということ。これがさらに追い風になって、行動につながっていくことを願っている」というようなコメントをしました。

科学的知見を追求するとともに、「得られた知見を、政策決定者をはじめ広く一般に利用してもらうこと」を使命としているIPCCと、温暖化問題についての啓発に世界規模で貢献しているゴアさんの受賞は、大きなメッセージになると思います。

IPCCからは3つの作業部会からそれぞれの報告が出されました。各作業部会に日本から関わってこられた研究者が、「何がわかったのか。どういう報告なのか」を、「環境を考える経済人の会21」の朝食勉強会で話した講演録がありますので、それぞれについてご興味のある方、ぜひどうぞ。

2006年度第8回[3/7]
近藤洋輝氏
(独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター特任上席研究員)
「IPCC/WG1第4次評価報告書〜温暖化の現実と予報に関する確実な先端知見」
http://www.zeroemission.co.jp/B-LIFE/MORNING/index06.html

2007年度第2回[5/11]
原沢英夫氏(独立行政法人国立環境研究所 社会環境システム研究領域 領域長)
「IPCC第4次報告〜WG2」
http://www.zeroemission.co.jp/B-LIFE/MORNING/mng200702.pdf

第3回[5/29]
甲斐沼美紀子氏
(独立行政法人国立環境研究所 地球環境研究センター温暖化対策評価研究室長)
「IPCC第4次報告 第3作業部会(緩和)」
http://www.zeroemission.co.jp/B-LIFE/MORNING/index07.html

第2回の原沢氏が「IPCCに日本はどのくらい貢献しているのか」という質問
にお答えになったこと、私が大事だと思ってきたこととも重なっているので、そ
こだけご紹介しますね。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

環境を考える経済人の会21 2007年度第2回朝食会2007.5.11
「IPCC第4次報告〜WG2」
原沢英夫氏(独立行政法人国立環境研究所 社会環境システム研究領域 領域長)
http://www.zeroemission.co.jp/B-LIFE/MORNING/mng200702.pdf

二つ目のご質問の、報告書の中で日本人の研究はどれくらいかということですが、たまたまそうしたご質問が以前あったので、われわれの国立環境研究所のグループでざっと調べまして、WG2だけに限ると、8,400ある文献中の1.75%が日本人の研究論文ということです。第2次報告書の時に調べた時には、2%弱くらいでした。

今回もWG2だけですが1.75%ですから、約2%弱の寄与率ということで、これはやはり少ないので、多く引用されるよう努力をしなければいけないということです。

この5年間、そういうことでやってきたつもりですが、日本語で書いた論文はやはり外国人は読めないし、英語で全部論文を書くと今度は日本人が読めない。とくに温暖化の問題を世界に発信しなければなりませんから、日本語で書いて英語でも書くということを研究者の方も努力しなければなりません。

関連して、IPCCに相当するような仕組みを日本でつくらなければいけない。以前は環境省に地球温暖化問題検討会があった時には、そちらでJPCCという名称で、その時点の最新の日本の知見をまとめて、それを英語の本にして外国の研究者に送付したという例があるのですが、この5年間そうしたことをやらなかった。

日本の良い研究情報が100%伝わったかと言うと、どうもそうではない。今後の5年間はそういった努力が必要です。また執筆者として多くの人をIPCCに送ることも重要です。

もう一つは審査付きの論文、例えばサイエンスやネーチャー級の論文をどんどん出して、世界にアピールするという話です。英語の論文をしっかり書く。あとは、報告書を執筆者が書く時に情報が必要ですが、そうした時にどんどん英語の論文を執筆者に送りつけると言うことも非常に重要なわけです。

こういった三つのポイントは研究者が最もやりたくない仕事なものですから、誰かこうしたことに興味を持ってやるようなグループなり、国の支援があればいいと思います。次の5年はこれが課題になると思います。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ゴアさんとIPCCの受賞もそうですが、ここ数ヶ月、世界が大きく動き始めたなあ、さらに加速するだろうなあ、と個人的にも思うことが増えています。海外の、特にマスコミからの問い合わせや取材の手伝いの依頼が急増しているのです。

「温暖化の番組を作るので」「サステナビリティについての6回シリーズを作るので」「雑誌で特集をするので」日本での取り組みについて知りたい、でも英語では検索してもなかなか日本発の情報に出会えない、ということで、JFSに問い合わせが来たり、私個人にも、問い合わせがよく来ます(そういうときはここに聞いたらいいよ!とコンタクト情報が回覧?されているのではないかと思うほどです)

もしみなさんもそういう問い合わせを受けたら、ぜひこちらをご紹介下さい!
JFSのウェブサイト
http://www.japanfs.org/index.html

そのなかの「情報データベース」。ここで「温暖化」で検索すると、現在441件の記事があります。日本の温暖化へのさまざまな取り組みを見ていただけます。
http://www.japanfs.org/db/index.html

また、逆に、世界のニュースを日本に伝える(今度は英語→日本語ですね)ひとつの窓口として、イーズのウェブサイトにある「温断化ニュース」には、ほぼ毎日世界からの新しい情報がアップされています。
http://www.es-inc.jp/

9月1日から10月15日にアップされた記事タイトルをご紹介しますね。内容を読みたい記事がありましたら、「温断化」アーカイブからどうぞ。
http://www.es-inc.jp/edablog/ondanka/archives/index.html

そうそう、そのまえに、昨年チェンジ・エージェント主催、日経BP環境経営フォーラム共催でおこなったフォーラム「地球温暖化防止 企業の戦略的アプローチ 現状を打破する次の一手」でご紹介した「世界の先進企業の温暖化対策事例集」がチェンジ・エージェントのウェブサイトにアップされています。1年近くたって、さらに先進的な取り組みを進めている企業も出てきていますが、参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
http://change-agent.jp/news/000086.html

では、「温断化ニュース」のタイトルをどうぞ! ざっと眺めているだけでも、世界の鼓動が伝わってくる気がします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2007年10月15日
国連の温暖化対策:木質ペレットから環境税まで

2007年10月14日
ショッピングして二酸化炭素排出削減できるサイト開設される

サンノゼ市など、「グリーン電子製品チャンピオン賞」を受賞

2007年10月13日
ノーベル平和賞、ゴア前米副大統領とIPCCに

2007年10月12日
国連、カーボンニュートラルな欧州環境閣僚会議を開催

2007年10月11日
米政府の気候変動調査、社会的影響の研究と対応策の分析に遅れ

2007年10月10日
英国、エネルギー作物生産助成制度の応募受付開始

2007年10月09日
北極海氷の融解加速で、北西航路が開通

2007年10月08日
ICAO、航空機による排出削減で積極的な行動計画づくりへ

2007年10月07日
第36回ICAO総会、排出量取引導入目指すEU提案を退ける

2007年10月06日
国連「観光産業の成長には気候変動対策が必要」

2007年10月04日
スウェーデン政府報告書「新たな気候への適応策が必要」

2007年10月03日
モントリオール議定書締約国会合、さらなる規制強化で合意

2007年10月02日
米環境保護庁、9カ国のメタン回収利用プロジェクトに200万ドル助成

2007年09月30日
主要排出国会合:米大統領「米国は気候変動問題に真剣に取り組む」

2007年09月28日
国連気候変動会合:熱帯雨林国、行動を要請

国連気候変動会合:スウェーデン首相、「経済成長と排出量削減は両立可能」

国連総会開催:議長、気候変動に関する機運の高まり維持を呼びかける

2007年09月27日
気候変動に関する国連ハイレベル会合閉幕

2007年09月26日
米国、中国の工業エネルギー効率改善に協力

米会計検査院報告書「連邦省庁に気候変動による変化への対応力なし」

2007年09月25日
カナダの「次世代バイオ燃料基金」スタート

2007年09月24日
バーモント州連邦判事「州政府は自動車による温室効果ガス排出を規制できる」

2007年09月23日
NRDC報告書:地球温暖化でスモッグが健康に及ぼすリスク増大

2007年09月22日
北極海の氷、融解進む

ワールドウォッチ研究所報告書「EUは米国に緊急行動を促すべき」

2007年09月21日
国連「気候変動適応には家畜の遺伝資源多様性の保護が重要に」

2007年09月20日
IUCNレッドリスト発行:サンゴなどが絶滅危惧種に

2007年09月19日
カナダ、2007年夏に観測史上7番目の暑さを記録

2007年09月18日
ジップカー、全米50以上の大学でカーシェアリング事業展開へ

米環境保護庁、新しい燃費情報表示シールを発表

2007年09月17日
国連、気候変動への適応策についてのワークショップ開催

2007年09月15日
森林伐採抑制を呼びかける「森林NOW宣言」成立

2007年09月13日
ホッキョクグマの生息数、50年後には3分の1に

2007年09月12日
国連、排出権取引に関するウェブサイト開設

2007年09月11日
インド洋・西太平洋地域のサンゴ礁、予測以上の速さで死滅進む

2007年09月10日
英大手スーパーとWWFが新たなパートナーシップ

APEC、気候変動に関する声明採択し閉幕

2007年09月09日
NASA、地球温暖化の影響でさらに激しい暴風雨の発生を予測

2007年09月07日
WWF、アジア太平洋地域の石炭利用に関する報告書発行

ドイツ:2020年までに温室効果ガス排出量36%削減を目指す気候変動プログラムを承認

2007年09月06日
豪州、国際的な気候変動対策に7,070万豪ドルを拠出

2007年09月05日
NASA、熱帯降雨の長期的変化を示す最初の兆候を確認

国連報告書:気候変動対策には投資フローの大幅修正が必須

2007年09月04日
研究論文「CO2排出削減のためにはバイオ燃料か森林保全か?」

2007年09月03日
欧州委員会、省エネ型電球の反ダンピング措置を廃止を提案

独首相訪日:気候変動に関し安部首相と会談

2007年09月02日
ドイツの再生エネルギー源の割合、2007年末には約14%に

2007年09月01日
国連の気候変動会合、ポスト京都議定書以降の国際対応について合意し閉幕

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

せっかくなので、IPCCについて日経エコロジーに書いた連載からも、ご紹介しましょう。でもそのまえに、CMタイムです〜。(^^;

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ