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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2007年06月18日

キャンドルナイトの講演録 前編(2007.06.15)

新しいあり方へ
 

今年もキャンドルナイトのオフィシャルシーズン(?)がやってきました!

キャンドルナイトって、毎日だっていつだって、やりたいときがシーズンなのですけど、私も呼びかけ人代表をつとめている「100万人のキャンドルナイト」では、夏至と冬至の夜に2時間電気を消してスローな夜を、と呼びかけています。

100万人のキャンドルナイトのサイトで、キャンドルスケープがオープンしました! とても素敵なのでぜひのぞいてみてください。

そして、よかったら参加表明を送って下さいな。日本地図のご自分のいらっしゃるところに、灯りがともり、メッセージが流れます。あちこちからの「思い」がふわっ、ふわっと浮かび上がるのを見ているだけでも、心がほんわかしてきます。スクリーンセイバーにもいかが?

それからイベント登録も受付中。よろしかったらぜひどうぞ。

今年の消灯施設数は現在60,163箇所もあるそうです。今年も楽しいキャンドルナイトになりそうですね!

そして、そんな「100万人のキャンドルナイト」事務局の活動を支えて下さるキャンドルホルダー、募集中です。現在のキャンドルホルダーのリスト、こちらにあります。キャンドルホルダー向けのイベントの企画中、ぜひごいっしょに。

先月、さっぽろキャンドルナイトのプレイベントにお招きいただきました。さっぽろキャンドルナイトも、とっても素敵な展開をしています。


そこでキャンドルナイトについてお話をした内容をお届けします。キャンドルナイトを推進する立場の方も多かったので、活動を展開するために大事なポイント、という観点からもお話をしています。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

みなさん、こんばんは! 

今日はキャンドルナイトの意義とか精神とか成果について、話をするようにと言われています。ずっとそれを、キャンドルナイトを始めた時から考えているし、今回もまとめてお話をするために、いろいろ考えてはいますが、多分、私にとってのキャンドルナイトのいちばん大きな魅力は、何だかそれがよくわからないことかなと思っています。

「これはこのため」とか「これはこういうふうにやる」というのが、あまりキャンドルナイトでは決まっていない。それが可能性をとても感じさせるものだなと思っています。

キャンドルナイトというひとつの場や切り口を、どういうふうにつくり出していくか、そこでのつながりをどうつくっていくか。それは、参加している、もしくはつくり出している一人ひとりが考える余地がある。そこがキャンドルナイトのとても大きな魅力だなと、よく思います。

「2時間電気を消して、ロウソクでスローな夜を」という活動ですが、そこに重ねる思いって、さまざまです。いろいろな形で思いが重ねられるところが、キャンドルナイトの面白いところだなと思っています。

「100万人のキャンドルナイト」の呼びかけ人代表というのが何人かいまして、私もそのうちの1人をやっています。そもそもこの「100万人のキャンドルナイト」がどうやって始まったかという話を、ちょっとしようと思います。ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

辻信一さんという大学の先生が、「ナマケモノ倶楽部」というNGOをやっていらっしゃいます。『スロー・イズ・ビューティフル』という本を、皆さんはご存じかもしれません。とても面白い、大学の先生には見えない方ですが、「ナマケモノ倶楽部」というのはとても面白いNGOで、ナマケモノという動物をシンボルにして、ナマケモノを守る活動もしていますが、「僕たちはいろんなことをなまけなきゃいけない」というのが辻さんたちの信念です。あまりに頑張りすぎている。「電気を使うことをなまけよう」と、キャンドルナイトなども参加をしています。

アメリカでブッシュ――いまのブッシュではなくてお父さん、父ブッシュの政権だった時のエネルギー政策に反対して、カナダ・アメリカのNGOが自主停電というのをやりました。そんなエネルギー政策を取るんだったら、もう電気は使わない。自主的に停電するという、キャンペーンをなりました。

辻さんは、そういう団体といろいろつながりがあるので、これは面白い、「日本でもやろうじゃないか」と言って、ナマケモノ倶楽部が最初に、自分たちのネットワークでやりました。

「大地を守る会」という、有機野菜をつくって、宅配で直接お客さんに配っている会ですが、大地を守る会の藤田さんという会長さんが辻さんの友だちで、「それだったら、うちでもやってみよう」と、大地の会の会員に呼びかけてやりました。2時間電気を消して、ロウソクで家族で過ごしましょうと。

そしたら、とても評判がよくて。たとえば、これまであまり子どもとも話さなかったお父さんが話す時間ができたとか、テレビを見るわけにもいかないし、お父さんが早く帰ってくるし、そのうちに子どもが、ロウソクの影に気がついて、指を動かしたり、影絵を始めた。それを見ていて、お父さんが「キツネはこうやってつくるんだよ」みたいな話で、話が弾んだり。そんな、心あたたまるような感想がたくさん寄せられたそうです。

辻さんと藤田さんが、「これは面白いから、もっと大きくやろうよ」ということで、「ほかに一緒にやる面白そうな人を集めよう」と言って、集められたのが私と、マエキタミヤコさんという人。皆さんご存じかもしれませんが、コピーライターの仕事をしていますが、「サステナ」というNGOをつくって、Webの制作であるとかチラシとか、コピーライティングなどのお手伝いするというNGOをやっている人です。

それから竹村真一さんという、とても面白い、技術とかWebの力を使って、見えないものを可視化する、見える化する。これをずっと専門にいろいろやっている人です。そういった人たちが集まって、「面白いからやろうじゃないか」と言って始めたのが2003年です。

「100万人のキャンドルナイト」という名前は、始める前に5人で集まって、いろいろ話をしていた時に、「ゆくゆくは100万人ぐらいやってくれたら、楽しいよね」ということで、希望と夢をこめて、「100万人の」という名前をつけました。

2003年の夏至が最初でしたが、ふたを開けてみたら、初年度第1回で500万人が参加をしてくれたそうです。500万人というのは、私たちが数えたわけではなくて、環境省と毎日新聞が世論調査をやってくれて、それで計算すると、日本中で500万人が参加したことになるらしいです。これってすごいことだなと思っています。

たとえば、私もずっと活動をしていますが、何か環境のキャンペーンを張って、いきなり500万人が参加するって、あり得ないことです。最初5人、10人。せいぜい広がって50人。日本で最大の環境のNGOといわれるところですら、会員は5万人ぐらいしかいません。私もNGOをやっていますが、ほとんどNGOは、会員はぜいぜい数十人から数百人だと思います。数千人いるところはいくつか、という、そういう規模です。

でも、ひとつのキャンペーンで、そんなに長い期間計画したわけでもなく、500万人が参加をしてくれた。これは何が成功要因だったんだろう?--私はそれからずっと考えています。その成功要因がわかれば、それを上手に組み込んでいくことで、ほかの活動ももっともっと広がるものになるんじゃないかと思って。いまだにキャンドルナイトって何なんだろうと思いつつ、活動しています。いくつか、要素はあるなとは思っていますので、あとで話をしようと思います。

「100万人のキャンドルナイト」は、いま言った呼びかけ人代表の人たちが幹事をして、それぞれの周りで一緒に活動している若い人たちが事務局という形でスタッフをしてくれて、運営をしています。

私たちも事務局の人たちも、すべてボランティアです。地球環境基金の助成金をもらったりしていますが、それはWebをつくったり、チラシをつくったり、ポスターをつくったり、そういった実際の活動に使っていて、ほかはすべてボランティアの活動でやっています。

私たちの活動は、一緒にやりたいという人がどんどん増えています。たとえば私は、呼びかけ人代表の5人の中でも、海外展開チームを担当しています。私は英語の通訳や翻訳をやっているので、キャンドルナイトを、日本初の活動として世界に広げていこうと思っていて、世界に「こういうのがありますよ。一緒にやりませんか」という呼びかけをしたり、世界でやっている様子を日本で紹介したりという、世界との窓口を担当しています。

私が始めた時は、私1人でそれをやっていました。いまは、海外展開チームでは5人ぐらいが一緒にやってくれています。1人でやるのがだんだん大変になってきて、人を増やそうかなと思ったときに私が呼びかける言葉があります。一緒にやってくれそうな人を探して、目星をつけてから声をかけますが、「すごく面白い人たちが集まる会があるよ。面白いから来てみない?」「終わったあと、すっごくおいしいものを食べられるよ」。そう言うと、これまでのメンバーはみんな女性ですが、「あ、行く、行く!」と言って来てくれて、そのあとハマってくれます。

すごく面白い人たちが集まっているので、いつも幹事会はとても面白い会です。あまりきちんとルールを決めていなくて、これも新しい組織のあり方のひとつだろうなと思います。

たとえば、私たちは多数決を取りません。いろんな議論をしたときに、必ず結論を出さないといけないことがありますが、幹事の中でも意見が違うことはよくあります。そのときに多数決は取らない。徹底的に話し合いをします。ときには6時間ぐらいずっと、ひとつのことについて話し合いをしたりすることがあります。最終的に、じゃあどうしようと、取りあえずでもいいので、どうしようということを、一応合意に達して進むというようなやり方をしています。

とても時間がかかる面はあります。ただ、多数決を取らないというのも、ひとつのとても面白い議事進行というか、意思決定の仕組みなので、それを私たちは試しています。「そうしようよ」と誰かかが言いだしたわけではないですが、いつの間にかそれが、みんなにとっていちばんいい形になっていたという感じです。

キャンドルナイトを「一緒にやらない?」と声をかけられた時は、2003年の夏至に向けて活動しようという、2002年の秋から冬ぐらいだったんですね。私は「大地の会」の藤田さんと知り合いだったので、そこから声をかけられたのですが、その時の私の状況はどうだったかと言うと、その年のちょうど夏、数カ月前にジャパン・フォー・サステナビリティというNGOを立ち上げたところでした。NGOを立ち上げるのは、それはそれで大変で、特に最初の数カ月は人もいないので、自分でほとんどの活動をしていましたし、とても大変だった時期です。

そのうえ、同じ2002年の秋には、バラトングループという、世界の環境問題などをやっている人のネットワークに誘われて、そこにも参加を始めています。このグループには日本の人はほとんど参加していないので、すべて英語でやりとりです。メールも英語で書かないといけないし、そこのやりとりも増えてきてけっこう忙しくなってきていた時期でした。

そんな中で「キャンドルナイトやらない?」と言われたので、周りの人は「多分これは辞退するだろう」と思っていたみたいです。でも、私はすぐに「やります」と返事をしました。

これはキャンドルナイトの話とは関係なく、個人的な話になるかもしれませんが、私はいつも、「仕事をするときには片手で」と思っています。仕事をしているときに両手いっぱいいっぱいになってしまっていると、何か面白いことが来たときにつかみに行けませんよね。手いっぱいですから。

なので、どんなに忙しくても、どんなにやることがたくさんあっても、常に片手でやるぐらいの気持ちでやりたいな、と。そのためにどうしているかというのは、いろいろな工夫とかコツとか、人と一緒にやるとか、いろいろなやり方があります。そういうふうにしていると、新しい面白そうなことが来たときに、逃さずにすみます。全部自分で抱え込んでいると、両手しかないわけですから、すぐにいっぱいになっちゃう。そうすると、「あ、あれも面白そうだな」と思っても手が出せない。

そんな状況だったので、周りは「すごくたくさんやっているのに、そのうえにやるんですか」と言われましたが、「やりたい」とに言って、参加しました。

「片手で仕事をする」というのはカッコよく聞こえますが、基本的には、自分がかかわらなきゃいけない部分はもちろんかかわる。でも、ずっと自分で抱えるんじゃなくて、あるところまで来たら手を離していく。そういうことになります。手を離すというのは、私はとても大事なことだと思っています。

私たちは、「手に入れる」とか「何かを進める」とか、そういうことはすごく得意だし、よく考えます。たとえば行動計画を立てるとか、ビジョンを立てるとかいったときに、「あれを手に入れる」とか「これを身につける」とか、常に自分の手に入れることを計画したり、ビジョンを描きますよね。

逆に何かを手放すこと、何かを捨てること。そういうことの行動計画とかビジョンって、それほど立てることはないんじゃないかと思います。でも、同じぐらい重要です。キャンドルナイトそのものの動きも、実はこの「手を離す」ということが大事じゃないかなとよく思います。

キャンドルナイトは、皆さんもご存じのように、冬至と夏至と2時間、「電気を消してロウソクの光でスローな夜を」という、それだけのキャッチフレーズです。ですから、何のために電気を消すんだとか、何のためにロウソクをつけるんだという、その目的は、それぞれ参加する人に委ねています。これがさっき言った500万人、いまはもっと多いですけれども、たくさんの人が参加している理由だと思います。

キャンドルナイトを立ち上げる時に、幹事のあいだでいちばんもめたのが、この目的を何にするかということでした。私たちの仲間には、反原発を30年やっている人もいるし、温暖化対策や省エネをすごく大事だと思う人もいます。

なので、「原発のことを考えるためにキャンドルナイトをやろう」とか、「エネルギーを使わないという生活のためにキャンドルナイトをやろう」とか、自分たちがこれまでやってきた目的や目標を、キャンドルナイトの目的や目標にしたいという意見も随分出ました。

私を含め何人かの若い世代の幹事は、それに反対しました。「これこれの目的のためにやろう」と思ったら、その目的に賛成する人しか集まらない。それはこれまでの活動と同じ形になっちゃう。そうじゃなくて、目的はそれぞれの人が決めればいい。それぞれ、自分が大事だと思っていることをやってくれたほうが広がりが大きくなるだろうと思って、目的をわざわざ決めない。2時間電気を消す、ロウソクの光でスローな夜を過ごすという、それだけをキャンペーンにしようと。

ですから、ほかの環境のいろんな運動に比べると、そこがひとつ大きく違う点ではないかと思います。「○○のために△△しよう」ではなくて、ただ「○○しよう」だけの運動だということです。

いま言ったように、目的は何でもいいですが、キャンドルナイトというのはある意味、そこに参加する人が何かから「手を離す」、そのひとつのきっかけになっていると思います。少なくても「この2時間は何かから手を離す」、そういう時間になっているんだろうなと思います。

たとえば、私たちはいろんなモノを、それは比喩的な意味でも、実際的な意味でも、たくさんのモノを抱えています。なので、何か新しいモノを手に入れようと思ったら、何かを置かないといけませんね。

たとえば、いまの皆さんの24時間はほとんど、やらなきゃいけないこと、やりたいことでいっぱいだと思います。そのうえにさらに何かをやりたいと思ったら、何かを減らす、もしくはやめないかぎり、入りませんね。それは私たちの生活でも生き方でも同じだと思います。新しい何かを手に入れるためには、何かを置かないといけない。何かから手を離さなきゃいけない。

この順番を逆にすることもできます。何の目的かわからないけど、何かを置いてみる。何かから手を離してみる。そうしてはじめて、そうでなかったら見えなかったものが見えたり、そうじゃなかったら気がつかなかったものに気がついたりする。

キャンドルナイトはそのひとつのきっかけになっているんだろうなと思います。「○○のために△△しましょう」ではなくて、ただ、「2時間何かから手を離しましょう」――それだけを言っている。手を離した結果、そこに何が見えるのか。何が得られるのか。それはその人が発見する。その発見するのが面白かったり、楽しかったり、豊かな時間だったりします。

皆さんも、キャンドルナイトに参加したり、推進する立場なので、これまでのご経験もあると思うし、それから、その経験に縛られずに自由に想像して、イマジネーションで、ちょっと考えてみてください。

キャンドルナイトの提供している2時間、「電気を消してスローな夜を」というこの2時間に参加した人は、何から手を離すことができるんだろう? その結果、何を見たり、何を手に入れたりすることができるんだろう? これは自分の経験でもいいし、周りの人を見てでもいいし、まったくのイマジネーションでも構いません。

ちょっと、周りの2、3人ずつと、この2つについて。キャンドルナイトの2時間って、何から手を離す時間になるんだろう、もしくはなる可能性があるんだろう。そこで何が見えてきたり、何を得られる可能性があるんだろう、ということについて話し合ってみて下さい。

「私はこうだった」という話でもいいし、「周りを見てそうだった」という話でもいいし、「こんなことがあり得るんじゃない」という、まったくの想像の話でもいいので、ちょっと時間を取ります。いくつかあとで、皆さんに聞いてみようと思います。

では、皆さんの様子を見ながらですが、7、8分時間を取ってみようと思いますので、少しゆっくりしたペースでいいです。何か試験問題に答える、そういう時間ではないので。何から手を離すんだろう。そこで何かが見える、何が得られるんだろう。自分で、もしくは感じたことなどをお互いに、周りの方と話してみてください。

(間)

ありがとうございます。ではいくつか、出たのをお聞きしてみたいと思います。これを手放して、これを得られることがあるんじゃないか、みたいな。たくさんアイデアが出たと思いますが、ひとつずつ。どなたからでも。

――緊張した自分から手を離したい。

なるほど。ほか、どうですか。お願いします。

――電気を消すから、テレビも止めなきゃ行けないし、家の明かりも消さなきゃいけないし、パソコンもいけなくなる。そういうのを手放しました。

そこから何か得られた、見えてきたものはありますか?

――ロウソクの炎の揺らぎのすてきさ。あと、寄り添ってトランプをした娘との時間とか、特別な時間が来ました。

ありがとうございます。ほかの方、いかがですか?

――見えるモノだけじゃなくて、見えないモノを考えるということ。

大切なポイントですね。見えないモノを考える、そういったきっかけ、時間。ほか、いかがですか。

――解放される。

ありがとうございます。キーワードがいっぱい出てきました。こういう言葉を、推進する人はちゃんとキャッチして、こういう言葉を宣伝文とかPR文に織り込んでいくのがポイントですよ。ただ聞き流しちゃだめですよ。アピールすることばをみんなでつくっているんですから。あと、後ろの方、手を挙げてくださったんですね。お願いします。

――私たちの日常かけめぐる不必要な情報から解放されること。純粋な気持ちになること。

またキーワードが、大切なポイントが出ましたね。ほかにいかがですか? どんな言葉でも、ご自分の言葉で言っていただければ。では指名しちゃいます。

――目的や使命といったものから手を離す。

ありがとうございます。それぞれ、いろんな言葉で考えてくださったと思います。多分、頭で考えただけではなくて、心から出てくる何かというのがありますね。キャンドルナイトの面白いところはそこです。頭だけで何とかではなくて、心を動かす。そういったチャンネルになっているのだと思います。

今日はキャンドルナイトを推進する立場の方が多いので付け加えると、キャンドルナイトをしたことのある人や、今回やったあとでもいいですが、いまみたいな話をすると、何がみんなを惹きつけるんだろう? どういう切り口とか、どういう時間とか、どういう可能性がみんなを惹きつけるんだろう?ということがわかってくると思います。それがわかれば、そういう可能性へのいざないとして、キャンドルナイトを位置づけることができるでしょう。

ただ「電気を消しなさい」と言われても、「なんでやねん」という話になってしまう。でもそれは、「あなたの、これまで気がつかなかった何かを発見する」、もしくは「これまでなかった豊かな時間への扉です」というような言葉は、コピーライターさんとか専門の人に頼んでも出てこないでしょう、参加をした人だからこそ出すことができる言葉だと思います。

いろいろな言葉が出てきましたが、多分まだまだあると思います。いずれにしても、考えたり感じたり、大事なことを思い出したり、そしてつながったり。近くでトランプをしたり、家族と過ごしたり、そういうのもつながりのひとつでしょう。そういうきっかけをキャンドルナイトは提供できるんだろうなと思っています。

何よりも大事なのは、立ち止まるきっかけと口実です。感じるにしても、考えるにしても、思い出すにしても、つながるにしても、これは時間が必要です。大急ぎで明日締め切りの仕事をしながら、感じるとか考えるとか思い出すとか、ほとんど不可能ですよね。

大体、私たちの日常は忙しいです。周りの人たちの日常も忙しいです。そのときに、きっかけでも口実でもいいので、2時間立ち止まる。そういう時間を提供するというのは、すごく大事なことだと思っています。

企業の人たちにもキャンドルナイトを一緒にやってもらいますが、参加している企業は、たとえば「今日はキャンドルナイトだから、残業はなし」と社員に言うわけです。残業禁止。社員は、ほんとは仕事をやらなきゃいけないけど、会社がそう言うし、電気を消されちゃうから帰る。それで強いられてというか、しょうがなくて家族とキャンドルナイトの時間を過ごしたりするわけです。

でも、そういう口実がないと、なかなか立ち止まる時間を持てない人がたくさんいます。立ち止まりたいときに立ち止まれる人はいいですが、そうじゃない人たちにも、「年に2回ぐらい」「冬至ぐらい」「夏至ぐらい」「2時間だし」といってあげられる。

そういったきっかけや口実を提供することで、そこで何か気がつくこととか、感じることがたくさん出てくる。そういう場なんだろうなと思っています。

立ち止まるということで言うと、私たちがキャンドルナイトをやりたいなと思っている理由も、何か大事なものをいま見失っているなとか、何か大事な問題がなかなか解決できないなとか、そういうことがあると思います。

(中略)

        <   つ   づ   く   >

 

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