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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2007年03月22日

環境コミュニティ・ビジネスの成功ポイント〜モデル事業公募中!(2007.03.21)

新しいあり方へ
 
経済産業省が「環境コミュニティ・ビジネスモデル事業」を数年前からおこなっています。(あとでも紹介しますが、現在、来年度の募集中です!)
http://www.meti.go.jp/policy/eco_business/community/c_index.html 今年度、この推進委員として、委員会や担当モデル事業の視察・意見交換会などに参加しました。今月初めに、モデル事業の成果発表会がありました。 その成果発表会で、やはり推進委員のおひとりである特定非営利活動法人コミュニティビジネスサポートセンター代表理事の永沢映氏が、『環境コミュニティ・ビジネスの成功ポイント』という基調講演をしてくださいました。 とても大事なポイントをわかりやすく伝えてくださる内容でしたので、「ぜひもっと多くの方に伝えたい」とお願いしたところ、快くお話の内容を書き起こしてくださいました。コミュニティビジネスに関心のある人にもない人にも、参考になると思いますので、ぜひ読んでみて下さい。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 環境コミュニティ・ビジネスの成功ポイント
〜環境コミュニティ・ビジネスモデル事業 成果発表会〜
                              2007.3.3               NPO法人コミュニティビジネスサポートセンター
                          代表理事 永沢 映 私はコミュニティビジネスの中間支援を実施しておりますが、その現場からの状況と感じていることについてお話いたします。 まず最近では「コミュニティビジネス(CB)」への関心が高まっておりますが、その背景にはいくつかの要因があると思います。 まず「豊かさ」への認識が変わってきており、「食べるために働くより」も「ゆとりが豊かさ」と感じる人が増えています。 つまりお金よりもゆとりや好きなことで働く、ワークライフバランスのある生活こそが豊かさと考える人が多くなってきているのです。 私は年間で約400件ほどの対面相談を受けておりますが、これまで創業に関心のなかったシニアや主婦、学生などがCBを始めたいという相談が年々増えています。 またCBへの関心の高まっているもう一つの大きな要因は、「協働」に示されるように官と民のパートナーシップ、ビジネスとボランティアといったこれまでは相反するセクター、考え方が協働することによって効率化、連携を始めていることです。 その中で「公益性」と「事業性」の両面を持つCBが協働の担い手として地域で期待されていることにあります。 厚生労働省でも2003年から2012年の10年間で約120万人もの雇用がCBで創出されると算出しています。(雇用創出企画会議より) コミュニティビジネスは様々な課題解決の方法として期待されており、団塊世代の地域参加、地域経済活性化、地域雇用、商店街の再生、地域ブランドづくり、生き甲斐づくり、NPOの自立化など多様な課題解決策として実施されています。 またこれまで手をつなげることのなかった自治体、NPO、企業、大学、金融機関、市民がCBを通じてパートナーシップを組むことが実現しています。   各地でCBの人材育成を行っていますが、初期投資が少なく適正規模ではじめるために1〜2年で成果が上がるのではなく、3〜4年して芽が出て成果が上がりだすケースが少なくありません。 ですのでCBは中長期で育成する視点も大切です。 続いてCBの支援をしている中でCBがより成功するためのポイントをあげます。 まず「頭の思考を変える」事です。 多くの実践者が「目的」→「具体策」→「成果&結果」という思考を持っています。 例えば「私は保育支援をやりたい(目的)ので、在宅保育サービスを実施します(具体策)」といったケースで、十分にその成果を明確にしないため、頑張った結果が成果になってしまうのです。 このケースの多くは十分な事業性かに至らないケースが多いと言えます。 一方、成功しているCBでは、「目的」→「成果・目標」→「具体策」→「結果」となっており、成果目標を先に明確にしています。 成果目標とは、単に「○○をやりたい」ではなく、「月に20万円は給与として取る」「3ヵ月後にはアルバイトを1名雇う」といった明確な成果目標です。 成果目標を明確にした上で、具体策を考えると自分には何が強みで、何が弱点か、誰にどのような支援が必要かが明確になります。 さらに結果が出たときに成果目標と比べて、良かったか足りなかったかを明確に知ることが出来るので、経営改善がやりやすくなります。 実はこの単純な点が出来ていないCB経営者が多いのです。私はこの点を先に明確にすることを薦めています。   二つ目のCBの成功のポイントをあげると、CBでは多様な収入構造の組み合わせが出来るということです。 通常のビジネスでは「このボールペンを100円で買ってください」といった商品やサービスに価値を付けて販売するものです。 しかし、売れないものをどのように価値に変えていくかがCBの面白いところです。 例えば環境ビジネスをしていて「地域のゴミを堆肥にしたので3キロ500円で買ってください。市販のものよりも安いですよ」といってもなかなか売れません。 一方では「私は地域のゴミ問題に危機感を覚え、地域のゴミのリサイクルを始めました。このままだと地域は崩壊するからです。もし私の活動に賛同される方は年会費5000円ですが、会員になって一緒に活動しましょう。会員になれば、地域で集めたゴミを堆肥にした肥料を3キロ無料で差し上げますので、一度使用してみてください」といった方法でPRします。 前者は「ビジネス的」な発想ですが、30キロ売って5000円、後者は「コミュニティビジネス的」な発想の1つであり、3キロで5000円です。 地域で使用してもらうのにどちらが効率的で、どちらが採算性が高いかということを考えるのがCBです。   三つ目の成功ポイントは、事業計画書の作成についてです。 「あなたのプランを計画書に書いてください」と様式を渡して、果たしてどれだけの方がよいビジネスプランを完成させられるでしょうか?私の経験上は10人に1つのよいプランが出るかどうかです。 一方でCB的事業計画の作り方は「生活者の視点」から入るものです。例えば10名の地域の主婦が集めて「この地域で生活していて足りないもの、あったらいいものは何ですか?」と問いかけます。 その中から「駅前に深夜まで開いている保育所があれば働きに出たい」といった声が複数あがったとします。これは地域のニーズであり、このニーズがCBの種になるのです。 数名が深夜まで開いている保育施設が欲しいのならば、この地域にはそのニーズがあるということでする。 そこで妥当な金額、場所、サービス内容を詰めながら駅前保育を開業すれば、CBとして成立する可能性が高いわけです。 つまり、自分ひとりの頭にあるプランで形成するビジネスプランではなく、地域に必要なことを引き出すことでプランを形成するCBでは、その組み立ては大きく異なるのです。 さらに地域コミュニティの声を反映させることで協力者、利用者になり、支えてくれる方も出てくる可能性が高くなります。 次に「環境コミュニティビジネス」についてですが、環境CBには他のCBと比べて、3つほど特徴があります。 それは1.専門性、2.資金力、3.地域連携です。 1.専門性とは、「安心、安全」がキーワードの社会において、その商品がどれだけ信用性があるかを科学的に評価することが必要です。 単に「使い捨てをやめてリユース食器を使えば環境負荷が低減する」といっても、「水や洗剤を使うことでの環境負荷がかかる」といった差し引きでのデータも必要になります。 さらに食品も「健康的」とうたうには、何がどのように健康になるのかを示さなければなりません。 特に環境CBは、自然や人体に大きく影響することが多いために、プロフェッショナルな意識を持たなければなりません。 2.資金力とは、適正規模、適正利益を目指すCBでは、90%以上もの創業者が自己資金の範囲で開業と答えています。(CB団体向けアンケートによる) つまり「借りたくない」と「借りられない」を合わせても多くが小規模投資で創業しています。 しかし環境CBでは、研究費、プラントの購入や運搬、施設等コストがかかります。  このような資金調達を、最近では銀行からの融資だけではなく、私募債、地域ファンドなど、幅広く地域での資金調達をするケースが増えました。 地域で信用があれば、出資してくれる方も多くいらっしゃるということです。 3.地域連携とは、地域の助け合いです。 全てを一人で背負うのではなく、足りない部分を地域の方と補完し、または自治体や企業、金融機関、大学、NPOなどと幅広く提携することです。 特に環境CBでは、大学の研究機関や自治体からの許可、企業の技術力等は非常に大切になります。 様々なセクターも「地域が豊かになる」ことでは、同じ目的を持っていますので、なるべく多くの方を巻き込むことが大切です。   最後になりますが、CBでは、すべての方が主役なのです。 「地域に必要なことを」「地域にあるもので」「自分が出来ることを」「地域のネットワークで補って」実施するのが「コミュニティビジネス」です。 現場を見ると多くの方が楽しく、人生が豊かになっている姿を目にします。 ぜひあなたもCBの創業を目指してみませんか。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 永沢さんが代表理事を務めているNPO法人コミュニティビジネスサポートセンターのウェブサイトには、「新潮流であるコミュニティビジネスの定着と実践者をサポートする多用な機会の提供を目的としています」という、さまざまな情報が載っていて、とても参考になります。
http://www.cb-s.net たとえば、 ■サービスメニュー
 ■起業を志す方へ
 ■自治体・各団体の方へ
 ■CB支援サイト
 ■講座の企画・実施
 ■NPO設立運営サポート ■コミュニティビジネスとは
 ■コミュニティビジネスとは
 ■コミュニティビジネス事例
 ■CB参考資料
 ■全国のCB支援策 などなど。ぜひご興味のある方は、どうぞ! さて、経産省のこの「環境コミュニティ・ビジネスモデル事業」では4月2日まで、モデル事業の公募を行っています。少しサイトから紹介しますね。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 http://www.meti.go.jp/press/20070214004/community-p.r.pdf
平成19年度「中小企業等環境配慮活動活性化促進事業
(環境コミュニティ・ビジネス事業)」の公募 経済産業省は、地域の主体が連携し、地域の環境問題を経営的視点に基づいて解決しようとする「平成19年度環境コミュニティ・ビジネス事業」を公募します 1.事業の目的及び概要 地球温暖化問題への対応、循環型社会の構築の必要性が叫ばれている現在、地域社会においても持続可能な社会構造への転換が喫緊の課題となっています。本課題の解決のためには、事業者のみならず、市民、行政等の地域社会に存する主体が相互に連携・協働し、その有する人材、資源等を最大限有効に活用することが不可欠となっています。 しかしながら、このような企業、市民、行政等が連携した活動は、その活動拠点、活動費用の面で必ずしも自立的に進展する状況になく、また連携のチャンス、ルートも限られているのが現状と言えます。 このため、経済産業省では、事業者、NPO、市民などの各主体が持つ能力が充分に発揮されるよう、地域において中小企業、市民等が連携し、地域が有する環境問題を解決しながら、地域を活性化する「環境コミュニティ・ビジネス」を公募により発掘し、その展開を支援します。また、その成果、課題等を評価し、広く普及・啓発を行い、持続的かつ効率的な環境改善を図ります。 4.公募期間
平成19年2月15日(木)〜平成19年4月2日(月) http://www.meti.go.jp/policy/eco_business/community/c_index.html モデル事業による支援内容 1. 委託費の額及び使途
本事業は、企業、企業グループ等の団体及びNPO等の市民活動団体が連携して実施するモデル事業を、平成18年度(事業期間)内に限り支援するもの。 委託の金額:おおむね100万円〜400万円程度。具体的な金額については、事業計画と支援要望額の内容を精査した上で決定する。 委託費の使途:専門家指導費、研修会等参加費、資料購入費、研修会等開催費、旅費・交通費、通信・運搬費、広報・宣伝費、物品費(1点あたり20万円(税込み)以上のものは計上不可、レンタル料可)、アルバイト雇用費、外注費(委託費の1/3が上限)、印刷製本費、消耗品費(家賃及び人件費は支援対象外)。 上記委託費の支払は、本モデル事業終了時にその支出を証明することができるもの(領収書等の添付)に限られる。なお、事業期間中に委託費の中間支払も必要に応じ行う予定(中間支払に際しても、領収書等の提出が必要)。 2. ネットワーク形成の機会
本事業の豊富な経験と知見を持つ推進委員より、事業の進め方等についてアドバイスを受ける機会があります。 当ホームページにより、事業の内容についてアピール・広報をすることができます。 事業説明会や中間報告会、エコプロダクツ展、成果報告会等を通じて、環境コミュニティビジネスに取り組むいろいろな団体の人と知り合い、情報を交換する機会があります。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 省庁にはさまざまな委員会などがあって、環境関連もいろいろとありますが、この経産省の「環境コミュニティ・ビジネス事業」は、専門家である推進委員が手厚く見守り、指導してくれることがとても大きな特徴であり、とてもよい効果を生み出しています。 モデル事業を選んだり、助成団体を選んだり、ということはあちこちでおこなわれていますが、選ぶに値すると思ったアイディアをいかにきちんとした運営のできる形にしていくか、そのもっとも大事なプロセスを、モデル事業者だけに任せるのではなく、推進委員がそれぞれ担当を決めて力を貸します。 現場に足を運び、意見交換やアドバイスを提供し、中間発表会でさらに必要なところや改善の指導をし、必要な情報やリソースを紹介し、という1年間のプロセスがあってこそ、すばらしい成果発表会につながっているのだなあと、感動しながら採択14団体の発表を聞かせてもらったのでした。 いま各地で、自分たちはそうとは気づいていないかもしれないけれど、「環境コミュニティ・ビジネス事業」といえる取り組みをしているグループ、しようとしている人々がいることを、強く感じます。金銭的な助成だけでなく、経験豊かな専門家のアドバイス付きという、この貴重な機会をぜひ活かしてください〜!
 

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