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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年12月27日

年の終わりにシステム思考(2006.12.27)

システム思考を学ぶ
 
今年もあと4日ちょっとですね。 どんな一年でしたか?(と、昨日ある会で「10分ぐらいで振り返って話をして下さい」と言われて、さくっと振り返ってみたら、そのときそのときは夢中でやってきたことがつながっているようすなどが実感できて、けっこう有益でした。それぞれで「どんな一年だったかなあ?」と振り返ってみるのもよい時期ですね) 振り返ると「今年こそ!と思っていたのに、今年もやっぱりできなかった」「いつも途中まではがんばるのだけど、竜頭蛇尾で終わってしまう」ということも出てくるかもしれません。 「今年もやっぱり」「いつも」と出てきたら、システム思考では、性格や根性、意志の弱さを責めるのではなく、「構造に問題があるのでは?」と考えます。どういう構造だからいつも竜頭蛇尾になるのだろう? その構造をどう変えれば、着々と進んでいけるのだろう?と考えるのです。 組織の問題や課題でも同じです。「いつもこうなってしまう」「いくら変えようと思っても変わらない」場合には、人が悪いのではなく、構造の問題ではないか?だったら、人や自分を責めないで、いっしょに構造を理解しよう、構造の変え方を考えよう、という建設的なアプローチなのです。 システム思考を中心に、「大局的な見方と本質的な変化を創り出す力を身につける」お手伝いをしているチェンジ・エージェントでは、今年一年間に、国内外で約800人の方にシステム思考の研修を提供し、講演などでさらに約5500人の方にシステム思考をご紹介することができ、うれしく思っています。 先日、システム思考メルマガにも書いたのですが、産業社会の成長を支えたのが「読み書き・そろばん」に代表される左脳スキルとするならば、これからの知識社会の成熟をリードするのは「システム思考」をはじめとする右脳スキルといって過言ではありません。来年もより多くの方々にシステム思考を届けられるよう、思いを新たにしているところです。 システム思考メルマガでは、「システム思考入門」シリーズをお届けしていますが、システム思考の基本ツールの1つ「時系列変化パターングラフ」についての紹介をお届けします。ぜひ一年の計(または一生の計?)を立てるときにも役に立てていただければと思います。 なお、来年1〜2月は、以下の日程でシステム思考を身につけるコースを開催します。ぜひ一緒に学び、システム思考の考え方や基本ツールを身につけませんか。 1月21日(日)東京 9:30-16:30 システム思考トレーニングコース
http://change-agent.jp/news/000060.html
2月15日(木)東京 9:30-16:30 システム思考トレーニングコース
http://change-agent.jp/news/000061.html
2月18日(日)札幌 9:30-12:30 システム思考入門セミナー
13:30-17:45 システム思考ワークショップ
http://www.es-inc.jp/news/000628.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 システム思考入門(13)
「システム思考の基本ツール① 時系列変化パターングラフ」 担当地域での売上の伸びが落ちた。
製品のトラブルのためにリコールとなった。
顧客からサービスへの苦情が出た。
上司からプロジェクトの遅れを怒られた。
などなど。 これらはすべて「できごと」です。職場でも、社会でも、私たちのまわりは「ニュース」や「できごと」にあふれて、多くの人の日常の関心事になっています。そして、私たちはみな、できれば悪いできごとは避けて、よいできごとに満ちた日々を送りたいと願っていることでしょう。 しかし、その日のできごとが「吉」と出るか、「凶」とでるかは、おみくじやさいころの目で決まっているわけではありません。 もしかしたら、予測不可能な不運な事態があなたの周りに舞い降りて、あなたの仕事に影響を与えることもあるでしょう。しかし、もしそのできごとを予感させる傾向が見られるとしたら......。あるいは、もしそういったできごとが繰り返し起こっているとしたら......。 そんなときは、不運だけでは済ませられません。「地球の裏側で蝶が舞うとくしゃみをする」といわれるように、一見つながりのない一連のできごとがその日のあなたの運命を決めているかもしれないのです。 システム思考の重要な特徴は、できごとを単独で捉えるのではなく、時間の経過に伴うパターンとして捉えることにあります。パターンとは、上がる・下がる、増える・減る、強まる・弱まるなど、変化がどのような軌跡をたどっているかをみるものです。増加や減少、あるいは現状維持などのトレンドを示すこともあれば、定期・不定期に上がったり下がったりを繰り返していることもあるでしょう。 あなたの周りの問題に関して、過去遡ってみると「今まで」のパターンはどうなっているでしょうか? 売上は今までどのように推移してきたか? 製品の品質はこの数年間で上がっていますか? それとも下がっていますか? ここ数ヶ月の間サービスの質は維持されていますか? プロジェクトの遅れは今回が初めてですか? 前にも起こっていませんか? もし、そのできごとが、ある傾向やパターンの中に位置づけられるとしたら大変です。「今まで」のパターンが「このまま」続いたとしたら、かなりの確率で、あなたの周りの問題は繰り返し起こることでしょう。悪化することすらあるかもしれません。「このまま」のパターンというのは、あなたにとって望ましくないシナリオなのです。 このようなとき、あなたは自分を責めたり、不運の引き金となった人やできごとを責めたりしていないでしょうか。残念ながら、自分や他人を責めても、あなたの「このまま」のパターンは変わらないでしょう。悪化の傾向が続く、繰り返し起こるなどのパターンには、必ずそれを引き起こすシステムの構造があるからです。(これは、エドワード・デミングが提唱し、日本で幅広く取り入れられているトータル・クオリティ・マネジメント(TQM)の根底にある考え方です。) ものごとがうまくいかないとき、私たちはもっと一生懸命やろうとします。残業時間を増やしたり、顧客の訪問回数を増やしたり、とにかく一生懸命になります。また、あるときには責任者を交代させるとか、チームの配置を換えるということを試みます。しかし、いくらがんばっても、人を変えても、あるいは不運の起こらないようにと願っても、残念ながらその構造を変えない限り、「このまま」のパターンは起こり続ける可能性が極めて高いのです。 しかし、チャンスもあります。もし、そのパターンを起こしているシステムの構造を明らかにして、構造そのものを変えることができれば、「このまま」とは別の「望ましい」パターンを実現することができるでしょう。あなたの周りのシステムは、あなた自身の行動と周りの顧客や同僚、取引先などの行動との相互作用で作られています。あなた自身、あるいはチームとして会社の中で、構造を変えることができる部分はきっとどこかにあることでしょう。 変化の担い手の重要なアプローチは、自らにとって「望ましい」パターンはどのようなものなのか、明確な目標を立てて、そのパターンを実現するにはどのようにシステムの構造に働きかければよいかを考える、というものです。 売上をその商品の潜在的な価値のレベルまで高めたい。製品の不具合・不良をゼロにしたい。顧客サービスを最高の質にしたい。プロジェクトの遅れを3%以内に抑えたい。 いつまでに、何を、どれくらい変えたいのか? あなた自身の目標を明らかにして、現在の立ち位置から、どのような軌跡をたどれば目標にたどりつけるのか? それを表したものが「望ましい」パターンです。 システム思考の基本ツールである時系列変化パターングラフは、これらの3つのパターンをひとつのグラフにまとめたものです。縦軸に、あなたの関心のある変数をとり、横軸には過去から未来への時間軸をとります。そして、そのグラフ上に、「今まで」、「このまま」、「望ましい」の3つのパターンを書き込みます。 変数は、自分の関心のある大事なことを選ぶのがポイントです。定性的な変数でもかまいません。「朝の気分」、「やる気」、「信頼感」など、定量的でなくても大事だと思うものをグラフにしてみましょう。今を基準に上がってきたか、下がってきたか、おおまかな線を描くことはできるはずです。 また、時間軸は少し長めにとるのがポイントです。システムのつながりをたどって及ぶ影響にはしばしば遅れを伴います。したがって、すっかり忘れているほど昔にあったできことが、いまの問題につながっていたということもあるのです。時間軸の単位は、時間でも、週でも、月でも、年でも、課題に応じた適切なものを選びます。 身の回りの課題について、時系列変化パターングラフを描いてみてはどうでしょうか? そうすると、「なんとなくうすうすわかっていたけれど」ということがくっきりとあぶりだされるかもしれません。職場のことなら、グループで描いてみるとよいでしょう。 時系列変化パターングラフの大きな効果は、自らの運命の手綱を握ることです。描きあがったグラフの「現在の地点」から「未来」に向けて見てみてください。あなたは今「このまま」のパターンと「望ましい」パターンの分れ道に立っているのです。 さあ、あなたはどちらの道を進もうと思いますか? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 システム思考の基本ツールの紹介はこちらにあります。グラフ例も載っています。 システム思考入門シリーズのアーカイブはこちらにあります。 システム思考メルマガへの登録希望の方は、ご利用になるメールアドレスから下記アドレスにメールを送信してください。(自動処理)
systems_thinking_byCA-subscribe@yahoogroups.jp システム思考のワークショップについて方はこちらをご覧ください。 2月18日、札幌での「システム思考」入門セミナーとワークショップについてのご案内を載せておきます。さくっと学ぶもよし、じっくり取り組むもよし、北海道での開催はなかなかない機会ですので、この機会にぜひどうぞ! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 午前中は、システム思考の考え方やツールを身につける「システム思考入門セミナー」を開催し、「まずはシステム思考という考え方やツールを身につけたい」というお声に応えします。 午後は、その考え方やツールを活用し、個人的なコーチングの時間も採り入れながら、それぞれの課題や次のステージアップを考えていく「システム思考ワークショップ」をおこないます。 システム思考についてまずは学びたい、という方は、午前中のみご参加ください。丁寧な説明とふんだんな練習で、じっくり考え方とツールを身につけます。 ご自分の課題についてシステム思考を用いてじっくり考えたい方は、午前・午後の両方にご参加下さい。午後に4時間かけて、午前中に学んだツールを用いて、自分の課題をじっくり掘り下げ、「解決のための働きかけ」まで考えていきます。午後は講師がおひとりおひとりに詳しくアドバイスしながら進めていきます。 ○日程:2007年2月18日(日) ○場所:札幌市中央区「北海道立道民活動センター(かでる2・7)」
940研修室
(JR札幌駅、地下鉄さっぽろ駅(10番出口)より徒歩5〜6分)
http://www.kaderu27.or.jp/index.htm ○講師:枝廣淳子・小田理一郎 ○スケジュール: ☆「システム思考入門セミナー」
9:15 開場(受付開始)
9:30 システム思考入門
1.システム思考の基本的な考え方
2.システム思考のツール(1)時系列パターングラフ
3.システム思考のツール(2)ループ図
4.応用と展開について 12:30 終了 ★「システム思考ワークショップ」
13:30 開場
13:45 システム思考を自分の成長に役立てる 1.自分の目標をシステム思考のツールで表す
2.自分の問題や課題の構造をシステム思考で掘り下げる
3.問題解決のために構造を変える働きかけを考える
4.発表、講評 17:45 終了 ○定員:
☆「システム思考入門セミナー」:約30名
★「システム思考ワークショップ」:最大16名 ○参加費:(いずれも税込)
☆「システム思考入門セミナー」のみ(午前参加):12,000円
★「システム思考入門セミナー」と「システム思考ワークショップ」の両方
(全日参加):52,000円 ○お申し込み・お問い合わせ:
メールで以下の申込書をお送り下さい。受講費の振込についてご案内します。受講費の振込をもって正式受付とし、受講票をメールでお送りいたします。定員に達した時点で締め切り、あとはキャンセル待ちとなります(キャンセル待ちの方には、次回のご案内を先行してお送りします)。 申込書送付先: info@es-inc.jp ―――――――――――――――――――――――――――――――――――               申 込 書 2007年2月18日 札幌 (どちらかに印をおつけください) ( )「システム思考入門セミナー」のみ(午前参加) ( )「システム思考入門セミナー」と「システム思考を自分の成長に役立てるワークショップ」の両方(全日参加) ご氏名 [                      ] 
メールアドレス [                      ]
連絡先電話番号 [                      ]
ご住所 [〒     ][                      ]
振込人名義(フリガナ) [                      ]
備考 [                      ] ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 以下は、チェンジ・エージェントからのご挨拶です。
(メールニュースには冬休みはありませんので〜。^^;) 来年は、既存コースの実施やファシリテーション・ワークショップを重ね、より多くの変化を創り出すお手伝いをつづけながら、システム思考をベースとした新しいコース開発をおこなう予定です。システム思考や「学習する組織」に役立つ世界の情報を採り入れて日本向けに発信する活動にも力を入れていきたいと思っています。 来年もどうぞひきつづき、よろしくお願いします。
この一年のご縁に感謝しつつ。
どうぞよい年をお迎え下さい。
 

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