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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年11月04日

アース・ポリシー研究所「石油と食料:急浮上してきた安全保障問題」+フードマイレージ・キャンペーン(2006.11.04)

エネルギー危機
食と生活
 
[No. 1207] で > ワシントンの会議が終わった午後、アル・ゴア元副大統領の評判の映画"An > Inconvenient Truth"を観にいきました。温暖化がテーマの、とてもしっかりし > た作りの科学的・感動的な映画でした。(日本で公開されたら、ぜひご覧下さい〜!) とご紹介した映画は、日本では1月23日から上映されます。タイトルは、『不都合な真実』。試写会も大好評のようで、ぜひ全国の多くの方々に見てもらえたら、と願っています。 この米国出張で映画を観て感動した様子は、ダイアリーにも書いているのですが、そこに、『同タイトルの本が出ていて、空港の書店でもどこの書店でも、目につくところに並べてあった。』と書いたこの本の翻訳を現在進めています。 自分が感動した映画の本を訳すことができるなんて、とっても幸せ〜♪と思いながら、シンプルかつメッセージ性の強い英語を、どうやってシンプルかつメッセージ性の高い日本語にできるかなあ?と、あーだこーだ、楽しんでいるところです。 英語版は、こちらにあります。 写真やイラストが多く、まるで写真集のようです。美しい造りの本ですが、映像のパワーでこれまで「不都合」だから、と隠されてきた、または目を覆ってきた「真実」を淡々とパワフルに伝えてくれます。 そして最後に、「私たちには何ができるか。どうすべきか」を伝え、「もう手遅れだ」ではなく、「まだ間に合う。変えていこう!」という力強いメッセージと希望を与えてくれる本です。 日本語版は、上映開始まえに決まっているアル・ゴア氏の来日までに間に合うように、ランダムハウス講談社より刊行される予定です。どうぞお楽しみに! この映画を観るように薦めてくれたのは、レスター・ブラウン氏でした。研究所のスタッフも全員観て、とてもいい映画だよ、と口をそろえて言っていました。 そのレスターの研究所からのリリースをお届けします。私のところで預かりすぎて、少し古い記事になってしまいましたが、指摘しているポイントは、現在もそして今後ますます重要になってくると思います。実践和訳チームのメンバーがとりまとめをしてくれました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 石油と食料:急浮上してきた安全保障問題 アース・ポリシー研究所 ダニエル・マーレイ 農場から食卓を結ぶ現代の食料供給システムは、安価な石油に大きく依存している。それは、石油供給が脅かされれば食料供給も脅かされることを意味する。食料の加工度合が高くなり、輸送距離が伸びるのに伴い、食料供給システムで消費されるエネルギーは年々増加の一途をたどっている。 米国の食料供給システムでは、年間2,520兆キロカロリー(10,551兆キロジュール)を超えるエネルギーが消費されているが、これはフランスの年間総エネルギー消費量に匹敵する。そのうち食料生産に費やされるのは、わずか5分の1に過ぎない。 残りの5分の4のエネルギーは、農場から出荷された後の、輸送・加工・梱包・販売・貯蔵に使用されている。農業で消費されるエネルギーの28パーセントは化学肥料の製造に、7パーセントは灌漑に使われており、植え付けから耕作、収穫に使用される農耕用作業車のディーゼルオイルやガソリンとして34パーセントが消費される。残りのエネルギーは農薬の製造、穀物の乾燥、および設備を稼動させるのに使用されている。(データ参照 http://www.earth-policy.org/Updates/2005/Update48_data.htm) 1950年に6億3100万トンだった世界の穀物生産は、半世紀後の2004年には、その3倍の20億2900万トンになった。増加した要因の8割は、人口の増加に伴い需要が拡大したことである。 残りの理由として考えられるのが、食物連鎖の上位に位置する畜産物を消費する人口の増加であり、一人当たりの穀物消費量は24%増加している。新たに生じた穀物需要は、農耕地の拡大という形で応じるのではなく、主に土地の生産性を高めることにより満たしてきた。石油への依存がさらに高くなった機械化、灌漑、化学肥料の使用と併せて、高収量品種を通じて土地の生産性を高めてきたのである。 今や作物生産は、土壌が育む栄養の代わりに化学肥料に依存している。それはつまり、肥料の原石の採掘から製造、世界各国への輸送に必要となる石油に依存しているということである。 米国、モロッコ、中国、ロシアのリン鉱石埋蔵量は、全世界のリン酸塩需要の3分の2に相当する。また世界で生産されるカリの半分をカナダ、ロシア、ベラルーシでまかなっている。窒素肥料については、主に天然ガスを用いて大気中の窒素を合成して製造するため、広く各国で生産されている。 世界全体での肥料の使用は、1950年代から劇的に増加してきた。中国は、今や世界で最大の化学肥料消費国であり、2004年の消費量は4000万トンを超えている。米国の使用量は、1984年以降横ばいになり、年1900万トン近くで推移している。インドでの使用量も、1998年以降1600万トン程度で一定している。 よりエネルギー効率の高い化学肥料の生産技術と、土壌が必要とする栄養分を正確に測定することにより、作物の施肥に必要なエネルギー量を削減してきたが、まだ改善の余地はある。原油価格が上がり、化学肥料の価格が上昇するに従って、栄養を無駄にすることなく循環させ、化学合成肥料を有機物でできた堆肥に置き換えていくことがずっと重要になってくるだろう。 作物用灌漑ポンプの使用により、砂漠の真ん中に作物が実る農地を作ることが可能になった。しかし同時に農地のエネルギー使用量も増加し、大量の水を汲み上げるため、世界規模で帯水層の枯渇を招いている。地下水位が低下すればするほど、より強力なポンプの使用が必要になるため、灌漑に要する石油の量は増加を続ける。 高効率の灌漑システム、たとえば低圧力タイプや細流灌漑、また精密な土壌水分テストにより、農業用水やエネルギー需要の削減は可能になるかもしれない。しかし多くの国々では、国が補助金を出して、水は安価で、ごく簡単に入手可能という状態を作り出している。 これまで主流であったエネルギー集約型の機械化農業に対抗するものとして、環境保全型耕作が導入されてきた。収穫した作物の不要な部分をそのまま畑に残すことで、風雨による土壌の浸食や水分蒸発を抑えるものである。この手法により土壌の質が改良される上、農場が使用する燃料や灌漑の必要性は 少なくてすむ。世界の9000万ヘクタールの農地で不耕起栽培が実施されているが、その農地の半分以上が米国とブラジルにある。米国では、41%の農地で減耕起栽培が行われている。 農業は省エネルギーに向けさまざまな方法を見出しつつあるが、農家から出荷されたあと、食卓に到るまでに消費されるエネルギーは増え続けている。食料供給システム全体でみると、農業生産にかかるエネルギーは21%で、そのほか輸送14%、加工16%、包装7%、小売4%、レストランや仕出し店7%、そして一般家庭における冷蔵と調理32%といった形でエネルギーが使用されている。 今日、食品の輸送距離はこれまでよりずっと伸びている。欧米先進諸国では果物や野菜ですら、農場から店頭に並ぶまでの輸送距離が2500〜4000キロメートルに及ぶことも珍しくない。ますます自由化が進む世界市場では、燃料の低価格化も手伝って、季節や産地を問わず年間を通じた青果物の輸入が可能である。しかし食品の輸送距離が伸びれば伸びるほど、エネルギー使用量も増大する。 食品の輸送ではトラックが主流であるが、鉄道や船で商品を運ぶ場合の10倍近いエネルギーがかかる。冷凍・冷蔵設備のついたジャンボジェット機による空輸は、海上輸送の60倍ものエネルギーを必要とするが、食品輸送部門において、割合としては小さいものの拡大している。北半球の市場で、チリや南アフリカ、ニュージー ランドなど南半球の国々の青果物が入手できるのは、この冷蔵空輸のお陰である。 加工食品は現在、世界の食品総売上の4分の3を占めている。1ポンド(450グラム)の冷凍果物や冷凍野菜には、加工に825キロカロリー、包装に559キロカロリーのエネルギーがかかり、これに輸送中や店、家庭での冷凍保存に必要なエネルギーが加わる。 缶詰の果物や野菜の場合、1ポンドの缶詰を作るのに、食材の加工に平均で261キロカロリー、さらに缶詰にするのに1006キロカロリーかかる。というのも鉄の採掘と製造に莫大なエネルギーが必要になるからだ。朝食用シリアルの加工には1ポンド当たり7125キロカロリーかかるが、これはシリアルそのものに含まれるエネルギー量の優に5倍に相当する。 大部分の生鮮食品、加工を最小限にした穀物、豆類や砂糖は、特にまとめ買いする場合など、ほとんど包装の必要がない。一方、加工食品は、まず個別に包み、それを袋詰めしてさらに箱詰めする、といった過剰包装がしばしば行われる。このようにごてごてとした包装に、膨大なエネルギーと原料となる資源が費やされるが、結局はほとんど全てがゴミの埋立地行きとなるのである。 スーパーマーケットやレストランといった食料品を扱う店では、冷蔵・冷凍や調理に大量のエネルギーを使っている。近所の店の代わりに「大型」店で買い物をするようになった消費者は、食料品を買いに遠くまで車を運転しなければならず、次の買出しまで食料品を保存しておくため、ますます冷蔵庫に頼らざるを得なくなる。 食料品チェーン店の多くは、大口契約と均質の供給を重視するため、地元の農家や小規模の農場から買いたがらない。代わりに、遠方の大規模な農場や卸業者から食料品を仕入れる。つまりさらに余分なエネルギーが、輸送、梱包、冷蔵・冷凍に使われるのだ。 政府は、石油や灌漑、輸送に補助金をつけ、化石燃料に集中する長距離食料供給システムを支えるよりも、持続可能な農業、地元での食品生産、エネルギー効率のよい輸送を推進できるのではないだろうか。環境保全に適した耕作、有機肥料の使用、総合的な病害管理など、環境に優しい農法を奨励することにより、農場で使用するエネルギーを大幅に減らすことができるだろう。 家庭や小売店、農産物の加工業者や農場で、エネルギー効率のよい機械・器具を割引で購入できる制度を導入すれば、食料供給システム全体でのエネルギー消費量を削減できるだろう。不必要な容器包装を減らし、リサイクルを進める法律を制定すれば、エネルギーの使用量も埋め立て地に運ばれるゴミの量も減少するであろう。 農家と消費者が直に取引をするファーマーズ・マーケットなどは、中央集中型の流通システムを介さないので、不必要な食料の輸送がなく、無駄な包装も減る。その上、地域における食料安全保障も改善される。ファーマーズ・マーケットは全米に広がっており、1993年の1755カ所から、2002年には3100カ所まで増加した。それでも食品売上高全体のわずか0.3%を占めるに過ぎない。 何を買い、何を食べるかを決めることは、実は個々人が日々行っている最大の政治活動である。地元でできた旬の食べ物を選んで買っていれば、輸送や農場でのエネルギー使用を削減し、食品の安全性と食料の安定確保を改善することにつながる。加工食品や過剰包装の食品、冷凍食品の購入を控えれば、エネルギー消費やマーケティングコストを削減できるし、より小型の冷蔵庫にすれば電気料金の低減にもなる。食物連鎖の低い段階のものを食べれば、土地や水、エネルギー供給への不安を減らすことができるのだ。 化石燃料への依存は、現代の食料供給システムのアキレス腱であると言えよう。石油供給が変動したり途絶えたりすると、食料価格が一夜にして高騰しかねない。たちどころに競争や対立がエスカレートするだろう。食料供給システムを石油産業から引き離すことこそ、食料安全保障を高める鍵なのである。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「何を買い、何を食べるかを決めることは、実は個々人が日々行っている最大の政治活動である」--肝に銘じたい言葉です。 > 今日、食品の輸送距離はこれまでよりずっと伸びている。欧米先進諸国では果物 > や野菜ですら、農場から店頭に並ぶまでの輸送距離が2500〜4000キロメートルに > 及ぶことも珍しくない 日本ではどうなのだろう?と思われましたか? 「フードマイレージ・キャンペーン」というサイトがあります。 フードマイレージとは、食品が運ばれてきた距離のことですが、このキャンペーンでは、この距離をCO2換算し、「ポコ」(二酸化炭素の泡がポコっと出ちゃうイメージ)という単位で示しています。 データベースには70品目のフードマイレージが載っています。あぶらあげ1枚、とうもろこし1本など、「国産の場合」と「輸入の場合」のフードマイレージが日本地図と世界地図で目に見えます。数字としてもその差がわかります。 このサイトは、とってもオシャレで楽しい造りになっていて、コンテンツもさることながら、「多くの人にアピールする情報の出し方」という点でも勉強になります。ぜひ一度のぞいてみてください。 さて、ゴアさんの本の翻訳に戻ります〜。(^^;
 

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