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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年10月27日

レスター・ブラウン「急増する風力エネルギー需要」(2006.10.27)

 
半年ほどまえ届いたレスター・ブラウン氏からの「エコ・エコノミー最新情報」を実践英訳チームが訳してくれましたので、お届けします。 米国での風力エネルギーの活況が伝わってきます。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 急増する風力エネルギー需要 通常電力を下回る発電コストが米国を再生可能なエネルギー社会に変える http://www.earthpolicy.org/Updates/2006/Update52.htm レスター・R・ブラウン テキサス州オースティンの電力供給公社オースティンエナジーが、2000年にグリーンチョイス・プログラム(訳注:自然エネルギーで発電した、環境に優しい電力を選んで購入できる制度)を導入した当時、グリーン電力を選択した顧客は、通常より高い料金を支払うことになった。 しかし2005年秋になると、天然ガス価格が高騰を続け、その影響で通常の発電コストは、主要なグリーン電力である風力による発電コストを上回ることになった。こうした価格の逆転現象はオースティンに限ったことではなく、他の地域でも見受けられた。まさにこのことが米国が再生可能なネルギー社会へと動き出すきっかけを作ったのである。 オースティンエナジーは、風力発電による電力を調達するに当たって、10年間価格は固定するという契約を結び、グリーンチョイスの顧客に安定した価格で電力を供給している。 このように料金の安定していることが、オースティンにあるアドバンスト・マイクロ・デバイス、デル、IBM、サムスン、3Mなど、388を数えるグリーンチョイス契約を結んだ企業や団体にとっては実に魅力なのである。 この契約で、アドバンスト・マイクロ・デバイスは向こう10年間で400万ドルの費用節減が可能だとしている。また学区でも契約するところが増えている(訳注:school districtはわが国とは全く異なる米国独自の特別な自治体で市と同じように課税権を持つ)。例えば、ラウンド・ロックの場合、この契約のおかげで 住民の支払う税金は10年間で200万ドル少なくなると見込まれている。 オースティンエナジーは、残ったグリーン電力を求めて人々がテキサス流に殺到した事態を受けて、グリーンチョイスのくじ引きを実施することに決めた。抽選は3月23日。顧客であれば住民、企業を問わず誰もがそのくじ引きに参加できる。 同じことが、コロラド州最大の電力供給会社であるエクセルエナジーでも起きている。エクセルから風力発電による電力供給を受けている3万3,000の顧客は、2005年末までは毎月通常の電気よりも6ドル高い料金を支払っていた。 それが今では、天然ガスや石炭主体の通常の電気代よりも、幾分安い料金で手に入る。急速に膨らむ需要に対処するため、エクセルは現在風力エネルギーの開発に協力してくれるところから提案を募り、コロラド州の23万2,000戸の家庭の電気を賄える、最大775メガワットの風力発電電力を新たに確保しようとしているのである。 オースティンエナジーとエクセルエナジーは、いずれも顧客に対して、風力発電による電力供給を初めて低価格で行った会社として名を連ねている。とは言え、短期的には、この風力発電による電気料金が従来の電気に比べて安いという状況は続かないかも知れない。 というのは、気候問題に関心の深い人々の風力発電による電力の需要が供給を上回り、その結果、電気料金が上がるほか、天然ガスの価格も2005年末のピーク時と比べれば下がっているためである。しかし、長い目で見ると、天然ガスは埋蔵量が減少することから、その価格の上昇は必至であり、このことは風力エネルギーには強い追い風となるだろう。 風力エネルギーへの関心は、発電コストが下がるにつれて高まっている。メディアの注目を集めているのは、例えばケープコッド沖に計画されている大規模なオフショア・ウィンドファームのように、風力発電には賛成でもタービンの設置は「自分の地域ではごめんだ」と反対するコミュニティである。しかし国内のほと んどの地域では、ウィンドファームは熱烈な歓迎を受けている。「ぜひ自分の地域に」という声が、あちこちから上がっているのだ。 エクセルが風力発電容量を数百メガワット増やすと発表した際には、風力資源が豊富なコロラド州東部一帯で牧場主たちが関心が寄せた。例えばワイオミングとの州境にあるグローバーのような牧場経営が中心の小さな田舎町では、牧場主たちはおよそ30の牧場にまたがる300メガワットのウィンドファーム建設案を歓迎した。 優に年間10万ドル相当はある電力を供給する最新の大型風力タービンを設置すれば、土地使用料を3%としても、約300坪の農地を提供することで、牧場主は年間3,000ドルを手に入れることができる。しかも、放牧は今まで通り続けられるのである。 計画が予定通り承認されると、およそ30人の牧場主が平均7基の風力タービンを設置して、年間約2万1,000ドルの副収入を得る計算になる。10年後には、何千もの牧場主が、牛を売る以上の収入を売電で稼ぐようになるかもしれない。 ニューヨーク州北部、オンタリオ湖近くにあるルイス郡では、酪農家たちがメープルリッジ・ウィンドファームを快く受け入れた。風力タービンは195基で、1基につき年間5,000から1万ドルの土地使用料が支払われる条件となっている。 農村でウィンドファームが歓迎されるのは、それが農家や牧場主の収入と技術者の雇用につながり、安い電力が手に入るからである。また、税収が増えるおかげで学校の設備を向上させたり道路の補修ができることも理由に挙げられる。 風力エネルギーの収益性の伸びには、大企業も関心を寄せている。4年前、ゼネラル・エレクトリックは、エンロングループの中で数少ない高収益の会社であったエンロン・ウィンドを買収し、同社の最新型風力タービンで世界の風力タービン業界トップの座を手にした。 さらに2005年半ばには、ゴールドマン・サックスが、ウィンドファーム開発を手掛ける小規模のジルカ・リニューアブルエナジー(Zilkha Renewable Energy)を買収した。この会社は現在ホライゾン・ウィンドエナジー(Horizon WindEnergy)という社名でゴールドマン・サックスの完全子会社だが、同社が有する風力発電容量は、建設中と計画段階のものを合わせると4,000メガワットになる。この容量で1,200万戸の電力を十分賄うことができる。 風力発電事業における世界的大手のAESは風力発電の開発を手掛けるシーウェストを買収し、米国の風力発電業界の中で確固たる地位を築いた。同社が開発中の風力発電容量は1,800メガワットである。英国沖合の風力発電をめぐる入札で有力候補とされるシェル石油は、現在米国内に315メガワットの発電容量を有し、それをさらに増量することを計画している。またBPは2,000メガワット規模の風力発電設備を計画しており、米国内で建設候補地を選定中である。 2005年には米国全体で風力発電容量は36%増加し、9,149 メガワットに達した。今年は50%の増加も不可能ではないだろう。米国では2005年末の時点で、30州に商用ウィンドファームが存在している。 (詳細なデータはwww.earthpolicy.org/Updates/2006/Update52_data.htmを参照) 風力タービンの生産が間に合わないという制約がなければ、風力発電の成長はもっと加速しているだろう。ゼネラル・エレクトリックは現在米国の風力タービン市場で60%のシェアを占めているが、既に2007年分まで完売の状態にある。 新興のタービンメーカーであるクリッパー・ウィンドパワー(Clipper Windpower)は、同社の2.5メガワットのリバティ・タービンの生産を2006年半ばまでに月産20基に増やし、2007年には年間の総生産数を250基にする計画である。同社のタービン生産も将来にわたって予約済みの状況だ。 風力発電産業は長年不安定な状態が続いていた。風力発電に対する生産税控除(PTC)措置の延長が認められずに失効することが度々あったからである。しかし今回、2005年までの生産税控除期間がさらに2007年まで延長されることになり、投資家の間には風力発電の将来性に対する信頼が再び回復してきている。 この税控除期間の延長は、化石燃料や原子力発電を対象とする補助金への対抗措置としてとられることになったのだが、そのおかげで新しく計画されるウィンドファームの数は記録的な伸びを見せている。 風力エネルギーは豊富で安価な上、無尽蔵で広くどこでも手に入り、クリーンなため気候に影響を及ぼすことがない。そのため新エネルギー経済の中核的な存在となりつつある。 米国内50州のうち、ノース・ダコタ、カンザス、テキサスの3州には、米国全体の電力需要を満たすことができるほど、利用可能な風力エネルギーが十分にある。さらに風力発電コストも、1980年代初頭に1キロワット時あたり38セントだったものが今では4セントから6セントにまで下がった。その結果、安価なエネルギーがほとんど無限に供給されるようになったのである。 その上、風力エネルギーは決して枯渇することがない。誰も供給をストップしたり、値段を上げることはできない。そして地球の気候をなんら乱すことなくわれわれに エネルギーを供給してくれるのである。 (翻訳:酒井、山田、古谷) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 米国での風力発電が、本当に目覚ましい勢いで伸びているようすが伝わってきますね! 日本でもそんな勢いが出てきたらうれしいのですが......。
 

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