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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年08月31日

チューリッヒの再保険会社スイス・リ社Center for Global Dialogueより(2006.08.31)

 
昨夜、チューリッヒに無事(!)到着しました。世界大手の再保険会社スイス・リ社の「Center for Global Dialogue」という会議場のホテルにいます。 今日から1日半、気候変動と保険・投資に関する会議があり、そのあと1日半、スイス工科大学などのフォーラムで「イノベーションをどう進めるか」という会議がエネルギーをテーマに開かれます。こちらの会議に評議委員として出席するための出張ですが、「せっかくなので直前の会議にもお出になりませんか?」と誘っていただいたので、今日の午前中から参加する予定です。 再保険会社とは、再保険会社とは、保険会社が保険契約者への多額の保険金支払いの負担を軽減するために加入する保険(再保険)を取り扱う会社です。カンタンにいえば、「保険会社の保険会社」ですね。 再保険会社は、早くから温暖化に危機感を募らせていました。温暖化によって台風やハリケーン、熱波などの被害が出れば、保険会社の支払いが増えます。そうすると、保険会社の保険を引き受けている再保険会社にも大きな影響が及ぶからです。 世界の産業界が「温暖化なんて」と言っていた頃から、保険業界では再保険会社を中心に、「化石燃料をやめよ」とエネルギー業界にもの申し、「温暖化をめぐって業界が衝突し始めている!」と驚いたことがあります。 世界での最大手の再保険会社のひとつ、スイス・リ社も、温暖化を大きな保険リスクのひとつと認識し、早くから取り組みを進めています。自社の操業については、2003年に「カーボン・ニュートラル」(二酸化炭素排出を減らし、それでも出る分は、排出権取引などでオフセットする)を宣言しました。 再生可能エネルギーの導入(ドイツでは100%だそうです!)やサステナブル建築、出張の見直しなどを進める一方、世の中を温暖化を進めるのではない方向に向けるために、投資ファンドや排出権取引の商品などを開発しています。 同時に、温暖化をはじめとする環境コミュニケーションやリスク・コミュニケーションにも力を入れ、さまざまなシンポジウムや啓発活動、出版などをおこなっています。 そうした活動を支援・促進するために、「グローバルなリスク課題を探索し、将来のリスク市場への新しい洞察を促進する」ことを目的に、2000年秋に作られたのが、いま私のいるSwiss Re's Centre for Global Dialogue です。http://www.ruschlikon.net/ あと2時間ほどではじまる会議も、ここで開催されます。 International Sustainability Leadership Symposium 2006 31st August 2006 - 1st September 2006 http://www.ruschlikon.net/INTERNET/rschwebp.nsf/fmBookmarkFrameset?ReadForm&BM=181b4e0fa071f38fc1256dfb0061a1f0/9111490977693236c125718f0026a8c5?OpenDocument The Sustainability Forum Zurich (TSF) is an independent, non-profit, non-partisan organisation founded by leading representatives from business, science and public authorities. It provides platforms for exchanging ideas on sustainable business practices. This year's symposium seeks to investigate approaches for long-term oriented investment in order to achieve sustainable returns. In this regard, the main interest is to find out whether approaches of institutional investors, asset managers, investment advisors and listed companies differ from each other, and if so, how they can be aligned. Taking the standpoint of each of the players involved, including the ultimate beneficiaries, options for a long-term oriented selection of investment opportunities shall be identified. Finally, it will be assessed whether this process may lead potential investees to reconsider their short-termism in favour of long-term business practices. Decision-makers from business, academia and civil society will share their experiences and views in keynote speeches, plenary discussions and in-depth workshops. 機関投資家やアセットマネージャー、投資顧問や上場企業、NPOなどが集まって、長期的な投資機会のオプションについて議論します。アジェンダを見ていると、特に「投資に関わる通常の短期的アプローチに対する長期的アプローチ」が議論の中心になるようです。 世の中のしくみを変えようと思っても、お金の流れが変わらないとなかなか変わりにくいのですが(逆に言えば、お金の流れを変えれば、世の中のしくみはすぐに変わる可能性があります!)お金の流れを作りだしている大きな要因である投資が「短期のリターン」を求め続ける限り、企業だってどうしても短期的な利益追求型にならざるを得ない、とよく聞きます。 このあたりのジレンマ(問題の根源)に対して、投資に関わる人々がどのように考え、アプローチしようとしているのか、新しい動きや期待の持てる動きは何か、会議を楽しみにしているところです。 余談ですが(よく聞かれるので)、私は海外でも早起き生活です(^^;)。 チューリッヒ湖の湖畔に立つホテルの大きな窓の向こうに、朝焼けが広がっていく空と湖面を見ながら、仕事していました。よいお天気です。
 

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