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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年08月29日

アースポリシー研究所「2005年、観測史上最も暑い年に」他+温暖化情報(2006.08.29)

温暖化
 
東京は今日も暑い1日となりそうです。夏だったら「お暑いですナァ」という挨拶は「ふつう」ですが、その暑さがどんどん増していく、ということは「ふつう」ではありませんよね。 (マスコミなどの報道で「また異常気象」と見聞きするたびに、「異常」は常とは違うから「異常」であって、「また」の繰り返しは「常」となりつつあるのではないか。すこし前までの「異常気象」がいまや「常気象」化しているのではないか。それだったら「異常気象」という言葉に含まれる「これは例外さ」という見方を正さなくては、と思ってしまいます......) 暑い日に暑いニュースですが、レスター・ブラウン氏のアースポリシー研究所から温暖化に関して2本、実践翻訳チームメンバーの翻訳でお届けします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 タイトル:2005年、観測史上最も暑い年に                        ジョセフ・フローレンス http://www.earthpolicy.org/Indicators/Temp/2006.htm 1.地球の気温―2005年 2005年は、観測史上最も暑い年となった。地表の平均気温が摂氏14.77度と、1880年の観測開始以降、最高を記録。なお、観測史上最も暑い年の上位6位はいずれもここ8年以内。 (参照データhttp://www.earthpolicy.org/Indicators/Temp/2006Temp_data.htm) 2005年に次いで、1998年が平均気温14.71度と2番目に暖かい年であるが、1998年と2005年の決定的な違いは、前者は過去100年で最大のエルニーニョ現象の影響を受けた結果であり、後者はそうした影響を受けていないという点である。 NASAのゴダード宇宙研究所がまとめている世界各地の観測値によれば、地球温暖化は過去1,000年でも前例がないほど急激に進んでいる。過去100年で、気温は0.8度上昇しており、そのうち0.6度はここ30年以内の上昇分である。1970年代に14.02度だった平均気温は、2000年〜2005年では14.62度に達する。 氷や樹木の年輪、化石を用いた最近の研究報告によれば、北半球は今日、過去1,200年中最も気温が高いと推定されている。CO2やメタン、その他の温室効果ガスの大気中濃度が、ここ65万年で最も高いとする報告もある。 2.温暖化の影響 温室効果ガスの排出量が増加し続けると、気候変動の速度も上がる。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、地球の平均気温は2100年までに1.4〜5.8度上昇すると予測している。 最も低い予想値通りに推移するとしても、これまで以上の激しい嵐、洪水、熱波、干ばつがもっと頻繁に発生するとも予想されており、このうちどれ一つとっても、生態系の生物多様性、人間の健康、経済の安定に影響を与えないものはない。以下に例を挙げる。 ・2005年、アマゾンの熱帯雨林で、過去100年以上で最悪の干ばつ ・海面温度の上昇により、2005年の大西洋ハリケーン・シーズンには27の暴風雨と15のハリケーンが発生。同年8月、ハリケーン「カトリーナ」が直撃した米湾岸地域では、1,100人以上の死者が出たほか、約100万人が避難を余儀なくされる。米国が「カトリーナ」により被った被害は750億ドル(推定)で、自然災害としては米国史上最大の損害。 ・北極圏内では地球平均値のほぼ2倍の速さで温暖化が進んでおり、2005年、過去最高の気温上昇を記録。北極では今世紀末までに、氷のない夏を迎える可能性があり、生息域が狭まるホッキョクグマが絶滅する恐れもある。 ・シベリア西部の100万平方キロメートル(フランスとドイツを合わせた面積)にわたる永久凍土層が近年融け始めている。1万1,000年以上前、凍土層が形成されて以降初のことである。この永久凍土層は世界最大の凍結した泥炭湿地を覆っており、温暖化が進めば、凍土層の中に閉じ込められている炭酸ガスが大気中に放出され、さらに温暖化を加速させることになると科学者は警告している。 3.「Anthropocene」の時代へ 一部の科学者は、地球の気候システムの変動が主に人間の活動に起因するこの時代を、新たな地質年代として「人類中心時代(the Anthropocene)」と区分しているが、2005年の気温データは、それが正しいことを改めて示すものである。 どれほど気温が上昇するかは、私たちが今後、二酸化炭素やその他の温室効果ガスを抑制するためにどうしていくかにかかっている。気候変動を助長する化石燃料を使い続けることもできれば、再生可能なエネルギーやよりエネルギー効率の高い技術に変えていく道を選択することもできるのだ。 (訳:梶川 祐美子) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 エコ・エコノミー最新情報(2006年7月28日) 記録の大幅修正〜2003年の欧州熱波による死者、52,000人を超える ジャネット・ラーセン http://www.earth-policy.org/Updates/2006/Update56.htm 今夏、欧州では猛暑が続いており、各国の保健行政関係者や政治家の間では、甚大な人的・物的被害をもたらした2003年の熱波が再び話題にのぼっている。6月から8月まで異常な暑さが日夜続き、この影響で高齢者など抵抗力に欠ける人々が多数犠牲になった、あの熱波のことである。当時アースポリシー研究所では、フランス厚生省が2003年9月に公表した報告書などをもとに、欧州全体での死者の数は約35,000人と概算していた。 しかし、それから3年が経過。2003年の欧州熱波による犠牲者のより正確な数が、徐々に明らかになってくるにつれ、この数字さえも過小評価にすぎなかったことが分かってきた。イタリアでは当初、死者数は約4,000人と算定していたが、実際には2003年夏、前年の夏と比べて死者の数が18,000人も多かったことが判明。 40℃を超える日が続いたポルトガルでも、死者の数は当初1,316人と推定されていたが、その後2,099人へと修正された。他にもスイスなどで、同様の上方修正が行われた。この結果、欧州全体での犠牲者の数は、実に52,000人以上にのぼることが明らかになったのである。こうして2003年夏の熱波は、西洋史上最悪の気候関連災害の1つに名を連ねることとなった。(各国の詳しいデータについては、 http://www.earth-policy.org/Updates/2006/Update56_data.htm を参照のこと。) 明白な爪跡を残し、メディアの注目も集めやすいハリケーンや竜巻などとは異なり、熱波は音もなく忍び寄る殺人者だ。暑さそのものが死因とされることはまれで、むしろ暑さによって引き起こされる心臓疾患や呼吸不全、脱水症状などが直接の死因となる。そのため、熱波が去った後しばらく経ってから、死者の数を「普通の」年と比べてみてはじめて、真の犠牲者数が判明することになるのだ。 しかも、各国政府は批判を恐れ、こうしたデータをひっそりと公表する。2003年熱波による犠牲者の正確な数は、2年以上の期間にわたって各国バラバラに公表されたため、メディアがこれに注目することはほとんどなかった。 2005年のハリケーン「カトリーナ」による死者の数は1,300人超。2003年の欧州熱波による犠牲者の数は、これをはるかに上回る。にもかかわらず、マスコミ報道がほとんどなされていないせいで、政府も、一般の人々も、被害の全体像を把握できずにいる。その結果、気温上昇のリスクが過小評価されてしまっているのだ。 人々、特に政府関係者は、酷暑の脅威について、信頼できる情報を得る必要がある。欧州各国の政府は、対応が遅きに失した2003年の経験をふまえ、熱波の再到来に備えたシステムの整備に努めている。 フランス厚生省は、医療施設と医療従事者の増強、高齢者ケアの充実などといった方針を示している。スペイン政府の熱波対策には、医療福祉関係者への啓蒙活動、酷暑の被害を受けるリスクが高い人々の名簿作成(任意)、被害状況を日々監視するシステムなどが含まれている。 気候変動に関する政府間パネルの予測によれば、21世紀末までに世界の平均気温は1.4〜5.8℃上昇するという。気温が上昇するにつれ、熱波到来はより頻繁になり、その厳しさも増していくことになる。世界気象機関(WMO)は、暑さが原因となって死亡する人の数が、今後20年以内に倍増する可能性があるとしている。 さらに、英国のハドレー気候予測研究センターとオックスフォード大学の研究によれば、温室効果ガスの排出が原因となって、2003年夏のような異常な暑さが訪れるリスクが倍増するという。これ以上の気候災害を避けるためにも、一致団結して早急かつ大幅に炭素排出量を削減することが不可欠であろう。 (ヘレンハルメ美穂) 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 温暖化に関する情報について、いろいろと教えていただきました。ありがとうございます! 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 温暖化英文のサイトについての問いかけがございました。もう皆さん、良くご存知のものではないかと思いますが、私がしばしば、あるいは時々チェックしているサイト(必ずしも温暖化問題に限定したものではありません)には、以下のようなものがあります。 http://www.enn.com/ http://www.planetark.com/index.cfm http://www.jiqweb.org/ (季刊ですが、欧州を中心としたの京都メカニズムの動きは新鮮です) http://www.worldviewofglobalwarming.org/ http://www.principalvoices.com/environment-gloabl-warming.html#top http://cdiac.esd.ornl.gov/ http://www.pewclimate.org/ http://www.terradaily.com/ 上記のサイトの他、私が重宝しているのは、CNNのメールサービスで、Climate Changeのキーワードを入れておくと、毎日、1・2件のニュースヘッドラインが送信されてきます。 また、daily newsではありませんが、IPCCやUNFCCCのサイトは色々と参考になるはずです。特に、各国の取り組み状況などは、UNFCCCのnational communications(国別報告書)に詳細が載っています。 以上、ご参考になれば、幸いです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 こんなものはご存じでしょうか。すでにご存じかなと思いますが。昨年の10/28に見つけてきたものです。 異常気象レポート2005 @気象庁 http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/climate_change/index.html なかなか全部読んでいられないのですが概要版から全文(112MB)まであります。全文をPDFで落とすと通信環境にもよりますが結構時間が掛かります。 はじめに からの引用です。 http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/climate_change/2005/0.1.html 1 本書の構成について 最近、特に異常気象や地球温暖化が大きな問題となっている。そこで、今回の報告書では、一般の方々が関心のあるテーマについて疑問に思っていることに対する答えがどこに書かれているかがすぐわかるように、「異常気象」、「地球温暖化」、「地球環境問題などにかかわるそのほかの諸現象」のテーマ別に三つの章を設けた。 第1章のテーマとして、人類の社会経済活動に直接的に大きな影響を与え、社会的な関心が非常に高い「異常気象」を取り上げた。1.1節から1.4節までに、異常気象の最近の実態、異常気象の長期変動、今後の見通しについてまとめた。すなわち、この部分に異常気象に関する上述のような疑問に対する答えが書かれている。1.5節から1.6節には、異常気象や気候変動と関係深い海洋の実態について、1.7節には、大気と海洋の長期変動のしくみについて、さらに詳しい説明を記述した。 第2章のテーマは、「地球温暖化」である。地球温暖化は、単に気温の上昇だけではなく、異常気象をはじめとした気象の変化や海面水位の上昇などをもたらし、その社会的・経済的影響の大きさ、影響の及ぶ範囲の広さなどの点で、地球環境問題のなかでも特に重要な問題として世界的に認識されており、多くの人が関心をもっているテーマである。昭和63(1988)年に設置された「気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)」は、気候変動に関するもっとも信頼のおける科学的見解を評価報告書として公表している。本書では、IPCCの報告書を踏まえたうえで、当庁をはじめとした内外の研究機関の最近の研究成果をもとに、地球温暖化についての気象庁の見解をまとめて いる。特に、IPCCの報告書にはあまり詳しく書かれていない、日本における温暖化の実態や見通しの見解についても記述した。2.1節から2.6節までに、地球温暖化に関する気候変動の実態について、2.7節には、今後の見通しについて記述した。 第3章のテーマは、「地球環境問題などにかかわるそのほかの諸現象」で、地球温暖化以外の地球環境問題などとして、多くの人が関心をもっている、オゾン層破壊、黄砂、酸性雨、海洋環境を扱っている。また、大都市における過去100年の気温の上昇の原因として、地球温暖化よりも都市化の影響のほうが大きいことから、都市環境、都市気候の変動の問題として、ヒートアイランドは重要な問題であり、3章で取り上げることにした。 -------------------------------------------------------------------------- 第二章がIPPCで述べられていない日本のことが書いてあるそうです。 あと、IPCC第三次評価報告書も要約がありました。 http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc_tar/spm.htm 我が国の気象庁も頑張っているんですね。 ご参考になれば幸いです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 最新ではないですが地球シュミレーターが計算した結果をプレスリリースしています。曰く、温暖化ガスが今の二倍の濃度になっても地球の平均気温は4.5℃を上回らないとの結果です。グラフ見ると+3℃あたりになりそうで昨今のレポートだと摂氏2度の温度上昇でも厳しい気候変動が予測されているのに厳しい予測です。ご参考まで。 地球温暖化による気温上昇量の推定精度を向上 http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/PR/0603/0301/index.html 平成18年3月1日 独立行政法人海洋研究開発機構のプレスリリースより http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/index-j.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 友人たちと「CO2へらし隊」というのをつくって、「ストップ・ザ・温暖化キャンペーン」に参加&応援をしているのですが、このキャンペーンのことを、もっとたくさんの方に知っていただきたいので、ご紹介いただけませんか? インターネットを使って、電気などの使用量を入力するだけで、CO2をどれだけ出しているか、継続入力をしていけばどれだけ減らせたか、を簡単に知ることができます。 マイアースというのが表示されるのですが、自分のCO2排出量によって、マイアースの元気さが変わっていくので、目で見て分かりやすく、全国での自分の順位や、市町村単位での順位なども分かって、はまってしまってます(*^-^*) CO2削減を目指している、たくさんの人たちがつながって、毎日どんどん減っていくCO2の数値や、どんどん増えていく参加者数が、たくさんの人を励ましていけるようになったらいいな〜と願っています。 「ストップ・ザ・温暖化キャンペーン」http://www.stop-ondanka.com/ 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ふつうは「暑い日ですねー」と言いますが、今年初めに出たジェームズ・ラブロック氏の『ガイアの復讐』という本で、温暖化を「global warming」ではなく、「global heating」という言葉で表しているのを見て、「そのうち『熱い日ですねー』というようになったらどうしよう......」と思ってしまったのでした。 (そう考えると背筋は涼しくなりますが。。。)
 

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