ホーム > 環境メールニュース > 「あちら立てればこちらが立たぬ」かも?〜日常生活でもつながりを考えよう(2006...

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年04月13日

「あちら立てればこちらが立たぬ」かも?〜日常生活でもつながりを考えよう(2006.04.13)

コミュニケーション
システム思考を学ぶ
 
「みなさん、ライオンの洗濯洗剤「新トップ」のTVCM見ましたか?」というメールが届きました。みなさんはご覧になりましたか? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【プレスリリース】2006年4月7日(転送歓迎・重複ご容赦ください) 「パーム油は環境にやさしい」と言わないで ライオン「新トップ」のCMに関する要請書を提出 国際環境NGO FoE Japan、財団法人地球・人間環境フォーラム、日本インドネシアNGOネットワーク(JANNI)など8団体14個人は、本日、ライオンに対し、「新トップ」のCMに関して「パーム油=環境にやさしい」という誤解を消費者に与えるものとして、「パーム油を使用しているから環境にやさしい」という表現を改めること、パーム油の原産地情報、及び環境社会影響を公表することを求めた要請書を提出した。 オイルパーム・プランテーションの急速な拡大は、東南アジアにおける森林減少の要因の一つとされており、大規模な森林生態系の転換、用地取得に伴う地元住民の権利の侵害、不適切な農薬の使用による水質・労働者の健康への影響、低賃金・危険作業等の労働問題などの環境・社会問題が生じている。 今回、要請を行った団体・個人は、これらの環境・社会問題が生産地において依然として生じていることを踏まえ、問題を解決するためには、選択的なパーム油の購入など消費側においての取り組みが重要であり、「本CMのように一概にパーム油は植物由来だから環境にやさしいとするメッセージは、こうした取り組みを阻害しかねない」ことを指摘している。 パーム油は世界で生産量第2位の植物油であり、日本においても、マーガリン、即席麺やスナック菓子などの揚げ油、調理用油、洗剤、塗料、インク、化粧品などの原料として広く使われている。近年はバイオ燃料の原料としても有望視されている。 添付資料1:「新トップ」のCMに関する要請 添付資料2:パーム油生産の環境社会影響について (※添付資料は、下記ウェブサイトからご覧ください) この件に関する問い合わせは下記まで。 地球・人間環境フォーラム Tel:03-3592-9735 満田夏花(みつた・かんな) e-mail: kanna.mitsuta@nifty.com ウェブサイト http://www.gef.or.jp/today/060407_lion_cm.htm 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 『地球環境と日本経済』(岩波書店)のなかで、谷口正次氏はこのように述べています。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000013890/junkoedahiro-22/249-2236589-9397157 「例えばパーム・オイルを例に挙げて具体的にお話ししましょう。琵琶湖の水が富栄養化して大きな環境問題になったとき、メーカーは無リンの洗剤に変えました。おかげで川や湖がずいぶんきれいになりましたが、この無リンの洗剤を作るのに必要なパーム・オイルはパームの6%しか歩留まりがありません。残りの94%が産地で廃棄物となります。 しかもパームを育てるために熱帯雨林を伐採してプランテーションを作ります。つまり日本の川や湖をきれいにするために、一次産品産出国である発展途上国の環境を破壊しているのです。一国繁栄主義ではなく、物事をトータルで考えなくてはいけないのです。」 システム思考は、目の前の部分だけ(または見たい・見せたい部分だけ)ではなく、全体を考えようというものの見方ですが、ここでもその重要性がわかります。 日本語には「あちら立てればこちらが立たぬ」という表現がありますが、その「あちら」だけを見たり考えるのではなく、「あちらもこちらも」考える必要があります。なぜなら世界は「あちら」だけで成り立っているわけではないからです。 特に、マスメディアなどを利用する場合には、「あちら」だけを示すと、「あちらしかない。あちらだけ考えればよい」というイメージを与えてしまう恐れがあります。 パーム油は植物由来ですから、ある見方からは「環境にやさしい」のですが、ではそのパーム油がどこでどのように作られているのか、輸送にどのくらいのエネルギーを使っているのか、といった「こちら」もあわせて考えなくては、全体として「ほんとうに環境にやさしいの?」はわかりません。 もし、「あちら立てればこちらが立たぬ」の状況なのだったら、そう伝えなくては。そのなかで「なんとかこちらも立てようと、こういうふうにやっています」と伝えてくれれば、と思うのです。 私たちも、マスコミや企業の出すメッセージやイメージを鵜呑みにするのではなく、「でもそのために、影響を受けているものは何だろう?」と考えてみること。 日常生活でも、システム思考(私はときどき「つながり思考」と呼びます)をしていくことによって、自分たちの考える力・見る力を鍛え、社会や経済を、全体として望ましい方向に向けていけるのではないかと思っています。
 

このページの先頭へ

このページの先頭へ