ホーム > 環境メールニュース > 『環境会議』春号より「地球温暖化手遅れ説:ある科学者が発した警告」 (2006....

エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年03月10日

『環境会議』春号より「地球温暖化手遅れ説:ある科学者が発した警告」 (2006.03.10)

温暖化
 
市民、自治体、NPO、学生、企業のための環境コミュニケーション『環境会議』2006年春号(2006年3月8日)が刊行されました。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W016953/1/2201000015/57144 この春号の目次は下にありますが、【地球温暖化】手遅れ説:ある科学者が発した警告 という原稿を載せてもらっています。先日配信した[N0.1167] を読まれた編集者から、お声掛けをいただいたものです。一部抜粋して、ご紹介したいと思います。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 【地球温暖化】手遅れ説:ある科学者が発した警告 1月16日に英国インディペンデント紙にジェームズ・ラヴロック博士が、「温暖化はすでに手遅れになってしまった」というメッセージを寄稿しました。ラブロック博士は、地球を一つの生命体と見る「ガイア説」で世界的に有名なイギリスの科学者です。 (中略) 残念ながら、地球の温暖化は確かに進行しています。私も講演などで、数年前までは「温暖化の防止」と言っていましたが、現在では「温暖化の抑制」を語っています。世界の科学者は、「温暖化が起こるかどうか」ではなく、「地球の温度は何度まで上げても大丈夫か」という議論をしています。 多くの科学者は、産業革命以前に比べ2℃を超える温度上昇が起こると、多くのリスクが発生すると考えています。しかし、すでに温度は0.6℃上がっており、2℃以内に抑えるためには、世界規模の温室効果ガス濃度を475ppm以内に抑えなくてはならないと多くの科学者が言っています。 現在世界では、化石燃料の燃焼によって、63億トンの炭素を排出しています。そのうち、森林や土壌が14億トンを吸収し、海洋が17億トンを吸収しています。つまり、毎年、差し引き32億トンの炭素が大気中に蓄積しており、温暖化の大きな原因となっているのです。 温暖化のこれ以上の進行を止めるには、地球が吸収できる量である31億トン、すなわち現在排出している量の半分に炭素排出量を抑えなくてはなりません。しかし、世界の炭素排出量は減るどころか増加の一途です。このまま成り行きで進むと、排出量は200億トンに達するとも言われています。 多くの科学者がさまざまな研究や実験をおこない、気温が上昇した場合のマラリアの蔓延、水不足、饑餓、穀物収穫量の減少などのリスクを指摘しています。たとえば、穀物の成長期に気温が摂氏1度上がるたびに、収穫量が10%減少するそうです。実際に、強烈な台風やハリケーンの発生頻度の増加、北極や南極、グリーンランドの溶解、氷河の溶解による氷河湖の決壊やその後の干ばつなどのニュースが世界各地から毎日のように届きます。異常気象の増加による保険会社の倒産、農業の不作など、経済面にも損害や被害が出始めています。 アメーバですら、脅威に対しては何らかの行動を取ります。それなのに、なぜ人類はこれほど大きな脅威を目の前にしても、まるで問題など存在していないかのように目をつぶって、問題の深刻化を許しているのでしょうか? 「温暖化問題はエネルギー問題」といわれるほど、温暖化は、エネルギー価格やエネルギー政策に大きくかかわっています。また、広く人々の行動を変える必要があるため、環境税や炭素税といった税制の手段が重要になってきます。そのため、経済界や政治界では、自らのマイナスになることを恐れ、積極的にこの問題を取り上げようとしません。市民の多くも、温暖化という問題は理解していても、その緊急性についてはまだぴんときていないため、「いずれ科学技術の力で何とかなるのではないか」という根拠のない希望的観測で真剣に向き合うことを避けています。 とはいえ、近年さまざまな活動がおこなわれるようになってきました。政府もさかんに啓発活動を行い、多くの家庭で、無駄な電気は消し、資源はリサイクルをするなど、「できること」に取り組んでいます。もちろん、市民レベルで「できること」から始めることは正解です。しかし、現在の温暖化の問題を解決するには、「できること」だけでは足りないのも事実なのです。「日常でできること」を超えて、大きな変革を行う必要があります。そして、歴史を振り返れば、大きな変革は可能であることがわかります。 (中略) 30年前には日本と同じく輸入エネルギーに頼っていたデンマークは、ビジョンをもって政策を進め、いまではエネルギー自給国です。 「変えよう」という意思があれば、産業界や人口、エネルギー体制を短時間に大きく変えることは可能なのです。 特に温暖化の問題に関しては、エネルギー供給の体制を大きく変革する必要があります。つい最近スウェーデンは、「2020年には石油の使用量をゼロにし、すべてのエネルギー源を再生可能エネルギーにする」と発表しました。「われわれは、技術的にも考え方としても、"石油のない世界"に対する準備をする」。スウェーデン政府は、これは地球温暖化に対する対策であるばかりではなく、今後高騰が予想されている(すでに1996年以来3倍になっている)石油価格の上昇に対応するためだと述べています。 (中略) スウェーデンは2003年の段階ですでに、全電力消費量の26%を再生可能エネルギーから得ていますが、さらに大きく進めることで、2050年までに二酸化炭素排出量を半減する計画です。英国は2050年までに二酸化炭素排出量を60%減、フランスは75%減、オランダやドイツは80%減という目標を掲げて、脱温暖化の動きを加速しています。 翻って日本はどうでしょうか。エネルギー自給率が極端に低く、石油価格の上昇の影響を直に受ける立場にもありながら、他国のように大きくそのエネルギー供給の仕組みを変えるというビジョンや大きな動きはまだ出ていません。 市民も産業界もそして政府も、ラブロック博士の地球温暖化手遅れ説を疎むのではなく、自分たちにとって意味するところを真剣に考えて取り組まなくてはなりません。 博士の不吉な予測を現実化しないことこそ、博士の望む「手遅れ説の読み方」となるはずです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 『環境会議』春号は、書店のほか、こちらのサイトからも注文できるそうです。
http://cz.biglobe.ne.jp/cl/W016953/1/2201000015/57144
目次を見ると、あれも読みたい、これも読んでみたい、という記事や寄稿がいっぱいありますね! <目次> 特集 動くことの大切さ -少しの力が流れを変える
私のポジティブアクション ■今の自分にできることを一生懸命やることの意味 木村彌一(コスモ石油 社長)
■マングローブの生命の基本はしっかり生えた根っこ 石原邦夫(東京海上日動火災保険 社長)
■地球とともにゴリエもクリーンにしていきたい ゴリエ(タレント) 企業のポジティブアクション ■小学館 海外植林事業
■ソニー・ミュージック・コミュニケーションズ GREENSTYLE
■永谷園 「A-Label」
■三菱商事 海洋生物研究プロジェクト  【コラム】産業植林から環境植林まで 海外産業植林センター それでも人類が木を植える理由 ■地球全体の運命について  加藤尚武(鳥取環境大学名誉学長)
■「たとえ明日、世界が終わりになろうとも、今日、私はリンゴの木を植える」 龍村仁(映画監督)
■文明が滅びないために必要なのは宇宙からの視点 松井孝典(東京大学大学院教授) トップアスリートのプライド
自分のためだけに生きるより幸せの輪を広げたい  為末大(陸上選手)  私の環境一日一善
大きな自然の力を思いながら手を合わせる  青龍寺弘範(住職) 本業を通じて・本業以外で社会に貢献 ▼環境は経営そのもの 本業を通じて社会に貢献
渋沢栄一の「論語と算盤」を読む 渋澤健 環境win-winの法則 ■目に見えない環境価値を顕在化する 正田剛(日本自然エネルギー 社長)
■将来あるべき姿に意識をむける 辻村忠善(中央青山監査法人 シニアコンサルタント)
■品格のない企業ではこれからの社会では生き残れません 野口和彦(三菱総合研究所) 
■社会起業家を発掘しネットワークを作る スーザン・デービス(アショカ財団) このバイヤーに注目 【米】いなげや 一般食品雑貨部・許認可商品担当 白井和生
【分譲マンション】リブラン 代表取締役社長 鈴木雄二 現場を訪問 環境コミュニケーションの舞台裏 【松下電器】荒井喜章(松下電器産業環境本部環境企画グループ環境コミュニケーションチーム)
【東京ガス】鹿野陽子(東京ガス広報部社会文化センター) 好かれる企業の環境広告 東京大学大学院特認助手 関谷直也 ▼オンもオフも活躍 本業以外で社会に貢献 【農業】 農業が自己実現の現場 南部靖之(パソナ代表取締役)
【勉強とボランティア】 祖国モンゴルの発展に貢献する力士  旭鷲山関(力士)
【デザイン】 平和の心をつないでいこう 花が咲いたピストルの絵で  徳田祐司(電通アートディレクター)
【社会活動】 社外活動を楽しむためのちょっと厳しい処世術 柴田英寿(日立製作所)
【ビジネススクール】 心のある仕事がしたい 高橋美都子(UPSジャパン)
【毎日のお弁当】 小さな箱から巨大な「食」サイクルが見える 宮腰義仁(ストップおんだん館) ニューヨーカーたちの社会的責任活動 ■社員の良心を会社が支える (日本コカ・コーラ/ゴールドマン・サックス/日本IBM)
■世界一流大学の条件 エール大学 コミュニケーションが環境を変える ■言葉と環境:発信者の品格が一流の表現を生む 朝倉勇(コピーライター)
■インターネットで地球を救うアイデア 菅文彦(ヤフー 社会貢献企画) 
■ソーシャル・イノベーションを生み出す ソーシャル・イノベーション・ジャパン(SIJ)+土肥将敦 
【スターバックスコーヒー】イチロー・スターバックスカード
【ザ・ボディショップ】ストップ・バイオレンス・イン・ホーム・キャンペーン
【フェリシモ】チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト
【グラクソ・スミスクライン】3つの疾患に特化したソーシャル・プログラム ■誰もが"地球の番人"になれる方法 デザインが持つ可能性 ■自然から学ぶクリエイティブ プロダクトの解剖グラフィックデザイナー 佐藤卓
■ユニバーサルデザイン世界紀行 イタリア編 日本ユニバーサルデザイン研究機構
■ホスピタリティの風景がある病院へ お茶の水・井上眼科クリニック 環境を一緒に考える教育 ■プロジェクト環境教育 -身近な土で絵を描こう!
■子どもの視点で見つめる環境 グリーンマップ活動を支援
■環境問題に対する心のシャッターを切ろう
■子ども達と社員との交流から生まれる高い環境意識 社会人なら知っておきたい環境リテラシー 【問題の背景】 個人と企業と地球の幸せにむけて 小林紀之(日本大学法学院大学教授)
【目標数値】  長期・中期・短期で考えて前進  蟹江憲史(東京工業大学大学院助教授)
【企業と議定書】削減目標を達成するための道筋  大塚俊和(NTTデータ経営研究所)
【リスク】 欧州保険会社が発表する自然災害リスク額 末吉竹二郎(国連環境計画・金融イニシアティブ)
【地球温暖化】 手遅れ説:ある科学者が発した警告  枝廣淳子
【水】 "選ばれる水道水"地域水道ビジネス 保屋野初子  Watch The World!
中国南西山岳地帯/マダガスカル島/スマトラ/ロシア/サハリン/ベトナム/セント・クロア/オーストラリア 良識ある社会人になるための本
渋澤 健(シブサワ・アンド・カンパニー)/河口真理子(大和総研)/野田研一(立教大学) 地球ニュース
日本ニュース
環境で学ぶEnglish ウォルマートの環境保全は善か悪か?
BOOK REVIEW
参考文献リスト
 

このページの先頭へ

このページの先頭へ