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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2006年02月02日

対談「和綿を守ろう」、再生綿の「やさしいお座布団」の販売を始めました (2005.04.13)

日本のありもの探し
 
2004年3月に開催されたカタログハウス主催の「環境セミナー」の「和綿を守ろう」で、聞き手役を務めました。そのセミナーが冊子になりました。私が登場させてもらった回の引用を許可してもらったので、ご紹介します。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 自給されなくなった「和綿」を守ろう 〜和綿の文化を次世代につなげたい 明治中期ころまで、100%近かった綿の自給率は、いまやほとんどゼロ。安い輸入綿に座を奪われたからです。日本の風土に合った和綿を残したい......。和綿農園を営む田畑健さんと枝廣淳子さんの対談です。 田畑健さん(鴨川和棉農園代表) 枝廣淳子(環境ジャーナリスト) 枝廣 田畑さんが和綿に取り組みはじめた当時、日本で綿を育て製品をつくる文化は途絶えていたと思いますが、綿について教えてくれる人はいましたか。 田畑 日本国内を探したら、綿をつくっている人、糸を紡いでいる人、機を織っている人は、わずかでしたがいました。でも、綿打ちはすっかり途絶えていたんですね。そしたら、インドで綿打ちしているところを見たと聞いて、すぐにインドへ行き、ガンジーさんのアシュラム(精神修養の場)でチャルカ(糸車)や綿打ちを教えてもらいました。 枝廣 『ガンジー自立の思想』という田畑さんが書かれた本があります。ガンジーは日本でもよく紹介されていますが、綿とはどのようにつながっているのでしょうか。 田畑 ガンジーは「非暴力思想は、チャルカを抜きには100年かかっても理解できないだろう」と言っています。近代機械文明が社会を破滅に導くと言うのです。イギリスの産業革命のときに生み出された機械は、「機(はた)」の「械(からくり)」で、大量に布を安価につくり出すために発明されたものでした。機械が大量に物をつくり出せば出すほど、各国の利害が衝突して世界の平和が崩れると100年近くも前から警鐘を鳴らしていたのです。 枝廣 日本も機械を開発し、近代化を進める過程で、いろいろなものを失ってきました。そのひとつが和綿です。今、日本では、綿はほとんど輸入です。明治中期ぐらいまでは、ほぼ100%自給していましたが、昭和20年代には0%近くになってしまいました。綿も地産地消というか身土不二だと思いますが、和綿と米綿、エジプト綿との違いを教えてください。 田畑 和綿は、米綿、エジプト綿に比べて低温で育ちます。エジプト綿は温度が高くないとできない。日本綿は比較的繊維が短く、太めの糸ができるので、少し厚手のしっかりした感触の布になります。エジプト綿は繊維が長いので細い糸ができ、薄い布ができる。米綿は、育つ気温も繊維の長さも、和綿とエジプト綿の中間です。日本のように低温で湿気があるところではしっかりした服地がいいし、高温で乾燥しているエジプトは薄手の服がいいというふうに、その土地でよく育つ綿から、その土地の気候風土に適した服地ができるのです。 枝廣 それが今は、値段、見栄え、手触りなどで選んでいる部分が確かにありますね。昔は、農水省で200種類の和綿の種を保存していたそうですが......。 田畑 高度経済成長のとき、安い綿が輸入されるようになって廃棄してしまいました。僕も綿に興味を持った20年前から、種の保存をしていれば、もっとたくさんの地方品種が保存できていたはずです。本当に悔やまれます。 枝廣 和綿の種は、とっておくだけじゃダメで、毎年植えないと保存できないんですね。 田畑 収穫の翌年に植えれば、100%芽が出ます。翌々年に植えると30%ぐらいの発芽率で、3年目は1%ぐらいです。2001年に、これ以上、種をなくしちゃいけないと思って、「和棉の種を守るネットワーク」をつくりました。全国の40人ほどが協力してくれたおかげで大分増えて、今は40種くらい保存していま す。ひとつのコットンボールに20個ぐらい種が入っていて、1本の木に20から30個のコットンボールができるから、1粒の種で200から400ぐらいの種ができるわけです。種は絶滅しちゃうのも早いですけど、増えるのもすぐなんですよ。 ●綿作農家、手紡ぎ、手織りを経済的に成り立たせたい。 枝廣 綿の栽培には水をたくさん使います。綿を輸入するということは、それだけ海外の水を取ってきてしまっているということです。今、世界的に水不足が大きな問題になっています。水が豊かな日本で綿をつくれるのなら、少しでも自給率を上げて、海外から綿の形で輸入する水を減らすことも大事です。 また、綿を効率よくつくろうと思うと、除草剤や殺虫剤といった薬品を使うことになります。コットンボールを機械で刈り取ると、茎や葉っぱの緑色が綿についてしまって真っ白になりません。それを防ぐために、枯葉剤で葉っぱを枯らして、綿だけ収穫することも行なわれています。枯葉剤は、非常に毒性の強いものです。 ほかにも製品化の途中で、漂白剤などいろいろな化学物質を使っていると言われています。最近、除草剤や殺虫剤の代わりに綿を荒らす虫の天敵を連れてきて守ったり、枯葉剤をまかずに手で摘んだりしてつくっているオーガニックコットンが出回っています。現在のところ、海外のものが多いようですが、和綿のオーガニックコットンで何か新しいプロジェクトはありませんか。 田畑 種を守るだけでは和綿のよさは伝わらないし、綿をつくるだけでは経済的に成り立ちません。僕は、もう一度、綿作農家を成り立たせて、手紡ぎ、手織りで製品をつくりたいと思っています。綿づくり、手紡ぎ、手織りにも、生活できるだけのお金が回るようにしていきたい。お年寄りに任せるのじゃなくて、若い人が担っていくようにしたい。そうしなければ、綿の打ち方、糸のつくり方など、1000年以上もつづいてきた日本の大事な綿づくりの文化が途絶えてしまいます。 それで、オーガニックコットンを販売している会社と提携して、和綿を使った製品をつくろうとしています。僕たちの製品を買って使ってくれる人と輪ができれば、また日本の綿が復活していくかなと思っています。 枝廣 経済的に成り立たないと、いくら環境にいいこと、文化的に大切なことといってもつづかないですよね。製品化したものを買う人がいて、お金が回っていかないといけないんだなと思います。チャルカのように、輪をつなげる活動ですね。 田畑 和綿は綿打ちしたもので1キロ1万6000円です。輸入品は1キロ700円から1000円ぐらい。これだけ違いがあります。でも、1万6000円で売っても、時給にすると600円弱の計算なんです。一度、自分で種をまいて収穫して、糸を紡いでみていただきたい。そうすれば、和綿の価値がわかるはずで す。 枝廣 環境問題をやっていて思うんですが、一人ひとりが自分の頭で考えて、自分で選ぶようにならないと問題は解決しないと思っています。綿の話も同じです。自分が使っている綿はどこのものなのか。綿の歴史、綿にまつわる問題点を知ったあと、何を選ぶのか。それぞれの立場で、応援し支えていく方法を探っていただければと思います。 (キャプション) セミナーの前半は田畑さんによる綿繰り、綿打ち、糸紡ぎの実演。田畑さんの奥様が手織りも見せてくださいました。 弓で綿を打つと繊維がほぐれて、ふわふわになる。次々と姿を変えていく綿に、参加者からは歓声が......。 (プロフィール) たはた・たけし 1951年東京都生まれ。日本綿栽培、自然卵養鶏、無農薬有機野菜・米づくり等の農的暮らしを営む。コットンボール銀行参与。「和棉のタネを守るネットワーク」事務局長。編著に『ガンジー自立の思想 自分の手で紡ぐ未来』(地湧社刊)がある。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 最後に「それぞれの立場で、応援し支えていく方法を探っていただければと思います」と発言しましたが、自分の立場で応援できる方法は何かな?と思っていました。そうでした、このセミナーの対談のもともとは、「回収ルートを辿る旅」で「布団」を取り上げたことでした。 (この取材も参考にして、布団のエコロジーについて子ども向けに書いた記事は、[No.1045]にあります。また、田畑さんとの出会いや見せていただいたこと、考えたこと(ガンジーも含め)は、[No.962] にあります。ご参考まで) 取材では、もう要らないと捨てられたけど、まだまだ使える綿を何とか再生し、使おうと取り組んでいる方々にお話をうかがいました。再生の技術はあるのに、そうして再生した綿が使われないという「リサイクルの出口」の問題が大きいことを教えてもらったのでした。 ゼロよりマシ(better than nothing)程度だろうけど、小さな出口のひとつを作ることができる......。そう思って、イーズのショップで「やさしいお座布団」を扱わせていただくことにしました。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 http://www.es-inc.jp/shop/index.html 不要になった布団綿を大事に再生し、おしゃれなコットン生地で仕立てました。地球も人もほっとするやさしい座布団です。 いつから「布団は使い捨てる」ものになったのでしょうか。かつては「打ち直し」をしながら大事に長く使っていたのに、今では「布団ゴミ」として大量に廃棄されています。 カタログハウスの『通販生活』の「回収ルートを辿る旅」の連載で、布団の取材に行ったとき、山積みになっている「要らない(と所有者が言った)布団」を見て、「ああ、もったいない!」と思いました。だって、まだまだ新品同様のものもいっぱいあるんですもの。 そして、同じように、何年もまえから「もったいない!」とカタチにし、伝えることに燃えている親松寝具店の親松さんに出会いました。熱い方です! 東京都江東区にある親松寝具店は、江東区の寝具店3店と平成11年2月に「江東区ふとんリサイクル推進協議会」を立ち上げました。インターネットでも打ち直しの伝統をアピールするかたわら、リサイクル綿で素敵な座布団を作っています。 「最近、打ち直しの依頼が増えているんですよ。特に若い人がね、インターネットで検索をしてメールをくれるんです。打ち直しをした布団を送ると、感激しましたとお礼のメールが届いたりして」とうれしそうな親松さん。その親松さんが腕によりをかけて作ってくれる愛情たっぷりのやさしいお座布団です。 もちろん、イーズの事務所でも私のパソコンまえの椅子も、出会って以来、親松さんのお座布団を使わせてもらっています。このお座布団に座ったら、やさしい思いを馳せることができそう。ソファーや椅子にもぜひ、マイ・座布団をどうぞ。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「やさしいお座布団」 ●品質表示 サイズ(側生地サイズ):45x45センチ /側生地:綿100% 中わた:再生わた100%(オゾン処理済) (リサイクルわたのため素材表示は出来ません) ●製造販売元 エコふとん、環境配慮寝具制作 親松寝具店 東京都江東区猿江1-3-7 ●綿柄の紺、ベージュ、生成の3種類 ●価格 綿柄 1,890円 生成 1,365円 よろしかったらぜひ使ってみて下さい〜。 私はかつてガンジーの関係の本を翻訳したことがあり、そのときに、学生時代以来でしたが、ガンジーの伝記や関連書をいろいろと読みました。そのなかに、田畑さんのお書きになったものがあったのでした。それから数年して、その方とお会いできたことも本当にうれしいことでした(もう一度ガンジーの本を読み返していきました!)。 そして、こうしてその旅で出会った親松さんの商品を扱わせてもらえることも本当に幸せなことです。人生も人との縁もつながりだなぁ〜と思います。 そのつながりのきっかけを作ってくれたキューピット役がカタログハウスです。冒頭に紹介したセミナーの冊子には、田畑さんと私との対談のほかにも、2004年に開催したカタログハウスの学校の19講座が収録されています。 夏号で買い物をされた読者先着7万名に商品同送でプレゼントされるそうですが、ご希望の方は1冊当たり180円切手を同封して以下に申込むと送ってもらえます。 151-8674 代々木郵便局私書箱65号 カタログハウスの学校・2004年版係 目次をご紹介しておきますね。ピンときたら、何かにつながるかも!(^^; 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 Part1環境セミナー 1 江戸のエコロジー、江戸の意気 石川英輔さん(作家)柳家さん喬さん(落語家) 2 9.11以後の世界を「宗教」で読み解く 中沢新一さん(宗教学者・中央大学教授) 3 いのち・イラクの子どもたちへ 鎌田實さん(諏訪中央病院管理者) 4 里山を守る〜間伐材利用の新しい取り組み 島崎信さん(インテリアデザイナー・鼓童文化財団理事長) 関原剛さん(協同組合ウッドワーク) 5 素性のわかる食品を選びたい 加倉井弘さん(農政ジャーナリスト・元NHK解説委員) 6 映画上映「白神の夢―森と海に生きる―」 小池征人さん(映画監督) 7 森林を救うバナナペーパー 森島紘史さん(名古屋市立大学大学院教授) 8 日本の農を食す 山下惣一さん(農民作家) 9 自給されなくなった「和綿」を守ろう 田畑健さん(鴨川和棉農園代表) 枝廣淳子さん(環境ジャーナリスト) 10 尾鷲の「美しい森」が日本の林業を変える 速水亨さん(林業家) Part2暮しのセミナー 1 更年期や生活習慣病に打ち克つ「粗食」のすすめ 幕内秀夫さん(管理栄養士) 2 「ニットの貴公子」の手作りはあたたかい 広瀬光治さん(ニットデザイナー) 3 テレビのスイッチを消してみよう 岩城敏之さん(キッズいわきぱふ代表) 4 【ゆめ・風基金主催】ゆめ風であいましょう 谷川俊太郎さん(詩人) 永六輔さん(放送タレント) 小室等さん(ミュージシャン) ピーコさん(ファッション評論家) 5 小室等の聞きたい聴かせたい 吉永みち子さん(作家) 小室等さん(ミュージシャン) 6 大野隆司の「谷中安規」 大野隆司さん(版画家) 八坂喜代さん 7 My favorite Tools―好きな道具とともに暮らす― 平松洋子さん(フードジャーナリスト・エッセイスト) 8 自転車世界一周を支えたもの 坂本達さん(㈱ミキハウス社長室人事採用担当) 9 日本の伝統「手遊び」 藤田石根さん(日本のお手玉の会会長) 薗部光伸さん(日本折紙協会会員) 武内元代さん(『あやとり全集』編者)
 

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