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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2005年06月21日

ロンドンだより(2) ロンドンの街で思うこと(2000.12.28)

世界のわくわくNews
 
ロンドンと郊外で1週間弱過ごして帰国しましたが、成田から自宅までの電車の窓から外を見ていて痛感したのは、「日本って、開発途上国なんだ!」ってことでした。 だって、あっちでもこっちでも、工事をしているんだもの。宅地造成、ビルの建設・改装、電車の複々線化その他。「街の基盤」を整え中、または手直し中、という落ち着かなさを感じました。ロンドンでもその郊外でも、「街の基盤」はどっしりと動かず、その上で賑やかな人々の行き来や商業が繰り広げられているというイメージでした。この"ギャップ"が際立っているので、日本の開発途上性?を感じたのでした。 それからロンドンでは自販機にお目にかかりませんでした。もうひとつ、これは良いことですが、日本では自転車に乗っている人が多いということにも気づきました。ロンドンではほとんど見かけませんでした。そういえば、ヨーロッパからのある使節団について通訳していたときに、彼らも「東京って自転車がいっぱい走っているね」といっていましたっけ。確かこれから作る道には自転車専用レーンを設けること、という法律ができたように思います。こういうことはどんどん推進してほしいですね。 最終日に少し時間があったので、クリスマス前のロンドンの街を歩きました。賑やかでした。レストランでは、たくさんの大人が紙のトンガリ帽子をかぶって、あちこちのテーブルでクリスマス・ランチ。「クリスマスといっても、もう宗教的な意味合いはなくてね。単なる商業のお祭りですよ。あちこちにプレゼントを買わないといけないから、12月は忙しくて仕事にならないよ」と知り合いの英国人がつぶやいていましたっけ。 街角の大きな立て看板には、本物の犬とヌイグルミの犬が並んだ写真に、For a dog, it is for life, not for just a Christmas.とコピーがついています。「ワンちゃんにとっては、一度のクリスマス用ではなくて、一生の問題なんです。って感じでしょうか。たぶん、クリスマスのプレゼントに買われて贈られたものの、捨てられちゃうペットが多いのでしょう。愛護団体のアピールだと思います。 地下鉄に乗って、「日本の電車や地下鉄も取り入れたらいいのに」と思ったのは、座席をひとり分ずつ、肘掛で区切ってあることでした。(お相撲さんには迷惑でしょうけど) あれがあれば、「座席は詰め合わせて下さい」と車掌さんががなりたてる必要もないでしょう。メールニュースに以下のように書いたことがあります。 また「取り組みの種類」についても、話をしました。というのも、取り組みを考える際に、「社員の意識改革をして、頑張れ〜!とやらせる」というものが多くなりがちな気がしていたからです。「昼休みの消灯」もそうですよね。これは「言うは易し、行うは難し」となりがちでもあると思っています。特にちゃんと社員に説明し、納得して行動するようにしておかないと、「やれ〜!」だけの世界になってしまい、往々にして挫折(目標が達成できない)しがちです。 そこで、「取り組みには、2種類あります」と話しました。「人を変える」「モノや環境を変える」です。 「人を変える」のは、なぜ必要かをしっかりわかってもらって「頑張れ〜!」と動かすということです。これが有効なのは、会社にとどまらず、その理解や行動が家庭や地域に広がっていく可能性があるからだと思っています。 もうひとつの「モノや環境を変える」というのは、人の行動は同じでも、環境負荷を下げる方法が考えられないか、ということです。たとえば、省エネ型電球に取り替えれば、たとえ「電気をつける」という人の行動が変わらず、照明時間が変わらなくても、環境負荷(=電力代)を減らすことができます。 また、テレビなど主電源を切ればよいことがわかっていても、コンセントが手の届きにくいところにあったりして、なかなかやりにくいことがあります。私の家でも使っていますが、そういうときに便利な道具(たとえば、4口コンセントで、それぞれの差込口ごとにスイッチがついているもの)の助けを借りれば、それほど「頑張れ〜!」といわなくても、主電源を切りやすくなります。 もちろん「人の意識」も変え、しかも行動しやすい「環境」にしていくことがいちばんだと思います。 座席を詰め合わせることについては、「道徳として」座席が区切られていなくても当然すべきこと、という考えもありましょう。その道徳の教育係をいまは車掌さんがやっているようですが、あまり効果はないですね。つまり、効果がある人には効果を発揮しているのだけど、効果のない人 (耳を貸さない人)はいくら「詰め合わせて・・・」と車内放送をしても聞かないのですね。だったら、物理的に座席を区切っちゃえば?という考え方もあります。 米国や英国の街を歩いていて面白いのは、いろいろな英語表現に出会えることです。オーメンがかかっている映画館の看板には、恐ろしげな字体で「Spine Chiller」と書いてありました。spine は脊椎・背骨ですから、「背骨を凍らせるもの」、つまり「背骨が凍るほど怖い映画です」って感じ。コワイとやっぱり背中がゾクゾクするのでしょうね。日本では「背筋がぞっとする」ですね。 「これから、"背筋が寒くなるような話"というのは、 a spine-chilling story って言えばいいんだ〜」と思いながら(職業病?) 通り過ぎました。 余談ですが、このように身体に関係する表現はけっこう日英共通のものがあります。「面子を守る」といえば、英語でも save one's face です。 でもそう思っていると失敗することもあります。たとえば、pull one's leg は「足を引っ張る」ではなくて、「からかう、かつぐ」ってことです。 通訳の友達が、「友人のアメリカ人が日本語を習っているのよ。けっこう上手なんだけど、この間『いやー、もう大変で、踏んだり踏んだりでした』というから、『それは、踏んだり蹴ったり、よ』と訂正してあげた〜」というので、大笑いしたのですが、ふと「でも私たちも英語できっと同じようなこと、やっているよね」と真顔になったのでした。 最後に、我が家の近くの評判のケーキ屋さんの記事が読売新聞地方版に載っていましたので、ご紹介します。本当においしいんですよ。そしてお値段はとっても良心的。いつもお店には列ができていますが、温かい雰囲気のお店です。 店主はヨーロッパで5年間修行を積み、新宿中村屋に勤務後、開店しました。40歳。「よき相談相手の妻真弓さんを含め、職人は20人。『作りたてを提供すること』が信条のため、一店舗での店頭販売だけ。『みんなで楽しく仕事をするため、店は年間96日休みます』と白い歯を見せる。今後の目標。『できれば店の規模を小さくして、職人の給料を上げ、休日を増やしたい』。ケーキの味同様、考え方も一味違う。」 いいなぁ、この目標。またここのケーキが食べたくなりました。
 

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