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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2005年06月20日

「環境とエネルギーの授業」(2)-こどもたちの発表(2000.12.01)

反響BEST10
 
さて、当日。体育館の壁にはポスターがたくさん貼ってあります。(予想通り)お母さんたちも20人近く見に来ています。授業が始まりました。前半は1組が説明役で、自分のポスターのまえに立って、何人かお客さんが集まると発表します。2組はあちこちの発表を聞いてメモを取る聞き役。後半はその逆でした。 聞き役の子どもたちはいくつかの場所に偏りがちなのですが、その辺りはお母さんたちが(お客の少ないところへさりげなく回って)バランスを取っていました。 子どもたちの発表のレベルはとても高く、私もいろいろと勉強させてもらいました。一人で調べ発表している子もたくさんいましたし、関心が共通している子どもたちは2人ぐらいでグループで発表していました。 (最近話題の ^^;)原子力発電についても、何組か取り上げていました。ポスターのグラフを見ると、「日本での原子力発電は1973年から、急増している」ことがわかります。現在「電力の3分の1をまかなっている」こと(事実ですが)が「変えようのないこと」のように言われることもありますが、少し前まではゼロだったこと、73年以降は、電力総需要の増加以上に原子力が増えていることがよくわかりました。 どの発表でも感心したのは、ポスターに沿って内容を発表した後に、調べた自分の感想を述べるのですね。 私が聞かせてもらった原子力研究の少年2人組はそれぞれ、「原子力発電には良い点もあるが、悪いものがでるので、でないようにしてほしい」「二酸化炭素を出さないので、もっと増やしてもよいと思う」と、最後に述べていました。 あと、フィルムケースで風力発電の仕組みを作った少年たちもいて、回して見せて、つながった電力計の針が動く様子を見せてくれました。風力の仕組みを説明して、最後に「風が吹かないと回らないので、ソーラーなどと組み合わせて使うのがよいと思います」と。 あちら側では、ソーラー発電の発表です。ポスターがまずステキでした。タイトルは「太陽のすごすぎるエネルギー」(きもちいいー、とイラスト付き) "太陽とぼくたち"として「太陽の光が当たると、とっても気持ちがいいですね。もし太陽がなくなったらどうなるでしょう。とても大変ですね。このエネルギーはどのくらいのパワーなのでしょう」として、「1年のうち1時間蓄えれば、残りの364日23時間はそのエネルギーで暮らせる」とソーラーパワーの潜在力を説明してくれました。 彼は「曇や夜には使えないけど、充電すれば大丈夫です。でも太陽パネルで火力発電所の代わりをしようとすると、関東地方と同じ面積が必要となります」と、わかりやすく説明してくれて、最後に「ちっちゃくていっぱい電気を作るソーラーパネルを発明すれば普及すると思います」と結んでいました。 女子2人組は、自動車を取り上げ、プリウスの紹介(トヨタが子ども向けのマンガによる活動の説明書を出しているのですね)のほか、アイドリングストップを説明していました。アイドリングストップバスというバスがあることを初めて教えてもらいました。自然にアイドリングを止める?仕掛けになっているそうです。 彼女たちは近くのバスの営業所に電話して、バス全体のなかでこのアイドリングストップバスが何台あるか、調べていました。81台中8台という営業所と、 65台中10台という営業所の答えだったそうです。 発表後「何か質問はありますか?」と言ってくれたので「このバスは、外から見てもわかるのですか?」と聞きましたら、「わかりにくです。排気ガスを外に出す部分(マフラー、でしょうか?)が違いますから、止まっていればわかります」とのこと。今度観察してみようっと。 野生動物の研究をした女子グループが最後に訴えていた「森林(地球全体)を人間の物だと思わないで下さい」というメッセージも心に響きました。たくさんの大人に見てもらわなくちゃ! 全体的に見て、男子児童はエネルギー系、女子児童は森林やごみ、省エネ関係が多いような印象でした。もちろん例外もたくさんありましたが。 テーマは幅広く、温暖化、酸性雨、リサイクル、エコマーク、絶滅などのほか、自分の小学校の電気量を調べたり、ちゃんと省エネしているかのチェックをしているグループも。町のあちこちにガーゼをしばらくぶらさげて、その汚れ具合から、自動車による汚染を調査したグループもありました。 発表のやり方も、ポスターだけではなく、レモン電池の実演や、紙芝居を取り入れたり、アンケートに記入してもらったり、○×の札を見ている人に持たせて、○×クイズ形式で進めたり、いろいろな工夫が楽しかったです。 聞き手の子どもたちも熱心にメモを取っており、リサイクルのグループの発表者が最後に「この研究をして、リサイクルは地球にやさしいことがわかりました」と感想をいうと、「前は違ったの?」というスルドイつっこみも。 時間が足りなくて、全部の発表を聞くことはできませんでしたが、とても楽しく勉強になった授業でした。省エネグループのポスターを眺めていたら、発表者の女の子が「省エネQ&A 読むと勉強になるよ」というチラシを渡してくれました。おみやげまで嬉しいな。 そのひとつに「冷暖房の温度は何度を目安に?」という項があって、「暖房なら20℃、冷房なら28℃が目安です。設定温度はひかえめに。暖房時2℃低めに設定すると約10%、冷房時2℃高めに設定すると約20%電気代が節約できます」「これからはエアコンやヒーターを使う時期。ぜひためしてみてネ」とありました。皆さんもぜひ、ためしてみて下さい! 授業終了後、参観されていた校長先生に「私が枝廣です」と名乗り出ました。当該学年の父兄でもない人間の参加に驚かれたのではないかと思いますが、喜んで下さり、そのうえ「今から、この授業についての研究会を職員で開くのですが、よかったら環境の専門家としてお出でになりませんか?」と誘って下さいました。 厚かましい?私は喜んで、講師の先生(他校の先生)を交えての先生方の熱心な討議や、その後のお茶会にまで、ご一緒させてもらったのでした。
 

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