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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2005年05月17日

地球環境問題-その根本的原因と解決策(1)(2000.01.03)

大切なこと
 
環境メールニュースを立ち上げた後、ある方から、次のような点を取り上げてほしい、とメールをいただきました。 ・地球環境問題の全体像を 示して頂けますか ・どんな理論 考え方/試み 活動が あるのでしょうか ・効果のある試み 活動は どれですか ・大局的な 私達の行動指針 は 何ですか 私の書いている環境ニュースすべてが、上記の点のどれかに関連していることはもちろんなのですが、体系的にまとめて書いたことはありませんでした。 そこでこのニュースでは、現在の私なりの考えをまとめて書かせていただくことにします。まだ「発展途上」の考え方ですので、インプットやフィードバックをどしどしお寄せいただいて、さらに考えを進めていきたいと思います。 不完全ながらも「大枠」の見方を共有していただくことで、今後取り上げていく「個々の技術や考え方」「それぞれの取り組み」をその中に位置づけながら、そして「本当にこれは役に立つのだろうか?」と評価しながら読んでいただけることを願って、試みてみたいと思います。 私の理解している地球環境問題の全体像は、極めてシンプルなものです。つまり、 人口増加(X富裕層の増大) X 世界経済の拡大 → 地球が「つぶれちゃう」 ではどうしたらよいのか? 地球の上に乗っかってどんどん大きくなっているモノを小さくすればよいのです。つまり、 (1)人口増加をできるだけ減速させ、一刻も早く人口安定に近づける。 ・発展途上国の人口増加に歯止めをかける国際政策、国際協力を推進する。 ・人口の安定に成功した日本は、社会システムを変えることで少子化に対応し、無理に人口を増やそうとしない。 (2)すでに豊かな先進国はもちろん途上国や中進国も「できるだけ小さい環境負荷で豊かになる/豊かでいる」道を探る。 ・これまで「イコール」で相関すると考えられていた「幸せ」と「物質的所有」を切り離す。 ・途上国は一足飛びに環境負荷の少ない豊かさを実現できるよう、最大限最新技術を活かす。 (3)現在の経済のあり方を変える。 ・「イコール」で連動すると考えられてきた、「経済拡大」と「資源の大量消費 /廃棄物の大量排出」を切り離し、「環境負荷を低減する方向」に経済をシフトしていく。 様々な理論や考え方、活動や取り組みがこの(3)に関して、つまり経済の環境負荷を低減するために提唱され、展開されています。本質的で効果がある取り組みもあれば、枝葉末節/重箱の隅的アプローチで、本当に役立っているのかわからない考え方もあるように思えます。 「本当に役立っているか」どうかをどのように評価・判断するのか? 私の答えはやはり簡単で、「物理的な環境負荷を本当に低減しているか?」ということです。 つまり「取りすぎ・出しすぎ」の現在の経済に対して、「取る量を減らす・出す量を減らす」ことにつながっているか? ということです。地球に負荷をかけているのは、イメージや情報ではなく、物理的に「何かを取り出すこと」「何かを排出すること」なのですから。 この点で、もっとも有効な考え方は、「そもそも経済に投入するもの(=地球から取り出すもの)を減らそう」というアプローチだと思います。 「資源生産性」を向上することでこの目標を達成しようとする「ファクター4/10」、そして、すでに経済に存在する「地上資源」のリサイクル・循環を通じてこの目標を達成しようとする「ゼロエミッション」、「循環型社会」が組み合わさって効果を発揮し始めたら! 「湯水のように」資源を消費しなくても、同じレベルの豊かさを実現できることに多くの人がビックリするのではないか、と思います。 最後に「私たちの行動指針は」という点について。 (1)環境負荷の少ない生き方をする。 人間は生きている限り、環境負荷を与え続けています。環境負荷を出すことは必然です。ただ、同じ目標でも達成するための方法を選ぶことで、「どのくらいの環境負荷を出すか」はコントロールすることができます。たとえば、歯を磨く時に「コップを使う」か「水を出しっぱなしにする」かは選べます。 (2)全体を総合的に考える。 環境負荷を考えるときに、「製造から廃棄までのライフサイクルを通して」「包装などの周辺も含めて」考え、「代替プロセスの及ぼす環境負荷もきちんと評価する」ことが大切です。 (3)想像力を発揮する。 自分たちの使うモノや買う物の"来し方行く末"にちょっと思いを馳せるようにすれば、今は見えにくい様々なつながりを回復し、自分の「指先ひとつ」の行動や選択がどのような環境負荷を与えているのか感じられるようになると思います。 (4)循環の環を何重にも重ねていく。 「循環型」に近い英語に close the loop(環を閉じる)という言葉があります。このループは、個人のレベルから、家庭やオフィス、事業所や企業、業界や社会と、いろいろなレベルで何重にも重ねていくことができるのだと思います。 そして実は、ループが小さいほど効果的・効率的に循環ができるのだと思います。「着物を仕立て直して何代も着る」「昔は新聞紙も徹底的に使ってから捨てていた」という家庭内のループ、社内便の封筒を何度も再利用する会社内のループなど、皆さんの回りにもいろいろとあるのではないでしょうか。または考えられるループもあるのではないでしょうか。 自分の近くからループを作り、そして業界や社会のループに参加することまで、波紋のように何重にもループを拡げていければと思います。そうしてはじめて、たとえば「古紙リサイクル」の環を閉じるには、古新聞を回収所に出すだけではなく、再生品を積極的に購入しなきゃダメね、ということも実感としてわかってくるのではないかなぁ。 最後に私の持論ですが(^^;)、地球環境を意識し、環境問題に取り組むことは「癒しのプロセス」ではないかと思っています。お互いに依存しながらこれまで分断され、見えていなかった「絆」を取り戻し、「思いやる心」を社会に回復する試みだ、と。 トイレで紙を使うときにも、トイレットペーパーの生まれや故郷に思いを馳せ、流された後の行く末をちょっと想像してあげれば、「もったいないことであるぞよ、ありがたや」と、とても無駄遣いなどできないのではないか?と思うのです。 「情報ネットワーク」をキーワードに幕を開けた新しい1000年紀。 「いまここに、この製品があるためにどんなドラマが展開されたのか。これが私の手を離れたら、どんな人生(物生?)を送るのか」と、ひとり一人の心の中にも「思いのネットワーク」が拡がっていけば、地球環境問題も社会問題も教育問題も、ずいぶん解決の糸口が見えてくるのではないかなぁ。
 

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