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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2001年06月01日

「保全生物学」(2001.06.01)

生物多様性
 
[No.476] で生物多様性に取り組んでいる団体などをご紹介しました。もうひとつ、忘れちゃイケマセンよ、という情報を寄せていただきました。 「ザ・ネイチャー・コンサーバンシー」です。アメリカに本部をおき、 100万人以上の会員数を要する世界でも最大級の環境保全団体。50年以上の活動実績を持っており、世界中に自然保護地区を保有しており、世界中の生態系を独自の科学的方法により優先順位をつけた上で効果的な保全活動を展開しているそうです。 詳しい情報は、 http://nature.org/ http://tnc.or.jp 教えてくださってありがとうございます。 それから同じニュースでも取り上げた「保全生物学」を調べていたら、どういうものかを簡潔にまとめたページがありました。 http://ecol.zool.kyoto-u.ac.jp/homepage/aya/hozen.html 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 保全生物学とは、生物の多様性を保全していくための、総合科学のことである。現在、地球上のあらゆる自然環境に対して、人間は何らかの影響を与えており、生物相の多様性が減少していっている。その減少を食い止めて、多様性を保全していくためには、人間が与える影響を調べて、人間社会の仕組みをどのように変えていけばいいのか考える必要がある。 そのような学問として環境社会学や環境経済学などがある。一方、生物相の多様性の構造や生物間の相互作用の関係を調べ、維持するための理論や方法を提案するのが、保全生態学である。このように、保全生物学とは、生物多様性の減少に危機を抱き、どうにかしなければという、使命感にあふれた総合科学なのである。 なぜ、生物の多様性を守っていかなければならないのか。 その理由として大きく2つある。1つは、人間にとって、生物資源としての直接的価値があるからである。それは、魚や野菜などの食料や石油などの燃料、建築のための資材などである。これらは、生物多様性を低下させる原因である人間による環境破壊によって、減少してしまうため、多様性の保全はこれらの安定的確保にもつながる。 もう1つは、生物資源としての間接的価値である。例えば、森の中でのレクリエーションや、将来医薬品などとして価値があるかもしれない未知の生物の事である。そして、間接的価値の中で大切なのが、生物多様性の「存在価値」である。これは、人間にとっての利用価値ではなく、「人間を含めたあらゆる生物は、自然の一部であり、すべての生命は尊厳をもって考えられるべきである」という考えにもとづいた倫理的価値である。つまり、他人に対して尊厳をもって接しようというヒューマニティーあふれる価値観から生まれたものなのである。この価値観は徐々に社会に受け入れられてきている。 参考文献 「保全生態学入門」 鷲谷いづみ 矢原徹一 著 文一総合出版(1996) 「保全生物学」 樋口広芳 編 東京大学出版(1996) 「レスター・ブラウン エコ経済革命」 レスター・R・ブラウン著 枝廣淳子訳  たちばな出版(1998)
 

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