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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2012年01月27日

直筆サイン入りカード付き『地球に残された時間〜80億人を希望に導く最終処方箋』新刊キャンペーンご案内 (2012.01.27)

 

レスター・ブラウン氏の新刊、まもなく刊行されます。とても楽しみです。たくさんの方に読んでいただけたらと願っています。

レスターの研究所では、この本を5冊以上買って、友達や知り合いに配ったりしてくれている人たちを World on the Edge Team としてサイトに名前を載せています。
http://www.earth-policy.org/action_center/wote_team

5冊が多いですが、165冊とか293冊とか買って使ってくれている方も。そして、最多はテッド・ターナー氏の4,263冊です。ターナー氏はレスターの本が出るたびに、自分で買い上げて国会議員に配っていらっしゃるそうです。日本でも、最もこの本を読んでほしいグループの1つである議員さんたちに配ってくれる人がいないかな〜とよく思います。

ターナー氏並みは別として、5冊でも近くの人に配ってくれる、勉強会用にまとめて買ってくれる方はきっといらっしゃるはず!と思い、今回レスターと相談して、新刊キャンペーンを行うことにしました。5冊セットで、税/送料サービス、レスターと翻訳者(エダヒロ)の直筆サインが並んで入ったカードが付いてきます(先着100名)。レスターの直筆サインはめったにない機会なので、ぜひぜひ〜!

【新刊キャンペーン】『地球に残された時間〜80億人を希望に導く最終処方箋』 5冊(直筆サイン入りカード付き)

訳者あとがきと目次をご紹介します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

訳者あとがき

「気候にせよ、身の周りの自然にせよ、何かおかしい」「このままでは、未来世代に住みにくい地球を残してしまうのではないか......」

地球や私たちの暮らしの今後に対する、漠とした不安が広がっています。地球温暖化にせよ、食料の状況にせよ、何となく状況が悪化しているような気がするが、実際のところはどうなのだろうか? 私たちはどうして、このような問題が頻発する状況に陥っているのだろうか?

核戦争や世界を二分するような武力衝突の危険性は遠のいたように思えるが、二一世紀の新たな危機とは何なのだろうか? 政治や経済は、新たな課題に対応できているのだろうか? 企業は新しい社会の要請に、どのように応えつつあるのだろうか? そして、私たち一人ひとりは何をすべきなのだろうか?

このような疑問や不安を感じていらっしゃる方々に、レスター・R・ブラウン氏の最新刊『World on the Edge』の日本語版をお届けできることを心からうれしく思います。本書は、このような問いや不安に、データと事実、明晰な分析、新しい動向や事例を、客観的にかつわかりやすく示してくれる本だからです。

世界屈指の環境オピニオンリーダーとして、四〇年近く環境問題の分析と発信を続けているレスター・R・ブラウンは、一九三四年にニュージャージー州の農家に生まれました。小さいときから畑仕事を手伝い、一三歳ぐらいのときには近所の人からオンボロのトラクターを安く買って自分で修理し、弟とトマト栽培に精を出し、近所でもまれにみる生産量を誇っていたそうです。「ニュージャージー州のトマト・ピッキング選手権でも優勝したことがあるんだよ」とのこと。

そのまま一生トマト栽培を続けていくつもりだった彼の人生を変えたのは、農業を学んでいた大学時代に、インドの地方農村で過ごした半年間の経験でした。人口増加などで痩せた土地では十分な作物ができず、飢えた村人たちは何とか生き延びようと森の木を切って畑をつくるが、それがまた土地の劣化につながる、という悪循環を目の当たりにしたレスターは、「農業問題は土地や水などの環境問題だ」と痛感したと言います。

米国に戻ったレスターは、農家にはならず、農務省に入ります。トマトではなく政策をつくる立場から農業に取り組んだのです。農務省でも注意深くインドの様子を追っていたレスターは、一九六五年、現地から米国政府に向けて「インドに大飢饉発生の可能性あり。大至急穀物送れ」と緊急電報を打ちます。土地の劣化やその年の異常なモンスーン気候から農業用水の不足を予見し、収穫量への影響を見抜いたうえでのギリギリの判断でした。

その年インドは、レスターの予想どおり穀物が取れず大飢饉の危機に瀕しますが、レスターの打電に対応して米国の穀物生産総量の五分の一もの穀物がすでに海を渡っていました。おかげで大不作にもかかわらず、インドは大飢饉をまぬがれることができたのです。

このエピソードからもわかるように、レスターは、個別の事象を大きな枠組みで関連づけてとらえる力が優れています。まだ誰も気づいていない二〇年以上前から、「バイオエタノールを推進すれば、食料問題につながり、穀物をめぐって人間と自動車が争うことになる」と警鐘を発していたのもレスターです。

かつて、「レスターはどうして、大局的見地から物事をとらえられるようになったの?」と聞いたことがあります。彼の答えは、「実際に農業に携わった経験が大きかったのだと思うよ。農家は、土壌から天候、市場、植物の病気、経済まで、異なる分野にまたがって考えなくてはならないからね。長年、農業をしてきた私にとって、こうした大きな枠組みで考えることは、第二の天性みたいなものなんだよ」。

個別の問題や事象に振り回されるのではなく、このような「大きな枠組み」で私たちの直面している地球規模の問題構造をぜひとらえていただくために、本書ほどわかりやすく優れた手引書はないと思います。

レスターは危険や危機をあおり立てるようなことは決してしません。講演でも書籍でも、熱い思いは伝わってきますが、淡々とデータと事実を分析と見通しを示していきます。「あなたは楽観主義者ですか? 悲観主義者ですか?」と尋ねられると、レスターは「現実主義者です」と答えます。でもきっと、明るい現実主義者なのだと思うのです。

二〇一一年一月に私が立ち上げた「幸せ経済社会研究所」のインタビューで、レスターに幸せについていろいろと話を聞いたのですが、最後に「長年悪化の一途をたどっている地球環境問題に取り組みつつも、レスターはいつも幸せそうに見えるけど、何がレスターを幸せにするの?」と聞いてみました。

レスターは笑って、「文明を救うために自分たちがすべきことが実践されているかどうかを示す進捗報告に耳を傾けることだね」と、英国で野心的な二酸化炭素排出量削減目標が出されたこと、コスタリカやモルジブなどのより小さな国々が二〇二〇年頃までに二酸化炭素排出量ゼロにする計画であること、スコットランドは二〇二〇年までに電力のすべてを二酸化炭素排出量ゼロにする予定であること、人口を安定させた国が四六カ国あることなどを挙げ、「こうした、持続可能な文明に向かって前進しているという証拠に、最もワクワクし、喜びを感じるんだよ」。

レスターは本書を通して、かつてインドを大飢饉から救ったのと同様の緊急電報を、世界のすべての人々に宛てて打電しているように思えてなりません。「このまままでは大変な状況になってしまう、しかも残された時間はあまり多くない崖っぷちに私たちは立っている、でも、どうしたら危険な崖から離れることができるか、真に持続可能な社会と未来を創ることができるか、私たちはやり方も知っているし、そのための技術ももう手の中にある。だからみんなで力をあわせてがんばれば、まだ大丈夫。何もせずに状況の悪化を見守るのではなく、立ち上がり、それぞれができること・すべきことをやっていこう」ーーそんなレスターの思いを共有し、各地での取り組みがさらに加速することを祈っています。

本書の翻訳にあたって、すばらしい翻訳者の中小路佳代子さんがいっしょに作業をしてくれました。川嶋洋子さん、佐藤千鶴子さんがお手伝いしてくれ、ダイヤモンド社編集者の村田康明さんが企画・編集を担当してくださいました。ありがとうございました。

そして、一九九八年にレスター・R・ブラウン著『エコ経済革命』(たちばな出版、一九九八年)を翻訳した際、訳者あとがきの最後に「環境問題と格闘するレスターを少しでもサポートできればと思っている。そしていずれは、私もリングに上がりたい、と思っている」と書いた私が、翻訳だけではなく、講演や執筆、政府の委員会などでも活動するようになっていくのを、会うたびに目を細めて応援してくれているレスターに心からの感謝を込めて。

枝廣淳子

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地球に残された時間──目次

日本語版への序文 
日本のエネルギー政策 そのプラスとマイナス i
序文 v

第一章 崖っぷち
気候変動の甚大な影響 1
洪水は「自然災害」ではない 3
自然からの供給を超える需要 5
行き過ぎた消費が支える経済成長 6
市場経済は真実のコストを語らない 8
食料不足が引き起こす文明の崩壊 10
広がり続ける飢餓への憂慮 12
「破綻しつつある国家」の誕生 13
水のくみ上げ過ぎが食料バブルを招く15
自然が握る崩壊へのストップウォッチ 18
「プランB」で達成すべき四つの目標 20

第I部│悪化しつつある基盤

第二章 地下水位の低下と収穫量の減少
水資源の枯渇が描く最悪の事態 25
「水赤字」は深刻な食料危機をもたらす 27
灌漑用地の開拓に限界が近づく米国 30
食料バブル崩壊が目前に迫るインド 31
中国「最後の水がめ」は枯れる寸前 33
中東の食料安全保障に猶予はない 35
農業用水を吸い取って繁栄する都市 37
勝ち目のない水戦争に敗れ去る農家 39
選択しなければならないとき 42

第三章 土壌の侵食と砂漠の拡大
都市を襲う砂嵐の脅威 43
土壌侵食は「物言わぬ地球の危機」 45
砂嵐は砂漠化への最終段階 47
中国を侵攻する「砂漠のM&A」 49
インド、そしてアフリカでも拡大する砂漠化 51
砂嵐に侵食される世界の現状 54
国民の健康は健全な土地に守られている 56

第四章 上昇する気温、融ける氷、脅かされる食料安全保障
最高気温は計測不能 
59 不安定に安定する気候61
光合成は気温四〇℃でも完全停止 62
氷床融解がさらなる気温上昇を招く 64
もはや「天空の貯水池」には頼れない 66
急増する人口を養うことができるのか68
氷河の水に依存するアンデス山脈の国々 69
米国にもたらされる悪夢のシナリオ 71
文明崩壊は穀物収穫量の減少から始まる 73

第II部│その結果

第五章 食料不足という政治問題の出現
食料をめぐる悲惨な暴動 77
食料需要の急増をもたらした三つの要因 79
自動車に農地を奪われる農家 81
土地を賭けた過酷なマネーゲームの勃発 83
土地取得が引き起こす二つの悪影響 86
横行する極秘の土地取引 88
食糧生産性は向上したのだろうか? 90
さらに残る二つの疑問 92
貧しい者の犠牲に成り立つ冨 94

第六章 環境難民の出現
打ち棄てられた沿岸都市 97
現代の環境難民を生み出す五つの要因 98
海面上昇で祖国を失う人々 101
破壊的な嵐が経済発展を吹き飛ばす 102
加速する砂漠化に逃げ場を失う中国 104
水不足で奪われる故郷 106
放射能による難民の出現 108
環境難民が直面する痛ましい現実 110
対処療法ではなく根治策を 112

第七章 破綻しつつある国家
破綻国家ソマリアの現在 115
国家の破綻は拡大し、かつ深刻化している 117
政府機能を停止させる二つの要因 120
国家の破綻は飛び火する 121
二つの指標で破綻度合いを見抜く 123
国家の孤立が招く伝染病の蔓延 126
大国にも国家破綻の危機は迫っている 127
対処不能な国際危機となる前に 128

第III部│解決策はプランB

第八章 エネルギー効率の良い世界経済を構築する
エネルギー節約の可能性は無限大 135
効果的節電で電気料金を九〇パーセント節約 136
「日本式」が省エネ技術の進歩を引き出す 138
ゼロ・カーボン建築の実現に向けて 140
民間部門による省エネの積極的推進 142
世界中に広がる交通システム革新の動き 144
自動車との恋愛関係にピリオドを打つとき 146
自動車燃料はガソリンから電気へ 148
見直され始めた自転車の魅力 150
日本は高速鉄道開発の先導者 151
「使い捨て経済」からの脱却 153
高まるリサイクルへの期待 155
プランBのエネルギー経済に近づける 158

第九章 風、太陽、地熱のエネルギーを利用する
急速に進む再生可能エネルギー源への移行 159
非経済的な原子力に依存しない 160
注目を集めるウィンド・ファーム 162
世界各国で活発化する風力発電計画 164
風力タービンの設置を急げ 167
太陽光発電の爆発的成長 168
集光型太陽熱発電(CSP)発電所への期待が高まる 170
屋上太陽熱の有効利用が進む 173
地球に眠る膨大な地熱エネルギーを活用 175
エネルギー作物の有用性は限定的 178
新しい水力エネルギーの誕生 179
正しいエネルギー構成は各国の資源量が決める 181
変容を迎えるエネルギー輸送システム 183
都市は生まれ変わる 185

第一〇章 経済を支える自然のシステムを修復する
洪水の原因は大雨ではない 187
森林保護には全世界規模の協調が不可欠 188
責任ある森林伐採と植林の実施 190
森林伐採の禁止は実現可能なプラン 192
植林で二酸化炭素の増加を防ぐ 194
土壌の保全で効果的に炭素を吸収 196
海洋漁場はもう一つのタンパク源 199
「地球を修復するための予算」算定が急がれる 201
土壌侵食抑制に必要な二つのコスト203
わずか一一〇〇億ドルを節約する代償 206

第一一章 貧困を根絶し、人口を安定させ、破綻しつつある国家を救済する
「聞く」ドラマが出生率低下に貢献 209
飢餓人口は一〇億人を突破 211
貧困の根絶が国家破綻防止のカギ 212
初等教育の欠如はテロに勝る脅威 213
栄養失調がもたらす悪循環を断つ 216
家族計画の浸透で進む小家族化 218
「人口ボーナス」の恩恵を受ける 221
「世界安全保障省」を設立する 223
リベリアに学ぶ再建への道 226 貧困根絶は自分への投資である 227

第一二章 八〇億人を養う
一九五〇年に訪れた劇的な変化 229
国家的な農業戦略で穀物収量が増大 232
土地生産性を高める三つの方法 234
ムダのない灌漑システムを採用する 236
動物性タンパク質の効率的生産 239
穀物に依存しない新システムの誕生 242
なぜ「地産地消」への関心が高まっているのか? 243
家庭菜園に期待される貢献 245
食料安全保障の再定義が迫られる 247
私たち一人ひとりが担う食の責任 249

第IV部│残された時間

第一三章 文明を救う
プランBで「二一世紀のための経済」を築く 253
市場に真実の経済を語らせるとき 254
自然のシステムの限界を認め、尊重する257
非軍事的な「安全保障」を定義する 259
世界は石炭に背を向け始めている 261
石炭業界が直面している二つの未解決問題 263
再生可能エネルギーは枯れることのない井戸 265
最良の選択は「サンドイッチ・モデル」 268
希望回復の技術と財源は手の中に 272
プランB達成に必要な予算 275
私たちが選ぶべき未来 278

訳者あとがき 281

参考文献 289

索引 293

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

最新データや事例もいっぱい盛り込みながら、とてもわかりやすく全体像をつかむことができる本だと思います。目の前のことでいっぱいになりがちな今の時代にこそ、ぜひ読んでほしい! 心から願っています。

ひとりでも多くの人に読んでもらえるよう、一人でも多くの人に届けられるよう、5冊セットキャンペーンに参加いただけたらうれしいです。どうぞよろしくお願いいたします〜!

【新刊キャンペーン】『地球に残された時間〜80億人を希望に導く最終処方箋』 5冊(直筆サイン入りカード付き)

 

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