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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2011年06月19日

自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」その2 (2011.06.19)

新しいあり方へ
 

(前号からのつづき)

※懇談会のようすは現在も政府のインターネットテレビで観られます。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg4972.html

前号でお伝えした私の発表につづいて、4人の参加者から5分ずつ、提言や意見表明がありました。それを受けての菅総理のコメントから一部を紹介しましょう。

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長年政治家を経験した立場でのこれまでのことや今後の話を申し上げます。

(日本でも風力発電の推進計画などはありましたが)、行政には一つの方向があったのです。『原子力は進める、それを進める上で邪魔になるものはできるだけ外していく』。それは30年前からずっと実感していました。「全量買取制度」などはずっと言ってきましたが、現時点でもできていない。

できない理由や理屈を山のように持ってきて、やらない。これをどうやって突破するか。総理大臣だからやれ、というのはその通りですが、分厚い構造があるのです。しかし、それを変えることができるというのは、まさに今です。今、変えることができなかったら今後10年また動かないでしょう。

国会でも3月11日に(再生可能エネルギー推進法の)法案を出しました。経産大臣など関係の担当者になんとか早く、と言っていますがなかなか動かない。

自然エネは大きい会社がどん、と100万KWを3つ作るとかではなく、5KW、大きくても1000KWのものをいろいろなところに作っていくものです。まさに国民参加型エネルギーです。この国民参加型エネルギーを国民に開放しましょう。投票権と同じように、エネルギーに参加する権利を与えましょう。一般の人が売り先まで考えることは無理ですから、配電するメーカーが一定の価格で買い上げて配電するのは当然のことです。

もうひとつ、「省エネ」という言葉がやや消極的に聞こえます。今の行政の発想は、「供給」が前提になっています。そうではなく、供給量自体を減らす、減らしても大丈夫な技術や社会を作ること。(行政や業界がよく言う)「安定供給」は、「今供給を減らしたら危なくなりますよ」という現状維持の言葉だと思います。それを変えていくには--みなさんへのお願いですが--、みんなが「投票するのと同じように、自分たちにも電力を作らせろ、売らせろ」と求める輪が広がっていけば、政治が多少変化しても逆戻りはしないのではないかと思っています」。

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このあと、参加者・ツイッターでのみなさんからのコメントや質問と、総理とのやりとりとなりました。

私はこのような発言をしました。

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最後におっしゃった「省エネ」について、この言葉は「増え方を減らしましょう」ということで使われてきているような気がします。もともとは、原単位を良くしましょうという意味で「省エネ」といわれていましたが、これから日本がやっていかないといけないのは、もともと使うエネルギーそのものを減らすということです。なので、「省く」ではなくて「少ない」という字の「少エネ」ですね。

エネルギーそのものを減らしていく、それができたときに、それこそエコポイントや買い上げなどで後押しすればいい。それはつまり、それだけエネルギーをつくらなくてすむということで、エネルギーをつくり出しているのと同じわけです。

アメリカにエイモリー・ロビンスという有名なエネルギー学者がいて、彼は省エネでつくり出したエネルギーを「ネガワット」と呼んでいます。普通、メガワットと言いますよね。ネガワットはつまり使わなかったエネルギーなので、それはつくり出したエネルギーと同じだということを言っています。これをもっと積極的な意味で広げたいと思っています。

あと、総理に一つ教えていただきたいことがあります。多くの国民が自然エネルギーを進めてほしいと思っており、国のリーダーとしてそういうことを進めたいという思いがあるけれど動かない。では、どのような形で私たちの思いや声を見える化すれば、政治もしくは官僚、もしくは国の中心にいる方たちに届くのでしょうか?

たとえば、昨日デモがありましたね。他にもツイッターとか、署名とか、いろいろな形で私たちは活動していますが、何が見えると、政治家もしくは官僚は動くのでしょうか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

これに対し、総理は「知っている人から言われると一番、動きます。知らなかったら、知り合いなる。アメリカのロビー活動のようなものでも、地方議員、国会議員でも。今の動きについて、経産省→農林省うつるくらいの意識で官僚にやって欲しいといっていますが、それも国民世論で大きく変わってきます」とのことでした。

また、私が「自然エネルギーの素晴らしいところは、環境省、経産省はもちろん、あらゆる省庁の総合力で実現する点だと思います。脱化石燃料を進めているデンマークでは、首相を委員長とする委員会をつくって全省庁で取り組んでいるそうです。それぞれの省庁の得意なところを持ち寄って進めてほしい」と述べたところ、総理はこのようにおっしゃいました。

「原子力で進めてきたシステムを逆に参考にできます。原子力を進めるために、科学技術庁という役所まで作り、原子力研究所などいろいろ作りました。それに匹敵するような規模で“自然エネルギー推進省庁”のようなものを作って進めていけば、10年どころかもっと早い時期に目標を達成できると思います。省庁横断的に進める仕組みについては急いで検討します」。

(※この発言が翌朝の新聞などには「再生可能エネルギー推進庁設置へ」みたいに掲載されていて、ちょっとびっくりするやら、なるほどーと思うやら、でした)

ツイッターを通して届いた質問にも、総理は丁寧に答えておられました。電力事業のあり方についての質問には、「電力改革についての話をはじめるチャンスです。議論の場の枠組みは一日も早く進めていくので、国民も大いに議論し、制度改革に繋がればと思います」。

「(退陣しても)政策を引き継ぐことはできるか」に対しては、「各党に熱心な方々がいます。熱心でない方との力関係については、これも国民の投票によって変わってきます。私は政策は引き継げると思っています。あとは国民の皆さんの一票で引き継ぐようにしてもらいたい」。

「今回のような意見交換の場を政府主催でやっていったらよいと思うがどうでしょうか?」という質問には、「やりましょう!」と答え、拍手が上がりました。

1時間半の予定を超えて、2時間近くになり、それぞれの参加者からの最後のメッセージを、と求められ、私はこのように発言しました。

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ありがとうございます。今日、本当にいい機会に参加させていただいたと思っています。先ほどツイッターからの質問で、私たちは何をしたらいいのかというご質問があったと思います。

私からは3つ、私たち国民ができる、やっていくべきことがあると思っています。

1つは「選ぶこと」です。たとえばパネルを載せる。もしくはペレットストーブ、薪ストーブにする。そういったエネルギー源を選ぶこともできるし、たとえば「うちはマンションだからパネルは無理だわ」という方だったら、市民共同発電所に出資をする。もしくは、そういったことを積極的にやっている企業の株を買う。

それから、私たちが選ぶことができる一番大きなことは選挙ですね。政治家を選んでいくということです。

2番目は「声を出すこと」。たとえば新聞の投書欄に投稿するとか、ツイッターとかフェイスブックとか、そういったことで私たちの思いを、やはり伝えていかないといけないと思います。

3番目が「話をする」ことです。周りの20人に話をする。今日、5万人聞いてくださっているとしたら、その方が20人に話して、その20人がまた20人に話して、その20人がまた20人に話すと、国民すべてに行き渡る。それぐらいの計算になると思いますが、どんどん話していくということが大事だと思います。

今回は私たちが押し掛けてこの機会をつくってもらいましたが、国民が、国民のために、国民として、こういった大事なことについて話をしていくことが必要です。

特に自然エネルギーについてはとても大事だと思うので、そういった場を、私たちのほうでもつくっていきたいなと思っています。そういった場に、皆さんに一緒に参加していただけることを楽しみにしています。

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最後の挨拶で、菅総理はこのようにおっしゃいました。

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今日はいろいろお話を聞けて、楽しかった。『この地球は未来の子どもたちからの借り物』という岡田さんが引用された言葉も、地球というものを創造主が奇跡的に作ってくれた環境の中で、今私たちは生きている。それを、CO2や原子力などを含め、自分たちで自分たちが住めない世界になってしまったら創造主に申し訳ない。

科学技術は好きで可能性を感じていますが、一方で科学技術は人間が本当にコントロールできるのかと言う問題意識を持ってきました。政治が、国民が、コントロールしなければならない。単に面白いから、だけで技術を発展させてコントロール不能なものを生み出してしまった象徴が原爆・水爆です。今我々が議論しているテーマは根源的で、一方で、考えれば楽しいものではないかと思いました。これからもテーマは変わるかもしれませんが、ネット中継で見ている皆さんもいろいろな形でご参加いただければと思います。

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とても楽しい会でしたし、現職総理がこれだけオープンに国民との対話をすることは画期的だったと思います。

このオープン懇談会を受けて、17日(金)夜8時〜BSフジLIVE「PRIME NEWS」に出演しました。

放送日から10日間、番組をこちらでご覧いただけます。
http://www.bsfuji.tv/primenews/movie/index.html

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

・・・ 番組紹介ページより ・・・

『 菅首相がこだわるモノ 新エネルギーへの意欲 福山副長官・田坂参与』
http://www.bsfuji.tv/primenews/schedule/index.html

退陣を示唆しながらも、その時期の明言を避けている菅首相が、最近なぜか元気だ。自然エネルギー推進の切り札とも言われる「全量固定価格買い取り制度」の今国会での成立を呼びかけた15日の会合では、与野党議員と約400人の市民を前に、「この顔を見たくなければ、早くこの法案を通した方がいい」などと怪気炎を上げた。

また首相は、12日に行われた自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」で、その様子をリアルタイムで配信し、ツイッターを利用した一般市民からの質問にも答えた。首相としては初めての新しい試みに、自然エネルギー推進への意欲をにじませた。

そこで、菅首相をそばで支える福山哲郎・内閣官房副長官と、田坂広志・内閣官房参与を迎え、首相が何を考え今後どのような行動をとろうとしているのかを問う。

●ゲスト:
 福山哲郎 内閣官房副長官
 田坂広志 内閣官房参与
 枝廣淳子 環境ジャーナリスト

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ご案内ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

官邸側もさらに国民とのオープンな対話の場を作っていきたいとのこと。急ですが、今日の午後、第2回を開催するそうです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここからご案内〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

http://www.kantei.go.jp/live/20110619.html

自然エネルギーに関する「総理・国民オープン対話」のご案内

                          平成23年6月17日

1.開催趣旨

6月12日(日)に官邸に5人の有識者をお招きして開催された「自然エネル ギーに関する総理・有識者オープン懇談会」は、ネット動画中継を通じて延べ 15万人を超える方々が視聴され、ツイッターを通じて1万5千を超えるコメ ントや質問を頂きました。この結果を踏まえ、今週末、6月19日(日)に、 官邸にて「自然エネルギーに関する総理・国民オープン対話」を開催いたしま す。

 これは、前回の「オープン懇談会」の最中にツイッターで投げかけられた主 な質問を取り上げ、総理が直接にコメントや回答を述べることを通じて、多く の国民の方々との対話を試みるものです。

 また、同時に、全国各地でグループで会場に集まり、この「オープン対話」 に視聴参加される方々とは、動画中継を使って会場と官邸を結び、メッセージ の交換をさせて頂きます。

 今回の「オープン対話」も、前回の「オープン懇談会」と同様、ネットを通 じてすべての動画中継を行い、ツイッターを通じてコメントや質問をお受けい たします。

 6月12日に引き続き、多くの方々に参加して頂ければ、幸いです。

 なお、6月12日の「オープン懇談会」は、政府インターネットテレビか ら、そのすべての動画がご覧になれます。

 また、今回の対話の中でも、12日の懇談会の一部を映像で振り返ります。

2.日時 2011年6月19(日) 14:00-16:00

3.場所  官邸4階大会議室

4.会場側 参加者

 ・菅 直人 内閣総理大臣
 ・福山哲郎 内閣官房副長官
 ・田坂広志 内閣官房参与 
 [司会]藤沢久美 シンクタンク・ソフィアバンク 副代表

5.その他

 ・オープン対話での議論に対しては、ツイッターの次のハッシュタグによっ て、コメント参加をすることができます。(コメント用 #openkonc)
 ・同様に、次のハッシュタグを使って、質問することができます。(質問用  #openkonq) ・また、専門家、メディアの方は、次のハッシュタグを使って、質問して下 さい。(#openkonm  職業と氏名を明記の上ご質問ください)
 ・時間の制約上、頂いた質問の全てに対して、対話の中でお答えすることは 困難な場合があります。ご了承ください。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ご案内ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

私自身をはじめ今回の参加者側も、国や経済界のリーダーなどとの円卓会議を通して、「国民の国民による国民のためにエネルギー政策」を進めていきたいと、次のステップを相談しているところです。

こちらもどうぞご期待ください〜!

※メールニュースの引用・転載は出所を添えて、ご自由にどうぞ(枝廣淳子の環境メールニュース
 http://www.es-inc.jp

 

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