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つながりを読む

日本のブルーカーボンの動向

2023年07月20日

夏本番ですね! 

夏休みといえば、自由研究!です。熱海・未来創造部でも<ブルーカーボンって何だろう?>などの自由研究プログラムを行います。

さて、世界に英語で届けている幸せ研ニュースレターの6月号では、世界でも注目の集まるブルーカーボンについて、日本の動向をお伝えしました。日本語でお届けします。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

日本のブルーカーボンをめぐる動向

海に囲まれた列島・日本。
その日本各地の海から「磯焼け」「藻場の消失」「漁獲量の減少」といった報告が届きます。温暖化による水温上昇や海洋プラスチック汚染など、私たちの海は危機的な状況にあるのです。海洋の変化は、漁業者や海産物を扱う事業者、沿岸地域社会だけでなく、私たちの食にも影響を与えています。

「温暖化対策」と「海の豊かさを取り戻すこと」――この2つは私たちの直面する課題の中でも最重要課題の2つと言えるでしょう。では、この2つの課題の両方に効く取り組みがあることをご存じでしたか?

それが「ブルーカーボン」です! 

大気中のCO2を吸収する方法としてよく知られているのが植林です。森林や陸上の植生によって貯蔵される炭素を「グリーンカーボン」と呼びます。陸上の植物と同じように、海草や海藻は生長する際に、二酸化炭素を吸収します。こうした海洋の生態系(マングローブや海藻・海草など)によって貯蔵される炭素が「ブルーカーボン」です。

海洋の藻場やマングローブを再生させることで、海の豊かさを取り戻しながら、海の生態系が吸収・固定するCO2を増やし、温暖化対策にもつながるこの「ブルーカーボン」の取り組みがいま世界中で広がっています。

海の藻場(海藻や海草が茂っている場所)は、CO2を吸収するだけでなく、水質を浄化し、海洋生物の産卵・保育場として海の生物多様性を支えています。漁業や観光業などの産業、私たちの食生活にとっても、非常に重要な役割を果たしているのです。

日本でも最近、「ブルーカーボン」の取り組みが盛り上がっています。

政府の「地球温暖化対策計画」、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」などにも、ブルーカーボンへの取り組みが記されています。

2023年4月に環境省から発表された2021年度の温室効果ガス排出・吸収量の国連への報告では、日本として初めて、ブルーカーボン生態系のうちマングローブ林による吸収量が算定されました。

ブルーカーボン生態系には、今回算定されたマングローブ林のほか、海草・海藻の藻場、塩性湿地があります。 特に日本の場合、南方に限定されるマングローブ林だけでなく、全国での取り組みが可能かつ必要な藻場や湿地も重要です。こちらも算定・インベントリ計上に向けての準備が進んでいます。

ブルーカーボンのクレジット化も始まっています。国土交通省が設置した「地球温暖化防止に貢献するブルーカーボンの役割に関する検討会」をベースに、2020年7月に国土交通大臣認可の「ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)」が設立され、2020年度に「Jブルークレジット®」制度が創設されました。

同年度、1つのプロジェクトに対して、日本初となる「Jブルークレジット®」が認証・発行され、2021年度には、2020年度に登録した1つのプロジェクトに加え、新たに3つのプロジェクトを新たに登録し、計4つのプロジェクトの実施について「Jブルークレジット®」が認証・発行されました。

日本のブルーカーボンのプロジェクトは、地元のNGOや企業などが比較的小さな面積の藻場(海草・海藻)、塩性湿地などに取り組むものが多く、これまでは数トン~数十トンのクレジット創出がほとんどでしたが、2022年度には、岩手県では3つの漁協と町が協力して約3100トンのクレジットを創出しています。

日本は周囲をぐるりと海に囲まれている国なので、47都道府県のうち、39都道府県が海に面しています。海の近くの市町村でブルーカーボンに取り組む自治体や地域も増えています。日本では現在、900を超える自治体が「ゼロカーボンシティ宣言」を出しており、自治体や地域の脱炭素化の1つとして位置付けたり、漁業の町に活気を取り戻すことをめざしたり、環境活動や環境教育に住民や次世代を巻き込める楽しい活動として実施したり、とさまざまな動機で広がっています。

また、企業のブルーカーボンへの取り組みも広がっています。1つは、脱炭素化に向けてのカーボン・オフセットに「Jブルークレジット®」を用いることで、温暖化対策と海の豊かさ保全の取り組みを進めるという関心が高まっています。もう1つの関心の広がりは、新しいビジネスモデルや新事業開発の対象として、ブルーカーボンに注目する企業が増えていることです。さらに、自社の強みや技術をブルーカーボン創出・計測のために用いる可能性を模索する企業も増えています。

国、自治体、企業、NGO・市民団体など、多くの主体者がブルーカーボンに関心を持ち、取り組みを始めたり模索していると言えましょう。

こうした動きや知見・技術などをネットワーク化することで、横展開したり、学びあいによってお互いの取り組みをさらに推進するために、熱海でブルーカーボンに取り組む未来創造部(代表:枝廣淳子)は、2021年11月にブルーカーボン・ネットワークを立ち上げ、2022年にNPO法人としての認定を受け、活動を進めています。

世界でも、海草だけでなく、海藻のブルーカーボンにも注目が集まっていますが、日本は世界有数の海藻大国として、多くの技術や知見を提供できる立場にあります。ブルーカーボンネットワークは、日本のブルーカーボンの取り組みや状況を世界にもつなげていきたいと考えています。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

世界の読者の方には、呼びかけできなかったのですが(^^;)、国内のご関心のある方々へ!残席2となっています。大人の夏休みの自由研究、一緒に行きませんか?

7月31日~8月1日開催【先着20名限定】
国内トップのJブルークレジット(R)認証の町、洋野町で枝廣淳子と学ぶ2日間の旅

また、ブルーカーボンの情報発信のほか、取り組んでいる地域・団体や関連技術を持っている企業などの交流を進めるNPO法人ブルーカーボン・ネットワークのメンバーにもぜひ!
https://bluecarbon.jp/network.html

 

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