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つながりを読む

変化し続ける世界で、今、求められる「レジリエンス」

2021年09月12日
変化し続ける世界で、今、求められる「レジリエンス」

Photo by Mark Fletcher-Brown on Unsplash

https://unsplash.com/photos/ofs62_iPTJM

長期化する新型コロナウィルスの感染拡大、先が見えない経済のゆくえ、国内外で相次ぐ自然災害と異常気象がもたらす影響など、「これまでとは同じでない」、不確実で不安定な時代になっています。

近年「レジリエンス」という言葉が注目を集めていますが、レジリエンスとは強い風にも重い雪にも、ぽきっと折れることなく、しなってまた元の姿に戻る竹のように、「何かあってもまた立ち直れるしなやかな強さ」のことをいいます。

これからの時代、いつ、何が起きても大丈夫なように、しなやかな強さをもった人生や暮らし、組織や社会を考えていく必要があるでしょう。そのためにはひとりひとりが自身のレジリエンスを高める生き方をめざしていく必要があります。そのための1日セミナーを開催しますので、ご案内させてください。

・自分自身の生き方や計画を立て、着実に前へ進めたい、と思っている方。
・外的な影響に惑わされることなく、自分を前に進めていきたい方。
・一度きりの自分の人生、ずっと「今のまま」でいいのかなあ?と思っている方。
・自分がどう生きたいのか、何をやりたいのかが、自分でもよくわからない......という方。
・やりたいことはあるけど、なかなか着手できない、という方。
・「計画倒れ」にさようなら!したい方。

これまで25回、延べ約400人以上が参加され、平均4.8(5点尺度)という高い満足度評価をいただいているセミナーです。考え抜かれたプロセスを自分のペースで進んでいただくため、だれもが自分の変化や進歩を実感することができます。

2021年10月2日(土)【熱海会場もしくはオンライン受講】
「自分合宿 2021秋@熱海&オンライン ~ビジョンを描き、レジリエンスを高める"自分マネジメント"の実践にむけて~」


職場や働き方に関するレジリエンスについて、日本能率協会(JMA)発行のマネジメント情報誌「KAIKA」に書かせてもらった文章があります。ご快諾を得て、ご紹介します。


~~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~


変化し続ける世界で、今、求められる「レジリエンス」

●「コロナの先」にあるもの

「コロナ危機」によって社会が大きく動いています。テレワーク、遠隔医療、オンライン教育......たとえコロナの一件がなくても、少しずつ社会はそちらの方向に向かっていましたが、今回の事態によってその動きを加速せざるを得なくなりました。

ただ、本当に重要なのは「その先」をどう見るかです。「やがてこの騒動が収まれば元の生活に戻るだろう」ととらえるのか、それとも「もうコロナ以前には戻れない。新しい世界をどうつくっていくべきか」ととらえるのか。どちらを取るかが、これからの組織の盛衰を決めると考えます。

コロナ以前の社会で最優先されていたのは経済成長、とりわけ短期的な利益を最大化することでした。それによって中長期的な利益は損なわれ、私たちの「いのち」に関わることがずいぶんと後回しにされてきました。保健所の数が減らされたこともその一例です。コロナ問題では、そのしわ寄せから保健所に多大な負荷がかかったことは記憶に新しいところです。

都市と地方の関係もいびつでした。人、モノ、エネルギーは地方から東京に流れ、東京だけが繁栄を享受する。地方はその恩恵を受けられない。ところが、ひとたび今回のような非常事態が発生すれば、都市のほうが危険かつ脆弱であることが露呈しました。

私たちが目指してきた経済成長とは、そもそも何のためだったのか。私たちがほんとうに大切にすべきものは何だったのか。今回の危機をそうした本質的な問いに向き合う機会にしたいものです。

●組織に求められる「多様性」と「自律性」

先が読めない不安定な時代に、企業や組織で重要なことは「レジリエンス」を強化することです。レジリエンスとは、「復元力」「弾力性」「再起性」などと訳されますが、私は「しなやかな強さ」と表しています。組織が硬直化していると、不測の事態が生じたときの対応が難しい。本当の強さとは、変化に応じて物事をしなやかに変えていく力があることです。

不測の事態とは、自然災害や感染症のように、急激にダメージを被るものばかりではありません。気候変動、人口減少を背景とした地方経済の衰退など、じわじわと迫りくる危機もあります。短期的な危機だけでなく、目に見えない中長期的な危機にも、私たちは対応していく必要があるのです。

これまでは、どちらかといえばずっと平時が続くことを前提に、さまざまな施策がとられてきました。たとえば「ジャスト・イン・タイム」方式のように、できるだけ在庫を持たないようにしたり、原料や部品の調達先を一元化したりするなどです。そのほうが効率的でメリットが大きいと考えられてきたからです。

しかし、いったん非常時になれば、それらはリスクに様変わりします。今後は複数のサプライチェーンを確保したり、地域の中でなるべく自給できたりする体制を整えたりするなど、「多様性」や「自律性」を重視した取り組みが重要になってくると考えられます。

企業がレジリエンスを強化するためには、株価や利益率といった指標とは別に、レジリエンスの指標を持つことが大切です。そのためには、「自分たちにとってのレジリエンスとは何か」という定義を明確にする必要があります。それは「わが社は何のために存在するのか」「だれのための事業なのか」といった根本的な理念を見つめ直すきっかけにもなるはずです。

●「働き方」「マネジメント」はどう変わるのか

企業のあり方が変われば、当然そこで働く人たちのあり方も変わらなければなりません。コロナ以前は、働く場と生活の場は明確に分かれていました。そのほうが企業活動をするうえで効率的だったからです。たとえ通勤に長時間かかったとしても、職住の分離が優先されました。ところが、テレワークが進展したことで、この常識が覆りました。

単にこれまで職場でやっていた仕事をオンライン上に置き換えればよいという話ではありません。「9時から5時までが就業時間」というような縛りは、テレワークでは意味を失います。それよりも、成果さえ生み出せば、子育てや介護など、それぞれの家庭のタスクを果たしながら自分で調整して仕事の時間をつくればよいわけです。数十年の積み重ねで形づくられてきた働き方のメンタルモデルは通用しなくなり、仕事の実質的な価値のみが問われます。

マネジメントやリーダーシップのあり方も、当然変わります。職場で上司が部下に目を光らせながら随時指示を出すというようなスタイルは、とれなくなります。オンライン上であっても、一人ひとりの部下に目配りをし、種々のサポートをする。ソーシャル・ディスタンスという距離を取り合いながらも、チームとして自分たちが目指す場所やビジョンを共有していく。そんな新しいマネジメントスキルが求められることでしょう。これからのビジネスは、過去の延長線上にはありません。新しいワークスペースの中でどんな未来を構築するのか、一人ひとりのクリエイティビティが問われる時代を迎えています。


~~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~


最後に、来週開催のオンライン読書会のご案内です。「ダニ博士」として知られる五箇公一さん(国立環境研究所)が参加して、直接お話をし、みなさんの質問に答えてくださいます。めったにない機会、ぜひお見逃しなく!

9月15日「幸せと経済と社会について考えるオンライン読書会」
『これからの時代を生き抜くための生物学入門』を読む
https://www.ishes.org/news/2021/inws_id002941.html

 

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