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IPCC「気候変動と土地」特別報告書の大事なメッセージとは

2019年11月25日
IPCC「気候変動と土地」特別報告書の大事なメッセージとは

IPCC「気候変動と土地」特別報告書

https://www.ipcc.ch/report/srccl/

IPCCから出されている大事な特別報告書「気候変動と土地」をご紹介します。食品ロスや「お肉を食べるということ」にもつながる大事な報告書です。

この報告書は、2019年8月にジュネーブで開催された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第50回総会で受諾されたもので、正式タイトルは、「気候変動と土地:気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障及び陸域生態系における温室効果ガスフラックスに関するIPCC特別報告書」です(長いですね~)。
https://www.env.go.jp/press/107068.html

【政策決定者向け要約(SPM)】
はじめに
セクションA:昇温する世界における人々、土地及び気候
セクションB:適応及び緩和による応答の選択肢
セクションC:可能とする応答の選択肢
セクションD:短期的な対策

【報告書本編】
第1章:構成と背景
第2章:陸面・気候相互作用
第3章:砂漠化
第4章:土地の劣化
第5章:食料安全保障
第6章:砂漠化、土地の劣化、食料安全保障及び温室効果ガスフラックスの間でのインターリンケージ:シナジー、トレードオフ及び統合的な対応の選択肢
第7章:リスク管理と持続可能な開発に関する意思決定

政策決定者向け要約(SPM)の概要の仮訳が環境省のサイトにアップされています。
https://www.env.go.jp/press/files/jp/112200.pdf

その全文を紹介しますが、そのまえに私が大事だと思ったところを抜き書きしておきます。

<エダヒロがとらえた重要なメッセージ>

○土地は重要:土地は、私たちの暮らしや幸せの土台であるが、人間による利用が陸地の70%以上に直接的な影響を与えている。土地は、気候変動にも大きくかかわっている。

○陸域は温暖化の大きな影響を被っている:温暖化が始まる前(工業化以前)に比べて、陸地の気温は世界全体の平均気温に比べて2倍近く上昇している。台風などの極端現象などを含む気候変動は、食糧安全保障や陸域生態系に悪影響を及ぼし、砂漠化や土地劣化に寄与している。

○農業、林業及びその他土地利用による温室効果ガスの排出は、人為起源の総排出量の約23%と大きな割合を占めている:2007~2016 年の世界全体の人為的活動に起因する正味の CO2 排出量の約 13%、メタン(CH4)の約 44%、及び一酸化二窒素(N2O)の約82%を占めている。

(※CO2やメタンに比べて、あまり聞きませんが、「一酸化二窒素」は大気中の寿命が121年と長く、大きな温室効果を持つ気体です。海洋や土壌から、あるいは窒素肥料の使用や工業活動に伴って放出されます)

○世界の食料システムに関連する排出量は、人為起源の総排出量の21~27%と大きな割合を占めている。

○土地の状態や状況の変化は、世界全体及び地域の気候に影響を与える:土地の状況の変化とは、土地被覆(例、森林減少、新規植林、都市化)、土地利用(例、灌漑)及び土地の状態(例、湿潤の程度、緑化の程度、雪の量、永久凍土の量)の変化を対象とするもので、土地利用によるものもあれば、気候変動によるものもある。

○気候変動は、土地に対して追加的なストレスを生み、生計、生物多様性、人間の健康及び生態系の健全性、インフラ、並びに食料システムに対する既存のリスクを悪化させる。

○気候変動によるリスクの程度は、温度上昇のレベルにもよるが、人口、消費及び生産、技術開発、土地管理の様式がどのようになるかによっても変わってくる。

○食品ロス及び廃棄物を削減し、食生活を変えるなど、食料システムに対する政策は、より持続可能な土地利用管理、食料安全保障の強化及び低排出シナリオを可能とする

※ここ、非常に大事なところです。私たちが何を食べるか、どのくらいフードロスや廃棄物を出すかを変えることで、土地や気候変動への悪影響を減らすことができる!ということだからです。

この具体的なことはSPMには載っていないので、報告書本編から関連箇所を拾いますね。
https://www.ipcc.ch/site/assets/uploads/2019/08/Fullreport-1.pdf

○1962年以降、人口ひとりあたりの食用油・肉の供給量は2倍以上となっている。体重過多・肥満の成人は約20億人いる。(他方、8億2100万人が今なお栄養不良である)

○現在、生産されるすべての食料のうち25~30%が廃棄されており、温室効果ガスの排出増をもたらしている。

○2010~2016年の間、世界全体での食品ロス・廃棄は、食料システムからの温室効果ガス総量の8~10%を占めている。

○畜産物の食べ物を減らして植物ベースの食事の割合を増やすこと、牛肉などの赤身肉をより高効率のタンパク質に替えていくことは、需要サイドの適応策である。

たとえば、米国で牛肉の代わりに鶏肉を摂取するようにすれば、約1億2000~4000万人の必要なカロリーおよびタンパク質をまかなうことができるようになる。豆類など植物由来のタンパク質に切り替えることも同様の効果をもたらす。

食肉の消費を減らすことが適応策になる主な理由は、土地と水に対する圧力を減ずることができるからだ。同様に、食料システムのあらゆる部分での廃棄を減らすことで、需要サイドの適応策を強化することができる。


いかがでしたか? 思っていた以上に、土地と気候変動が影響を与え合っていること、そして、私たちの食生活や食品ロスが大きな影響力を持っていることに驚かれたのではないでしょうか。

先月東京でClimate Reality Projectのトレーニングに来日されたアル・ゴア元米国副大統領は、数年前からヴィーガン(卵や乳製品も食べないベジタリアン)とのこと、トレーニング中に提供されたランチやスナックもすべてベジタリアンでした。

近年、欧米では若者を中心に「お肉を食べない」ことを選ぶ人がとても増えています。アニマルウェルフェア(動物福祉)といった倫理的な理由もあれば、健康への関心、そして、「できるだけ温暖化に加担したくない」という理由もあります。

また、「フレキシタリアン」も増加中です。これは、フレキシブルという単語を使った造語で、厳密なベジタリアンやヴィーガンになるのではなく、「お肉はたまにしか食べない」とか「お肉は食べないけど、魚は食べる」とか、「牛肉は食べないけど、鶏肉は食べる」といった、フレキシブルな(柔軟性のある)お肉との付き合い方をしている人たちのことです。

フードロスを減らす取り組みも、企業などでも広がってきましたね。正しい方向への動きはすでにあちこちにあります。いかにそれを加速できるか、広げていけるか、ですね。


では、このあとは、この特別報告書の政策決定者向け要約(SPM)の概要の全文を掲載します。


~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~


気候変動と土地:気候変動、砂漠化、土地の劣化、持続可能な土地管理、食料安全保障及び陸域生態系における温室効果ガスフラックスに関する IPCC 特別報告書
https://www.env.go.jp/press/files/jp/112200.pdf

政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドラインステートメント)

A1.土地は、生物多様性とともに、食料、淡水及び複数の生態系サービスの供給を含む、人間の生計と福祉の主たる基礎を提供する。人間による利用は、世界全体の氷のない陸域の地表面の 70%(69-76%の可能性が高い範囲)を超える面積に対して直接的に影響を与える(確信度が高い)。土地は、気候システムにおいても重要な役割を担う。

A2. 工業化以前の期間より、陸域面気温は[,陸域及び海氷の表面付近の気温と、海氷のない海域の海面水温による]世界全体の平均気温に比べて 2 倍近く上昇している(確信度が高い)。極端現象の頻度及び強度の増大を含む気候変動は、食料安全保障及び陸域生態系に悪い影響を及ぼし、多くの地域において砂漠化及び土地劣化に寄与してきた(確信度が高い)。

A3. 農業、林業及びその他土地利用(AFOLU)は、2007〜2016 年の世界全体の人為的活動に起因する正味の CO2 排出量の約 13%、メタン(CH4)の約 44%、及び一酸化二窒素(N2O)の約82%を占め、温室効果ガスの人為起源の総排出量の約23%(約12.0+/-3.0GtCO2e/年)に相当した(注釈12)(確信度が中程度)。人為起源の環境の変化に対する土地による自然 の応答の結果、2007〜2016 年に 11.2GtCO2/年の純吸収源(CO2 総排出量の 29%に相当) となったが(確信度が中程度)、その吸収源の持続性は気候変動により不確実である(確信度が高い)。
世界の食料システム(グローバルフードシステム)(注釈13)[における食料の]生産・製造の前後に行われる活動に関連する排出量が含まれた場合、[その排出量は]人為起源の正味の温室効果ガスの総排出量の 21-37%を占めると推定される。
注釈 12:この評価はCO2、CH4 及び N2O のみを対象とする。
注釈 13: 世界の食料システム(グローバルフードシステム)は、本報告書において、
「食料の生産、加工、流通、調理及び消費に関連するすべての要素(環境、人々、投入資源、プロセス、インフラ、組織等)及び活動、並びに世界レベルにおける社会経済的及び環境面の成果を含む、これらの活動の成果」と定義される。これらの排出データは、『2006 年 IPCC 国別温室効果ガスインベントリガイドライン』に沿って作成された国家インベントリと直接比較することはできない。

A4. 土地の状態/状況(condition)の変化(注釈16)は、土地利用または気候変動のいずれによるものであっても、世界全体及び地域の気候に影響を与える(確信度が高い)。地域規模に おいて、変化する土地の状態/状況は昇温を低減または増強し、極端現象の強度、頻度及び持続期間に影響を与える。これらの変化の規模及び方向は、場所と季節によって異なる(確信度が高い)。
注釈 16:土地の状況は、土地被覆(例、森林減少、新規植林、都市化)、土地利用
(例、灌漑)及び土地の状態(例、湿潤の程度、緑化の程度、雪の量、永久凍土の量)の変化を対象とする。

A5. 気候変動は土地に対して追加的なストレスを生み、生計、生物多様性、人間の健康及び生態系の健全性、インフラ、並びに食料システムに対する既存のリスクを悪化させる(確信度が高い)。将来の温室効果ガス排出シナリオすべてにおいて、土地に対する影響の増加が 予測されている(確信度が高い)。一部の地域は、より高く新しいリスクに直面する一方で、一部の地域は以前には予期されなかったリスクに直面する(確信度が高い)。複数のシステム及び部門に対する影響を伴う連鎖的なリスクも地域によって異なる(確信度が高い)。

A6. 気候変動によって呈されるリスクの水準は、昇温のレベルに依存するとともに、人口、消費及び生産、技術開発、並びに土地管理の様式がどのように展開するかに依拠する(確信度が高い)。食料、飼料及び水の需要の増大並びにさらなる資源集約型の消費及び生産を伴い、農業収量の技術的向上がさらに限定的な経路は、乾燥地における水不足、土地劣化及び食料安全保障の阻害(food insecurity)によるリスクの増大をもたらす(確信度が高い)。

B1. 気候変動への適応及び緩和に寄与する多くの土地に関連する対応は、砂漠化及び土地劣化にも対処することができ、食料安全保障も強化しうる。土地に関連する対応の潜在的可能性並びにそれに関連して強調される適応及び緩和は、地域社会及び地域の適応能力を含め、[これらの]文脈に[応じて]固有である。土地に関連する適応の選択肢は適応及び緩和に重要な貢献をしうる一方で、適応には障壁が存在し、土地に関連する対応による世界全体の気候変動の緩和への貢献には限界がある。(確信度が非常に高い)

B2. 評価されたほとんどの対応の選択肢は、持続可能な開発及びその他の社会目標に正の貢献をもたらす(確信度が高い)。ほとんどの対応の選択肢は、土地をめぐる競争を伴わず に適用することができ、複数の副次的便益(コベネフィット)を提供する潜在的可能性を有する(確信度が高い)。さらに、土地の需要を低減させる潜在的可能性を有する一連の対応 の選択肢は、その結果、他の対応の選択肢が気候変動の適応及び緩和のそれぞれにわたって成果をもたらす潜在的可能性を強化し、砂漠化及び土地劣化に対処し、食料安全保障を強化する(確信度が高い)。

B3. ほとんどの対応の選択肢は、利用可能な土地をめぐる競争を伴わずに適用可能だが、一部の選択肢は土地転換の需要を増大させうる(確信度が高い)。数 GtCO2/年の普及の規模においては、この土地転換需要の増大は適応、砂漠化、土地劣化及び食料安全保障にとって負の副次的効果につながりうるだろう(確信度が高い)。土地全体の限定的な割合に適 応され、持続的に管理された景観に統合された場合、負の副次的効果は減少し、一部の正の副次的便益(コベネフィット)を実現しうる(確信度が高い)。

B4. 砂漠化に対処するための多くの活動は、緩和の副次的便益(コベネフィット)を伴って気候変動への適応に寄与しうるほか、社会に対する持続可能な開発の副次的便益(コベネフィット)を伴って生物多様性の喪失の抑止に寄与しうる(確信度が高い)。砂漠化を回避、低減し[同現象を]逆転させることは、土壌肥沃度を増大させ、土壌及びバイオマスにおいて炭素貯蔵を増大させ、同時に農業生産性及び食料安全保障に便益をもたらすだろう(確信度が高い)。残存リスク及び結果的に適応の失敗がもたらされる潜在的可能性を理由に、砂 漠化の防止は、劣化した土地を再生する努力よりも望ましい(確信度が高い)。

B.5 持続可能な土地管理は(注釈1)、持続可能な森林管理(注釈2)も含め、土地劣化を防止及び 低減し、土地の生産性を維持し、場合によっては気候変動が土地劣化に及ぼす悪い影響を覆しうる(確信度が非常に高い)。持続可能な土地管理はまた、緩和及び適応にも貢献しうる(確信度が高い)。土地劣化を削減し[進行を]逆転させることは、個々の農場から流域(watershed)全体に至る規模において、費用対効果の高い、長期にわたる便益を地域社会に直ちにもたらし、適応(確信度が非常に高い)及び緩和(確信度が高い)への副次的便益(コベネフィット)を伴っていくつかの持続可能な開発目標(SDGs)を支えうる。持続可能な土地管理を行っても、状況によっては適応の限界を超えうる。
注釈 1:持続可能な土地管理は、本報告書において、土壌、水、及び動植物を含む土地資源を、その長期的な潜在的生産性及びそれらの環境面の機能の維持を確保すると同時に、人間のニーズを満たすために管理及び利用することと定義される。選択肢の例として、特に、アグロエコロジー(アグロフォレストリーを含む)、[環境]保全型農業及び森林施業、作物及び森林の種の多様性、適切な作物の輪作及び森林の周期、有機農業、総合的病害虫管理、花粉を運ぶ昆虫等の保全、集水農業、及び放牧地と草地管理、並びに精密農業システムなどが挙げられる。
注釈 2:持続可能な森林管理は、本報告書において、森林及び林地を、それらの生物多様性、生産性、再生能力、生命力、並びに現在及び将来において、関連する生態的、経済的、及び社会的機能を局所(local)、国家及び世界レベルで発揮する潜在的能力を維持し、他の生態系に対して被害を及ぼさない方法と速度で管理及び利用することと定義する。

B6. 適応及び緩和を進めるために、食品ロス及び廃棄物を含む、生産から消費に至るまで食料システム全体にわたって対応の選択肢を導入及びスケールアップしうる(確信度が高い)。耕作及び牧畜活動、並びに森林農業に由来する技術的な総緩和ポテンシャルは全体で2050 年までに 2.3~9.6 GtCO2eq/年になると推定される(確信度が中程度)。食生活の変化による総緩和ポテンシャルは 2050 年までに 0.7-8 GtCO2eq/年になると推定される(確信度が中程度)。

B7. 将来の土地利用は部分的に、望ましい気候の結果及び導入された対応の選択肢のポートフォリオに依拠する(確信度が高い)。昇温を 1.5℃にまたは 2℃より大幅に低く抑える、評価された全てのモデル経路は、土地に基づく緩和及び土地利用変化を必要とし、そのほとんどが再植林、新規植林、森林減少の低減、及びバイオエネルギーの多様な組み合わせを含む(確信度が高い)。少数のモデル経路は、土地転換の低減によって 1.5℃を達成し(確信度が高い)、したがって、砂漠化、土地劣化及び食料安全保障の影響が低減される(確信度が中程度)。

C1. 全ての規模における政策、制度、及びガバナンスシステムの適切な設計により、土地に関連する適応及び緩和に寄与し、同時に気候に適応する開発経路の追求を促進しうる(確信度が高い)。相互補完的な気候及び土地の政策は、資源を保全し、社会的なレジリエンス を強化し、生態学的な再生を支え、複数の利害関係者の関与及び協力を育む潜在的可能性を有する(確信度が高い)。

C2. 食品ロス及び廃棄物を削減し、食生活における選択に影響を与える政策を含む、食料システムにわたって運用される政策は、より持続可能な土地利用管理、食料安全保障の強化及び低排出シナリオを可能とする(確信度が高い)。そのような政策は気候変動の適応及 び緩和に貢献し、土地劣化、砂漠化及び貧困を低減するとともに公共衛生を改善しうる(確信度が高い)。持続可能な土地管理の採用及び貧困の撲滅は、市場へのアクセスの改善、土地の保有権の確保、環境コストの食料への組み入れ、生態系サービスへの支払いの形成、並びに局所的及び地域社会の集団行動の強化によって可能となりうる(確信度が高い)。

C3. 土地及び食料の政策の設計の際に副次的便益(コベネフィット)及びトレードオフを認識することによって実施の障壁を克服しうる(確信度が中程度)。土地管理の決定は農場 レベルから国家の規模にわたって行われ、気候政策及び土地政策がいずれも複数の部門、省庁及び機関にわたることが多いため、複数のレベルをまたぐ、ハイブリッドで部門横断型の強化されたガバナンスは、反復的で一貫性のある、順応的で柔軟性のある方法で開発され採択された政策とともに、副次的便益(コベネフィット)を最大化し、トレードオフを最小化しうる(確信度が高い)。

C4. 意思決定及びガバナンスの効果は、局所的な利害関係者(特に先住民族、局所的な地域社会、女性、並びに貧困者及び周縁化された人々など、気候変動に最も脆弱な人々)による、土地に基づく気候変動への適応及び緩和の政策手段の選定、評価、実施及び監視における関与によって強化される(確信度が高い)。異なる部門及び規模にわたる統合は、副次的 便益(コベネフィット)を最大化し、トレードオフを最小化する可能性を拡大する(確信度が中程度)。

D1. 既存の知識に基づき当面の対策を取ることで、土地劣化及び食料安全保障に取り組むと同時に、気候変動に対する適応及び緩和を可能とする、より長期的な対応を支えうる。これらには、個人及び組織のキャパシティビルディング、知識移転の加速化、技術の移転及び普及の強化、資金メカニズムの有効化、早期警戒システムの実施、リスク管理の実施、並びに実施及びスケールアップのギャップへの対応を目的とした対策が含まれる(確信度が高い)。

D2. 気候変動への適応及び緩和、砂漠化、土地劣化並びに食料安全保障に対応する当面の対策は、急速に社会的、生態的、経済的及び開発に関する副次的便益(コベネフィット)を急速にもたらしうる(確信度が高い)。副次的便益は、貧困の低減及び脆弱な人々のよりレジリエントな生計に貢献しうる(確信度が高い)。

D3. 野心的な緩和経路に従い、全ての部門にわたる人為起源の温室効果ガスの急速な削減は、陸域生態系及び食料システムに対する気候変動の負の影響を抑制する(確信度が中程度)。異なる部門にわたって気候の緩和及び適応の応答を遅らせることによって、土地に対してさらなる負の影響をもたらし、持続可能な開発の展望を低減させうるだろう(確信度が中程度)。

以上

 

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