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つながりを読む

世界各地で若者たちの気候デモ行進

2019年09月22日
世界各地で若者たちの気候デモ行進

Photo by Harry Carmichael Some Rights Reserved.

https://www.flickr.com/photos/harryrcarmichael/48770324797/

9月20日に、ニューヨークで23日より開催される「国連気候アクションサミット(UN Climate Action Summit 2019)」を前に、世界各地で若者たちによる気候変動への緊急対策を求めてのデモ行進(Global Climate Strike)が行われました。

私は残念ながら、例年のバラトングループの合宿からの帰国日であったため、参加できませんでしたが、以下のようなサイトや動画で、各国でのようすを見ることができます。

https://globalclimatestrike.net/

Global climate strike: Millions take to the streets to save the world
https://www.youtube.com/watch?v=jXXAkt2492c

How the #ClimateStrike travelled around the world
https://www.youtube.com/watch?v=1cXgCR_dAzA

海外からのニュースレターによると、オーストラリアでの参加者は40万人、ベルリン27万人など、世界約150カ国の5000カ所で同時デモ行進が行われたとのことです。

[enviro-news 2683] でお伝えしたように、今年3月15日には、世界で初めての青少年による一斉気候ストライキが行われ、125ヶ国の2083ヶ所で、150万人以上が参加しました。今回はそれ以上の規模となります。

3月のときには、日本では少数の若者が東京・京都でデモを行っただけで、メールニュースでも「学生ストライキ、自治体による非常事態宣言、科学者の支持声明......日本では非常事態を出している自治体もなければ、科学者の支持声明なども聞かれません」と結びました。

でも、今回は日本でも5000人以上が各地でデモ行進を行ったとのこと。また、9月19日には、日本学術会議会長談話として「「地球温暖化」への取組に関する緊急メッセージ」が出されています(非常事態宣言を出した自治体はまだありません......)。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-24-d4.pdf


Fridays For Future有志、グローバル気候マーチ賛同団体有志が昨日出したプレスリリースをご紹介します。ぜひ日本の若者たちの声に耳を傾けてください。

なお、このウェブサイトには各都道府県別の参加者数が載っています。東京では2800人もの参加があったのですね!
https://ja.globalclimatestrike.net/press-release/0920/


~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~


日本の若者たちが主導し気候変動対策を求めるマーチが日本各地で開催
~23都道府県で5000人以上が参加~

2019年9月20日

Fridays For Future有志
グローバル気候マーチ賛同団体有志

本日、日本国内各地の子ども・若者・市民の有志が、より実効性ある気候変動対策を求め、「グローバル気候マーチ(Global Climate Strike)(注1)」を23都道府県(注2)で開催し、数千人が参加しました。

9月23日よりニューヨークで開催される、「国連気候アクションサミット(UN Climate Action Summit 2019)」に先駆けて「グローバル気候マーチ(Global Climate Strike)」は行われました。

現在パリ協定に基づき提出された各国の温室効果ガス削減目標全てを達成しても、持続的な地球環境を辛うじて守ることができる世界の平均気温上昇を1.5℃未満に抑える目標が達成できないと予測されています。にも関わらず、各国の対策の進捗は遅々と進んでいないことから、同サミットをグテーレス国連事務総長が招集しました。

また、グテーレス事務総長はサミット参加国に対して、2020年までに新規の石炭火力発電所の建設停止、化石燃料補助金の削減、2050年までのゼロエミッションの公約を求めていることを理由に、日本を含む石炭を推進し続ける国々が同サミットでスピーチを行う機会を与えない予定だと報じられています(注3)。

日本での「グローバル気候マーチ」は少なくとも23都道府県延べ27のイベントが行われました。その中でも東京で行われたマーチが最大級であり、参加者は国連大学から表参道を通り抜け、さらに渋谷駅ハチ公像前を通り、「What do we want? Climate justice! When do we want it? Now!(欲しいものはなんだ?-気候正義!いつ欲しいんだ?-今だ!)」などと呼びかけながら歩きました。

また、東京でのマーチの企画の中心となった学生有志団体Fridays For Future Tokyoは9月13日に東京都議会に対して「気候非常事態宣言」の発令を求める要請書を提出しています(注4)。

9月20日から27日の間に、世界156ヶ国以上で気候マーチや関連する5200以上のイベントが計画されています。今回の「グローバル気候マーチ」の大きな特徴の一つは、インターネットを活用した分散型市民運動だという点です。背景には、ノーベル平和賞にもノミネートされたスウェーデンの高校生、グレタ・トゥーンベリ(16)が始めた気候変動対策の強化を呼びかける学校ストライキの世界的広がりがあります。たった一人で始めたグレタにならい、気候ストライキを始めた若者たちの行動がインターネットを通じて広がっています。

また、子ども・若者たちが始めたアクションに、大人が参加する形となって、国境、セクターを超えて、世界で73の労働組合、2500の企業、820の団体が賛同を表明しています。日本では、NGOをはじめ8つの企業及び38団体(注5)がマーチへの賛同を表明しました(2019年9月20日現在)。

昨年10月、国連の気候変動に関する政府間パネル(以下:IPCC)は、現在のペースで温室効果ガス排出が続くと地球の平均気温は早くて2030年に産業革命前と比べ1.5℃上昇すると警告しました。また、1.5℃の上昇でも様々な深刻な被害が予測されますが、2℃の上昇と比べて1.5℃に抑えることで、被害を大きく減らすことができるとも発表しています。

IPCCは人間社会の壊滅を回避するためには、より積極的で革新的な社会の変化が必要であると警鐘を鳴らしています。具体的に言えば、2030年までに全世界の二酸化炭素排出量を2010年の排出量と比べて45%削減し、2050年頃に排出ゼロにすることが必須だと結論づけています。

このような事態を受け、海外では政府の行動の遅れに危機感を抱いた若者を中心に気候変動対策を求める団体が次々と立ち上げられています。日本でも、様々なバックグラウンドを持った学生たちが集まり、少なくとも10のFridays For Future(以下、FFF)グループが活動しています。

「僕は気候危機に対して誰もが気軽に行動を起こせる社会を作りたいと思い、FFFで活動しています。環境問題に関心があっても、『何をすればいいかわからない』『同じ想いを持つ仲間がいない』と、行動できない人が多いのではないでしょうか?しかし、日本中、世界中で気候危機を止めるために頑張っている仲間がたくさんいます。世代や国境を越えて一つになれば、そして、今すぐ行動を起こせば、破局的な結末を防ぐことができます。9/20のマーチは始まりにすぎません。各国のリーダー達が気候危機を止める野心的な政策を実行するまで共に声を上げ続けましょう。」とFFF東京の井上寛人(19・大学2年)は呼びかけました。

FFF名古屋の中村涼夏(18・高校3年)は、「『Do or Die』今世界では『行動するか』『行動しないか』の二択の選択に迫られています。このFFFに参加するきっかけや目的は人それぞれでしょう。私の目的は『生物保全』です。動物好きな私はSNSで絶えず森林破壊や気候変動が原因で減少していく動物たちのニュースを心を痛めながら聞いてきました。よく耳にするのは海外のニュースです。しかしそんな中、私たち日本も地球温暖化や森林破壊に大きく荷担していることを知りました。他人事のように扱ってはいけない。今こそ国境を越えて行動することが必要なのです。みなさんで美しい未来の地球を残すためのActionを始めませんか。」と訴えました。

「関心を持つと持たないとに関わらず、誰しもが気候変動の影響からは免れない。そんな社会が訪れています。特に影響を受けるのは、現在の若者やまだ生まれていない将来世代です。誰かが気候変動を防いでくれるのを待っているだけでは、手遅れになるでしょう。プラカードを持って、今、立ち上がりましょう。」とFFF京都の塚本悠平(24・修士1年)は述べました。

「僕は気候変動という大きな問題を、地球に住んでいるひとりの人間としての問題、そして解決するためにはもうわずかな時間しか残っていないと危機感を持つ人を増やすためにFFFとして活動しています。僕は地球が好きです。そしてその地球上で生きている人間が好きです。でも、人間のエゴによる活動のせいでこれ以上破壊されていく地球には住みたくありません。より良い平和な未来のためには今行動する必要があり、大きな組織として日本そして世界のリーダー達がリーダーシップを取ってこの問題の解決に取り組むことを求めます。」とFFF福岡の阪口真生志(23・大学4年)は述べました。

「今回のグローバル気候マーチは、気候変動対策を求める市民運動が始まって以来、世界全体で史上最大のマーチとなりました。その背景には、もはや気候危機と呼べる危機的状況に多くの人びとが直面していることが挙げられます。不可逆的な影響を回避するには残された時間は非常に少ないのです。サミットに参加する世界のリーダーたちを始めとするあらゆるセクターの責任者は、化石燃料からの脱却そして自然エネルギー100%へのシフトを含む確実な気候変動対策を求めマーチに参加した何百万人もの人たちの声を重く受け止め、実効性ある対策を早急に打ち出すべきです。とりわけ、日本は石炭火力の新規建設を早急に止め、1.5℃目標に整合する削減目標の制定と実行を確保すべきです。」とNGO有志代表の350.org Japanの荒尾日南子(37)は述べました。

日本各地における「グローバル気候マーチ」イベントの写真はこちらからご覧になれます:
https://drive.google.com/open?id=1z3VApeQ40ZiiNtvJyXUleOiswRKPRhyY

注:
1:グローバル気候マーチ 特設ウェブサイト https://ja.globalclimatestrike.net/
2:23都道府県(北海道、岩手、宮城、福島、新潟、栃木、東京、静岡、長野、富山、石川、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、鳥取、福岡、大分、長崎、鹿児島、沖縄)
3:Financial Times, September 17, 2019, "Leading countries blocked from
speaking at UN climate summit: Secretary-general takes tough line on select
coal-supporting nations"
4: 各地のFFFでも同様の動きがある。FFF大阪による請願書FFF京都による請願書、FFF名古屋による請願書(掲載予定) 。
5: https://ja.globalclimatestrike.net/partners/

本件に関するお問い合わせ

荒尾 日南子(国際環境NGO 350.org 日本支部)
Tel: 070-5464-1419 Email: hinako.arao(@)350.org
渡辺 瑛莉(国際環境NGO 350.org 日本支部)
Tel:080-5496-4954 Email: eri.watanabe(@)350.org
※迷惑メール対策のため、お手数ですが(@)を@に変更してお送り下さい

Fridays for Futureについて
2018年スウェーデンの女子生徒グレタ・トゥーンベリさんが、「気候変動は人類の生存に対する何よりも重大な脅威であると言い続けていながら、皆これまでと変わらない生活をしているのは理解できません。温室効果ガスの排出を止めなければならないなら止めるべき」と、たった一人で始めた気候危機に対するスクール・ストライキは、世界各国の若者の共感を呼び、今では大きなうねりとなっています。日本でも5月に行われた東京でのマーチには総勢250人が参加しました。そして私たちは東京、名古屋、大阪などの国内の複数都市で同じようにFridays For Futureを立ち上げ活動を始めました。


気候危機について
産業革命前から現在までに地球の平均気温は約1℃上昇しました。たった1℃の上昇によって既に、人間社会の危機と捉えられるような事象が多発しています。日本では昨年6月~9月における熱中症死者が1518人となり1、2019年7月29日~8月4日までの間に最多1万8347人が緊急搬送されました2。ヨーロッパではフランスなど各地で40℃を超える熱波を観測しています3。また、1980年代とくらべ異常気象による気象災害の数は3倍と増えており、豪雨や洪水、干ばつなど気候変動に起因する災害による世界の経済的損失は、1998年から2017年の間で2兆2500億ドル(約252兆円)に上り、それ以前の20年間に比べて150%増加した4。


パリ協定とIPCCの1.5℃報告書
2015年、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で合意されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち1.5℃に抑える努力をするという長期的目標を掲げ、加盟国から目標値や長期戦略が提出されました。しかしパリ協定に参加する各国が提出した数値目標を達成しても、21世紀末には3℃の気温上昇が免れないと予測されています5。国連の気候変動に関する政府間パネル(以下:IPCC)は現在の排出ペースが続くと、早くて2030年には産業革命前と比べて1.5℃上昇すると警告しました6。1.5℃の上昇でも様々な被害が予測されますが、2℃の上昇と比べて1.5℃に抑えることで、被害を大きく減らすことができるとも発表しています7。IPCCは人間社会の壊滅を回避するためには、より積極的で革新的な社会の変化が必要であると警告しています。具体的に言えば、2030年までに全世界の二酸化炭素排出量を2010年の排出量と比べて45%削減し、2050年頃に排出ゼロにすることが必須だと結論づけています9。

注釈

1. 熱中症による死亡者数(人口動態統計)厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121413.html
2."熱中症での救急搬送人数は1週間で1万8347人(2019年7月29日~8月4日)."
https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20190806-00137236/
3."All-time temperature records tumble again as heatwave sears Europe."
www.theguardian.com/world/2019/jul/25/europe-heatwave-paris-forecast-record-hottest-ever-day
4."気候変動による災害の経済損失が増加、直近20年は252兆円に."
https://www.afpbb.com/articles/-/3192938
5. "Global temperatures on track for 3-5 degree rise by 2100: U.N."
www.reuters.com/article/us-climate-change-un/global-temperatures-on-track-for-3-5-degree-rise-by-2100-u-n-idUSKCN1NY186
6."Temperatures to rise 1.5 degrees Celsius by 2030-2052 without rapid steps - U.N. report."
www.reuters.com/article/climatechange-ipcc/temperatures-to-rise-1-5-degrees-celsius-by-2030-2052-without-rapid-steps-u-n-report-idUSL8N1WM0JJ
7."The impacts of climate change at 1.5C, 2C and beyond." CarbonBrief,
http://interactive.carbonbrief.org/impacts-climate-change-one-point-five-degrees-two-degrees/
8."Half a Degree and a World Apart: The Difference in Climate Impacts Between 1.5℃ and 2℃ of Warming"
https://www.wri.org/blog/2018/10/half-degree-and-world-apart-difference-climate-impacts-between-15-c-and-2-c-warming
9."Summary for Policymakers of IPCC Special Report on Global Warming of 1.5°C approved by governments."
www.ipcc.ch/2018/10/08/summary-for-policymakers-of-ipcc-special-report-on-global-warming-of-1-5c-approved-by-governments/

 

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