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「パリ協定長期成長戦略懇談会」の第2回での自分の発言+第1回の議事要旨

2018年09月12日
「パリ協定長期成長戦略懇談会」の第2回での自分の発言+第1回の議事要旨

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9月4日に「パリ協定長期成長戦略懇談会」の第2回が開催されました。テーマは「イノベーション」。ここでの自分の発言と、第1回の議事要旨をお伝えします。この懇談会の報告を通じて、日本の長期成長戦略に関わるさまざまな側面を一緒に考えていただけたらと思います。

第2回「パリ協定長期成長戦略懇談会」の内容は以下です。

政府側からの説明
外部有識者からのヒアリング(テーマ:「イノベーション」)
天野浩氏(名古屋大学教授)
五神真氏(東京大学総長)
委員からの発表及び意見交換

資料はこちらにあります。

私の資料はこちらにあります。発表内容を共有させていただきます。

~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ありがとうございます。私も資料を用意しておりますので、見ていただければと思います。

色鮮やかな印刷をしていただいていますが、3種類のイノベーションを考える必要があるということを、イノベーションの回でまず申し上げたいと思います。

やもすると日本では、「イノベーション」というと、「技術革新」という、技術に焦点を合わせた形で言われることが多いのですが、もちろんこの先端化イノベーションをさらに進めることは重要でありつつも、そのほかの2つのイノベーションも同時に考える必要があると思っています。

1つは、すでにある技術をどのように実際に展開していくかです。これは今日ご欠席ですが富山市長の森委員も前回仰っていた「汎用化のためのイノベーション」です。

それからもうひとつ、SDGsの言葉を使いますと、「だれひとり取り残さないイノベーション」です。この3つを、先端イノベーションを進めながら、汎用化しつつ、そして最後に、だれひとり取り残さない形で進めていくという、このイノベーションの3層構造を意識してイノベーションの議論ができればと思っています。

3ページ目になりますが、「先端化のイノベーション」はすでにみなさんが仰っている通り、高い目標があってこそ進みます。

これは3省の今の説明でも、他の委員の説明でも、「脱炭素」という思い切った究極の目標を出しましょうということは共有されているのではないかと思います。これをどれくらい本気でやっていくか、です。

ちなみに、5月に取材に行ったスウェーデンでは、「世界が2050年にやるんだったら、うちは2045年までにやるよ」ということで、実際に「2045年までに化石燃料ゼロになる」と宣言して進めております。鉄鋼メーカーでも今、まだ難しいといわれている水素還元で化石燃料ゼロの鉄鋼を2045年までにつくるという形で進めています。これも高い目標が国全体で共有されているからこそだと思います。

4ページ目、これは先ほどもありましたが、私も参加しておりましたエネルギー情勢懇で、パリ協定に向けてはエネルギーのイノベーションが絶対に必要ということで、複線シナリオという科学的レビューメカニズムということを提言に入れ、エネ基にも反映されています。これをしっかりと進めていくことが先端化イノベーションのためには、大事だと思っています。

5ページ目、2つめのイノベーションですが、「汎用化」です。これは実際には、パリ協定の目標実現に向けては最も効果が高いのではないかと思います。すでにたくさんの技術が日本にはある。だけど、なかなか用いられていない。再エネにしても、海外で展開する日本企業が多い。

1つは、コスト削減で、内山田委員も繰り返し仰っていることです。それから、イノベーションを実際に展開しやすいよう制度を変えていくことや、社会的合意形成を進めるための技術開発。このあたりもイノベーションとして考えていく必要があります。

6ページ目が、「だれひとり取り残さないイノベーション」です。地方創生をお手伝いしておりますが、今日本では人口減少に伴って、各地で不安が広まっています。このままでどうなっていくんだろう、と。

その時に、先に進むイノベーションだけではなくて、実際にある技術をいろいろな仕組みや制度のイノベーションと組み合わせることで、例えば、ここにはアメリカ、英国の例を載せていますが、低所得者の人たちにプラスになるような、そういったイノベーションもあります。日本でもぜひ、こういったものを進めていただきたいと思っています。

最後のページです。「脱炭素」というからには、やはり政府からしっかりやっていただきたい。これはスウェーデン政府の例ですが、各行政機関が自分たちの目標達成に向けてのレポートをきちんと出して、政府全体で進めています。

また、社会イノベーションを進めて欲しいということ。そして、今やりにくくしている要因がまだ多々あると思います。これをひとつずつきちっとなくしていくことも重要だと思います。

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~

このあとの議論では、カーボンプライシングをめぐる応酬がありました。議事要旨が発表されたら、ぜひまたお伝えしたいと思います。

第1回の議事要旨が発表されているので、共有します。「議事要旨」とは言いつつ、発言をほぼそのまま伝えてくれているので、どの委員がどういう考えで、何を発言したか、見ていただけます。各委員の提出した資料もこちらからどうぞ。

初回は安倍総理も最初から最後まで参加されました。総理の最後の挨拶でのコメントをご覧になると、どの委員のどのような発言が総理に強く残ったかも伝わってきます。

~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~

パリ協定長期成長戦略懇談会(第1回) 議事要旨
日 時:平成 30 年 8 月 3 日(金)10:15~10:55
場 所:総理大臣官邸4階大会議室
出席者:北岡座長、内山田委員、枝廣委員、進藤委員、隅委員、高村委員、中西委員、水野委員、森委員、安井委員

1.開会

2.内閣総理大臣挨拶
○ はじめに、安倍内閣総理大臣から、以下の挨拶があった。・環境と経済を巡る情勢は、ここ数年で一変している。ESG 投資は、この5年で1,000 兆円以上増加し、グリーンボンドの発行量も 50 倍に拡大するなど、世界の資金の流れが大きく変わりつつある。

・もはや温暖化対策は、企業にとってコストではない。競争力の源泉である。環境問題への対応に積極的な企業に、世界中から資金が集まり、次なる成長と更なる対策が可能となる。まさに「環境と成長の好循環」とも呼ぶべき変化が、この5年余りの間に、世界規模で、ものすごいスピードで進んでいる。

・この好循環をどんどん回転させることで、ビジネス主導の技術革新を促していく。これまで温暖化対策と言えば、国が主導して義務的な対応を求めるものだったが、こうした時代の変化を捉えた、大きなパラダイム転換が求められている。我が国も、日本企業の強みを生かしながら、従来の延長線上にないイノベーションを創出し、我が国経済の力強い成長に繋げていく発想が必要。

・こうした観点から、パリ協定に基づく長期戦略の策定に向けて、これまでの常識にとらわれない、新しい政策の方向性をご提言いただきたい。今回 は、従来からの議論の枠を超えて、大所高所からご議論いただける皆様に、お集まりいただいた。ファイナンスの動向やビジネスの実態、特に、世界の動きを大きく俯瞰しながら、今後の国際的な潮流を牽引できるような、新たなビジョンを示していただきたいと思う。

・我が国は、来年、G20の議長国となる。国際社会全体が、この気候変動の問題に足並みをそろえて立ち向かうべく、日本として、しっかりとリーダーシップを発揮していきたいと考えているので、委員の皆様には、ぜひ、忌憚のない、活発なご議論をお願いしたい。

3.座長挨拶

○ 次に、北岡座長から、以下の挨拶があった。

・ただいま総理から、世界の動きを大きく俯瞰しながら、今後の国際的な潮流を牽引できるような新しいビジョンを示して欲しいというお話があった。極めて大きな課題をいただき、そうそうたる皆様方の座長をお引き受けするということになり、大変身の引き締まる思いを感じている。

・改めて言うまでもないが、1997年の京都議定書の採択において、日本はこの分野のリーダーシップをとってきた。まだ、そのレガシーは生きている。日本の努力の結果、世界でこの問題についての認識が広がった。ただ、日本は3.11の結果もあり、この分野ではやや少しスローダウンをしてきた。その間世界の認識が進んで、2015年のパリ協定の採択となり、そこから予想より短い1年以内に発効した。そして同協定で義務とされている温室効果ガス排出削減に関する長期戦略を、G7の中では、日本とイタリアだけが提出していないという事態になっている。

・我々、国際会議に出ていると、この分野における世界認識が大きく変わってきたと感じる。異常気象も引き金となっている。それ以上にESG投資など、気候変動をめぐるビジネス界の動きがダボスでも、どこでも、大きなうねりとなって感じられる。これに対応して、ただ今の総理のご発言のとおり、また、未来投資会議での総理発言でも触れられているとおり、我々はESG投資の増加、グリーンボンドの発行量の増大など、投資・金融セクターを中心とした動きを踏まえ、それをさらに牽引するようなものを打ち出していきたい。これは来年のG20を目指して、誠に時宜を得たご提案であるように思う。

・最近、日本でも、集中豪雨等々で、この問題に関する関心は高まっている。また、この問題は、ものごとのアプローチにも変革をもたらす。つまり、大きな目標に向けて着実に進んでいくという積み上げ方式でなくて、野心的な目標を掲げそれに向かってチャレンジするというやり方。これは進みつつある日本の変化をさらに大きく牽引する、経済社会のあり方を飛躍的に発展させるチャンスにもなるのではないかと考える。

・総理がこのような会議を設けていただいたことに感謝し、これに応えるべく、よい提言を出せるように努力するので、よろしくご協力をお願い申し上げる。

4.パリ協定長期成長戦略懇談会の運営について
○パリ協定長期成長戦略懇談会の運営について、資料2のとおり了承された。

5.委員からの発言

【内山田委員】
○主な発言は下記のとおり。

・本当に、現在は地球温暖化が原因ではないかと思われるような異常気象が世界各地で起きていて、温暖化対策待ったなしという状況だと思う。

・私からは、本日、トヨタ及び自動車業界の状況と、それからもう一つ、この懇談会で議論を皆さんとしていきたい点について、意見を述べさせていただきたい。

・まず、自動車関連だが、ご案内のように、温暖化対策ということで、今、世界各国で大変厳しい燃費規制、CO2の排出規制が行われており、それをクリアすべく、各国の自動車会社は、電動化車両、大変規制が厳しく、電動化車両を入れないとクリアできないということで、この普及促進の競争をしているという状況である。

・トヨタ自動車でも、20年前にハイブリッド車を投入し、お陰様でお客様にも受け入れられて、累計で1,200万台、この1,200万台投入したことによるCO2の排出低減が約9,000万トンと推定されている。

・電動化車両には、ご存じのように、ハイブリッド以外にも、プラグインハイブリッド、電気自動車、そして燃料電池自動車があり、我々は、各国・各地域の状況に応じ、これらを全方位で今対応しているという状況である。

・また、日本全体でも、世耕経済産業大臣のもとで「自動車新時代戦略会議」を今行っており、つい先ごろ、2050年のゴールということで、2010年に対してCO2の排出を90%下げる、また、2050年には全ての車を電動化車両にするということが示されている。我々はこの実現を通じ、イノベーションを行って、我が国の自動車産業の競争力を上げていこうと思っている。

・2つ目の、当懇談会で議論を皆さんとしていきたいことが3点あり、1点目は、ビジョンとプロセス、あるいはゴールと戦略を分けて議論してはどうか。ビジョンやゴールとしては、脱炭素というのを明確に宣言するとか、かなり高いレベルのものを設定して、その実現のためにイノベーションを起こしていくようにする。2点目は、実現のプロセスでイノベーションを行って、新産業の創出や、産業の競争力向上を図っていくわけだが、これが、イノベーションが、これまではややもすると性能とか効率を追求するというケースが多かったが、それと同等以上にコストダウンをやらないと、結局、社会実装されていかない、あるいはコストダウンをやらないと、我が国の競争力が上がらないということで、やはりここでコストダウンを従来以上に重視した取組を行うべきではないかと思う。

・そして、3点目は、このようなイノベーションを実現していくために、これは前から総理が何度もおっしゃっているが、やはり規制緩和、あるいは規制を変えるということまでセットでやっていかないと、新しい枠組みなので、従来の枠組みでは社会実装をなかなかしにくいということがある。

・そういうことがあり、我々も、皆さんと一緒に、イノベーションを通じて日本の競争力を上げていきたいと思う。

【枝廣委員】
○資料3-1に沿って説明。主な発言は下記のとおり。

・長期戦略の必須要素として、総理のご発言から3点、大事な部分だと思っている。この3点目の「野心的な目標」に関しては、「2050年に80%削減」という目標の基準年をきっちり出して、本当にどれぐらいの規模を野心的にやっていこうとしているか出す必要がある。その先は「実質排出量ゼロ」に向けての大きなビジョンが出せればと思っている。

・私たちが、この長期戦略を考えるうえで「長期」とはどういう未来かということを3点、大事だと思う点を挙げている。

・1つ目は、エネルギー情勢懇談会でも繰り返し確認したことだが、今後の未来は不安定で不確実である。そうしたときに、決め打ちで手を打っていくということは難しいので、レジリエンスを高めた形で経済の成長もしくは社会の進捗を図っていく必要がある。

・レジリエンスを高めるためには、短期的な効率・利益の最大化ではなくて、長期を見るということ、集中型ではなくて、小さい規模でもたくさんの産業や新しい企業を興していくことを考えることが重要と思っている。

・2点目は、言うまでもなく、日本は人口減少・高齢化が進むので、特に地域の力を高める成長戦略が大事だと思っている。もちろん、最先端の大企業がもっと先に行くことも大事だが、一方で、「人口の8%の地方の人々が48%の国土を守っている」現状から、この人たちがここに住み続けることができる、そういった地域の活性化につながる成長戦略を考えたいと思っている。

・3点目は、人々の「幸せ」の定義は変わりつつあるということだ。これまでの、お給料が増えればいい、GDPが増えればいいという価値観ではなく、持続可能性、人間性、社会性を大事にする生き方を求める人が増えている。これに沿った形の成長戦略、つまり何を成長させるべきなのかということも議論できればと思っている。

・一つの例として、私もお手伝いをしている、北海道の下川町の話を一言させていただきたいと思う。

・SDGs未来都市にも選ばれている所だが、「見える化」ということで、地域の経済を見える化する努力をされている。それによって、地域の経済のどこに穴があいているか、大きくはエネルギーだということで、豊富に持っている森林バイオマスを使って熱の自給を今進めている。

・それによって、既に化石燃料費の削減ということで2億円以上、域内にお金をとどめることができている。加えて、熱や森林資源を使って小さいけれどもさまざまな産業が起こっている。それによって、どんどんと人々が移住をして、今、社会増という、一つの成功事例になっている。

・地域の経済状況も、人々の豊かさの実感も向上するような、そういった成長戦略をつくることができればと思っている。

【進藤委員】
○主な発言は下記のとおり。

・私は、国内に製造基盤を置く製造業の立場から、意見を申し上げてまいりたいと思っている。

・国内を見ると、少子高齢化や人口減少などが予測されているが、世界に目を転じると、人口の拡大、貧困の克服、経済の成長が予測され、これに伴い、鉄鋼を初めとする素材やエネルギーの需要が拡大するものと想定されている。

・サプライチェーンがグローバル化し、製品マーケットの重心も動いている中で、ここで議論される長期戦略は、国内産業の国際競争力の維持・強化、そして我が国の経済成長に大きな影響を与えるものと考える。

・昨年4月に経済産業省が公表した「長期地球温暖化対策プラットフォーム」、ここでは地球温暖化対策の大目的を「持続可能な発展」と捉え、一つには低炭素技術による国際貢献、二つ目にはグローバル・バリューチェーン、サプライチェーンでの貢献、三つ目は技術的イノベーション、この3本の矢による地球儀を俯瞰した地球温暖化対策、すなわち技術に裏打ちされた長期戦略を考えることが重要であるということがうたわれており、私も全くそのとおりだと思っている。

・鉄鋼業で申し上げると、日本は、これまですぐれた省エネ・環境技術で世界に大きく貢献してきた。加えて、製品機能においても世界をリードし、自動車の軽量化や電動化を初め、日本製品の高機能化・効率化に資する鋼材の開発を通じて、我が国の国際競争力強化、人類の豊かさと地球環境の両立に貢献してきた。このことは将来に向けても変わることはない。

・ただし、世界的にそうだが、現在の製鉄技術の延長では、どうしても炭素で鉄鉱石を還元することが最も効率的であるという状況なので、石炭を原料として使い続ける必要がある。全量を世界的にスクラップからつくるという時代は、相当遠い将来だろうと思っている。したがって、2050年に向けた長期温暖化戦略を考えるならば、例えば80%削減という目指すべきゴールは、既存の技術では到達できない、まさに坂の上の雲であろうと思っている。その雲を目指して坂道を上ることはできても、上に浮かぶその雲にたどり着くには、大きな技術のブレイクスルーが必要である。

・鉄鋼業で言えば、カーボンフリーで水素をつくり、それを使った水素還元製鉄、それから人工光合成などによるCCUがそれに当たるもので、これらに果敢に挑戦していく必要があると思う。

【隅委員】
○主な発言は下記のとおり。

・私も、先ほど総理がおっしゃったとおり、この懇談会を通じ、環境と経済の好循環を回して、温暖化対策に熱心な企業に人材も投資も集まる国、さらにはイノベーションが加速する国を目指したいと考えている。

・パリ協定では、排出量削減などの緩和策、いわゆるミティゲーション、それと温暖化の影響で巨大化する自然災害などへの備えとしての適応策(アダプテーション)、この二つが2本柱となっている。まず、緩和策(ミティゲーション)であるが、脱炭素化に向けて、幾つかの先進的な技術開発を、日本としても、国家戦略と位置づけて集中投資をしていく必要があろうと思っている。また、日本企業は、もともと省エネ技術や環境配慮型製品・サービス提供といった面で、極めてすぐれたものを持っている。こうした強みを、TCFDなどの企業開示を戦略的に活用することで世界に知らしめ、日本企業に専門性の高い人材と投資を引きつけたいと思う。

・そして、二つ目の柱の適応策(アダプテーション)であるが、日本は、残念ながら自然災害の先進国でもある。それがゆえに、防災・減災や保険といったソフト面から社会インフラ強化などのハード面まで、レジリエンスの最先端技術やノウハウを幅広く持っている。こうしたものを一層磨き、開発途上国を初め、世界へ技術とファイナンスをセットで提供し、成長を目指すとともに、地球規模の気候変動適応策におけるリーダーシップを発揮したいと思っている。

・どのテーマも簡単なものは一つもないが、この懇談会で方向性が示せればと思っている。

【高村委員】
○資料3-2に沿って説明。主な発言は下記のとおり。

・長年、国内外の温暖化政策を見てきたが、先ほど総理、そして北岡座長からもあったように、ここ数十年振り返っても、経験したことのないような大きな変化が生まれているように思う。それは再生可能エネルギーのコスト低下によるエネルギーの転換、そしてゼロ・エミッションに向かう、それをリードするビジネスと金融が特徴的な変化である。

・こうした変化は、温室効果ガスの削減というプラスだけの効果だけではなく、日本にとっても、エネルギー自給率の向上や雇用の創出に大きく寄与する、そういったプラスの効果を生み出すことが目に見えるようになってきた。

・これは国際再生可能エネルギー機関のデータであるが、再エネ分野で、日本でも約30万人の雇用が2017年に生み出されたとされている。

・企業にとって、温暖化対策のフェーズが変わってきたということも同時に感じる。投融資先の企業が脱炭素に向けて速やかに移行していけるかどうかということが、企業の評価、価値を左右する、そうした金融・投資家の動きがあるとともに、脱炭素に向けた世界の変化がまさにお金の流れを変えて、脱炭素に向かう市場を世界的に拡大させていると思う。

・資料3-2の3にご紹介をしているが、ESG投資の拡大の一環として、再エネと関連するクリーンエネルギー投資に、17年単年で約36兆円もの投融資が行われたことが示されている。他方、日本の企業は、この脱炭素に向かうソリューションを提供し得る技術と潜在力を持っているとも思う。

・資料の4枚目と5枚目に紹介をしているが、4枚目は、6年から11年の再エネ特許数で見たときに、世界トップ20社に、まさに日立、トヨタを初め、12社が名前を連ねている。

・長期戦略は、そういった意味で、こうした日本の企業の価値と競争力を高める、そうした戦略であってほしいと思う。企業に新しい技術開発、投資をしてもらうものということであるから、先行するG7諸国が示したように、脱炭素に向かうという変革の意思、それに移行していくという国の意思を明確にする、そして日本の企業が、経済が速やかに、スムーズに移行していくための国の施策と仕組みづくりの方向性を示す、こうした戦略の議論を皆様とともにしていければと思っている。

【中西委員】
○資料3-3に沿って説明。主な発言は下記のとおり。

・まず最初に、この懇談会の目的が、従来の議論のパターンとまるきり変わり、気候変動とエネルギー政策の守りから攻めという格好へ転換するということは、大変意義があり、ありがたいことだと思う。長期戦略であるので、様々なチャレンジが待っているが、長期にしっかり取り組むことが、まず一番大事なことだろうと思う。

・そういった観点で、一つは、日本はエネルギーがほとんど自給できていないのが現実であるので、グローバル・バリューチェーン全体でSDGsに貢献していくという、企業としての意思をしっかり持つことが一番大事だろうと思う。また、そうした点を目的のところに大きく1本入れ、アピールしたい。

・2番目は、これも再三繰り返し各委員から言われているが、イノベーションである。現実には、今、エネルギーと電力については、少々投資が停滞しており、事業環境はあまりよくない。これからどんどん需要や市場がシュリンクしていくようなイメージで捉えられがちだ。そうではなくて、だからこそR&Dと設備投資、両方をしっかりやっていくことについて、政策・施策もそうであるし、企業の方針もそうしていきたい。

・3番目は、エネルギー全体について言うと、日本の価格は高い。S+3Eの実現に向けて一貫して取り組んでいるが、相対的に言うとやはり高い。私に様々な意見が出てくるが、これからデータ資本主義という格好で、データを全部集めてしっかり管理し、そこから知恵を生み出そうというときに、日本はデータセンターを置けないという話がしばしば出てくる。特にこれだけ高温になってくると、クーリングの費用は半分はあるから、大変厳しい環境になってくる。これではまずいという意味で、コストをしっかり意識して進めていきたい。この3点を踏まえ、議論をさせていただきたい。

【水野委員】
○主な発言は下記のとおり。

・私は、今、国連責任投資原則の理事として、地球温暖化問題のリーダーシップをめぐる争いと攻防を目撃している。その戦いでは、まず、どれだけ野心的な目標を設定して、それを表明して、それを旗印に、ルールづくりのところでリードしていくかということではないかと思っている。

・正直、現在、我が国のその分野での評判は芳しくないと感じている。一発逆転を目指すのであれば、パリ協定のベースケースである2050年2℃ではなく、野心的な目標とされる1.5℃を宣言するぐらいのことが必要ではないかと思っている。

・今回、長期戦略という懇談会のタイトルだが、2050年というのは、企業経営者にとっては超長期であり、GPIFのアンケートでも、企業経営者の考える長期は3年から5年という結果が出ているので、そういう意味では、これは企業の方に責任感を感じさせてつくるというよりも、国が次世代の国民のために、国の責任において宣言するべきものではないかと思う。

・当時、世界一厳しく誰も達成できないと言われた、カリフォルニアの排ガス規制を一番にクリアしたホンダが、その後、長期にわたってアメリカ市場を席巻したことからも、先ほど総理がおっしゃったように、この課題を競争力の源泉としていくことが必要であり、政府は、そうした企業のリスクテイクを後押しするとともに、ルール作りのところでリードし、日本企業が国際的に不利な環境で競争することがないようにする必要があると思う。

・また、もう一つ、私の立場であるGPIFのCIOとして、世界の投資・金融の動きを見ていると、今までのところは、化石燃料からの投資の引き上げや保険の引き受け停止、融資の停止といった側面ばかりが注目されているが、これからは、温暖化対策実現のための設備投資や、技術革新に必要な膨大な資金の獲得競争、さらにはそうした取組をポジティブに評価するESG投資の資金獲得競争が起きると思っている。

・この半年の間に、英国、EU、フランス、中国、さらにサウジアラビアのリーダー達とのESGについての議論を通じ、彼らの切迫感を私はひしひしと感じている。

・今後、そういった投資を受けるには、現在の炭素排出量のディスクロージャーだけではなく、脱炭素に向けた戦略、またサプライチェーン全体のディスクロージャーが必要になる。まさに中西委員もおっしゃったように、バリューチェーン全体の炭素効率は日本企業の強みであるので、それがアピールできるTCFDはやらされるという守りのスタンスで臨むのではなく、競争戦略として推進すべき。

・G20では、このTCFDだけではなく、2016年の議長国の中国が提案したサステナブルファイナンス・スタディグループにおいても、日本の存在感が現在のところ高くない。やはり大阪まで待つのではなく、ブエノスアイレスで何か日本の存在感を出すような表明が出来ないと、大阪までの間に日本不在のルールづくりというのが進むというリスクを感じている。

・最後になるが、脱炭素は、化石燃料に恵まれず、国民が努力して稼いだ国富を大量に流出し続けてきた日本にとって、宿願とも言っていいような世界が到来するということではないだろうか。若者に夢があるような未来を描いて、その夢に向かって技術革新する企業を投資家と政府が後押しするという環境を、ぜひここで議論をさせていただきたいと思っている。

【森委員】
○主な発言は下記のとおり。

・各先生方の中では、私が唯一地方自治体の立場ということでここに座っているので、話が若干ローカルになってしまう向きもあるが、ご容赦をいただきたい。

・コンパクトシティというのをドンキホーテのように取り組んできたが、きちっと誘導していくと社会は変わっていくということを実感している。

・コンパクトな暮らしがもたらす結果として、一人一人の市民のクオリティ・オブ・ライフを上げていく。しかし、その円周部にもたくさんの人がいるわけで、今、ガソリンスタンドがなくなってきている中で、EVの必要性がすごく高まっている。そして、そこには、先ほど枝廣委員もおっしゃったように、木質バイオマスという包蔵エネルギーがたくさんある。さらには、遊休落差を使った小水力発電とか、地熱とか、井戸水のヒートポンプとか、技術としては確立をかなりしているものが、汎用性がないので、市民生活レベルで言うと、そこに眠っているエネルギーを使いたい、しかし、高価である。したがって、技術革新という観点、イノベーションという観点から言うと、汎用性の高い技術というものをESG投資というものなどでの誘導をしていただきながら、早急につくり上げていただきたいということを強く期待したい。

・加えて、JICAのお手伝いをいただきながら、富山の事業者が持っている技術、例えばバリ島で小水力発電所をつくった。ジョホールバル州でもつくった。今、富山の民間企業が自主的にスマトラ島で水力発電を手がけようとしている。先般は、ルーマニアから招聘が来たりしているので、必ずしも東南アジアだけではなくて、途上国の中に、日本の技術に対する期待が非常に強いというふうに思っているので、ここにも成長産業としての伸びしろがあるのではないかと思っている。

・私どもの立場では、極めて箱庭的な取組しかできていないが、しかし、その技術が上がっていくと、汎用性を強く帯びてくるというふうに思っているので、また、その立場でこれからも提言させていただきたい。

【安井委員】
○主な発言は下記のとおり。

・本委員の学者系は3名いると思うが、その中の唯一の理工系の人間である。

・総理がご提唱されたと思うが、ICEFという国際会議があり、そのステアリングコミッティに任命されてから、イノベーションというのは一体どういうふうにやるべきなのか、パリ協定とイノベーションの関係とはどうなのだということを主な研究テーマの一つにさせていただいた。本当に、いろいろなイノベーションをどうやって起こすのか、これから真剣に考えるということかと思う。

・その後、幸いにも、経産省とNEDOがやっている「未踏チャレンジ」という、39歳以下の若手の研究員に、何でもいいから見たことのないことをやってくれというタイプのプロジェクトが、プログラムディレクターとして、今、参画をさせていただいている。

・ほかの省庁だと、環境省の環境研究と技術の将来動向というか、将来のポリシーを決める委員会の座長もぜひ頑張ってやってまいりたい。

・若干、文科省が心配だが、幸いにして、高村先生は、私の後任として、今現在、文科省のエネルギー環境小委員会の委員長でいらっしゃるので、ご相談をさせていただきながら、しっかり議論をさせていただきたいと思っている。

6.閉会
○ 安倍内閣総理大臣から、以下の発言があった。

・地球温暖化に関わる会議で、このように製造業から3名の方が入っていただき、また、金融関係者の方にも入っていただくというのは、かなり今までの趣とは違うのだろうと思う。

・最初に申し上げたが、国がある種の義務を決めていく、企業はその義務の中で、達成しなければいけないという中で、温暖化対応がスタートしたわけである。消極的選択から、今日のお話を聞いていると、まさに積極的な選択として、この地球温暖化対策に対してしっかりとイノベーションを進め、企業としての価値を上げていこうというお話をいただき、大変心強く思った。その中で、やはりあとは投資が起こっていくということで、今日は金融関係者、またGPIFの水野さんにもお越しをいただいたわけであるが、まさに大きく変化していく中において、国に対しても厳しいご指摘があった。

・日本というのは、野心的な目標を掲げて耳目を集めるというのが、どちらかというと苦手で、本当に積み上げていって、堅い目標をプレッジしてきた。しかし、今、水野委員がおっしゃったように、やはり野心的な目標を掲げることによって、ルールづくりで主導権を発揮できるというのが非常に大きいと思うし、国際社会では、いかにルールをつくっていく中に日本が入っていくかということが大切だろうと、こう考えている。今日、皆様から非常に積極的なお話をいただき、我々も心強く思う中で、政府としても、世界の中でリーダーシップを発揮していくことができるように、努力を重ねていきたい。

○ 北岡座長から、以下の発言があった。

・我々は、1970年代に、非常に高い環境基準を設定し、また、二度の石油ショックがあって、それを乗り越えることで日本経済はさらに飛躍したわけであり、これをさらにやって、かつ世界にルールメイキングを出していこうというお話で、大変うれしく思った。

・本日の議事は以上である。

・これをもって、第1回パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた懇談会を閉会する。

・次回の日程や、あるいは今後の議題については、また事務局からご相談をさせていただく。

~~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~

エネルギー情勢懇談会のときは、委員が8人で毎回2時間~3時間の会だったのに対し、こちらの長期戦略懇談A会は、委員が10人で、初回・2回目は1時間。意見表明が終わって、これから議論!という最初のところで時間切れになってしまうので、どこかでもっとじっくり委員の間で議論できる回があることを願っています。

またようすや議論の内容など、お伝えしますね!

 

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