ホーム > つながりを読む > 第1回「エネルギー情勢懇談会」での発言

つながりを読む

第1回「エネルギー情勢懇談会」での発言

2017年09月09日
第1回「エネルギー情勢懇談会」での発言

Image by Kenueone.

http://bit.ly/2gNd3Hl

温室効果ガス80%削減という目標をベースに、2050年の日本のエネルギーを考える資源エネ庁の「エネルギー情勢懇談会」の第1回が8月30日に開催されました。初回から、自分が大事だと思っていること、この懇談会で議論したいことを伝えました。私の発言内容をお届けします。

当日の資料はこちらからどうぞ。

動画はこちらです。

今回は特に求められていませんでしたが、私は資料を提出し、それにそってコメントさせていただきました。私の資料はこちらです。

~~~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ありがとうございます。今日は自己紹介と、この会合に臨むに当たっての私なりの私見を皆さんにお伝えしたくて、資料を用意させていただいております。枝廣委員提出資料、07番をご覧いただければと思います。ごく簡単にご紹介して、あと幾つか、今ご説明を聞いてのポイントをお話ししたいと思います。

今回のこの懇談会も、長期的な視点で環境とエネルギーを考えるということですが、もともと福田首相のころの、日本の長期的な温暖化目標を考える懇談会から、さまざまなエネルギー、特に長期的に環境エネルギーを考えるような機会をいただいています。今回、そういった会議にまた参加させていただくことをうれしく思っています。

3ページ目、今回、私がこの会合でお役に立てるとしたらどのようなことなんだろうかと考えて、3つの視点を大事に参加したいと思っています。

1つは、言うまでもなく「環境」の視点です。この会合そのものがパリ協定を受けてということなので、排出量に関しては、おそらく多くの議論が行われると思いますが、エネルギーのもたらす環境問題は排出量だけではないですので、そういった観点も忘れずに参加したいと思っています。

2つ目は、今のご説明での論点整理で抜けているのではないかと思っている点です。「地域」の視点ということです。

これまでの日本のエネルギー政策の延長線上で考えると、どうしても「輸入メンタリティ」になると思います。どうやってエネルギーを輸入するか、と。それはもちろん、これまで日本のエネルギーは輸入がメインでしたので、どのように地政学的なリスクを考えるか、など、今回の事前分析も、そういった情報が多かったかなと思います。

その一方で、日本の中で創出できるエネルギーが、再エネです。特に、大きな工業用・産業用はまだ難しいとしても、地域ぐるみで、もしくは個人の家庭で、エネルギー自立ということは、もう十分に可能になっております。

私事ですが、昨日たまたま岡山の友人の所に泊まっていました。そこはすべてオフグリッドで、ソーラーパネルと自宅の蓄電池で、まったく不自由なく生活をしています。日本でそういった家庭がもう100軒ぐらいあると聞いています。

「地政学に翻弄されない地域のエネルギーづくりを、いかに技術的・制度的に手伝うか」ーーこれはとても大事な観点だと思いますので、今の論点整理に入っていませんが、ぜひ考えていきたいと思っています。

3番目が「市民」の観点ということです。基本問題委員会の時に、このグラフに示してありますように、今回もそうですが、多様性という点で言うとかなり男性に偏っておりました。女性の視点、考えも皆さんに知っていただきたいということで、「エネ女」と呼んでおりましたが、女性100人ぐらいに集まってもらって自分たちのエネルギーを議論し、その報告を委員会に出させていただきました。

同様に、年代的にも、委員会はかなり上のほうに偏っておりました。2030年、2050年のエネルギーを考えるときに、その社会で主流になる人たちの考えをどうやって反映していくか。この時にも、「エネ若」の会議というのを開いて、若者の意見を委員会にお伝えしました。

今回も、ウェブを通じてここでの議論を情報発信したいと思っていますし、できたらリアルの場、オンラインでいろんな方々の意見とか論点などを、議論する場を、個人的にもつくっていきたいと思っています。またご報告させてください。

最後に、エネルギーを考える視点についてです。、もちろん「3E+S」ということですが、これまでの議論は、「どれがその中で一番大事か」という議論だった気がします。

もちろんどれも重要ですが、どうやって短期的なものと長期的なものをバランスさせるか。短期的なコスト・経済効率と、中長期的なレジリエンスをどうやって両立するか。そのバランスをどうやって議論するかということを、私は考えていきたいと思っています。

2050年の未来を考えたときに、どうしてもそれぞれの立場で、「ありたい未来」とか「あるべき未来」の話に終始しがちです。しかしここの議論では、できるだけ「あり得る未来」という議論をできればと思っていますし、そのための、たとえばシナリオプラニングであるとか、さまざまな環境とエネルギーのバランスを考える、システムダイナミクスに基づくシミュレーションなどの手法がすでにありますので、そういったものもできるだけ活用していければと思っています。

あと、短くですが、今のご説明について何点か思っていることをお伝えしたいと思います。また出していだきたい資料が幾つかあるので、それはまた追ってお話したいと思います。

先ほど、坂根さんが「2050年でも短い」というお話をされました。2050年でピリオドではないので、その先も考えていくときに、たとえば原子力の発電にしても、十分に再エネでコスト的にもさまざまな問題も解決できて、再エネでほとんどできるようになったとしても、原子力は必要なのかどうか? 多分、そういった議論をしないといけないと思います。

これまで、2030年までを考えると「エネルギーが足りないから」「コストの点で」ということで原発が推進されてきたわけですが、もう少し遠くを考えたときに、もしそういった必要性がなくなっても原子力は必要か、という議論がどこかで必要になってくるかなと思っています。

そのほか、幾つかまた細かい点でお聞きしたいことがありますが、まずはこれだけにしたいと思っています。よろしくお願いします。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

今回は、事務局の資料説明の後、各委員からの意見を一巡聞く、という形でした。(私が最初に手を挙げました)

私の伝えたかったポイントは、

(1)長期的なエネルギー政策を考えるにあたっては、従前の「輸入メンタリティ」から脱する必要がある

(2)とくに地域の視点が大事(レジリエンスの観点からも、エネルギー自立地域をどれだけたくさん作り出せるか)

(3)「原発は、エネルギー政策なのか、科学技術政策なのか」

これまでは、エネルギーが足りないから、コストが安いから、と原発は「エネルギー政策」として扱われてきました。しかし、基本問題委員会で繰り返し感じたのは、同時に、「廃炉や原子力の科学技術を絶やさないために必要」という声も大変強い、ということでした。

もし、原発がなくてもコストに問題がない形でエネルギーが足りるようになったら(2050年を考えれば、世界的な動向からも再エネは十分にその責を果たすでしょう)、原発は不要と結論づけるのか、それとも、「それでも原子力の科学技術のために必要」なのか? もし後者なら、数十基もなくてもよいですよね?

他の委員の発言は、もうじき議事録がアップされる予定なので、ご覧ください。または、動画を見ていただければ、すぐに聞いていただけます。

このように委員の意見表明が一巡した後、エネ庁長官と世耕経産大臣からのコメントがあり、最後にどうしても、という人がいますか?という司会の方からの問いかけに、私は手を挙げました。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

議論の中身は今度に取っておくとして、これは「懇談会」という名前なんですよね? 今の感じだと、おひとりさまの個別ブースの焼肉店に入っているような感じで、そちら側の店主側はみんな見えるんですけど、お互いが見えないんですね。

なので、できたら、さっき大臣も言っていただいたように、私たちの間でも、どうしてそうお考えなのか、もっと聞きたいとか、そういうこともあるので、机の配置をちょっと斜めにしていただいて、お互いの顔が見えるようにしていただけるとありがたく思います。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

ここに座席表がありますが、横長の机に、一列に委員が並ぶので、お互いが見えないのですよねー。

それぞれがまえにずらーっと並んでいる官僚に話しかける形になってしまっていて、これじゃ、「懇談」はできないなあと。「おひとり様用の焼肉店」って、行ったことはないのですが(^^;)、そんな感じかと。会議室に笑いがもれました。

「学習する組織」の考え方の1つに、「場の質が関係性の質を左右する」というものがあります。

場の質→関係性の質→思考の質→行動の質→結果の質 とつながります。

この懇談会が本当によい議論につながり、よい結果につながるために、机の配置を変えてほしい!とお願いしたのでした。

「次回は工夫します!」と言っていただいたので、その点でも乞うご期待!です~!

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ