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つながりを読む

東日本大震災・福島第一原発事故から5年半、福島で今なおつづく避難生活

2016年10月14日
東日本大震災・福島第一原発事故から5年半、福島で今なおつづく避難生活

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https://www.flickr.com/photos/jetalone/6187631250

先月参加したハンガリーでの国際会議で、「東日本大震災後の東電福島第一原発の事故による避難者の状況について話してほしい」という依頼を受け、短い発表をしました。その内容と、福島県富岡町の復興を支援する「福島富岡復興グリーンファンド」への出資募集のご案内、よかったらぜひご覧下さい。


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東日本大震災・福島第一原発事故から5年半、福島で今なおつづく避難生活

東日本大震災・福島第一原発事故から5年半がたちました。この間、世界の他の地域でも大きな災害が起きたり、日本でも熊本地震が大きな被害をもたらしました。今では「被災地」といったときの多くの人のイメージは東北や福島ではなくなりつつありますが、東日本大震災や、特に福島第一原発事故の被災者がいなくなったわけでも、被災者の苦労が終わったわけでもありません。忘れないためにも、東北・福島の現在の状況を報告します。

東日本大震災による被害は、2016年3月10日時点で、震災による死者・行方不明者が1万8,455人(震災関連死を除く)、建築物の全壊・半壊が40万326戸となっています。最も大きな被害を受けた岩手県・宮城県・福島県の県別の死者数を見ると、岩手県が4,673人、宮城県が9,541人、福島県が1,613人です。

避難者の数は、ピーク時で推計47万人。2016年2月12日の時点で14万4,471人が、今なお避難生活を送っています。

震災前(2011年3月1日)と直近の推計人口の比較表を見ると、岩手県や宮城県でも、大きな被害に遭った地域では、3分の1ほどの人口が減っていることがわかります。福島県を見ると、増減率「-100%」という地域がいくつもあります。言うまでもなく、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響によるもので、まだ避難指示が解除されていない地域です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%A7%E9%9C%87%E7%81%BD

震災直後の避難指示の記録を見ると、次々と避難すべき地域が広がり、そのさなかに第二原子炉でも爆発が起こって、さらに避難地域が増えていたことがわかります。

その後、国際的な基準値を参考に、3つの避難地域が設定されました。地図を見るとわかるように、20キロ、30キロ圏内が主な警戒区域と緊急時避難準備区域になっていますが、30キロ圏外も含め、大きな計画的避難区域があります。これは、爆発が起こったその時に吹いていた風向きによって、放射性物質が大量に飛来した地域です。

また、緊急時避難準備区域も設定されました。風向きや地形によって、事故後1年間の積算線量が20ミリシーベルト以上になると予想された地域で、ホットスポットとも呼ばれており、避難勧告が出されています。

その後、避難区域の見直しがありました。

・「避難指示解除準備区域」(年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実と確認された区域):帰還準備のため、住民の一時帰宅(宿泊は禁止)や病院・福祉施設、店舗等の一部の事業や営農の再開が可能に

・「居住制限区域」(年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあって、引き続き避難の継続が求められる地域):住民の一時帰宅や、道路などの復旧のための立入りが可能に

・「帰還困難区域」(年間積算量が50ミリシーベルトを超えて、5年間たっても年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれがある区域):引き続き避難の徹底

避難指示区域を見るとわかるように、まだいくつもの区域が帰還困難区域に指定されています。

(56ページ)
http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2015pdf/whitepaper2015pdf_1_2.pdf

福島県の状況を見てみましょう。福島県の避難者数を見ると、2012年5月以前では16万4,665人でした。避難指示区域等からの避難者数は、2013年3月時点で、約10万9,000人ですす。最新の2016年7月現在の数字を見ると、福島県ではなお8万9,319人が避難しています。富岡町、双葉町など、警戒区域に位置している自治体は、県外に自治体機能を移しています。

福島県では、震災による直接の死者だけではなく、震災関連死も増えています。震災関連死とは、避難所の不衛生や寒さ、精神的ショックなどが原因で、避難後に死亡したものです。復興庁が災害弔慰金の支給対象として認定した震災関連死は、2016年3月末時点で、岩手県459人、宮城県920人に対して、福島県では2,038人で、地震や津波による直接死者数を上回っています。

東京新聞は、震災関連死のうち、原発事故での避難の影響で病気が悪化するなどして死亡した人の数を、各自治体に弔慰金申請書類などを調べてもらい、「原発関連死」として集計しています。2016年3月6日付の紙面で、「福島県内の市町村に取材し、確認できた数字だけでも、その総数は少なくとも1,368人」と報道しています。県内の市町村が認定した震災関連死は3月4日現在で2,028人なので、「このうち67%が原発関連死にあたる」としています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030602000127.html

東日本大震災と福島第一原発事故関連の自殺者数に関する内閣府集計を見ても、宮城県、岩手県の自殺者数はほぼゼロに近づいているのに対し、福島県では今なお増えていることがわかります。

原発被災者は多重の苦しみを抱えています。良く言われるもののいくつかを挙げると
・暮らしを失う
・生計の糧を失う
・コミュニティを失う
・(避難指定地域外の場合)避難するしないなど、自己責任の判断を強いられる
・意見の違いによる離婚、家庭崩壊、世代分断・避難先での二重ローン
・避難先での差別やいじめ
・いつ戻れるかわからない・避難指示が解除されても、戻って本当に安全かわからない、安心できない
・戻ってもコミュニティが再建できるかわからない
(5年の年月の間に、すでに避難先・移転先での暮らしや仕事、人間関係ができている人も多く、戻るのは高齢者が多いなど)

福島県にある原発は、福島県に住む人々のためではなく、首都圏に送電するために発電をしていました。その原発の事故で家を追われ、場所によってはいつ戻れるかわからない、避難指示が解除されたとしても本当に安心して住めるかわからないという不安を抱えている避難者の方々の状況は本当に悲しく、辛いものだと思います。

日本では、まだ原発事故の後始末も補償も終わっておらず、いまだに多くの方々が避難されている状況にもかかわらず、原発の再稼働や40年超運転認可の決定が続いています。私たち一人ひとりが、原発事故の重さと原発に頼り続けることの責任を今一度考えなくてはなりません。

(枝廣淳子)

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福島富岡復興グリーンファンド

ファンドの募集をしている株式会社自然エネルギー市民ファンドから最初にいただいたご案内をご紹介します。

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被災から既に5年。未だ復興が 進まぬままに多くの人々が避難生活を続け、将来が見えぬ不安を抱えたまま、時間だけが過ぎようとしています。

先祖から受け継ぎ、心の拠り所だった故郷を、できる限り希望のある形に戻し、次世代に手渡すことをめざして、福島に住む人々が力を合わせて「富岡復興ソーラー事業」の取り組みが始まりました。

この事業は、富岡町内に建設する最大30MWの太陽光発電所事業の収益から、被災住民生活再建支援、帰還高齢者支援、次世代農家自立支援等の復興事業に寄付することで、復興事業が進む事を期待するものです。

この建設資金として、「福島富岡復興グリーンファンド」による市民出資の募集を開始する事といたしました。

弊社では、このたびこの市民出資の募集の取扱を開始いたしましたので、みなさまにお知らせをしたくご案内申し上げます。多くのみなさまと一緒に福島の復興を支える「福島富岡復興グリーンファンド」に、ぜひご参加ください。

本募集につきましては、

申込単位 1口以上1口単位 1人あたり上限1000口
募集口数 A号:上限3250口  B号:上限1300口
申込金額 A号:1口あたり20万円  B号:1口あたり100万円
分配期間 A号:11年8ヶ月 (2016年11月~2028年6月)
    B号:21年8ヶ月 (2016年11月~2038年6月)
    ※A号、B号ともに配当金は毎年度分配、出資金は最終年度に一括償還
目標利回り A号:2.5%   B号4.0%+α
※目標利回りはあくまでも分配期間を通じた事業計画上の目標であり、これを確定、保証するものではありません。
募集総額 上限13億円 (A号:上限6.5億円 B号:上限13億円)
募集期間 2016年6月4日から2016年10月31日まで
※申込者多数の場合は、先着順とさせて頂きます。

を予定しております。なお、詳細につきましては、以下宛お問合せをいただけますようお願いいたします。

<署名>
資料のご請求は
<資料請求フォームURL>
https://gt107.secure.ne.jp/~gt107234/seikyuu/fukushima.html


~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~


「目標年利回りはあくまでも分配期間を通じた事業計画上の目標であり、これを
確定、保証するものではありません」という注記がありますが、それでも、2.5
%、4.0%+α という利回りに魅力を感じる人も多いでしょう。そして何よりも、
「それによってどういう未来の出現に手を貸すことができるのか」ーーこの目に
見えない利回りも大きいのではないかと思います。

 

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