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エネルギー基本計画のパブリックコメントの9割が「脱原発」を求める

2014年11月15日
エネルギー基本計画のパブリックコメントの9割が「脱原発」を求める

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12日付の朝日新聞に「「脱原発」の意見、1万7665件で94% エネルギー計画のパブリックコメント」という記事が載っていました。WEBRONZAには、どうやってこの「脱原発の意見が94%」という、政府が発表しなかった数字を明らかにしたのか、ジャーナリスト魂を感じる記事が掲載されています。広く知ってもらいたいと、許可を得た"かいつまんでの紹介"バージョンをお届けします。

民主党の野田政権のとき、2030年に向けての日本のエネルギー政策について、パブリックコメントや全国11カ所での意見聴取会、討論型世論調査など、さまざまな「国民的議論」を行い、その結果を集計・提示して、民意を考えに入れた上での「2030年までに原発依存をゼロに」という方針を決定しました。

その後の経済界からの猛反対などがあり、この方針が採り入れられることにはなりませんでしたが、少なくとも、国民的議論をおこない、民意を反映しようとしたことは評価できます。自民党政権になってからは、一転して、民意を問うこともしない、ましてや耳を傾けることもしない、という姿勢が強く、大きな後退だと思っています。

では記事をどうぞ!

~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

エネルギー基本計画のパブリックコメントの9割が「脱原発」を求める

新しいエネルギー基本計画をつくるときのパブリックコメントで、94%が「脱原発」を求める意見で、「原発維持・推進」は1%だったという記事が2014年11月12日の朝日新聞に掲載されました。

前政権・民主党の野田内閣は2012年夏、2030年代の原発の依存度をめぐって、国民的議論としてパブリックコメントや各地での公聴会などを実施し、その結果を明らかにしました。パブリックコメントでは約8万9千件のうち87%が「0%」を選んでいました。

野田内閣は、さらに公聴会やマスメディアの世論調査なども参考にして、国民の過半数が原発に依存しない社会を望んでいると判断し、「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針を決定。民意を政策に反映させようとしました。

その後、自公連立の安倍内閣に変わって、経産省は2013年12月、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた基本計画の原案を示し、それから1カ月間、パブリックコメントに付しました。

経産省は2014年2月、「集まった意見は約1万9千件だった」と発表し、寄せられた主な意見も明らかにしましたが、「原発の賛否割合」という重要な情報は出さず、当時の茂木敏充経産相は「数ではなく内容に注目して整理を行った」と国会で説明しました。

「政府がやらないなら自分で分類をやってやる」――朝日新聞の記者のひとりが、経産省に対して、パブリックコメントに寄せられた意見のすべての開示請求をし、20,929ページのコピーを20万円余りの費用をかけて入手しました。2万枚を超えるコピーは、重ねたら1メートルを超えるでしょう。

日々の仕事の傍ら、1枚ずつ賛否の印を付けていく作業を進め、2ヶ月ほどかけて、ようやく全部に目を通し終えました。複数ページに及ぶものを一件として数えると、1万8711件。原発への賛否では、廃炉や再稼働反対を求める「脱原発」が1万7665件で94.4%、「原発維持・推進」は213件で1.1%、「その他」は833件4.5%。やはりパブリックコメントの結果は「脱原発」が圧倒的だったのです!

ちなみに、朝日新聞社の10月下旬の世論調査でも、安倍内閣が進めようとしている原発の再稼働については、「賛成」は29%で、「反対」の55%が上回っています。2013年6月以降、同社では同じ質問を9回していますが、傾向は変わっていません。

この分類作業を行って、数字を世に出した記者さんは、「この分類は実質的に筆者1人でできた。経産省であれば一週間もあればできた作業だろう。やはり、この分類結果を出したくなかったのだろう。原発回帰のエネルギー基本計画、そして原発の再稼働への動きは、民意の裏打ちを欠いている。筆者としては94%の反対、1%の賛成という情報を世に出せたことをよかったと思っている」と述べています。

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

以上、"かいつまんで"バージョンでした。記者さんの実際の作業など、フルバージョンをお読みになりたい方は、ぜひWEBRONZAにアクセスしてみてください。
http://webronza.asahi.com/

http://astand.asahi.com/magazine/wrbusiness/2014111100004.html?iref=webronza

この記者さんも述べているように、もちろん、パブリックコメントがすべてではありません。しかし、94%対1%という差は無視できるものではないでしょう。

意見を寄せた人々の94%が反対し、支持する声が1%しかない原発を、集めた意見の賛否割合も明らかにせずに、そのまま推進しようとする現政府は、ますます国民の信頼を失い、禍根を残すことになるでしょう。こんな形だけのパブリックコメントは、「やらねばならない(が何の影響も与えない)プロセス」として考えているにすぎないことが明らかです。

当時の茂木敏充経産相は「数ではなく内容に注目して整理を行った」と国会で説明したとのこと。「内容に注目して整理を行った」結果、何がわかったのか、教えてもらいたいものです。

世界には、フクシマの現状や日本のエネルギー政策に関心を寄せる(心配している)人々がたくさんいます。少なくとも世界の人々には、「日本政府は原発を推進しようとしているが、パブリックコメントを寄せた人の94%は反対し、1%しか賛成していない」ことを伝えたいと思います。

 

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