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はじめて!企業がNGOのランキングを発表

2014年02月24日
はじめて!企業がNGOのランキングを発表

「グリーンピース、エレクトロニクス企業の環境責任を評価、ランク付けを発表」「WWF、持続可能なパーム油の利用に関する企業の成績表を発表」......。日本ではあまりありませんが、欧米のNGOは企業の行動を変えさせようと、「ランキングや成績表に企業名を載せる」キャンペーンを展開することがあります。

これまで、企業はいつもNGOに評価されたり、ランキングの順位をつけられる側でした。

逆に、企業がNGOを評価したら?」

このたび、企業の環境への取り組みを支援しているグリーンビズの呼びかけで、200社(うち75%は売上10億ドル以上の大企業)の環境CSR担当者が30の大手NGOを評価し、その結果を発表しました。

http://www.greenbiz.com/research/report/2014/02/18/greenbiz-ngo-report

 ゆくゆくは1位から並べたランキングを考えているとのことですが、今回は、30の大手NGOを「影響力」「活動の質の高さ」「効果性」の観点から評価し、「信頼されているパートナーとしてのNGO」「役に立つ枠組みやサービスを企業に提供してくれるNGO」「ブランドに課題のあるNGO」「招かざるNGO」の4つのグループに分類しています。

「信頼されているパートナーNGO」

企業との長期的なパートナーシップと多くの成功事例を有する、企業に優しく、効果的に活動を展開しているNGOで、今回は3団体のみでした。

  • ザ・ネイチャー・コンサーバンシー
  • 世界自然保護基金(WWF)
  • エンバロメンタル・ディフェンス・ファンド

「役に立つ枠組みやサービスを企業に提供してくれるNGO」

企業パートナーにとって役に立つプログラムやサービスを創り出してきた、効果的に活動を展開しているNGOで、今回は11団体がここに分類されました。

  • グリーンピース
  • オックスファム
  • ロッキーマウンテン研究所(RMI)
  • レインフォレスト・アライアンス
  • 世界資源研究所(WRI)
  • ビジネス・フォー・ソーシャル・レスポンシビリティ(BSR)
  • セリーズ
  • コンサベーション・インターナショナル
  • 天然資源保護協議会(Natural Resources Defense Council)
  • 全米野生生物連盟(National Wildlife Federation)
  • シエラクラブ

 「ブランドに課題のあるNGO」

効果的に活動を行っているもののそれほど影響力のないNGOで、今回は以下の6団体でした。

  • 憂慮する科学者同盟
  • バーゼル行動ネットワーク
  • トラスト・フォー・パブリック・ランズ
  • 米国オーデュボン協会(National Audubon Society)
  • ICCR(The Interfaith Center on Corporate Responsibility)
  • エンバロメンタル・ワーキング・グループ

 「招かざるNGO」

あまりよく知られていない、またはパートナーというよりも批判者と見られていたのは次の10のNGOでした。

  • ザ・クライメート・グループ
  • アース・ジャスティス
  • アース・ファースト
  • レインフォーレスト・アクション・ネットワーク
  • リソーシズ・フォー・ザ・フューチャー
  • アースウォッチ・インスティチュート
  • アズ・ユー・サウ(As You Sow)
  • 米国動物愛護協会(Humane Society of the United States)
  • ドッグウッド・アライアンス(Dogwood Alliance)
  • フォレスト・エシックス

企業はNGOとのコラボレーションをどう考えているか 

今回の調査結果は、単なるグループ分けだけではなく、企業とのコラボレーションを考える上でもとても役に立つヒントをNGOに提供してくれています。

 「企業がNGOと協働したい課題」として、大企業でも中小企業でも、上位に位置づけられたのは、「気候変動」「地域社会のエンゲージメント」「エネルギー(再エネと省エネの両方)」でした。また、回答企業の多くは、「NGOと長期的なパートナーシップを組んで協働したい」と答えました。「NGOとは協働しない」と答えた企業は4%しかありませんでした。

 NGOの「企業名を公表する」形のキャンペーンについては、半分近い回答者が「役にも立たず、害もない」と回答。20%は「自社が方針を変えなくてはと思う上で、非常に効果的だった」と答えています。「キャンペーンは自社にとって害があった」は5%でした。

「企業とのコラボレーションに向けての企業からNGOへの6つのアドバイス」

 報告書の最後に掲載されている、「企業とのコラボレーションに向けての企業からNGOへの6つのアドバイス」も、大変参考になります。

  1. 問題について現実的であること。進捗にかかわらず企業に対する抗議やキャンペーンをするつもりなら、そのように率直に伝えること。地政学的な要因や国際貿易の補助金など、企業が影響を与えられる範囲外にあって環境破壊を引き起こし、サステナビリティの問題の進捗を阻んでいる課題については透明性を持つこと。
  2. 企業がどのように運営しているかを理解する努力をすること。「ブランド名だけではなく、業界やビジネスについて知り、サプライチェーン全体について理解する時間をとること」
  3. 解決策に焦点を当てること。「目標への計画と最終的な状態を明確にして、企業と取り組むこと」
  4. 企業と協働し、より重要なことだが、互いに協働すること。「科学者や企業の人たちと、そのテーマに関する専門知識を身につけること。政策屋や理想家はあまり使わないこと」
  5. 民間部門を一般化しないこと。「その問題を作り出している企業もあれば、解決策に貢献している企業もある。企業パートナーを選んで組み、問題企業に対して行動を起こすこと」
  6. さらに現実的であること。「非現実的な目標設定を共有しないこと。非現実的な目標を設定したり、立ち退いてほしいからとお金を出したりする企業を褒めたり見返りを与えたりしないこと」

日本でも企業とNGOの協働を

日本ではまだ、欧米のように「多くの企業がさまざまなNGOと協働して問題解決を進めている」という状況ではありませんが、企業とNGOとの協働事例も各地で増えつつあります。企業とNGOは、立場は違っても(立場が違うからこそ!)協働することで、補強し合い、刺激し合い、視野や考え方を広げ、より効果的な働きかけを行って、問題解決を進めていけるのだと思います。

 「NGOはコワイ」「NGOってよくわからない」という方も多いでしょうけど、今回の「企業のNGO評価レポート」、企業からNGOへのラブレターみたいに感じるのは私だけでしょうか?

 

 

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