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北極の氷が減り、欧州への北極海航路が開ける。「世界の氷が消える日」を考える

2012年12月03日
北極の氷が減り、欧州への北極海航路が開ける。「世界の氷が消える日」を考える

北極の氷が減ってきたため、欧州への北極海航路が開けそうというニュースがありました。距離もコストも3分の2になり、喜ばしいことだという論調でしたが、一歩引いて、なぜ北極海の氷が減っているのか? それは何を意味するのか? を考える必要があります。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の出している北極海の海氷面積のグラフを見ていただくとわかるように、年を追うごとに夏の北極海の氷が減っています。2012年の減り方は「どこまで減ってしまうのだろう......?」と恐ろしいほとでした。

NothPole-graph.jpg

北極海氷モニターWebページ

私が温暖化による北極海の氷の減少について初めてメールニュースでお知らせしたのは、2000年3月9日 [No. 127] の「世界の氷が消える日」でした。

> 地表の氷は、地球にとっては「鏡」の役割を果たしており、太陽熱の大部分を反射して、地球の温度があがらないようにしてくれています。その氷が、温暖化によって縮小しつつある、ということは、ますます温暖化を加速する、という悪循環に陥る危険があります。また、海抜の上昇、洪水や暴風雨の増加などを引き起こすのではないかと、恐れられています。

この頃レスター・ブラウン氏は、「温暖化で北極海の氷が溶け出すと、北極海航路が拓けると喜ぶ人たちが出てくるだろう。南回りより安くて便利だからと、北極海航路が使われるようになれば、残っている氷もあっという間に消えてしまうだろう」と言っていました。

国交省にも「北極海航路に関する省内検討会」が設置されたというニュースは、この12年まえの予言?が現実のものになりつつあることを示しているのでしょうか。「短期的なメリットを求めることが、長期的な破滅を呼ぶ」一例になってしまうのでしょうか。

「短期的なメリットを求めることが、長期的な破滅を呼ぶ」悪循環は、世界のあちこちで見られます。特に、温暖化によってもたらされた事態に短期的に対応することが、中長期的に温暖化を悪化させ、ますます自分たちの首を絞める......、という悪循環です。

この夏、ナショナルジオグラフィックからのニュースに「アメリカ、猛暑と干ばつで原発停止」という記事がありました。ご存じのように、アメリカはこの夏、記録的な猛暑と干ばつに襲われたのですが、そのため、発電所に深刻な影響が出たのです。

コネティカット州のミルストン原子力発電所では、猛暑によって冷却水の水源であるロングアイランド湾の水温が上昇して水温規制値を超えてしまい、原子炉1基の停止を余儀なくされたそうです。

また干ばつによって、水力発電も影響を受けます。「カリフォルニア州の水力発電所では、昨冬の干ばつの影響で、この夏の電力生産量が例年に比べて1137メガワット減少すると予測されている」とのこと。ここの水力発電の源となるのは、シエラネバダ山脈の積雪ですが、春の段階で例年の50%しかない場所もあったとのこと。

こうして、原発や水力発電の稼働率が下がる一方、電力需要が変わらなければ、そのギャップを埋めるためには、火力発電が多く使われるようになります(もちろん自然エネルギーで代替するのが望ましいのですが、すぐに大量に普及することは難しいでしょう)。

こちらにある各国の電源構成をみると、米国はもともと火力発電が7割です。
http://ishes.org/es/energy/2012/eng_id000495.html

シェールガスのおかげで今後はガスシフトが進んでいくと思われますが、現状ではその多くが石炭火力発電です。原発や水力の代わりに、こういった火力発電が増えると......ますますCO2が排出されて、温暖化を悪化させ、この夏米国を襲っているような干ばつや猛暑、水温上昇が起こる可能性も高まるでしょう。

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