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えだブログ

2011
Sep
11

バラトンより

2011年09月11日

バラトン合宿が始まって2日が過ぎたところ。

日本を出るまえも、出発までに終えるべき仕事の山と格闘していて、ブログが書けなかったー。

今年の合宿は、「持続可能な社会を創るための解決策」がテーマなのだけど、2日目の「心理学的観点から」という全体セッションで、3人の発表者の1人になっていた。30分発表し、25分質疑応答。この発表を、本当は日本にいる間に準備する予定だったのだけど、とうてい無理な状況で、落ち着いて発表の流れを考えられたのは、成田空港を出発してから(メールも通じなくなるので)の機内であった。。。

いつも講演や執筆の流れを考えるときには、ノートにポストイットをぺたぺた貼っていく。伝えたいメッセージや、それを伝えるためのエピソードやデータなどをどんどん書き出していき、あとでいろいろ並べ替えて、伝えたいことが伝わる流れを作っていく。

あれやこれや考え、広げ、必要なデータをこれまでのプレゼンなどから探しにいったり、好きなエピソードなのだけどどうしても流れに入らなくて泣く泣くどいてもらったり。この半混沌状態・手探り状態のときに、新しい筋道が生まれたり、新しい切り口や組み合わせ方が発見できたりするので、とっても楽しい作業である。メールの届かない、静かにひとりで作業できる時間・空間が必要なのだけど(だから機内は最適でもある)。

もっとも、出発前夜は2時間しか寝られなかったので、飛行機が離陸して食事が終わったらまずは爆睡。4時間ぐらいかな、ぐっすり寝た後、2時間ぐらいこの「発表のプロット」の作業をして、「これでよし!」と終わったぐらいに、着陸前の軽食となって、ちょうどよい感じであった。

といっても、発表準備はそれで終わるわけではなく、今度はそのぺたぺたを見ながら、パワーポイントを作っていく作業がある。今回は英語だから、英語のパワーポイントを作らなくちゃいけない。できるだけ写真などビジュアルも入れたいし、データもグラフで見せたい。。。というパワポ作成の作業は、バラトン湖畔のホテルに落ち着いてから、早朝×2日+午後×1日、合計10時間ぐらい。

で、2日目の午前中、無事発表と質疑応答が終わったのであった。質疑応答はとても活発で、たくさんの参加者が質問してくれたのだけど、みんな「すばらしいプレゼンだった」「とても刺激を得た」等々、高く評価してくれたので、とてもうれしくほっとしたことであるよ。何せ、「あ、この方のお名前と業績は本で読みました!」みたいなすごいメンバーが各国から集まって参加している中で、限られた発表枠の1つを与えてもらえるというのはとても光栄なことであり、期待されるレベルはかなり高いのだ。

午前のセッションが終わって休憩となったときも、何人ものメンバーが「よかったよ!」「今回の発表もよかったねえ」と声を掛けてくれる。「国際会議を計画中なのだけど、そこで話してくれないか」という光栄なお声掛けを2つももらったり、ソリューション誌という雑誌の編集長もバラトンメンバーで今回参加しているのだけど、ソリューション誌に寄稿しないかと誘ってもらったり。

実はこの編集長氏、生物多様性の分野を勉強している人なら知らない人はいないという、ロバート・コスタンザ氏なのである。「1997年、メリーランド大学のロバート・コスタンザ教授は、世界中の生態系サービスの価値を計算し、当時の全世界のGDPの2倍近いことを示しました。これが生態系サービスという概念の重要性を広く知らしめ、経済学者も生態系保護の分野に取り組むようになったエポックメーキングな研究だったのです」と、私も生物多様性の講演やセミナーで話してきたのだけど、そのコスタンザさんから、寄稿しないかと言ってもらえるなんて、とても光栄なこと(氏は今回、寄稿者のスクリーニングも目的の1つとして参加している)。

バラトンで発表するのは3回か4回目だけど、これまでの中でも「他でも役立ちそう」と思ってもらえたみたいでうれしかった。さらにうれしかったのは、デニスがわざわざ来てくれて、「内容も、流れも、英語も、とてもよかった」と褒めてくれたこと。英会話レッスンに通ってきた成果が出ていたとしたら、とてもうれしいことであるよ。

午後はオープンスペースで、「この指とまれ方式」でセッションを自主的に開催し、自主的に参加する時間である。どの時間帯も、3〜4のセッションが提案されるので、どこへ行こうか、行きたいものが重なっていたりして、けっこう悩んだりする時間でもある。

オダサンが日本の状況についての質問に答えるセッションをやるというので、参加させてもらった。海外の人々が日本の何を知りたがっているのかを知りたいと思ったからだ。デニスをはじめ、10人以上が参加してくれた。やはり質問が集中したのは、福島原発事故の現状と影響、日本の今後のエネルギー政策についてだった。やっぱりそうだよね。。。

無事発表が終わったので、とても気が楽になったー。いま3日目の朝5時過ぎ。6時から、アランと恒例の「早朝ミーティング」の予定。5日間の間に、いろいろな人と話し、共同プロジェクトを作ったり、新しい情報を仕入れたり、忙しく楽しい合宿である。

 

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