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エダヒロ・ライブラリー一日一題

さらば、M字カーブ。そして7~8年後の日本は?

2018年01月01日

12月31日の日経新聞に「働く人の数が2018年に過去最高となりそう」という記事がありました。人口は減少しても、女性やシニアの労働参加率が上昇しているためです。

「生産年齢人口」(15~64歳)は現在、約7600万人ですが、少子高齢化の進行によって、この10年で700万人以上も減っています。しかし、実際に働いている人はこの10年で約50万人増えており、女性に限れば約200万人増えているのです。15~64歳の女性で働いている人の割合は、11月時点で68.2%と、5年前に比べて6.7ポイント上昇し、過去最高水準でした。

日本に特有の現象といわれていた「M字カーブ」をご存じですか? 

日本では、女性の労働力率が結婚・出産期に当たる年代にいったん低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇するという傾向があり、「M字カーブ」と呼ばれています。「寿退社」「出産したら退職」のためですね。

このM字の谷に相当するのが35~44歳なのですが、このM字の谷の部分が、近年浅くなってきています。結婚・出産後も働き続けられるしくみが企業や社会に整ってきたということでしょう。もっとも、まだまだ保育所が足りないという現状もあって、M字カーブが完全に解消し、「働きたい人が仕事をあきらめずにすむ日本」になるには、さらなる改善が必要です。

このように、女性やシニアの労働参加率上昇のおかげで、就業者の数は当面、増え続ける見通しとのこと。しかし、人口減少と高齢化に加えて、労働参加率もどこまでも上昇し続ける、というわけにはいかないでしょう。2020年代前半にも就業者の増加カーブが頭打ちになるとの観測もあります。

現在、大変な人手不足の状況に、企業ではAIやロボットなど省力化の設備投資を増やしています。現在の人手不足による業績へのダメージを回避するための省力化(省人化)の効果は、人手不足が解消されたあとも続きます。求職者が増えたからといって、せっかく投資したAIやロボットを使うのをやめることはありません。とすると......?

現在は24年ぶりという低水準にある失業率も、2025年までに再び大きく上がる可能性があるとのこと。人手不足には資金を投入してAIやロボットという手を打つことできますが、人手余り(失業率・失業者の増大)にはどのような手を打つことができるのでしょうか? 教育のあり方も、企業経営も、社会保障制度も、今からその状況を考えに入れるべきではないでしょうか?

 

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