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エダヒロ・ライブラリー一日一題

「仏、石炭火力を全面閉鎖へ」

2017年12月29日

12月29日付の日経新聞に、「仏、石炭火力を全面閉鎖 温暖化対策 原発削減は先送り」という記事がありました。フランスは温暖化対策を優先して、2021年までに石炭火力発電所を全面閉鎖する一方、「原発依存度を現在の約7割から25年までに5割に下げる」という削減目標は先送りする、という内容です。

フランスの「2025年までに原発の電源比率を5割まで下げる」目標は、「エネルギー転換法」で定められているものですが、11月7日にフランス政府はこの目標達成を30~35年に延期する方針を発表しています。

日経の記事によると、「石炭発電は仏国内の発電量の約1.4%をまかなっている」とのこと。「石炭火力発電の全面閉鎖」は、パリ協定を生んだフランスの力の入れ方を強く打ち出す一方、発電量の割合は小さいので、電力状況へのインパクトはそれほど大きくないのだろうと思われます。

フランスに倣って、日本が「温暖化対策のために、石炭火力発電を全面閉鎖する」と発表したら、それはそれは大きなアピールとインパクトを創り出すことでしょう。現在、日本の石炭火力発電の電源比率は32%だからです! 私たちが日本で使っている電力の3分の1が温暖化への影響の大きな石炭火力発電でつくられている......。節電して電力消費量を3分の2にするから、減らした分は石炭火力をなくしてほしい!

さて、脱原発を決めたドイツも、原発比率を下げようとしているフランスも、火力発電をできるだけ増やさずに(減らしつつ)再エネを増やして、温暖化目標を遵守する、という難題に挑戦中です。日本では、原発へのスタンスが定まらないまま、パリ協定の下での温暖化目標を遵守できるエネルギー体制をつくっていく、という難題が立ちはだかっています。

ちなみに、パリ協定での日本の現在の温室効果ガス削減目標は、「2030年までに2013年比26%削減」ですが、最初から最後まで「6%」だった京都議定書とは異なり、パリ協定では、5年ごとに目標を見直し、厳しくしていくことが決まっています。日本の2050年の削減目標は80%。現在・これからの政策はすべて、33年後には温室効果ガスを80%削減できるエネルギー体制につながっていなくてはなりません。

 

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