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エダヒロ・ライブラリー一日一題

「環境・社会問題やガバナンスへの取り組みが投資基準」になる日

2016年07月22日

今朝の日経新聞一面トップ記事、「公的年金、環境や企業統治重視の企業に選別投資」に、「ついにキタ~!」と手を打ちました。「公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、環境や企業統治を重視した企業を選別して資金を流すESG投資に乗り出す」という内容です。

ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)のそれぞれの面への企業の取り組みや考え方を投資判断の材料にするもの。

「え? SRIとは違うの?」と思われたとしたら、詳しい方です! SRIとは、Social Responsible Investment (社会的責任投資)で、主に、社会的責任の観点から望ましくない投資対象を除外したり、望ましい企業を投資対象とするものです。

ESG投資とSRIはどう違うのでしょう?SRIは、社会的責任の観点から「望ましい、または、望ましくない」一部の企業が対象となるのに対して、ESG投資は、すべての企業が対象となります。なぜなら、環境や社会的課題への取り組みも企業ガバナンスへの対応も、一部企業ではなく、すべての企業に関わる問題だからです。

世界的にEGS投資が活発になってきた背景には、お金の流れを変えることで環境・社会問題を解決しようという動きとともに、「ESGをちゃんとやっている企業のほうがリターンが高い」ということがさまざまな研究や調査で明らかになってきたこともあります。特に「環境や貧困問題を解決したい」と思っていなくても、「高いリターンがほしい」と思っている投資家が、高いリターンの一つの"印"として企業のESGの取り組みを見るようになってきた、ということです。

先の日経の記事には「社会的な責任を果たす企業への投資は欧米で活発になっている」とありますが、どのくらい活発なのでしょうか?

世界全体のESG投資の残高は2014年に21兆ドル! 世界の全投資額の30%がESG投資と言われており、特に活発な欧州では59%が、米国でも18%がESG投資です。では、日本では?

なんと、(小さい声で......)1%にも達していません。。。 日本では機関投資家がESG投資に動いておらず、個人投資家が中心だからです。

その日本でもようやく、2015年9月にGPIFが国連責任投資原則に署名。私もESG投資への具体的取り組みを心待ちにしていました。

国民年金と厚生年金の保険料を一括して運用するGPIFは、2015年末時点で約140兆円という世界最大規模の機関投資家です。ここが動き始めた! 日本でもようやくESG投資が主流派になる日がやってきそうです!

 

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