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2009年08月20日

第3回 Q&A

<質問>
どこまで時間をかけて訳せばよいのでしょう。これでいこうと決めるタイミングや判断はどうされていますか?

<回答>

昔出版社で仕事をしていたとき、「校正って、白髪抜きと同じだ」と先輩に教わったことがあります。そのココロは、「やってもやっても終わらない」(^^;翻訳の練り直しも同じだなあ、とよく思います。

ただ一方で、時間をかければかけるほど訳文の質が際限なく上がっていくわけではありません。多くの場合、あるところまでは、費やした時間に応じて質は向上しますが、その先は、あまり上昇のカーブが見られなくなっていきます。しかも、様々な用事がある中で時間の制約もありますね。

以前もお伝えしましたが、私の場合、「初訳」と「練り直し」にかける時間の割合は、1:5か1:6ぐらいです。それを踏まえて、最初にスケジュールを決め、制限時間を設けて進めていきます。時間が許せば、手直ししたいところはいくらでも出てきますが、特に仕事で翻訳をするとなると、根気強さと共に思い切りも必要となります。

どこで良しとするかは、数をこなすうちにご自分の中でつかめてくるものがあると思います。興味の持てそうな題材を探して、いろいろと試してみるのも良いと思いますよ。

第3回 パート1解説

パート1のヒトリゴト解説です。こちらからご利用下さい。

NS3-3kaisetsu.pdf

第2回 Q&A

<質問>
英文の意味を読み違えて誤訳をしてしまった箇所がいくつかありました。読解力をアップさせるには、どうしたらいいでしょうか。

<回答>
誤訳の原因は実にさまざまですが、分析してみると、いくつかの可能性が考えられます。まず、その可能性について考えてみましょう。

(1)単語やフレーズの読み方に注意。
一語一語訳出できているかどうか、丁寧に原文とつきあわせましょう。また、似た単語と混同していないかどうか、注意しましょう。

(2)辞書の引き方に注意。
辞書はこまめにに引きましょう。英語の単語にはたくさんの意味があるので、よく知っている単語でも、その意味のほんの一部分しか知らないこともありますし、熟語になっている場合もあります。辞書を引くときは、訳語だけでなく必ず例文まで読み、時には英英辞典で確認するなどして、正確に意味を理解しましょう。

(3)構文に注意。
まず構文をしっかりとらえて、「正確に」訳しましょう。その後で読みやすい日本語に練り上げていきましょう。文法の解説や構文の練習のための学習書がたくさん出ていますので、実際に内容を確認して自分のレベルや目的に合ったものを選び、1冊丁寧に仕上げてみるのもよい方法です。

読解力をアップするには、先を急ぐより、まず地道な作業を積み重ねて土台を固めることです。土台ができれば、あとは加速度的に伸びていくことでしょう。

第2回 パート1 5つの訳文

次のファイルは5人が訳した5つの訳文です。PDFファイルになっていますので、ファイル名をクリックして表示させ、プリントアウトしたものをご用意ください。

NS3-2yakubun.pdf

PDF中の5つの訳文は、みなさんと同じように翻訳を勉強中の人や、少し仕事がもらえるようになってきた駆け出しの翻訳者など、さまざまなレベルやタイプの方の実際の翻訳例です。したがって解釈の間違いや表現の誤りなども含まれていることにご注意下さい。

第1回 Q&A

<質問>
ダッシュやセミコロンが出てくると、どう訳してよいか困ってしまいます。何かコツのようなものはありますか?

<回答>

ダッシュとセミコロンの一般的な使い方ですが、ダッシュは、時間の経過を表す、前の文を言い換える、説明を付け加える、理由や結果を述べる、などの目的で使われることが多いようです。また、2本のダッシュで囲んで、かっこのように説明や副題などを表すこともあります。

セミコロンは、コンマよりもはっきりと区切りを示したいときに使ったり、あるいは、ピリオドよりもやんわりと区切りたいとき、つまり、独立した2つの文が何らかの関係があるためつなげて書くときなどに使ったりします。

ダッシュもセミコロンも、文脈からその意味を考えて、適当な接続詞を補ったり、言い回しをくふうしたりして訳文に反映させます。一般的な「コツ」というものはないので、エダヒロ訳や他の訳例を参考にしてみてください。そういう視点で他の訳文を読むと、それぞれのくふうが見えてきて面白いですよ。