第6回 Q&A
<質問>
原文が間違っていると思う場合も、原文の通り訳さなければならないのでしょうか。書かれていることが明らかに自分の「常識」と違う場合は、とても迷います。とくに、著者に確認できない場合はどうしたらよいでしょうか。
<回答>
訳した結果が自分の持っている常識と違ってしまう場合は、
1)原文が間違っている
2)訳が間違っている
3)背景、文化の違いから「常識」そのものが違う可能性がある
4)作者があえて「常識」とは違う指摘をしている
これらのケースが考えられます。原文が間違っている可能性ももちろんありますが、その前に、自分の解釈が間違っていないことを確認しましょう。
原文、及び解釈が間違っていないようであれば、翻訳者の仕事は、作者の主張を過不足なく丁寧に訳すことです。そこに翻訳者の判断をはさんでしまうと、作者の意図を十分に伝えられない危険性があります。
「常識」も文化や環境、背景が違えば変ります。また、技術が発展したり、時代が変ると、それまでの常識が通用しなくなることもあります。作者の意図を正確にくみ取りましょう。
このように、訳してみて「あれ? おかしいな?」 と思ったら、いろいろな角度から分析してみましょう。それでも納得できる説明がつかなければ、原文が間違いである可能性も残りますので、自分の解釈に原文や理由を添えて、仕事の場合はクライアントに申し送りをします。